「パティシエになりたーい!」ブログ。

元パティシエ・オペラのお菓子の話やらオタクっぽい話やらのごちゃ混ぜブログ。

遊戯王文庫版感想 22巻(結)

2009-11-23 14:11:38 | 遊戯王☆感想文
最終話のサブタイトル…震えました。

「遊戯 王」

高橋先生は一体いつ、このサブタイトルを決めたんだろう。
タイトルを決めたときにもう頭にあったとしたら…どうしよう。すごすぎて泣いてしまう。
でも3巻のあとがきを読むと、DEATH-T編の頃にすでに最終回のイメージはできていたらしいから…もしかすると…。
「どのような形であれ遊戯は、『もう一人の自分』と向き合い、真の『自立』を勝ち取らないといけないと考えていました。」

「自立」……。
…ラストのエピソードである「闘いの儀」はもう、本当にすばらしくて…言葉が出てこない。最終話なんてすみからすみまで全部すごい。表遊戯の封印していたカード、「死者蘇生」…あれに、「意味」をもたせるなんて。
イシズさんのセリフで泣いた。
「(これは遊戯の…もうひとりの遊戯に対するメッセージ…。死者の魂は現世にとどまってはならない…。
冥界へと旅立つ、王の魂への引導…。別れの決意を込めた遊戯の切り札……!)」


決着がついた後の二人の会話もすばらしくて…、
いよいよ帰ってしまうアテムを、最後の最後で涙を流しながら思わず止めてしまう仲間達のセリフも…最後の城之内の言葉も……
さっきからすばらしいしか言ってないけど、だって、すばらしいとしか言えないよ…。


「遊戯王」という物語のテーマは「友情」……
見えるけど見えないそれを、信じることの大事さ…。そして仲間と力を合わせる「結束」の重要さ…。
そしてもう一つのテーマが、「自立」。
友情は馴れ合いや頼り合いではなく、それぞれが真の自立を果たした上でまた築かれるもの。闘いの儀において、遊戯はもう一人の自分…アテムから、自立を果たす。アテムもまた、武藤遊戯から自立し、あるべき場所へと還る。

「これは特別な『王』の物語ではない…
誰にも物語はあり――
それは光の中に完結する物語だ」


千年パズルを完成させ、友情を手に入れ、真の自立さえも勝ち取った。
それが武藤遊戯の物語。

だけど、そう…誰にも物語はあるのだ。



…ね?そうですよね、社長?

ここにも。友情を手に入れ、変化して…真の自立を勝ち取った者が一人。
かつて彼は、憎しみという闇に捕われていた。憎しみと怒りを糧にして、内なる闇に「依存」して突き進もうとしていた。
闇遊戯と出会い、バトル・シティでの闘いを経て…闇から立ち上がり、夢へ向かって歩き出した。出会いが彼を救ったのだ。

救済は、魂に刻まれた必然だったのかもしれない。
三千年前、神官セトはキサラと出会い、闇から救われた。
これは「海馬瀬人」にとっては、何の関連もない過去の歴史だろうけれど…イシズさんが言っていた。人間の魂と意志は永遠のものなんだって。
セトの意志、キサラの意志、そして、友であるアテムの意志。
海馬瀬人の知らぬところで、その想いは確かに存在していて…全ては「武藤遊戯」に託される。
海馬瀬人の知らぬところで、彼らの想いもまた、果たされる…。


バトル・シティ終了後に、自らの夢である「世界海馬ランド計画」のため、アメリカへと渡った社長。
その彼が、ここに…エジプトにいる。広大な砂漠の中、皆とは離れた場所に…弟と立っている。
何も語らない。
見送るためにここに来たはずなのに、「彼」にさえ一言もなく…。

アメリカへ発つ時の、社長の最後のモノローグ…
「(遊戯!オレ達の闘いに終わりはない!)」
二人は永遠の好敵手で、永遠の「友」。
魂が還ってしまったとしても、…その想いは永遠だ。
もはや言葉は意味を持たないのだ。

それでも、…社長がここにやって来たという事実が、私には嬉しくてたまらない。
最後まであの石板に記された過去を信じず、オカルトと言って否定して、いよいよその秘密が明らかになる時も、自分には無関係とばかりにそこにはいなかった社長。
それなのに、本当に最後の時には…ここまでやってきた。遥か、エジプトの地まで。

…これが彼の想いの全て、なのだろう。


アテムの物語は今、光の中に完結した。
しかし武藤遊戯の物語はまだ始まったばかり。
そして海馬瀬人の物語もまた…。

光の中に完結する、その時まで…続いていく。ずっと…。






…文庫版を一気買いしてから、約一年。
ようやく感想を書ききることができました。
何度もくじけそうになったけど、最後まで続けられて本当によかった。

ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございます。
一年もかかってすみません…。
めちゃ自分のために書いてる感想なのに、楽しみにしていただいている方がいらっしゃるという事実は、大きな勇気になりました。
これで興味が沸いたという方がもしいらっしゃるなら、…是非文庫版をゲットしてみてください!損はしないですよマジで!(最後まで宣伝…)

それでは最後に。
「社長……!大好きだ……!!」

遊戯王文庫版感想 22巻(転)

2009-11-22 02:23:41 | 遊戯王☆感想文
「屍は横たわる 器は砂となり塵となり――
黄金さえも剣さえも 時の鞘に身を包む――

骸に王の名は無し

時は魂の戦場――
我は叫ぶ
闘いの詩を 友の詩を

遥か魂の交差する場所に 我を導け」



闇を打ち破り、…セト様が次なるファラオとして即位した「記憶の世界」。
アテム本人も言っていますが、今回の展開は本来の歴史とは違うものです。現代のバクラと闇様の意志と、表遊戯達の介入によってその「過程」と「結果」は大きく変化しています。


それでは、本来の歴史とは、一体どういうものだったのか。

わかっているのは
・ゾークは封印された。
・同時にファラオの魂も封印され、千年パズルは砕かれた。
・アテムの名前も封印された。

そして一番の(←私的に)ポイント。
・セト様があの石板を作って残している。

石板に記されているのは、亡きファラオに捧げられた「友への詩」。
18巻冒頭で示されるその内容が……上記のものです。

あの石板を残したということは、本来の歴史でもセト様は次のファラオに即位した…ということだと思われる。
ファラオのことを「友」としてるのは、…今回あった、あの最後あたりの会話も実際交わされたからではないだろうか。ファラオ本人から、次のファラオになって欲しいと…自分に代わって、自分の意志を継いで、この国の平和を取り戻して欲しいと言われ…そしてその本人は、自分の身を犠牲にゾークを封印した。
封印が簡単に解かれることのないようにか、ファラオの真の名前は隠されて…。
それでも闘いの記憶は消えない。
友の熱い想いは永遠に消さない。
さまよえるファラオの魂と、いつか再び…必ず出会いたいという願いを込めて、セト様はあの石板を残した……。


社長と闇様がBC準決勝で見たビジョン…。ファラオと闘うセト様の姿…
似ているようだけど、あれも、今回の展開とは少し違う。
この時のビジョンに他の人(アクナディンとかゾークとか)が介入できるわけがないので、…あれは「本来の歴史」なのではないだろうか。それぞれの千年アイテムに封印された記憶からの映像だから、個人の主観で細部は変わるかもしれないけど…。
そしてこのビジョンの中のセト様のこのセリフ。
「もう一度言う…。貴様に手を貸すつもりも――闇(やつら)に服従するつもりもないとな…。」
一度言ったらしい。
…じゃ、なくて!!
これって!これって!!
…「そうだったらいいな」ぐらいに思ってた私の勝手な自説を、進めてみようと思ったきっかけはこのセリフです!!

