前巻の「アンの青春」読んでから1年と半分くらい経ってしまった。
原題は「Anne of the island(島のアン)」。島、とはもちろん世界で一番美しい島と呼ばれる「プリンス・エドワード島」のことです。グリーンゲイブルズ、アボンリー、プリンス・エドワード島とだんだん範囲が広がっていってるのが、アンの成長を示しています。
…いや、でも今巻は本当、「アンの愛情」って邦題は大正解だよな!って思います。アンが真実の愛情に目覚めるお話…!
なんかもう色々なポイントで「なんでだよアン!!!!!」ってなってギルバート派の私はもどかしいわギルがかわいそうだわで大変でしたが…いや、よかったよラスト…。ほっとしたよ…。
そしてまたアンが大好きになりました。
それではセリフピックアップ!
第一章「変化のきざし」より
アンがもう来週レドモンド大学に通うためにアボンリーを離れてしまう、とさみしがるダイアナに対しての、アンのセリフ。
「でも、あたしたち、まだこうして一緒にいるんだから、来週のことを考えて今週の楽しさを台無しにしてはいけないわ。」
アン……!!大好き!!(まだ9ページでいきなりこんな状態)
第一章ラストの描写も大好き。アンが夜、一人で散歩に出かけるとこ。
アンは恋に悩む若者たちのことも、口さがない近所の連中の辛辣な言葉も、乙女ごころの煩悶もすべて打忘れた。彼女の空想は宵の明星を水先案内として、今は見失われた幸福の島アトランテスやエルシアムの里、遥かなる『淋しい妖精の国』の輝く岸辺を洗う伝説の中の海を渡り、『心のあこがれる国』へと漕いで行った。夢の中のアンは現実よりもゆたかであった。なぜならば目に見えるものは過ぎ去るが、見えないものは永遠に不滅だからである。
見えないものは永遠に不滅……!!
第六章「公園で」より
皆で公園で散歩しているシーン。松が大好きでここで仲良く話すと幸せな気持ちになる、大きな悲しみが降りかかってきたらなぐさめてもらう、というアンに、ギルはそんなことが起こらないよう願うよ、と言う。
彼には自分のかたわらを歩いている、生き生きとして喜びにみちた少女を悲しみと結びつけては考えられなかった。最高の高さまで飛翔できる者はまた、どんぞこの深さにまで沈めること、この上なくはげしい歓喜を味わう者はまた、もっとも鋭く苦痛を感じるものであることをギルバートは知らなかった。
ここはドキリとしたねえ…。ギルがそういう気持ちを想像できない鈍いやつ、とかじゃなく、アンが特に差が激しい(けど、苦しんでいるところはなるべく他人には見せていない)ってことなんやろね…。
第十一章「人生の移り変わり」より
ダイアナと「アトッサ伯母さん」の家に行って、散々ボロクソに言われたその帰り道のアンのセリフ。
「でも生涯アトッサなんていう名前で暮らしてきたことも考えてみなくちゃね!こんな名じゃ、たいていの人が意地悪になるんじゃない?伯母さんは自分の名がコーデリア(温情)だと想像するよう努力すべきだったのよ。そうすればずい分たすかったのにね。あたしはアンという名前が好きでなかった時にあの名のおかげでたしかにたすかったわよ。」
全世界のアトッサさんごめんなさい(前巻の「ケレンハパッチ」に続き…。あれは言ったのダイアナだったけど…)。
結構ひどいこと言ってますが、アンはもう、こんなん言ってもしゃーない!ってくらいアトッサ伯母さんにひどい言葉を浴びせられ続けたところなんです!許してやってください!
ていうかそこじゃなくてですね。いいセリフでピックアップしたのは!「コーデリア(温情)」です!!そういう意味があったから、あの名前にこだわってたんだね、アン…!!
第十二章「『アビリルのあがない』」より
「なんの夢をみているの、アン。」
この章の!冒頭が!!これです!!「妖精の窪地」のあたりを歩きながら自作の物語の構想を練りつつ瞑想(と書いてある)していたアンに、ダイアナがかけた言葉……!!
……私、何回同じこと書いてるんだって感じなんですが、また書きます。
うちもダイアナみたいな「親友」でありたい……!!
