(その3からの続き)
「(オレは貴様を倒し、全ての頂点に立つ!ついにその時が来たのだ!)」
しかし、その不敵な表情を前にして…遊戯は笑う。目を閉じたまま、少しだけ笑う。
この「笑い」、そしてここからの…社長へぶつけるセリフの数々…。
一見すると、挑発しているかのようだけど…そうじゃない。
自分が勝つために相手を煽って判断力を下げてやろうとか…そんな目的でなされることじゃ、ない。
…でもこの時の社長にしたら、全てが挑発以外の何物でもなかっただろう。
私が初めてこのやりとりを聞いたときに…感じたように。
それほどに…言葉は厳しい。遊戯は、社長が一番腹を立てそうな言葉を、容赦なく並べていく。
でも…でも、違う。挑発のための言葉じゃない…。
だって、こんなこと言わなくても、遊戯は勝てた。
そう…普通に、勝つだけなら……挑発すらする必要はなかったんだ。
「海馬…貴様はオレが認めた数少ない決闘者だが…少々ガッカリしたぜ!
ハッキリ言う……。憎しみ…怒り…、そんなもん束にしたってオレには勝てないぜ!」
「廃墟にそびえ立つこの決闘塔は貴様の心の象徴…。憎しみを重ね、頂点を極めてもそこに真の勝利はない!その先に新たな憎しみを求め、さ迷い続けるだけだ!」
ね。そんなことって…言わなくてもいいじゃないですか。
しかも「憎しみ」は、社長が望んで伸ばしてきたものじゃない。海馬剛三郎に、大人たちに、植え付けられたと言ってもいい。生きるために、憎しみを燃料として闘ってくるしかなかった。こうするしかなかった。…社長もそれはどこかでわかっているはず。
それを、わざわざここで口にする闇様に…最初は憤りを覚えました。
でも…ちゃんと理由があった。
リバースカード、オープン!「ダブルマジック」!
このターン、相手の使った魔法カードを使うことができるカード。
「死者蘇生」で、バスター・ブレイダーを召喚、そしてブラマジと「融合」。
現れたのは…超魔導剣士ブラックパラディン!
攻撃力は2900ポイントだが、バスター・ブレイダーの特殊能力は、場のドラゴン族の数だけ攻撃力を上げるというもの。現在、場には二体(究極嫁と真紅眼)。1000ポイントプラスで…合計3900ポイント。
遊戯の場のリバースには、まだ攻撃力を上げるカードが残っている。さらに1枚、カードを伏せて…ターンエンド。
社長のターン。同じようにリバースをセット。
社長は叫ぶ。
「遊戯…オレはこの場で、忌まわしい過去と共に貴様を葬り去る!覚悟を決めるがいい!」
「過去」……。
社長がこんなにも嫌う言葉。これまでの激烈な反応の数々は…過去そのものだけでなく、その言葉の響きすら憎んでいるように…見える。
「海馬…!仮にオレを倒すことができても…その先にあるのは終わりなき憎しみの連鎖!!貴様は憎しみの闇から永遠に抜け出すことはできない!!」
「フン…!憎しみと怒りこそがオレにパワーを与えてきた!すべてを支配する力をな!」
「ならば、貴様の憎しみと怒りをすべて!オレにぶつけて来な!!
それでオレを倒せるならな!!」
「(海馬、オレは貴様を倒す!
バトル・シティ――闘いのロードを共に歩んだライバルとして――そして、
友として!!)」
262話。サブタイトル「友として!」。
…これが、闇様の、理由。ここまで、海馬に対して厳しい言葉をぶつけていた理由の全て。
自分の過去を取り戻すために、ここで負けるわけにはいかない…それはもちろんだけど、もうそれだけではなくなっている。闘いの中で、確かに変わっている。
例の光景で…海馬が自分の記憶に何らかの関係があるとわかったけれど…そのために倒すんじゃない。自分の過去の手がかりの一つにしようというんじゃない。
…あの後のやりとりの中で、闇様はきっと気づいた。
海馬が、あれほどまでに幻想だ、映像だと繰り返す理由。…古代エジプトからのルーツに不満があるわけじゃなく…つまり、その中身じゃなくて…
ただ、「過去」だから、考えたくない。
ただ、「過去」だから、そこで思考を全部ストップする。
まるでアレルギー反応。でも社長は頭が回るから、いちいちそれに理由をつけて説明して、もっともらしく見せてしまう。…だから、これはきっと本人は気づいていない。
「過去」という言葉が…もうそれだけで最大のトラウマとなっているんだ。
自分でその大きさに気づかないまま、また…憎んでる。
憎しみにかられてるから、全部ひっくるめて潰そうとしてる。
背後の弟の悲しい目にも、…目の前の「友」の悲しい目にも気づこうとしないまま、また…進もうとしてる。
だから、止めるのだ、ここで。
…友として!!