ずばり、
「本来の歴史は、高橋先生が20巻のあとがきで語っていた『やむを得ずカットしたエピソード』だったのではないか」
それ、自分が読んでみたいだけじゃん!…と、私も思ってました。でもでもでも!あとがきによると、「王の記憶編」の壮大なエピソードを短くしたのは体調を崩されてからで…体調を崩されたのはクル・エルナ村での闘いのあたりの時の話で…、
じゃあ、BC編を描いてらしたころは、壮大なエピソードのままだった…はず!!
よし、行けるッ…!(どこ行くねん…)

件のあとがきより。
「千年眼の邪念によって、欲望と憎悪に支配されてしまったアクナディンが、白き龍を抽出するための拷問にかけるべくキサラを拉致するのですが、神官セトがファラオの忠誠に背き、キサラ救出に向かうのです。ここからアクナディンと神官セトの対立が激しくなり(~中略~)闇の大神官率いる死霊軍、ファラオと神官団、白き龍(キサラ)の復讐を果たそうとする神官セトの三つ巴の戦争に発展していく構想だったのですが…」

これを踏まえて、もう一度準決勝ビジョンのシーンを見てみる。
記憶戦争では…アクナディンがセト様の意識を乗っ取っていて、ファラオを抹殺するべく挑んだ闘いだったけど、…これは?
…闇には従わないって言ってるくらいだから、アクナディンに乗っ取られてはいないと思われる。ファラオが「明らかに正気を失っている目」と表現した目に似てる気もするがそもそもセト様はこういう顔…いえなんでもありません。

しかし、背後の石板には「白き龍」がいる。
抽出には「千年錫杖」が必要なはず。でもセト様が自らキサラから抽出したとは…とても思えない…。一度は乗っ取られたのか?
いや、今回のような経緯で、アクナディンによってキサラを殺されたところまでは同じで…もしかしたら、抽出は自分でやったのかも…。「キサラの復讐を果たすため」という高橋先生の言葉とも合ってくるし。アクナディンが今回ああいう行動(投身自殺→セト様の体を乗っ取り青眼抽出)に出たきっかけは「ゾークがやられてしまったのを目の当たりにしたから」なんだし…。

そうか、それなら……もう一つひっかかってたことも解決する!
…イシズ戦で社長が見たビジョン。「胸を刺す悲しみ」のアレ…
あれも、似てるようで今回の記憶戦争時と違う点があるんですよね!見たらすぐわかるけど。
「ビジョンでは、キサラを抱くセト様の前の石板に青眼の姿がある」
この相違点も、普通に読んでる時は「まあイシズ戦のあのシーンでここに青眼の姿がなかったら意味不明だし、イメージ画像ってことかな?」とか思ってたけど…
本来の歴史では…、セト様は胸を刺す悲しみに苛まれながらも、死んでしまったキサラのため、白き龍と共に闘う決意をしていた…そういうシーンだったのかもしれない。千年ロッドに封印されていたのは、そんな悲しい記憶だったのかもしれない…。

そういや結局、イシズ戦のあのシーンで社長を止めたのは誰の意志だったんだろうか。普通に青眼とキサラの意志…でもいいんだろうけど、…イシズ戦でも準決勝でも「千年ロッドに封印されている記憶」が光を放ってビジョンを見せてた。闇マリクはあれを「海馬瀬人の記憶」だと言ってたし…大体、千年ロッドの持ち主はセト様であってキサラではない。
…セト様か?セト様が止めたのか?自分の生まれ変わり(?)を助けるために…。
そう考え始めるとまた…なかなかおもしろい。でもイシズ戦は…やっぱり青眼かな…。シーン的に。
気になること一つ。…セト様が現代の社長の行動を見てたとしたら、一体どう思ったんでしょうか(笑)。自分が想いを込めて詩を刻んだ石板を「記憶から粉砕してくれるわ!」とか言い放つのを見た日にゃ、頭抱えるくらいじゃすまないような…。
でも社長の過去アレルギーは不遇な幼少期に端を発するものだし…予想外の展開に驚きつつ、ハラハラしながら見守ってあげてたのかもしれない。
冥界の扉の向こうで。ファラオの魂の帰還をずっと待ちながら……。
社長の、ファラオ(闇遊戯)に対するものすごい態度の数々を、アイシスさんあたりにからかわれながら…皆で見守っていたんじゃないかと想像すると…それだけでもう5000字くらい書けそうです(……)。



壮大に脱線してますが、そろそろ話を戻して……。
準決勝ビジョンのシーンの状況をもうちょっと考えてみる。
ここのファラオとセト様は、何故闘っているのだろうか。

セト様のセリフからわかるのは…すでに「王宮が崩れ堕ちている」こと。アクナディンは闇との契約を交わし、闇の大神官となっている…つまりゾークも復活していること。
ファラオはまだ存命だし、千年パズルも砕かれていないので、神官団とゾークの「最後の闘い」の前であることもわかる。
……つまり、スゲー大変な時…ですよね…。
セト様の言葉。自分と「我が龍」は闇には従わないけれど、ファラオにとっては永遠の敵だから、このピンチの中でもファラオに手を貸すことはない…。
「だが…今、貴様をここで倒す…。それは大いに望むところだがな。」
大変な時である。
大変な時だからこそ、決着をつけようと…セト様がファラオを呼び出して「決闘」を申し込んだということでファイナルアンサー?(←古い…)
セト様何やってんですかと言わざるを得ない!!

でも、何故ファラオがここでその決闘を受けているのかを考えると…
「キサラを奪われて暴走中のセト様の説得」の意味合いもあったのかもしれない。
ゾークの力は強大で、倒すためにはどうしてもセトと白き龍の力が必要…というか、自分と神官団全員の「結束」が必要とファラオは考えた。しかしセト様はああいう人なので(……)、言葉での説得は無理。
ならどうするのか。
闘いの中で伝えるしかない。…あの、三千年後の…憎しみの塔での闘いの時のように。
結束の必要を。
復讐の無意味さを。
自分の想いを。

…セト様はファラオを「永遠の敵」だと言った。
でもこれは、本来の「敵」というよりかは…意味は「好敵手」に近いのではないだろうか。忠誠に背いたとしても、ファラオは憎しみを向ける相手ではないはずだし…。
王宮は崩れ堕ち、ファラオは今や裸の王同然……。
もう、「神官」と「王」ではない。セトと、アテムとして向き合う二人。
もはや二人に言葉は意味を持たない。二人に代わって運命を決めるのは…「決闘(ディアハ)」。
闘うことができるのは、敵が…「好敵手(ライバル)」がいるから。
より高みを目指して、闘い続ける事ができるのなら、
「好敵手…、友……、その境界がどこにある」?