第十五章「夢のゆくえ」より
あと一週間で夏休みが終わり、レドモンドへ帰る。この夏の様々な経験を振り返ったアンの言葉。
「人生の学問は必ずしも大学でまなぶものとはかぎらないわ。人生はいたるところで教えてくれる。」
アンの学校の友人たちも皆が成長していき、色んな変化があるわけですが(……ジョーシー・パイだけはあんまり変わってる感じしないな、そういや。あいかわらず態度も発言も扱われ方もひどくて名前出てくるたびに吹くw)、一番ショッキングだったのが……この、前の章で、あの「ルビー・ギリス」が病死してしまうことでしたね。ちょっと、全部拾ってるとこの記事めっちゃ長くなっちゃうんでセリフなどは泣く泣く外したんですけど。
上のアンのセリフは、明るく美しいかつての学友(アニメでもあからさまに美人っぽく描かれていたあの子です)が死の恐怖におびえる様子を目の当たりにして、彼女のお葬式に出た上で出てくるセリフなんだと思うと……深い……。
第二十二章「アン、グリン・ゲイブルズへ帰る」より
明日帰ってくるアンのことを考えているマリラのシーン。
マリラは来(こ)しかたを振り返っていた。窮屈ではあったが、不幸でなかった子供時代。少女時代のひたがくしにした夢と、挫かれた希望、その後につづく長い、灰色の、活気のない中年の生活のせまい単調な年月。それからアンの到来――いきいきとした、想像力のゆたかな、愛情にみちた心と空想の世界を持つ、衝動的な子供のアンが色彩と暖かさと輝きをたずさえ来(きた)ったので、荒野のごとき人生がばらのように開花したのであった。マリラは六十年の生涯の中、自分が生きていたといえるのはアンの出現につづくわずか九年にすぎない気がした。そのアンが明日の晩かえってくるのだ。
ここ、読むたびに泣いちゃう。こんな……こんな風に思われる、ここまで人の人生に鮮やかな影響を残すアンがすごいし、こんな風に考えるマリラも愛しい。
この後なんと台所の扉が開いてアンが帰ってきます。「驚きのあまり、マリラは生まれてはじめて自制を失い」我が娘を抱きしめた……って描写にも続いて泣いちゃう。生まれてはじめて自制を失う、だよ…。マリラだね…。
第三十四章「ジョン・ダグラスついに語る」より
頼まれて少しの間離れた場所の学校の先生をすることになったアン。そこでの下宿先のジャネットととても仲良くなります。彼女とこの章のタイトルのジョン・ダグラスの関係のお話が何章か続くんですけど……まとめられないのでパスしますね(おい)。
とにかく色々あった!!その最後の、ジャネットさんのセリフがとてもいいんです…。
長年の苦心をものともしない様子のジャネットさんに、アンはちょっと不機嫌な感じで寛大だ、って言うんですよね(読めばわかるけどとんでもない扱いだったんですよ!)。
「あなたもわたしくらいの年配になれば、いろいろ物の感じ方がちがってきますよ。」
「それがわたしたちが年をとるにつれて学んで行くものの一つですよ――人を赦すということがね。はたちの時より四十歳の時のほうがらくにそうできるものですよ。」
第四十一章「真実の愛」より
最終章です。えらいかっ飛ばしてここまで来ました。
色々ありました(またそれかい)。ギルがプロポーズしてきたのに、友人以上のものにはなれないってアンが振ったり。横から突然運命の人っぽいのが出てきたり!周りもアン自身もその人のプロポーズ受け入れるのかと思ってたのに、いざとなると結婚はできないって言ったり……あれ、こうやって書くとアンが一方的に最低みたいになるな…。違うんです。説明できないってあのアンが言うくらいなんです。あとダイアナが子供を産んだり……
そしてある夜、ギルが命の危機がある病であることを知り、絶望の中で、自分が愛していたのはギルだと気づくわけですね。ギルは幸い峠を越え、回復します。そしてアンに会いに来るようになる。アンは真実の愛に気づいたので、以前とは逆にギルと友人以上になりたいって感じているのですが、昔自分は振っているし、ギルにはお似合いと噂される相手がいるし、確認とかできない。そういう状態でお散歩に……なんかお散歩ばっかりしてるみたいですが、私が好きなのは、アンが素晴らしい自然の中で歩きながら紡ぐロマンチックなセリフであることが多いので、仕方ないですね!
