家から車で10分ほど走れば、井出町がある。秋はみかん狩り、春は桜祭りに近隣から沢山の方が来られる。早起きしたので桜の開花状況を見てきた。桜は後4,5日すれば満開になりそうだ。桜が咲いている玉川の堤防の土手には早くも黄金色の「山吹」が咲いていた。
[豆知識]
(1)和歌:井手町の歴史に欠かせないのは、奈良時代の左大臣橘諸兄である。当地には橘諸兄ゆかりの史跡が多い。玉津岡神社や井堤寺跡などがそれにあたる。井手町を二分して流れる玉川の堤に山吹を植えたのも諸兄だと伝えられている。特に小野小町の歌は、有名である。
色も香もなつかしきかな蛙なく
井出の渡りの山吹の花
古今和歌集には
蛙鳴くいでのやまぶきちりにけり
花のさかりにあわましものを
(読人しらず)の歌がある。
新古今和歌集には
あしびきの山吹の花散りにけり
井出のかわずは今や鳴くらん
山城の井出の玉水手に汲みて
たのみしかいもなき世なりけり
という歌がある。
王朝人の和歌のイメージを継承した人々の中に俳人がいる。芭蕉俳句集に二句とられている。
山城へ井出の駕籠かるしぐれかな
山吹や井出の長者を年の宿
芭蕉を師と仰いだ蕪村にも井出を詠んだ俳句がある。
山吹や井出を流るる鉋屑(かんなくず)
葱洗う流れもちかし井出の里
(2)山吹 :
・薔薇(ばら)科。
・学名 Kerria japonica
Kerria : ヤマブキ属
japonica : 日本のKerria(ケリア)は、19世紀のイギリスの植物学者「Kerr さん」の名前にちなむ。
・山の中に生え、花の色が蕗(ふき)に似て金色で美しいことからこの名前に。また、しなやかな枝が風にゆれる様子から「山振」の字があてられ、じきに「山吹」になったとも。
・”やまぶきいろ”と呼ばれる鮮やかな黄色。
・イギリスでは「イエロー・ローズ(黄色いバラ)」「ジャパン・ローズ(日本のバラ)」と呼ばれる。
・八重山吹と違ってこちらは一重(ひとえ)。
・一重の山吹には実がつくが、八重山吹には実がならない。
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