「憎しみの果てに真の勝利はない」ということで…ここでのセト様は、ファラオには勝てなかったと予想します。…古代編での青眼って強さがケタ違いっぽいので、多少不安ではあるけど…力で押し切ろうとしたら、きっとキサラが抵抗して止めただろう。憎しみにかられたセト様を救えるのは、もうファラオだけだと信じて。(ついでに、キサラによる妨害があったとしたら「オレとお前の間に力の差はない!」につながってまたオイシイ。負けた原因はあくまで「内なる憎しみ」…)
ファラオは、セト様を負かした上で、憎しみに捕われることの愚かさを説き、最後の戦いを共に闘うことを望んだ。
…そしてここで、自分にもしものことがあったら(最初から自らを犠牲にすることに決めていたとしても明言は避けただろう)次のファラオになって国を守って欲しい、と伝えた。

…なぜ、セトだったのか。
ここは本当に想像するしかないけど(いやコレほとんど想像だっけか)…、アテムはやはり、セトを「友」だと思っていたから、じゃないかな…。神官にすら向いてなさげなあの態度と思考回路(……)を考えると次期ファラオ指名は誰でも首を傾げたくなるだろうけど、…でも、セト様の、国を守りたいという想いは本物で…そして、自分の国への想いもきちんと伝えれば、理解して意志を継いでくれるだろうというのを信じてた…としか思えない。ファラオはそれを見抜いていたと。
立場の違いから、即位中は向き合って対等に話をする機会なんてなかっただろう。けど、もしそんな機会があれば、…地位も何も関係なく、魂をぶつけ合うことができるなら、…きっと最高の「友」となれるだろうと信じてて……この闘いでそれを確信へと変えた、から。とか。
…とても、私の理想ですが……でも、それくらいのことがなければ、あのセト様があんな石板を残すなんて…しないと思うんですよね。ホントに。


白き龍を従えた神官セトが合流し、ファラオ率いる神官団はゾークとの最後の闘いに臨む。
ゾークの力は強大で…ファラオは、この世界を闇から守るため、自らの命を犠牲にして、闇の大神官の魂を千年錘の中に封じた。そして千年錘を砕く。現世への復活をさせないために。
しかし闘いは終わってはいない。決着がつかない限り、二つの魂はパズルの中をさまよい続ける。

待っている。パズルを解いて、この世界の戦いに決着をつける者を。
二つの魂を冥界へと還す者を。


それはきっと、自分ではない。
だからせめて…その時、どうかその場に自分の魂を継ぐ者が導かれますように。
セト様は願いを石板に残す。

砕けたパズルを王墓に大切に保管して、真の名前もそこだけに残して。
まだ見ぬ未来へと希望をつなぐ……。

そして自分はファラオとして、王国の平和を取り戻すために尽力する。
それが友の、最後の願いだったから。



…以上、三千年前のセト様の物語。
ああ、思いつくままに書いてたつもりだったけど…どんどん自分の中で確信に変わってきた…!きっとこうだったはず!てか、こうであってくれ!(えー)
ちなみに、ずっとこれのこと考えてたら冒頭の詩…暗唱できるようになっちゃいました(ええー)。

(「結」へつづく)

遊戯王文庫版感想 22巻(承)

2009-11-21 07:36:03 | 遊戯王☆感想文
ファラオと神官団vsゾークと闇の大神官の、最後の戦い。
力を合わせて戦うファラオ軍だが…ゾークの前では最強の攻撃でも全て、歯が立たない。さらに攻撃力も圧倒的。ファラオを守るため、今度はシャダが命を落とす。
「グフフフ…!これで神官も残るは二人…。ファラオも傷つき、神を召喚する力も残されておるまい…。ゾーク様の闇の力に歯向かう愚かさにまだ気付かぬか!セトよ!!」
その言葉で…「闇の大神官」、その仮面の男がアクナディンであるということを確信するセト様。衝撃を隠さないまま、叫ぶ。
「何故…!!我々を裏切り、闇との契約を!何故、そのような愚劣な行為を!!」
そんなセト様を見て、アクナディンは回想する。
「(セト…。私はその目を昔も見たことがある…。お前は記憶しておらぬだろうが…。)」
千年眼と契約した時、化け物を見たかのごとく怯えた表情を見せた「息子」…。
「(私は化け物などではない…。お前の父なのだ……!!)」

心の叫びは当然届かない。目の前にいるのが父だとは夢にも思わない彼の息子は、「恩師」に向かって刃を向ける。
「アクナディン!たとえ我が師であろうとも、邪神の手先に堕ちた者は我が敵なり!!
今…生涯に一度あなたの意に叛き…あなたを倒す!!」

剣をかまえた精霊デュオスが闇の大神官に襲い掛かる。が……すさまじい力で反撃される。叫び声を上げるセト様。
「セトよ…お前の苦しみは真に進むべき道を示す!まやかしの正義など、精霊と共に打ち砕かれよ!!」
膝をついたセト様のところに、ファラオ達がやってくる。その意志に従い、ブラックマジシャンとガールが守るように前へ出るが…闇の大神官は次に、大量の死霊の軍勢を土から呼び出し神官達を襲わせた。その数相手に、すでにかなりのダメージを負っているファラオ軍は苦戦…。
その混乱の中、立ち上がれないままのセト様のそばに、闇の大神官が近づく。
「(セトよ…お前に力を授けてやる…。私と共に来い……。)」
大事なものを扱うかのように、そっとセト様の前に膝をつき…

気がつけばそこは、崩壊していく王宮。
その光景にショックを受けるセト様。そして闇の大神官の言葉に…この城に隠したキサラの事を思い出し、傷だらけの体で走り出す。
その背中に呼びかけるアクナディン。
「セトよ!あの娘死す時…お前に大いなる力が宿る瞬間となる!
闇の世界の王となれ!息子よ……!!」


ゾークが復活して、王宮が、世界が滅びようとしている。
しかもその復活に関わったのが、尊敬する師であった。
それだけでも、セト様にとっては信じたくない事実であるはずなのに…ここに来て衝撃の告白。
父なんだと。
生きていたんだと。
今まではその事を語らず、それでもそばで見守ってくれていた。
…状況が違えば、感動の告白になったかもしれないのに。
今はセト様をより追い詰める言葉にしかならない。

父である、アクナディンは言う。先王アクナムカノンは自分の兄であり、セト様には正当なる王族の血が流れているんだと。
「ファラオと我らの運命は光と影。だが闇の力の目覚めによって世界は新たな時代を迎える!憎きファラオを抹殺し…我らがこの世を支配するのだ、セトよ!」
駆け出そうとしたまま動けず、背中でその言葉をずっと聞くことになったセト様の目に映る……いよいよ倒壊しそうな王宮。脳裏に浮かぶキサラの顔。それを見抜いたかのように、さらに背後の言葉は続く。
「あの娘は死ぬ運命なのだ…。お前が神を宿すためにな!
白き龍と共に王となれ!息子よ!!」