アルティメットドラゴンの攻撃!アルティメットバースト!!
遊戯はリバースカード「魔術の呪文書」で攻撃力を上げて対抗しようとするが…そこで海馬のトラップ発動。「魔法吸収」で、その上がるはずのポイントを奪い、さらにアルティメットの攻撃力が上がる…!
「ブラック・パラディン!そして貴様の友のカード――真紅眼!!まとめて砕け散るがいい!!」
攻撃力は5000。三体まで同時に攻撃することができるため…海馬はここで勝利を確信する。
しかし。
「そいつはどうかな…。」
「海馬…憎しみを束ねても、それは……脆い!!」
リバース発動。「融合解除」!
アルティメットは、三体の青眼へと分離してしまう…!そしてドラゴン族がフィールドに増えたことにより、ブラック・パラディンの攻撃力が上昇!
さらに…魔法カード「拡散する波動」を使い…ブラック・パラディンの攻撃対象は相手フィールド全体へと変わる…!
「海馬!!貴様の闇を斬り裂く!!」
ブラック・パラディンの攻撃で…三体の青眼は消滅。そして、海馬のLPはゼロに。
決着。遊戯の…勝利。
「海馬…憎しみの果てに、真の勝利はない…。」
263話の冒頭は、…もうここは必ず泣いてしまいます。
「(オレの…バトル・シティ…。
亡き義父によって刻みつけられた憎しみを抱え――復讐のモニュメント…その頂上に立ち…
遊戯… 貴様を倒すことが… オレの目的…
オレの…
決闘王の称号……。)」
呆然とする社長。
混乱する中、交錯するイメージ…。剛三郎…デュエル・タワー…そして、遊戯…。
でも特に、この最後のコマが……
消えていく、青眼… 同時に消えてしまった、決闘王への道…。
すべてを手に入れるはずだったのに…。

消えてしまった…。
自分の敗北がまだ信じられない社長。
そこに遊戯がやってきて、声をかける。自分達二人の間に、力の差はないんだと。
「貴様が負けたもの…それは、己の中に巣喰う、憎しみというモンスターだ。」
敵は自分の中にも存在し、それらを打ち負かした時にこそ、真の決闘者の道が開かれるんだと。そして、あの時の…真紅眼のカードのことにも触れる。
「友から預かった…魂のカード。友の力こそがオレに勝利をもたらしたんだ。」
静かにそう言う闇様だが、…社長ここでマジ切れ。
「友の力だとぉ…!くだらん!!オレにとってそんなもので得た勝利など価値はない!!オレにとって友など永遠に必要のないものだ!」
…さっきの儚さはどこへやら。すっかりいつもの社長です。
闇様は今、これ以上言ってもますます怒るだけ…という判断を下し、以降はモノローグ。…きっとこれが一番伝えたかった事なんだろうけど…。まあ、今は…ね。仕方ないよね…。
「(オレは貴様というライバルがいたからこそ、闘い続けることができた…。より高みを目指して…。
貴様にとってもそれは同じハズだ…、ならば…
ライバル… 友…!!
その境界がどこにある!)」
吠えるのは勝者の特権だと言って、アンティルールであるオベリスクのカードを投げ渡し、その場から去る社長。
その背中で、いつの間にかやってきていた遊戯と、仲間達のやりとりを聞く。
「城之内生きてたんだぁ!」byモクバ
「フン!死に損ないが…!」 …うわっひどっ!!
本気でとっとと去ろうとしていた社長の前に…イシズが現れた!
「遊戯が勝つにはあなたの力が必要なのです。」
ここの、いちいちこんなこと言わせるんじゃねーよ的な姉上様の表情が素敵(えー)。
もちろん聞く耳持たない社長ですが…そこはさすがのイシズ姉様。社長の扱いに慣れちゃってます!
「あなたは気づいているのでは…。瀬人…。あの石板に刻まれた碑文の意味が…。」
死者への、祈り…?
「その碑文は、亡きファラオに捧げられた…友への詩(ことば)…。
友情の証であるその石板を世に残したのは…
石板に描かれた神官――その者自身なのです。」
…………え?
え、え??
な、なんだってーーーーー!!
というところで17巻終わり。
…長かった…いや本当長かった…!!
ここまで読んでくださった皆様、本当に…本当にありがとうございます!!
行くぞーー!!18巻!!いえーーーーーい終わったーーーー!!
