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遊戯王文庫版感想 22巻(結)

2009-11-23 14:11:38 | 遊戯王☆感想文
最終話のサブタイトル…震えました。

「遊戯 王」

高橋先生は一体いつ、このサブタイトルを決めたんだろう。
タイトルを決めたときにもう頭にあったとしたら…どうしよう。すごすぎて泣いてしまう。
でも3巻のあとがきを読むと、DEATH-T編の頃にすでに最終回のイメージはできていたらしいから…もしかすると…。
「どのような形であれ遊戯は、『もう一人の自分』と向き合い、真の『自立』を勝ち取らないといけないと考えていました。」

「自立」……。
…ラストのエピソードである「闘いの儀」はもう、本当にすばらしくて…言葉が出てこない。最終話なんてすみからすみまで全部すごい。表遊戯の封印していたカード、「死者蘇生」…あれに、「意味」をもたせるなんて。
イシズさんのセリフで泣いた。
「(これは遊戯の…もうひとりの遊戯に対するメッセージ…。死者の魂は現世にとどまってはならない…。
冥界へと旅立つ、王の魂への引導…。別れの決意を込めた遊戯の切り札……!)」


決着がついた後の二人の会話もすばらしくて…、
いよいよ帰ってしまうアテムを、最後の最後で涙を流しながら思わず止めてしまう仲間達のセリフも…最後の城之内の言葉も……
さっきからすばらしいしか言ってないけど、だって、すばらしいとしか言えないよ…。


「遊戯王」という物語のテーマは「友情」……
見えるけど見えないそれを、信じることの大事さ…。そして仲間と力を合わせる「結束」の重要さ…。
そしてもう一つのテーマが、「自立」。
友情は馴れ合いや頼り合いではなく、それぞれが真の自立を果たした上でまた築かれるもの。闘いの儀において、遊戯はもう一人の自分…アテムから、自立を果たす。アテムもまた、武藤遊戯から自立し、あるべき場所へと還る。

「これは特別な『王』の物語ではない…
誰にも物語はあり――
それは光の中に完結する物語だ」


千年パズルを完成させ、友情を手に入れ、真の自立さえも勝ち取った。
それが武藤遊戯の物語。

だけど、そう…誰にも物語はあるのだ。



…ね?そうですよね、社長?

ここにも。友情を手に入れ、変化して…真の自立を勝ち取った者が一人。
かつて彼は、憎しみという闇に捕われていた。憎しみと怒りを糧にして、内なる闇に「依存」して突き進もうとしていた。
闇遊戯と出会い、バトル・シティでの闘いを経て…闇から立ち上がり、夢へ向かって歩き出した。出会いが彼を救ったのだ。

救済は、魂に刻まれた必然だったのかもしれない。
三千年前、神官セトはキサラと出会い、闇から救われた。
これは「海馬瀬人」にとっては、何の関連もない過去の歴史だろうけれど…イシズさんが言っていた。人間の魂と意志は永遠のものなんだって。
セトの意志、キサラの意志、そして、友であるアテムの意志。
海馬瀬人の知らぬところで、その想いは確かに存在していて…全ては「武藤遊戯」に託される。
海馬瀬人の知らぬところで、彼らの想いもまた、果たされる…。


バトル・シティ終了後に、自らの夢である「世界海馬ランド計画」のため、アメリカへと渡った社長。
その彼が、ここに…エジプトにいる。広大な砂漠の中、皆とは離れた場所に…弟と立っている。
何も語らない。
見送るためにここに来たはずなのに、「彼」にさえ一言もなく…。

アメリカへ発つ時の、社長の最後のモノローグ…
「(遊戯!オレ達の闘いに終わりはない!)」
二人は永遠の好敵手で、永遠の「友」。
魂が還ってしまったとしても、…その想いは永遠だ。
もはや言葉は意味を持たないのだ。

それでも、…社長がここにやって来たという事実が、私には嬉しくてたまらない。
最後まであの石板に記された過去を信じず、オカルトと言って否定して、いよいよその秘密が明らかになる時も、自分には無関係とばかりにそこにはいなかった社長。
それなのに、本当に最後の時には…ここまでやってきた。遥か、エジプトの地まで。

…これが彼の想いの全て、なのだろう。


アテムの物語は今、光の中に完結した。
しかし武藤遊戯の物語はまだ始まったばかり。
そして海馬瀬人の物語もまた…。

光の中に完結する、その時まで…続いていく。ずっと…。






…文庫版を一気買いしてから、約一年。
ようやく感想を書ききることができました。
何度もくじけそうになったけど、最後まで続けられて本当によかった。

ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
一年もかかってすみません…。
めちゃ自分のために書いてる感想なのに、楽しみにしていただいている方がいらっしゃるという事実は、大きな勇気になりました。
これで興味が沸いたという方がもしいらっしゃるなら、…是非文庫版をゲットしてみてください!損はしないですよマジで!(最後まで宣伝…)

それでは最後に。
「社長……!大好きだ……!!」

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