そこまで、振り向かず、反論もしなかったセト様だが、ここで意を決して振り向く、父で、師で、闇の手先である男に向かって叫ぶ!
「たとえ…あなたが父であっても…私は闇に魂は売らぬ!!」

走り出すセト様。無言でその、去り行く背中を見つめるアクナディン…。

兵士の制止の言葉もふりきり、建物内へと入るセト様。向かうはキサラのいる部屋。
「キサラ、無事か!」
「セト様…!!」
急いで入り口の鍵を開ける。
「この城はじきに崩れ落ちる…。」
「なぜこのような災いが…!」
「来い!!」
すぐに脱出するべくきびすを返した背中に、キサラは…不安げな顔で、持ち続けていたのであろう疑問をぶつける。
「もしや、私に宿るという魔物の仕業では…。」
その言葉に一瞬驚くが、すぐさま否定するセト様。
「いや違う。この災いは悪しき闇に捕われた人間の業がもたらしたもの…。人間という魔物のな…。」
まだ不安げなキサラに、こう続ける。
「安心しろ…。お前は魔物など宿してはおらぬ…。」

…そう。キサラが宿しているのは精霊、という意味だけでなく……闇へと捕われた人の心こそが、何よりも恐ろしいものなんだ。
ここのセト様の表情は、何かとても優しく見える…。


王宮から無事脱出。キサラに、早くこの城を離れるように言う。
「(キサラよ…。お前は闇に捕われず、光を求めろ!)」
…しかし、そこに、目の前にまた、現れる「父」…。
「何故だ…!息子よ…!何故…娘を逃がす…!お前の千年錫杖の力で、あの娘から神を抽出すれば王となれるのだぞ!」
セト様を揺さぶるのは、その迫力だけではない。…しかし、しっかりと彼を見返し、こう告げる…。
「…私の…誇り高き父は…遥か昔…戦場で、勇敢に命を散らせたのだ…!」
拒絶の言葉に、沈黙は一瞬。
「もうよい…。私が神を与えてやる…。」

背後にはキサラがいた。
逃がしてくれたセト様が心配になって戻ってきたのか、それともあまり進めないうちだったのか、…自分が狙われているなんて思いもしなかったのであろうその表情は、……次の瞬間に永遠に失われる。
闇の大神官の攻撃がキサラを襲う。
笑う大神官。絶叫するセト様……。


シモンが召喚した伝説の守護神「エクゾディア」の攻撃も…ゾークには敵わず、…それでも闇に屈せず、立ち向かうファラオ軍。
しかし圧倒的なゾークの攻撃力の前に今度こそファラオの魂も尽きようとした、その時!表遊戯達が!
ファラオを守るように4人、決闘盤を構えて立っている姿がめちゃくちゃかっこいい!!
「(もう一人のボク…!大丈夫!!君にはボクら、仲間がついている!!)」

決闘盤からドローしたカードでモンスターを呼び出し闘う表遊戯と城之内。しかしそれも効かず、強烈な反撃が返ってくる。前に飛び出したのは…仮面の男、ハサン。モンスターでゾークは倒せない、王墓で見つけた王の真の名前をファラオに伝えろって言って…消滅。最後に、割れた仮面から見えた顔は、あのシャーディーだった……。

真の名前は見つけた。しかし現代の表遊戯達には読めない古代文字で描かれていた。どうやってファラオに伝えるのか…。…杏子が気づく、ファラオの首のカルトゥーシュのペンダント。
表遊戯・城之内・杏子・本田の4人は手を出して重ね、記憶の中の古代文字を、ファラオのペンダントに刻む。闇様の心の迷宮の中で、真実の扉を見つけ出した時の様に。
"結束こそが勝利の鍵"
ハサンの…シャーディーの最後の言葉…。

カルトゥーシュに浮かび上がる、三千年の間…封印されていた真の名前。
「我が名は……アテム!!」
王の名は三幻神を呼び、束ねる。
三体の神の融合態…「光の創造神ホルアクティ」の放つ光が、ゾークを…闇を、一撃で葬る。ファラオ軍の、勝利……!

勝利を喜び合うのも束の間、大地の崩壊は未だ続いている。ファラオは、この世界の住人ではない4人に先に脱出するように言い、……自分は、走り出す。姿の見えないセト様と、アクナディンを探し出すために。
ゾーク・ネクロファデスは倒した。しかし、まだ、終わってはいない…。


何も描かれていない石版の前で、キサラの躯を抱き、うなだれる様にしているセト様。

二度と開かないその瞳。二度と動かないその口。死してなお美しいその顔を見つめる。
「(邪神滅びし光も、我が心には射し込まぬ…。胸を刺すのは、真の光を失った…哀しみ……。)」

「(キサラよ…許せ…。お前を閉じ込めていたのは、我が心の牢獄に他ならない…。闇に侵食されてゆく心に、一点の光を灯しておきたかったのだ…。
それはお前が宿す精霊ではない…。キサラ…お前自身の光を……。)」

独白を続けるセト様の心に、声が響く。
「(セト様…。せめて…精霊の光と共に、あなたをお守り致します…。)」

そこに、ゾークが倒されたことを知り、取り乱したアクナディンがやってくる。
セトに向かって叫ぶ。ファラオを殺して、後世を闇で染めろと。お前は選ばれし王なんだと。
その声に振り向くセト様。
ゾークが倒されたのにまだそんなことを言う男。腕の中のキサラを、一番大事な存在だったキサラを、殺した張本人。
「(今、我が心は憎しみの闇に支配されている…。父を名乗るこの者に…。
だが、たとえ…父であろうと…どんな姿であろうと…あなたは私が忠誠を誓い、恩義を忘れ得ぬアクナディンなのだ…。)」

怒りの矛先を、セト様はアクナディンには向けない。向けることができるはずもない。それだけ信じていたのだ。父だからではない。今までずっと信じていたのだ。
…胸の内に広がる憎しみの闇を抑え、冷静に言葉を返すセト様。
「この世界はやがて滅びゆく…。この期に及んで権力の座を賭してファラオを倒すことに何の意味が…。」
でもその言葉も、…セト様の内なる怒りも悲しみも、…混乱も逡巡も、もうアクナディンには伝わらない。仮面をはずして素顔を晒し、叫ぶ。
「我が息子よ!お前の力なら…私の…敗北者の血筋を塗り替えることができる!!」

「セト…お前の血と肉は我が分身…。最後に我が力と魂を授けてやる…。」
そう言いながら、大地の裂け目の淵に立つアクナディン。
「息子よ…。私は、お前を心から愛していた…。」
その言葉に、衝撃を受けるセト様。
「お前の体に流るる血よ!我が愛で湧き、王の憎しみに沸け!!」
叫んで…大地の裂け目に身を投げるアクナディン。
「(我が魂と一体となり、闇の王となれ!セトよ!)」
セト様は最後に「(父上!!)」と叫んで……

