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「パティシエになりたーい!」ブログ。

元パティシエ・オペラのお菓子の話やらオタクっぽい話やらのごちゃ混ぜブログ。

遊戯王文庫版感想 17巻(その4)

2009-06-29 23:56:06 | 遊戯王☆感想文
(その3からの続き)


「(オレは貴様を倒し、全ての頂点に立つ!ついにその時が来たのだ!)」
しかし、その不敵な表情を前にして…遊戯は笑う。目を閉じたまま、少しだけ笑う。
この「笑い」、そしてここからの…社長へぶつけるセリフの数々…。
一見すると、挑発しているかのようだけど…そうじゃない。
自分が勝つために相手を煽って判断力を下げてやろうとか…そんな目的でなされることじゃ、ない。

…でもこの時の社長にしたら、全てが挑発以外の何物でもなかっただろう。
私が初めてこのやりとりを聞いたときに…感じたように。
それほどに…言葉は厳しい。遊戯は、社長が一番腹を立てそうな言葉を、容赦なく並べていく。
でも…でも、違う。挑発のための言葉じゃない…。
だって、こんなこと言わなくても、遊戯は勝てた。
そう…普通に、勝つだけなら……挑発すらする必要はなかったんだ。

「海馬…貴様はオレが認めた数少ない決闘者だが…少々ガッカリしたぜ!
ハッキリ言う……。憎しみ…怒り…、そんなもん束にしたってオレには勝てないぜ!」

「廃墟にそびえ立つこの決闘塔は貴様の心の象徴…。憎しみを重ね、頂点を極めてもそこに真の勝利はない!その先に新たな憎しみを求め、さ迷い続けるだけだ!」
ね。そんなことって…言わなくてもいいじゃないですか。
しかも「憎しみ」は、社長が望んで伸ばしてきたものじゃない。海馬剛三郎に、大人たちに、植え付けられたと言ってもいい。生きるために、憎しみを燃料として闘ってくるしかなかった。こうするしかなかった。…社長もそれはどこかでわかっているはず。
それを、わざわざここで口にする闇様に…最初は憤りを覚えました。
でも…ちゃんと理由があった。

リバースカード、オープン!「ダブルマジック」!
このターン、相手の使った魔法カードを使うことができるカード。
「死者蘇生」で、バスター・ブレイダーを召喚、そしてブラマジと「融合」。
現れたのは…超魔導剣士ブラックパラディン!
攻撃力は2900ポイントだが、バスター・ブレイダーの特殊能力は、場のドラゴン族の数だけ攻撃力を上げるというもの。現在、場には二体(究極嫁と真紅眼)。1000ポイントプラスで…合計3900ポイント。
遊戯の場のリバースには、まだ攻撃力を上げるカードが残っている。さらに1枚、カードを伏せて…ターンエンド。
社長のターン。同じようにリバースをセット。

社長は叫ぶ。
「遊戯…オレはこの場で、忌まわしい過去と共に貴様を葬り去る!覚悟を決めるがいい!」

「過去」……。
社長がこんなにも嫌う言葉。これまでの激烈な反応の数々は…過去そのものだけでなく、その言葉の響きすら憎んでいるように…見える。

「海馬…!仮にオレを倒すことができても…その先にあるのは終わりなき憎しみの連鎖!!貴様は憎しみの闇から永遠に抜け出すことはできない!!」
「フン…!憎しみと怒りこそがオレにパワーを与えてきた!すべてを支配する力をな!」
「ならば、貴様の憎しみと怒りをすべて!オレにぶつけて来な!!
それでオレを倒せるならな!!」



「(海馬、オレは貴様を倒す!
バトル・シティ――闘いのロードを共に歩んだライバルとして――そして、
友として!!)」



262話。サブタイトル「友として!」。
…これが、闇様の、理由。ここまで、海馬に対して厳しい言葉をぶつけていた理由の全て。
自分の過去を取り戻すために、ここで負けるわけにはいかない…それはもちろんだけど、もうそれだけではなくなっている。闘いの中で、確かに変わっている。
例の光景で…海馬が自分の記憶に何らかの関係があるとわかったけれど…そのために倒すんじゃない。自分の過去の手がかりの一つにしようというんじゃない。
…あの後のやりとりの中で、闇様はきっと気づいた。
海馬が、あれほどまでに幻想だ、映像だと繰り返す理由。…古代エジプトからのルーツに不満があるわけじゃなく…つまり、その中身じゃなくて…
ただ、「過去」だから、考えたくない。
ただ、「過去」だから、そこで思考を全部ストップする。
まるでアレルギー反応。でも社長は頭が回るから、いちいちそれに理由をつけて説明して、もっともらしく見せてしまう。…だから、これはきっと本人は気づいていない。
「過去」という言葉が…もうそれだけで最大のトラウマとなっているんだ。

自分でその大きさに気づかないまま、また…憎んでる。
憎しみにかられてるから、全部ひっくるめて潰そうとしてる。
背後の弟の悲しい目にも、…目の前の「友」の悲しい目にも気づこうとしないまま、また…進もうとしてる。

だから、止めるのだ、ここで。
…友として!!