「君になにか実現しなかった夢がありますか、アン?」
「もちろんよ。誰でもそうだわ。自分の夢を全部実現するなんて、あたしたちはできないことだわ。夢みることが残っていなかったら、死んだも同然ですもの。」
アンはいつもの調子で話をそらそうとするのですが、ギルは負けません(ここらへん前後、地の文を略してる部分があります)。
「僕には一つの夢がある。」
「何度か実現しそうもなく思われたが、僕はなおもその夢を追いつづけている。僕はある家庭を夢みているのです。炉には火が燃え、猫や犬がおり、友達の足音が聞こえ――そして、君のいる。」
アンは口をきこうとしたが言葉にならなかった。幸福が波のように押し寄せてきた。おびえるほどだった。
「僕は二年前にあることをたずねましたね、アン。それをきょう、再びたずねたら、君は別の返事をしてくれますか?」
それでもなお、アンはものが言えなかった。しかし、数えきれない過去の世代が経てきた、愛の陶酔に輝く目をあげて、アンは一瞬、ギルバートの目を見詰めた。彼はそれ以外の返事は望まなかった。
ギル!!!!!!!!!!(落ち着け)
ギル、よかったね……!!
続く会話の中で、アンがギルと婚約すると噂になってた女性のことを言う。彼女と仲良くしていたのは事情があった。実際素晴らしい女性だけど、彼女には郷里に婚約者がいた。二人のことが大学で噂になってるのも知ってたけどどうでもよかった。なぜなら…
「君にとうてい僕を愛することはできないと言われてからは、もう、どうとでもなれという気持ちだったのですよ、アン。僕には君のほかはだれも――絶対にだれもあり得なかったのだ。僕は小学校で君が石盤を僕の頭に叩きつけて割ったあの日以来、ずっと君を愛してきたのですよ。」
ギル!!!!!!!!!!!!!!!!(……)
かわいすぎかっっ!!
最初の「赤毛のアン」のラストの、数年越しの和解にも「ギルって気が長い、できた人だなあ」と感心してたけど……今思えばそんなの当たり前だったんだね……!!ギル……よかったなあよかったなあ……!!
まあ実際、ギルは諦めようとはしていたらしいのだけど……そこは実はフィルが手紙を送っていて、もっかい行ってみろって促してた、ってことがここでわかるのも素敵。……あれ?フィルの名前出すの初めてか。この巻から登場するキャラクターで一番強烈な、アンの友人です。いくつかセリフに付箋は貼ってたんだけど、結構彼女のキャラクターから解説しないといけないような迷セリフが多くて、カットしてきたんでした(これでもめっちゃカットしてるんですよ!!)(……)。
ラスト。プロポーズはしたものの、アンを待たせてしまうことに表情を曇らすギル。三年経たなければ医科を終えないし、その時になってもダイヤモンドも大理石の広間にも手が届かないんだ、って…。
それにアンは笑って答える。
「あたしはダイヤモンドも大理石の広間もほしくないわ。あたしがほしいのは『あなた』だけ。この点にかけては、あたしもフィルにおとらず厚かましいのよ。ダイヤモンド・リングや大理石の広間も結構にはちがいないけれど、そんなもののないほうが『空想の余地』がよけいあるわ。それに待つことなんかなんでもないのよ。あたしたち、お互いのために待ち、働き――そして夢みながら、楽しくすごせるわ。ああ、夢も今ではとても美しくなるわ。」
これだよ……!アンは成長して大人になって、真実の愛を見つけても、やっぱり私の大好きな「アン」なんです。マリラやギル、そしてダイアナの想いもわかる気がする。こんな素敵な人、大事に大事にしたいよね……!!