ようやくセトを見つけ出したファラオだったが、仁王立ちしている彼の背後には、龍の描かれた石版。
「待っていたぞ、ファラオ…。
フフフフ…、無残にも王宮は崩れ堕ち、貴様も今や裸の王同然…。」

どこかで聞いたセリフ。しかしセト様は、すでにいつものセト様ではない…。
「ファラオよ…、この場で貴様を倒し、我こそが新たな王の証を手にしてやる!ワハハハハ!」

今、…セト様の中にはアクナディンの邪念が宿っている。本来のセト様の人格の意識は消えてはいないものの…跪いて地を見つめるのみで、完全に主導権が奪われてしまっている。
…何故、そうなってしまったのか。
きっと、あの飛び降りる直前の言葉が、セト様の自由を奪った。
「お前を心から愛していた」
本当の父親からの言葉。その秘めた想いを知らずにいた罪悪感、知った後も拒絶してしまったという罪悪感。
大地の裂け目の闇の中に身を投げ、目の前で命を絶った父親。
愛していたという言葉に縛られる。報いれなかった事実が自らを苛む。

"罪は人の心に「恐れ」を生む…。「恐れ」は人を果てなき闇に誘うのだ!"
「人」であった頃のアクナディンの言葉…。
彼はその後、言葉通りに闇に堕ち、息子も共にひきずりこんだ。
闇の中で…罪の大きさに、闇の濃さに…顔も上げられないほどになってしまっているのに、その姿を見ることはせず、息子の体と意識を操り、ファラオを倒そうとしてる。息子のために。息子であるセトを、王にするために…。

…アクナディンの、息子への愛は、確かに本物なのかもしれない。
だけど、だけど……これじゃ…セト様は…!!


ファラオは、セトの様子が尋常でないことに気づく。アクナディンに意識をのっとられているんだろうということも。
しかし言葉では止められない。石版から白き龍を召喚して、その神にも匹敵する力で、ファラオのブラックマジシャンを簡単に、石版ごと破壊してしまう。
「ククク…魔術師(しもべ)を失ったな…。まさに、裸の王にふさわしい姿よ!!ワハハハハ!!」
セト様の意識の中で、アクナディンも笑う。
「覚悟しろ…アクナムカノンの息子よ…。積年の思いをこの一撃に込め…貴様の息の根を止めてやる…。クハハハハ!!」
だが、ファラオの目の光は消えない。闇に捕われた「セト」に呼びかける。
「セト…。オレの声が聞こえるか…。」
わずかな反応。しかしまだ顔を上げ、立ち上がるには至らない。
ファラオは畳み掛けるように叫ぶ。
「オレが倒されても、闇に支配された貴様ごとき、真の王にはなれない!!
貴様にこの光が、受け止められるか!心の牢獄で、王として輝き、誇れるか!!」

さっきよりも確かな反応。しかし主導権を離さないアクナディンが、かまわず攻撃をしかける!
「白き龍よ!ファラオを抹殺せよ!!」


…ああ、ページをめくらなくても、手に取るようにわかった。
次に何が起こるのか。
「青眼の白龍」が、どういう行動を取るのか。




絶叫するアクナディン。
「何故攻撃しない!」
攻撃命令を拒否した白き龍は、消えていく。
石版からもその姿を消し……現れたのは、セト様の意識の中、だった。

まず、光が射し込む。
その光にセト様が顔を上げると…人影が見える。
キサラだった。
「セト様…。
闇に…捕われてはなりません……。」


その言葉に従うように、セト様の意識は闇から脱出。
そしてアクナディンに向けられる、白き龍の滅びの威光…。

叫び声を上げて、光に焼かれながら……最期に思うのは、愛する息子の事。
「(私は千年眼に祈ったのだ…。我が息子を…王に…して見せよ…。)」
最後に残ったのはその千年眼。
「(…セト…)」
光の中、…全てが燃やし尽くされる。


意識を取り戻すセト様。すぐさま気づき、駆け寄るファラオ。
ぼんやりと今の出来事を思い返すセト様。
「(そう…あの時…父上が自らの命を絶ち…我が心を道づれに、深き闇に堕ちた…。)」
光の中で見たキサラの顔を思い出す。
「(私を闇から救い出してくれたのか…キサラ。)」


闇は滅んだ。大地に光は射しているが…、くっきりと深い爪痕も残っている。
多くの仲間を、尊い命を失った。しかし、残った者達は力を合わせて生きていかなければならない…。決して今日のことを忘れずに、それでも未来に向かって。

「セト!お前にひとつだけ頼みたいことがある…。
オレの王位を継承し、新たなるファラオとなってくれ!」

驚き、狼狽するセト様。それならばと決闘を申し込もうとするが、もう時間がない、と…。
セト様はさらに驚く。隣にいるファラオの体が消えていっているのだ。
セト様とは対照的に、落ち着いているファラオ。全ての記憶を思い出したって。おそらく、この先は生きた記憶がないから消滅するんだって…。
でも「その時」とは違う。千年錘は砕かれていない!
「セト!王の証である、千年錘を託す!お前がファラオとなり、この国に平和をとり戻してくれ!!」

ファラオは消えた。
受け取った千年錘を見つめるセト様。
…顔を上げる。傷ついた大地を…傷ついた国を、元の平和な国に戻すという…決意を固めるかのように。
傍らには、白き龍の姿。
「(ファラオ…。)」

きっと、これからどんな時でも、この次なるファラオの側には、この龍が…守るように在り続けるのだろう。




現代の、…美術館のあの部屋に先に戻っていた表遊戯の中に、帰ってきたファラオ…いや、「アテム」。
カタストロフの影響か、ジオラマは砂に埋まりかけていた。
アクナディンのミイラは真っ二つになっていて、ゾークの邪念が滅び去ったことを示している。宿主も気を失っているが、無事。
…記憶を求める闘いは、終わった。
崩れた王宮のあたりを見やるアテム。
「(セト…そして、廃墟に残された者達…。彼らは新たな世界を築き、その魂の光は、次の世代の者達に受け継がれていくだろう…。
オレには見えるぜ、セト!燦然と輝く、栄光という名の光が!!」

新たな六神官を従え、新たなファラオとして民を導くセト様。

頭上には、あの、石版…。アテムと、セトの闘いの記憶であり、死者への祈りを記したあの石版……!



(「転」へつづく)

遊戯王文庫版感想 22巻(起)

2009-11-20 05:08:17 | 遊戯王☆感想文
遊戯王の文庫版、全22巻購入記念企画!
「全巻の感想書く!主に社長の行動とセリフに注目!
ちなみに書くまで次の巻開封禁止!」

☆古代編突入に伴い、注目の対象を「セト様」へとシフトしております。
☆この色は社長(セト様)のセリフ
☆社長(セト様)のことばっかりになるかもしれませんが許してください。社長大好きなんです。出てこなくたって大好きです。
☆アニメ(DM)はBC編まで視聴完了。ニコニコのエネコンMADでふつくしい社長に惚れて今に至る。
☆宝物はKCマグカップ。あと海馬ランドトートバックとKC名刺ケース。コスパ万歳!!
☆あっ、まだ欲しいものあった!高橋先生の画集だ!…集英社文庫のHPのQ&Aで、画集の話が…!…2010年中に出る…のか!?絶対買う絶対買う!だからお願いしますマジで!!あといつまでも待つので完全版も出してくださいお願いします…!