「(オレは貴様を倒し、全ての頂点に立つ!ついにその時が来たのだ!)」
しかし、その不敵な表情を前にして…遊戯は笑う。目を閉じたまま、少しだけ笑う。
この「笑い」、そしてここからの…社長へぶつけるセリフの数々…。
一見すると、挑発しているかのようだけど…そうじゃない。
自分が勝つために相手を煽って判断力を下げてやろうとか…そんな目的でなされることじゃ、ない。
…でもこの時の社長にしたら、全てが挑発以外の何物でもなかっただろう。
私が初めてこのやりとりを聞いたときに…感じたように。
それほどに…言葉は厳しい。遊戯は、社長が一番腹を立てそうな言葉を、容赦なく並べていく。
でも…でも、違う。挑発のための言葉じゃない…。
だって、こんなこと言わなくても、遊戯は勝てた。
そう…普通に、勝つだけなら……挑発すらする必要はなかったんだ。
「海馬…貴様はオレが認めた数少ない決闘者だが…少々ガッカリしたぜ!
ハッキリ言う……。憎しみ…怒り…、そんなもん束にしたってオレには勝てないぜ!」
「廃墟にそびえ立つこの決闘塔は貴様の心の象徴…。憎しみを重ね、頂点を極めてもそこに真の勝利はない!その先に新たな憎しみを求め、さ迷い続けるだけだ!」
ね。そんなことって…言わなくてもいいじゃないですか。
しかも「憎しみ」は、社長が望んで伸ばしてきたものじゃない。海馬剛三郎に、大人たちに、植え付けられたと言ってもいい。生きるために、憎しみを燃料として闘ってくるしかなかった。こうするしかなかった。…社長もそれはどこかでわかっているはず。
それを、わざわざここで口にする闇様に…最初は憤りを覚えました。
でも…ちゃんと理由があった。
リバースカード、オープン!「ダブルマジック」!
このターン、相手の使った魔法カードを使うことができるカード。
「死者蘇生」で、バスター・ブレイダーを召喚、そしてブラマジと「融合」。
現れたのは…超魔導剣士ブラックパラディン!
攻撃力は2900ポイントだが、バスター・ブレイダーの特殊能力は、場のドラゴン族の数だけ攻撃力を上げるというもの。現在、場には二体(究極嫁と真紅眼)。1000ポイントプラスで…合計3900ポイント。
遊戯の場のリバースには、まだ攻撃力を上げるカードが残っている。さらに1枚、カードを伏せて…ターンエンド。
社長のターン。同じようにリバースをセット。
社長は叫ぶ。
「遊戯…オレはこの場で、忌まわしい過去と共に貴様を葬り去る!覚悟を決めるがいい!」
「過去」……。
社長がこんなにも嫌う言葉。これまでの激烈な反応の数々は…過去そのものだけでなく、その言葉の響きすら憎んでいるように…見える。
「海馬…!仮にオレを倒すことができても…その先にあるのは終わりなき憎しみの連鎖!!貴様は憎しみの闇から永遠に抜け出すことはできない!!」
「フン…!憎しみと怒りこそがオレにパワーを与えてきた!すべてを支配する力をな!」
「ならば、貴様の憎しみと怒りをすべて!オレにぶつけて来な!!
それでオレを倒せるならな!!」
「(海馬、オレは貴様を倒す!
バトル・シティ――闘いのロードを共に歩んだライバルとして――そして、
友として!!)」
262話。サブタイトル「友として!」。
…これが、闇様の、理由。ここまで、海馬に対して厳しい言葉をぶつけていた理由の全て。
自分の過去を取り戻すために、ここで負けるわけにはいかない…それはもちろんだけど、もうそれだけではなくなっている。闘いの中で、確かに変わっている。
例の光景で…海馬が自分の記憶に何らかの関係があるとわかったけれど…そのために倒すんじゃない。自分の過去の手がかりの一つにしようというんじゃない。
…あの後のやりとりの中で、闇様はきっと気づいた。
海馬が、あれほどまでに幻想だ、映像だと繰り返す理由。…古代エジプトからのルーツに不満があるわけじゃなく…つまり、その中身じゃなくて…
ただ、「過去」だから、考えたくない。
ただ、「過去」だから、そこで思考を全部ストップする。
まるでアレルギー反応。でも社長は頭が回るから、いちいちそれに理由をつけて説明して、もっともらしく見せてしまう。…だから、これはきっと本人は気づいていない。
「過去」という言葉が…もうそれだけで最大のトラウマとなっているんだ。
自分でその大きさに気づかないまま、また…憎んでる。
憎しみにかられてるから、全部ひっくるめて潰そうとしてる。
背後の弟の悲しい目にも、…目の前の「友」の悲しい目にも気づこうとしないまま、また…進もうとしてる。
だから、止めるのだ、ここで。
…友として!!