次はシリーズ4、「アンの友達」なんだけど、これはスピンオフ的なものっぽいな…。
アンのセリフが聞きたいから、次は「アンの幸福」を借りてくるかな。
アンの愛情―赤毛のアン・シリーズ〈3〉 (新潮文庫) | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
原題は「Anne of the island(島のアン)」。島、とはもちろん世界で一番美しい島と呼ばれる「プリンス・エドワード島」のことです。グリーンゲイブルズ、アボンリー、プリンス・エドワード島とだんだん範囲が広がっていってるのが、アンの成長を示しています。
…いや、でも今巻は本当、「アンの愛情」って邦題は大正解だよな!って思います。アンが真実の愛情に目覚めるお話…!
なんかもう色々なポイントで「なんでだよアン!!!!!」ってなってギルバート派の私はもどかしいわギルがかわいそうだわで大変でしたが…いや、よかったよラスト…。ほっとしたよ…。
そしてまたアンが大好きになりました。
それではセリフピックアップ!
第一章「変化のきざし」より
アンがもう来週レドモンド大学に通うためにアボンリーを離れてしまう、とさみしがるダイアナに対しての、アンのセリフ。
「でも、あたしたち、まだこうして一緒にいるんだから、来週のことを考えて今週の楽しさを台無しにしてはいけないわ。」
アン……!!大好き!!(まだ9ページでいきなりこんな状態)
第一章ラストの描写も大好き。アンが夜、一人で散歩に出かけるとこ。
アンは恋に悩む若者たちのことも、口さがない近所の連中の辛辣な言葉も、乙女ごころの煩悶もすべて打忘れた。彼女の空想は宵の明星を水先案内として、今は見失われた幸福の島アトランテスやエルシアムの里、遥かなる『淋しい妖精の国』の輝く岸辺を洗う伝説の中の海を渡り、『心のあこがれる国』へと漕いで行った。夢の中のアンは現実よりもゆたかであった。なぜならば目に見えるものは過ぎ去るが、見えないものは永遠に不滅だからである。
見えないものは永遠に不滅……!!
第六章「公園で」より
皆で公園で散歩しているシーン。松が大好きでここで仲良く話すと幸せな気持ちになる、大きな悲しみが降りかかってきたらなぐさめてもらう、というアンに、ギルはそんなことが起こらないよう願うよ、と言う。
彼には自分のかたわらを歩いている、生き生きとして喜びにみちた少女を悲しみと結びつけては考えられなかった。最高の高さまで飛翔できる者はまた、どんぞこの深さにまで沈めること、この上なくはげしい歓喜を味わう者はまた、もっとも鋭く苦痛を感じるものであることをギルバートは知らなかった。
ここはドキリとしたねえ…。ギルがそういう気持ちを想像できない鈍いやつ、とかじゃなく、アンが特に差が激しい(けど、苦しんでいるところはなるべく他人には見せていない)ってことなんやろね…。
第十一章「人生の移り変わり」より
ダイアナと「アトッサ伯母さん」の家に行って、散々ボロクソに言われたその帰り道のアンのセリフ。
「でも生涯アトッサなんていう名前で暮らしてきたことも考えてみなくちゃね!こんな名じゃ、たいていの人が意地悪になるんじゃない?伯母さんは自分の名がコーデリア(温情)だと想像するよう努力すべきだったのよ。そうすればずい分たすかったのにね。あたしはアンという名前が好きでなかった時にあの名のおかげでたしかにたすかったわよ。」
全世界のアトッサさんごめんなさい(前巻の「ケレンハパッチ」に続き…。あれは言ったのダイアナだったけど…)。
結構ひどいこと言ってますが、アンはもう、こんなん言ってもしゃーない!ってくらいアトッサ伯母さんにひどい言葉を浴びせられ続けたところなんです!許してやってください!
ていうかそこじゃなくてですね。いいセリフでピックアップしたのは!「コーデリア(温情)」です!!そういう意味があったから、あの名前にこだわってたんだね、アン…!!
第十二章「『アビリルのあがない』」より
「なんの夢をみているの、アン。」
この章の!冒頭が!!これです!!「妖精の窪地」のあたりを歩きながら自作の物語の構想を練りつつ瞑想(と書いてある)していたアンに、ダイアナがかけた言葉……!!
……私、何回同じこと書いてるんだって感じなんですが、また書きます。
うちもダイアナみたいな「親友」でありたい……!!