**************************************


とうとうこの遊戯王文庫版感想も最終巻。
最後の一冊を袋から出して、表紙を見た瞬間…取り落としそうになりました。
すばらしいです…。何度見ても、そのたびハッとしてしまうような…。

タロットは記憶の石盤。そして…あれっと思ったのが…しおり。
文庫版には、それぞれの巻の初版には特典として、表紙のイラストのしおりがついていたようです。…当然、発売からかなり経って購入した私の22冊はほとんどが2刷か3刷だったんですが、この最終巻は初版でした。でも、しおりのイラストは21巻のもの。
しばらく「???」だったんだけど…そうか、2冊ずつの刊行だったから「どっちかの表紙のイラスト」がしおりになってたんだな。今まで数冊あった「初版だった巻」は、偶然そのどっちかだったわけだ。ちなみに確認してみたら、21巻は2刷でした。…これはラッキー!セト様とキサラどちらもふつくしい…。



表紙、タロット、しおりを確認して。
ひとつ、深呼吸をして読み始めた、最終巻……。
…コミック読んでこんなに泣いたのは初めてってくらい、泣きました。
同じようなことを6巻の、モクバのセリフを読んだときにも書きましたが…その時の比ではなかったです。

泣きながら、すごく困ったのが…ページがめくれなくなってしまったことでした。
例えばアニメなら、見ながら泣いてても勝手に進んでいきます。
例えばゲームなら、濡れた手でボタン押すぐらいなら大丈夫です。
でも…コミックって、自分でページをめくらなきゃいけない。しかも涙でぐちゃぐちゃになった手で。…無理。だからなかなか進まなかったし、進めないからこそそこでずっと泣いてしまって大変でした。
コミックを手に、声を出して泣きながら、頭の隅ではそんな自分に途方にくれてる…はたから見たらなんともシュールな光景であったことでしょう。でもそんなことを気にする余裕はありませんでした。

「どうしてセト様にそんなひどいことするの…!」

最初の印象は奇しくもあの、社長と遊戯の準決勝を最初にアニメで見た時のものと酷似していて…後でそれに気づいて呆然。
社長が、セト様が、…そして自分が、何を一番恐れているのか。
それを考えていたら…感想を越えて、もっと深く突き詰めたくなった。

自分の思考を整理するために書き出したメモは手帳の何ページにもなり…、
最終巻だけじゃなく、今までの22冊全部を手元に置いて、何度も何度も読み返して確認しながら少しずつ書いていったら、…また、ものすごいボリュームになってしまった。
でも、「最後なんだから、やれるだけやってみちゃおう!」…と思ってがんばりました。長くなると思いますが、お時間のあるときにでもお付き合いいただければ幸いです。


今回、感想文を「起」「承」「転」「結」の4つに分けておりますが、一般的な「起承転結」の意味には全然対応しておりません(おい…)(18巻の序破急と同じかよ)。
一応、「起」で導入を。(←イマココ)
「承」でいつものような本編感想を、
「転」で「本来の歴史」の妄想を(……)、
「結」で、自分なりの遊戯王総論…を書いていきたいと思います。
じゃあ感想だけでいいやって方は「承」だけ読めばいいのかもしれませんが、残念ながら「承」では最後まで書いてません!続きは「結」にありますが、「結」は「転」での話を元にしていろいろ書いているので… って、結局全部読むしかないんじゃん!!まあ、書いたからには読んでもらいたいって思うのはブログ持ちとしては当然の感情ですよね!!たとえ需要がなくってもこの記事はうちが死ぬほど読み返すからいいんです!エヘッ☆(←…………)


…ハジケてる場合じゃないんだった。


それではまず、…この最終巻、初見で自分がどうしてあんなにも(本当に大変でした)泣いたのか、そこから。

何度も書いてる気がしますが、アニメの遊戯王DMの134話…あれも初見でわんわん泣きました。バトルシティ準決勝、闇遊戯vs社長の決着がつく話です。
最初、どうしてあんなひどいことを闇様が社長に向かって言うのかわからなかった。
あの言葉の数々に対して社長は真剣に怒る。…そこで、一番触れられたくないところに触れられているということだけがわかった。

最終巻…セト様にとって衝撃の事実が、立て続けに明らかになる。アクナディンの告白という…「言葉」によって。
裏切ったのは、信頼していた師であったという事。
…しかも実は、父親だった。
その父が、ファラオを倒せと言う。
息子である自分が次の王となるために…。そして、キサラを……

父からの息子への言葉として…負の感情でセト様を揺さぶるアクナディン。
一歩間違えばセト様を壊しかねない行動。信念も、希望も、根本から揺さぶる行為。
やめて!…と叫びだしそうになった。
セト様にひどいことしないで、と……。


「社長にひどいことしないで」と思って泣きまくった準決勝。
信念を、まるごと揺さぶる外からの力が…怖かった。

でも、あの時と、今回のものは状況が全然!違う。
闇様はあくまで、社長のためにああいう厳しい言葉をぶつけ、決闘で打ち負かした。友として、社長を救うために。

アクナディンは…違う。確かにセト様のためであったかもしれない。
でもマイナスの感情で、セト様を思い通りに動かそうとするなんて…それはたとえ父親であったとしても、やっていいことではない。
しかも、その目的は…自分の願いを、復讐として叶えるという側面もあった。
…やっぱり違う。あの時とは全然違う。闇様のあの行動には、自分自身の得になることは1ミリも含まれていなかった。むしろ、自分が憎まれるというリスクがあったかもしれないのに…そこは恐れなかった。

今回とあの時の状況は全然違う。
そして、セト様への救いの手は、別の場所から伸ばされる。
何度目かの読み返しで、ようやく脳にそれが届いて…それでやっと涙が止まって、冷静に考え出すことができるようになった。


それでは、…遊戯王文庫版最終巻感想、はじまりはじまり。


(「承」へつづく)

遊戯王文庫版感想 21巻

2009-11-16 23:44:07 | 遊戯王☆感想文
遊戯王の文庫版、全22巻購入記念企画!
「全巻の感想書く!主に社長の行動とセリフに注目!
ちなみに書くまで次の巻開封禁止!」

☆古代編突入に伴い、注目の対象を「セト様」へとシフトしております。
☆この色は社長(セト様)のセリフ
☆社長(セト様)のことばっかりになるかもしれませんが許してください。社長大好きなんです。出てこなくたって大好きです。
☆アニメ(DM)はBC編まで視聴完了。ニコニコのエネコンMADでふつくしい社長に惚れて今に至る。
☆宝物はKCマグカップ。あと海馬ランドトートバックとKC名刺ケース。コスパ万歳!!
☆次がラスト…だと……?