アルティメットドラゴンの攻撃!アルティメットバースト!!
遊戯はリバースカード「魔術の呪文書」で攻撃力を上げて対抗しようとするが…そこで海馬のトラップ発動。「魔法吸収」で、その上がるはずのポイントを奪い、さらにアルティメットの攻撃力が上がる…!
「ブラック・パラディン!そして貴様の友のカード――真紅眼!!まとめて砕け散るがいい!!」
攻撃力は5000。三体まで同時に攻撃することができるため…海馬はここで勝利を確信する。
しかし。
「そいつはどうかな…。」
「海馬…憎しみを束ねても、それは……脆い!!」
リバース発動。「融合解除」!
アルティメットは、三体の青眼へと分離してしまう…!そしてドラゴン族がフィールドに増えたことにより、ブラック・パラディンの攻撃力が上昇!
さらに…魔法カード「拡散する波動」を使い…ブラック・パラディンの攻撃対象は相手フィールド全体へと変わる…!
「海馬!!貴様の闇を斬り裂く!!」
ブラック・パラディンの攻撃で…三体の青眼は消滅。そして、海馬のLPはゼロに。
決着。遊戯の…勝利。
「海馬…憎しみの果てに、真の勝利はない…。」
263話の冒頭は、…もうここは必ず泣いてしまいます。
「(オレの…バトル・シティ…。
亡き義父によって刻みつけられた憎しみを抱え――復讐のモニュメント…その頂上に立ち…
遊戯… 貴様を倒すことが… オレの目的…
オレの…
決闘王の称号……。)」
呆然とする社長。
混乱する中、交錯するイメージ…。剛三郎…デュエル・タワー…そして、遊戯…。
でも特に、この最後のコマが……
消えていく、青眼… 同時に消えてしまった、決闘王への道…。
すべてを手に入れるはずだったのに…。

消えてしまった…。
自分の敗北がまだ信じられない社長。
そこに遊戯がやってきて、声をかける。自分達二人の間に、力の差はないんだと。
「貴様が負けたもの…それは、己の中に巣喰う、憎しみというモンスターだ。」
敵は自分の中にも存在し、それらを打ち負かした時にこそ、真の決闘者の道が開かれるんだと。そして、あの時の…真紅眼のカードのことにも触れる。
「友から預かった…魂のカード。友の力こそがオレに勝利をもたらしたんだ。」
静かにそう言う闇様だが、…社長ここでマジ切れ。
「友の力だとぉ…!くだらん!!オレにとってそんなもので得た勝利など価値はない!!オレにとって友など永遠に必要のないものだ!」
…さっきの儚さはどこへやら。すっかりいつもの社長です。
闇様は今、これ以上言ってもますます怒るだけ…という判断を下し、以降はモノローグ。…きっとこれが一番伝えたかった事なんだろうけど…。まあ、今は…ね。仕方ないよね…。
「(オレは貴様というライバルがいたからこそ、闘い続けることができた…。より高みを目指して…。
貴様にとってもそれは同じハズだ…、ならば…
ライバル… 友…!!
その境界がどこにある!)」
吠えるのは勝者の特権だと言って、アンティルールであるオベリスクのカードを投げ渡し、その場から去る社長。
その背中で、いつの間にかやってきていた遊戯と、仲間達のやりとりを聞く。
「城之内生きてたんだぁ!」byモクバ
「フン!死に損ないが…!」 …うわっひどっ!!
本気でとっとと去ろうとしていた社長の前に…イシズが現れた!
「遊戯が勝つにはあなたの力が必要なのです。」
ここの、いちいちこんなこと言わせるんじゃねーよ的な姉上様の表情が素敵(えー)。
もちろん聞く耳持たない社長ですが…そこはさすがのイシズ姉様。社長の扱いに慣れちゃってます!
「あなたは気づいているのでは…。瀬人…。あの石板に刻まれた碑文の意味が…。」
死者への、祈り…?
「その碑文は、亡きファラオに捧げられた…友への詩(ことば)…。
友情の証であるその石板を世に残したのは…
石板に描かれた神官――その者自身なのです。」
…………え?
え、え??
な、なんだってーーーーー!!
というところで17巻終わり。
…長かった…いや本当長かった…!!
ここまで読んでくださった皆様、本当に…本当にありがとうございます!!
行くぞーー!!18巻!!いえーーーーーい終わったーーーー!!
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