第十五章「夢のゆくえ」より
あと一週間で夏休みが終わり、レドモンドへ帰る。この夏の様々な経験を振り返ったアンの言葉。
「人生の学問は必ずしも大学でまなぶものとはかぎらないわ。人生はいたるところで教えてくれる。」
アンの学校の友人たちも皆が成長していき、色んな変化があるわけですが(……ジョーシー・パイだけはあんまり変わってる感じしないな、そういや。あいかわらず態度も発言も扱われ方もひどくて名前出てくるたびに吹くw)、一番ショッキングだったのが……この、前の章で、あの「ルビー・ギリス」が病死してしまうことでしたね。ちょっと、全部拾ってるとこの記事めっちゃ長くなっちゃうんでセリフなどは泣く泣く外したんですけど。
上のアンのセリフは、明るく美しいかつての学友(アニメでもあからさまに美人っぽく描かれていたあの子です)が死の恐怖におびえる様子を目の当たりにして、彼女のお葬式に出た上で出てくるセリフなんだと思うと……深い……。
第二十二章「アン、グリン・ゲイブルズへ帰る」より
明日帰ってくるアンのことを考えているマリラのシーン。
マリラは来(こ)しかたを振り返っていた。窮屈ではあったが、不幸でなかった子供時代。少女時代のひたがくしにした夢と、挫かれた希望、その後につづく長い、灰色の、活気のない中年の生活のせまい単調な年月。それからアンの到来――いきいきとした、想像力のゆたかな、愛情にみちた心と空想の世界を持つ、衝動的な子供のアンが色彩と暖かさと輝きをたずさえ来(きた)ったので、荒野のごとき人生がばらのように開花したのであった。マリラは六十年の生涯の中、自分が生きていたといえるのはアンの出現につづくわずか九年にすぎない気がした。そのアンが明日の晩かえってくるのだ。
ここ、読むたびに泣いちゃう。こんな……こんな風に思われる、ここまで人の人生に鮮やかな影響を残すアンがすごいし、こんな風に考えるマリラも愛しい。
この後なんと台所の扉が開いてアンが帰ってきます。「驚きのあまり、マリラは生まれてはじめて自制を失い」我が娘を抱きしめた……って描写にも続いて泣いちゃう。生まれてはじめて自制を失う、だよ…。マリラだね…。
第三十四章「ジョン・ダグラスついに語る」より
頼まれて少しの間離れた場所の学校の先生をすることになったアン。そこでの下宿先のジャネットととても仲良くなります。彼女とこの章のタイトルのジョン・ダグラスの関係のお話が何章か続くんですけど……まとめられないのでパスしますね(おい)。
とにかく色々あった!!その最後の、ジャネットさんのセリフがとてもいいんです…。
長年の苦心をものともしない様子のジャネットさんに、アンはちょっと不機嫌な感じで寛大だ、って言うんですよね(読めばわかるけどとんでもない扱いだったんですよ!)。
「あなたもわたしくらいの年配になれば、いろいろ物の感じ方がちがってきますよ。」
「それがわたしたちが年をとるにつれて学んで行くものの一つですよ――人を赦すということがね。はたちの時より四十歳の時のほうがらくにそうできるものですよ。」
第四十一章「真実の愛」より
最終章です。えらいかっ飛ばしてここまで来ました。
色々ありました(またそれかい)。ギルがプロポーズしてきたのに、友人以上のものにはなれないってアンが振ったり。横から突然運命の人っぽいのが出てきたり!周りもアン自身もその人のプロポーズ受け入れるのかと思ってたのに、いざとなると結婚はできないって言ったり……あれ、こうやって書くとアンが一方的に最低みたいになるな…。違うんです。説明できないってあのアンが言うくらいなんです。あとダイアナが子供を産んだり……
そしてある夜、ギルが命の危機がある病であることを知り、絶望の中で、自分が愛していたのはギルだと気づくわけですね。ギルは幸い峠を越え、回復します。そしてアンに会いに来るようになる。アンは真実の愛に気づいたので、以前とは逆にギルと友人以上になりたいって感じているのですが、昔自分は振っているし、ギルにはお似合いと噂される相手がいるし、確認とかできない。そういう状態でお散歩に……なんかお散歩ばっかりしてるみたいですが、私が好きなのは、アンが素晴らしい自然の中で歩きながら紡ぐロマンチックなセリフであることが多いので、仕方ないですね!