**************************************


21巻!
表紙を見て絶句しました(いい意味で)。
なんとふつくしい…!セト様と、キサラ…(と、嫁)。
キサラの儚くも美しく、神々しい表情に、もうありとあらゆる覚悟をして…ページを開くと…

タロットでずっこけました(いい意味で…?)。
「THE FOOL」はないんじゃないかなぁ…。まあでも、宿主が楽しそうなので…いいか……。


先ほど、「覚悟」と言いましたが…
未だセト様とキサラの結末は…知りません(ネタバレ気にしないでWikiとか見に行く私にとっては奇跡かも)。でもあの「胸を刺す悲しみ」のビジョンのことを思うと、きっと悲劇が待っているんだろうなと予測はできます(え?スルーとか…ないよね??)。
…結論から言うと、この巻ではその悲劇は語られませんでした。
ほっとしたような、拍子抜けなような。
でもそれはつまり、最終巻でそれが語られると!!うわあ…。どうなるの…この感想文……。

あいかわらず激動で、各所で激闘が起こっているこの巻ですが。
キサラの出番が超少ないので、感想はさらっと行こうさらっと!
ちなみにセト様は、一応出てるんだけど後半はかなり影が薄いです…。ま、前半…というか収録されてる一番最初の話のインパクトがすごすぎるので、バランスはいい気がする(えー)。


また、離れの…部屋の中で昏睡状態なキサラを、外から見つめるセト様。
「(キサラに宿る白き龍…。だが白き龍はキサラの『魂』そのものであり、抽出は『死』を意味する…。)」
あの、白き龍が出現する前……セト様は同じように、眠るキサラの傍らで白き龍について考えていましたよね。その時は、キサラを生贄にすることにほとんど迷いはないように感じられてたんですが……
前巻ラストでのアクナディン様への抵抗。この迷い…。セト様、どんな心境の変化があったんでしょうか。
恋か!?恋なのか!?まあ、かわいいもんなあキサラ…。

その時の、アクナディン様の事を思い出すセト様。
「(アクナディン様は、キサラの『死』と引き換えに私に神の器になれという…!次代の王にと!!)」
一度キサラを見やり、次に目をつぶる。
「(わからぬ…。私の知る限り、アクナディン様は罪人にさえ慈悲を与える、神官団の指導者ではなかったか…。だが…あの殺意に満ちた眼……。)」
すごい形相の彼を思い出す。つぶっていた目を開く。
「(何故だ…。官位につき、まだ半人前だった私に規律・道徳…哲学を教えて下さったのは、アクナディン…あなたではなかったか…。)」

おお…アンニュイな表情!タイトルをつけるとしたら「神官セトの憂鬱」!?(もっとマシな事しゃべれ)
何が珍しいかって、半目なんですよねここ!社長もセト様も元々目が死んでr細いから、半目なんてめったにならない!つか一回もないんじゃないだろうか…イシズ戦のあのシーンでも光を失ってるだけだし…(ああ社長かっこいいなあ~)(←15巻見返し中)。

しかし次のページで即、目をカッと見開きます!
「(王…!!)」 ルビは「ファラオ」。
「(父を戦場で失った私にとって、王族の真の後継者であるファラオをお守りすることが務めと自らに言い聞かせてきたのだ…ならばせめて…)」
ハァ!?ちょ、ちょっと…「父を戦場で失った」って…!!どうなってるの…セト様の出生の秘密!…王の弟の子供って、そんなまでして隠すことじゃ…ないよね??……あ、お母様が…正妻じゃない、とかか……?
「(王宮と…石版の守護者アクナディン…。あなたの後継者であらんと…!)」
…え?え?なに、これつまり、王になるってこと!?
アクナディン様がそう言うならってこと?王宮を守るため、って…?

そこに、知らせが!
ファラオが見つかった…!無事だと確認された!!
驚くセト様。
そして次の瞬間…笑い出す。
「ククク…フフフフ……!」
「ワハハハハハハ!!」


ええええええええええええええええええ!?
なぁにこれぇ!なんでこんな悪人顔で高笑いする必要が!?しかもかなり大ゴマですよ!こっちも思わず笑っちゃうわ!
右下の兵士さんの表情がすばらしいです。気持ちがすごく伝わってきます。文庫版お持ちの方はぜひ見直してあげてください(またそれか)。

しかしすぐにきびすを返し、兵士に命じる。
「早急に女を他の部屋へ移せ…。誰にも悟られぬようにな!」
アンタ切り替え早すぎ!!


そしてページをめくると……同時刻、同じ知らせを兵士から聞いたアクナディン様の「こっちを模写したほうがいいんじゃないか」と思うくらいにものすごい表情が…拝めます…。絶対やりませんけど(……)。目が!目が怖すぎ~!!
その鬼気迫る表情のまま、キサラの元に向かうアクナディン様。
「今すぐ…あの娘を殺し…白き龍を、我が息子セトに……!」
到着して驚く。キサラがいた部屋は、空っぽ…。
見張りの兵士を問い詰めるも、移動した場所は口外するなと…セト様に命令されたと。
セト様が、移動させるように命じたんだと……。
それを知ったアクナディン様は、…見張りの兵士を刺す。
…いや、もうそれはすでに、あのアクナディン様では、ない……。


その頃のキサラ。どこか別の場所で、外を見ている。
…ここのキサラ…あまりのふつくしさに模写できませんでした。
「(人も…街も……傷ついている…)」
悲しい目でそう考えているキサラが、ハッとなにかに気づく。
「(この災いは、もしや……)」
思い出す…ゲベルクの言葉。自分の心に魔物がいるという言葉。
目をつぶって祈るようにしながら…あの、石を投げられた時の言葉も思い出していたのかもしれない。しかし今は何も出来ない。部屋に戻るように言われて、素直に従うキサラ。

それを、見下ろしているセト様。

何も言わず、ただ、見つめてる。
そして何も言わないまま、去る。
模写したコマの次で、アップになってるんですが…何だか瞳が澄んでます。あの上の、悪人顔で超高笑い!の人と同じ人とは思えません!
恋か!?恋なのか!?……そんなセト様もかわいいので、許す!(えー)


以上でキサラの今巻での出番、終了です。早~。
ページにしてもまだ20ページだし!
ここからは…ファラオとシャダの無事を確認し、バクラの居場所を突き止めた神官団がそのクル・エルナ村に乗り込み、盗賊王バクラと最後の対決…という熱い展開が!(はしょりモード)
ボロボロの体もなんのそのとばかりに本拠地に突っ込んでいくファラオは相変わらずめちゃくちゃかっこいいですね!ブラック・マジシャンとなったマハードと一緒に闘うってのもすばらしいし…。ガールも登場!マナ、がんばったんだね…。
セト様も、バクラに対して神官団が結束して闘う事に特に異論はないようで、普通に力を合わせて闘ってます(だから目立ってない…というのもどうかと思うが)。融合もやってるし。社長に比べるとものわかりがとてもいいのかもしれないですね!(ひでええ私)