アルティメットドラゴンの攻撃!アルティメットバースト!!
遊戯はリバースカード「魔術の呪文書」で攻撃力を上げて対抗しようとするが…そこで海馬のトラップ発動。「魔法吸収」で、その上がるはずのポイントを奪い、さらにアルティメットの攻撃力が上がる…!
「ブラック・パラディン!そして貴様の友のカード――真紅眼!!まとめて砕け散るがいい!!」
攻撃力は5000。三体まで同時に攻撃することができるため…海馬はここで勝利を確信する。
しかし。
「そいつはどうかな…。」

「海馬…憎しみを束ねても、それは……脆い!!」
リバース発動。「融合解除」!
アルティメットは、三体の青眼へと分離してしまう…!そしてドラゴン族がフィールドに増えたことにより、ブラック・パラディンの攻撃力が上昇!
さらに…魔法カード「拡散する波動」を使い…ブラック・パラディンの攻撃対象は相手フィールド全体へと変わる…!
「海馬!!貴様の闇を斬り裂く!!」
ブラック・パラディンの攻撃で…三体の青眼は消滅。そして、海馬のLPはゼロに。
決着。遊戯の…勝利。
「海馬…憎しみの果てに、真の勝利はない…。」



263話の冒頭は、…もうここは必ず泣いてしまいます。
「(オレの…バトル・シティ…。
亡き義父によって刻みつけられた憎しみを抱え――復讐のモニュメント…その頂上に立ち…
遊戯… 貴様を倒すことが… オレの目的…
オレの…
決闘王の称号……。)」

呆然とする社長。
混乱する中、交錯するイメージ…。剛三郎…デュエル・タワー…そして、遊戯…。
でも特に、この最後のコマが……
消えていく、青眼… 同時に消えてしまった、決闘王への道…。
すべてを手に入れるはずだったのに…。

消えてしまった…。

自分の敗北がまだ信じられない社長。
そこに遊戯がやってきて、声をかける。自分達二人の間に、力の差はないんだと。
「貴様が負けたもの…それは、己の中に巣喰う、憎しみというモンスターだ。」
敵は自分の中にも存在し、それらを打ち負かした時にこそ、真の決闘者の道が開かれるんだと。そして、あの時の…真紅眼のカードのことにも触れる。
「友から預かった…魂のカード。友の力こそがオレに勝利をもたらしたんだ。」
静かにそう言う闇様だが、…社長ここでマジ切れ。
「友の力だとぉ…!くだらん!!オレにとってそんなもので得た勝利など価値はない!!オレにとって友など永遠に必要のないものだ!」
…さっきの儚さはどこへやら。すっかりいつもの社長です。
闇様は今、これ以上言ってもますます怒るだけ…という判断を下し、以降はモノローグ。…きっとこれが一番伝えたかった事なんだろうけど…。まあ、今は…ね。仕方ないよね…。
「(オレは貴様というライバルがいたからこそ、闘い続けることができた…。より高みを目指して…。
貴様にとってもそれは同じハズだ…、ならば…
ライバル… 友…!!
その境界がどこにある!)」


吠えるのは勝者の特権だと言って、アンティルールであるオベリスクのカードを投げ渡し、その場から去る社長。
その背中で、いつの間にかやってきていた遊戯と、仲間達のやりとりを聞く。
「城之内生きてたんだぁ!」byモクバ
「フン!死に損ないが…!」 …うわっひどっ!!
本気でとっとと去ろうとしていた社長の前に…イシズが現れた!

「遊戯が勝つにはあなたの力が必要なのです。」
ここの、いちいちこんなこと言わせるんじゃねーよ的な姉上様の表情が素敵(えー)。
もちろん聞く耳持たない社長ですが…そこはさすがのイシズ姉様。社長の扱いに慣れちゃってます!
「あなたは気づいているのでは…。瀬人…。あの石板に刻まれた碑文の意味が…。」
死者への、祈り…?
「その碑文は、亡きファラオに捧げられた…友への詩(ことば)…。
友情の証であるその石板を世に残したのは…
石板に描かれた神官――その者自身なのです。」

…………え?
え、え??
な、なんだってーーーーー!!


というところで17巻終わり。
…長かった…いや本当長かった…!!
ここまで読んでくださった皆様、本当に…本当にありがとうございます!!
行くぞーー!!18巻!!いえーーーーーい終わったーーーー!!

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