「君になにか実現しなかった夢がありますか、アン?」
「もちろんよ。誰でもそうだわ。自分の夢を全部実現するなんて、あたしたちはできないことだわ。夢みることが残っていなかったら、死んだも同然ですもの。」
アンはいつもの調子で話をそらそうとするのですが、ギルは負けません(ここらへん前後、地の文を略してる部分があります)。
「僕には一つの夢がある。」
「何度か実現しそうもなく思われたが、僕はなおもその夢を追いつづけている。僕はある家庭を夢みているのです。炉には火が燃え、猫や犬がおり、友達の足音が聞こえ――そして、君のいる。」
アンは口をきこうとしたが言葉にならなかった。幸福が波のように押し寄せてきた。おびえるほどだった。
「僕は二年前にあることをたずねましたね、アン。それをきょう、再びたずねたら、君は別の返事をしてくれますか?」
それでもなお、アンはものが言えなかった。しかし、数えきれない過去の世代が経てきた、愛の陶酔に輝く目をあげて、アンは一瞬、ギルバートの目を見詰めた。彼はそれ以外の返事は望まなかった。
ギル!!!!!!!!!!(落ち着け)
ギル、よかったね……!!
続く会話の中で、アンがギルと婚約すると噂になってた女性のことを言う。彼女と仲良くしていたのは事情があった。実際素晴らしい女性だけど、彼女には郷里に婚約者がいた。二人のことが大学で噂になってるのも知ってたけどどうでもよかった。なぜなら…
「君にとうてい僕を愛することはできないと言われてからは、もう、どうとでもなれという気持ちだったのですよ、アン。僕には君のほかはだれも――絶対にだれもあり得なかったのだ。僕は小学校で君が石盤を僕の頭に叩きつけて割ったあの日以来、ずっと君を愛してきたのですよ。」
ギル!!!!!!!!!!!!!!!!(……)
かわいすぎかっっ!!
最初の「赤毛のアン」のラストの、数年越しの和解にも「ギルって気が長い、できた人だなあ」と感心してたけど……今思えばそんなの当たり前だったんだね……!!ギル……よかったなあよかったなあ……!!
まあ実際、ギルは諦めようとはしていたらしいのだけど……そこは実はフィルが手紙を送っていて、もっかい行ってみろって促してた、ってことがここでわかるのも素敵。……あれ?フィルの名前出すの初めてか。この巻から登場するキャラクターで一番強烈な、アンの友人です。いくつかセリフに付箋は貼ってたんだけど、結構彼女のキャラクターから解説しないといけないような迷セリフが多くて、カットしてきたんでした(これでもめっちゃカットしてるんですよ!!)(……)。
ラスト。プロポーズはしたものの、アンを待たせてしまうことに表情を曇らすギル。三年経たなければ医科を終えないし、その時になってもダイヤモンドも大理石の広間にも手が届かないんだ、って…。
それにアンは笑って答える。
「あたしはダイヤモンドも大理石の広間もほしくないわ。あたしがほしいのは『あなた』だけ。この点にかけては、あたしもフィルにおとらず厚かましいのよ。ダイヤモンド・リングや大理石の広間も結構にはちがいないけれど、そんなもののないほうが『空想の余地』がよけいあるわ。それに待つことなんかなんでもないのよ。あたしたち、お互いのために待ち、働き――そして夢みながら、楽しくすごせるわ。ああ、夢も今ではとても美しくなるわ。」
これだよ……!アンは成長して大人になって、真実の愛を見つけても、やっぱり私の大好きな「アン」なんです。マリラやギル、そしてダイアナの想いもわかる気がする。こんな素敵な人、大事に大事にしたいよね……!!
次はシリーズ4、「アンの友達」なんだけど、これはスピンオフ的なものっぽいな…。
アンのセリフが聞きたいから、次は「アンの幸福」を借りてくるかな。