盗賊王バクラを倒して…しかしアクナディン様は完全に意識を持っていかれ、その手で神官団の千年宝物を奪ってゾークを復活させてしまう…。
ここでバクラが明かし、別の場所で表遊戯が気づく、衝撃の真実。
ここはゲームの世界…バクラが作り上げた究極のダークR・P・Gだった!!
テーブルに向かい合って座っている闇様とバクラの姿を見た時…本当に本当にびっくりして声を上げそうになった!!4巻の二人の闘いも伏線だったわけだ…!前巻の時間の巻き戻しだって、ゲームだったと気づいた今なら納得。…そういうカードはM&Wでもあった…!しかも他でもない、バクラが使ってたんじゃん!(確かウィジャ盤の時…)

ファラオと、アクナディン…二人の記憶で作られたこの世界の最後の闘いを…闇遊戯とバクラが「ゲームとして」闘う。でもただの再現じゃない。現実として表遊戯達の魂も今やゲームの中にあり、負ければここが魂の墓場となってしまう…!
いやあ…すごいなあ、すごい話だなあ…!!記憶と戦略を駆使して闘う闇様とバクラ、両方めちゃかっこいい!
ゾークの攻撃を止めるため、闇様が「神官セト」のカードを出すとこがお気に入り。
「そいつは無理だな…!セトは我が軍(オレ達)の仲間だ!」とか、シビレます。またここの表情がーーー!!素敵ーーーー!!


21巻最後あたりは、王の真の名前を探し続ける表遊戯と、その前に再び立ちはだかったバクラとのデュエル!つーかこの世界にバクラ何人いるねん!(むしろゾークが何人いるねん…かな…)
表遊戯の成長がうかがえる闘いぶりでした。「沈黙の決闘者」って…響きがかっこいいな!ガチャガチャやかましいイメージの人多いしね(社長とか社長とか)。
途中のバクラのセリフがかっこいい。単なる「王の器」であったはずの表遊戯が決闘者としてもなかなかの実力があることに気づかされて、これ。
「闘い甲斐があるってことに、決闘者は少なからず昂揚感を持つもの…だが…あいにくオレは…ただの殺戮者でね…!貴様をブッ殺したあと昂揚感にひたらせてもらうぜ。…オレ様のターン!」
…今、ピックアップしつつ、自分でもこれどうなの…と思いました。
でも、かっこいいんだよなあ~…。なんで城之内君や表ちゃんみたいにまっすぐに熱い人達じゃなくて、この殺戮者さんとかどこぞの超人社長さんとかに惹かれてしまうのか…。ええと、そうだなあ…どっかネジが外れてるというか、針が振り切れちゃってるところが好きなのかも。純粋すぎる動機ゆえにそうなっちゃうような人が。
…いや、現実にいたら遠慮したいけど!ヤンデレと同じで!!


デュエルは、表遊戯の勝利。ファラオの真の名前に近づいたかと思われたが…そこで闇遊戯と対戦中のバクラが、ゾークの第三の能力「カタストロフ」を発動させる。
陥没が発生するフィールド。
崩壊していく世界の中…ファラオと神官団vsゾークと闇の大神官の最終戦争が始まる…!


さあ…いよいよ次でラスト!
行くぞーーーー!最終巻!!

遊戯王文庫版感想 20巻(後半)

2009-11-08 02:57:40 | 遊戯王☆感想文
(前半からの続き)


巻き戻った時間の中で…オシリスがやられるのを目にした表遊戯達。急いで闇様のところへ駆けつけようとするが…そこに立ちはだかったのはバクラだった。現代の、バクラ。
「オレ様が現世でお前らと遊んでやったのも…すべては闇の大神官を復活させるためだ…!」
おお…!彼は、彼はこの瞬間のために今までがんばってきたわけですね…!
遊戯のボディーガードみたく悪者から神のカードを取り返した時も!(19巻)
表マリクと協力して闇マリクに挑んだ時も!最後神の攻撃に焼かれつつもカッコイイ捨て台詞残してた時も!(16巻)
宿主かばってオシリスの攻撃をその身に受けた時も!(14巻)
マリクと共謀するためにナイフで自分の腕を切った時も!(12巻)
御伽と闘う表遊戯を激励に来た時も!(10巻)
海馬兄弟が感動の再会をしてる裏でこっそりペガサスから千年眼を奪った時も!(9巻)
ペガサス城で捕まった本田を助けに行った時も!(8巻)
迷宮兄弟の出す謎を解く手助けをした時も!(7巻)
…モンスター・ワールドで遊戯達と闘った時も!(4巻)。
全て全て、今日この日のこの瞬間のために!!…感慨深いなあ!
てかモンスター・ワールドのボスの名前が「ゾーク」とか…。すげええええ。
ちなみに↑これを書くために巻をさかのぼりながら、「キャー社長!久しぶり!超かっこいい!」とか思ってたのは秘密です(9巻あたりの記述にそのなごりが…)。

壮大な計画を持って、今まで行動してきたバクラ。2・3度闇に葬られかけてますが、決して諦めることなくここまできたがんばりやさんのバクラ!(いやバカにしてるわけじゃないんです本当に)
今明かされる、その正体…
「三千年前、ゾーク・ネクロファデスは、この千年輪にも魂の一部を封印していた。…としたら、クククク……。
そう…!オレ様の正体もまた、ゾーク・ネクロファデス…!」

この世界から闇の大神官を復活させるため…遊戯達にデュエルで闘いを挑む!
その腕から決闘盤が現れ、驚く表ちゃん達だけど、バクラ曰く「闇様が現世で体験した記憶は全てこの世界に存在する」ということなので、念じれば決闘盤も実体化するらしい!
…しゃちょーーーー!!よかったですね!!あなたの作った決闘盤は、こんなにも皆の印象に残ってるんですよ!!ついでに制作者も実体化してくれよ!(えー)

バクラに決闘を挑むのは城之内。
同じ頃、瀕死の重傷を負いながら盗賊王バクラの元にやってきたのは…ファラオ。
そこでとうとう千年錘を奪われ、ファラオは深い谷底へと落とされてしまう!
…ここはファラオの記憶の世界。ファラオの記憶が途切れた瞬間、闇が訪れる。
バクラに瞬殺されそうになった城之内も、表ちゃんも、皆、闇の中へ……。


一方、……もう一つの記憶の中で、悪が目覚める。
アクナディンさんの回想。15年前の、千年宝物誕生のお話。
先代アクナムカノン王の時代。王国は敵国の侵略を受けていた。敵国の狙いは王国に伝わる「千年魔術書」。神と魔物を操る強大な力を得る方法が記されているというもの。敵の手に渡れば大陸全土が危機にさらされる。そして王国を守るためには、もはやその力を使うしかない…。
アクナムカノン王は決断する。闇の錬金術を行い、七つの秘宝にこの王国の平和を委ねると。…希望を、「兄弟」であるアクナディンに託す。

強大な力が世に災いを起こすかもしれないという危険性は、王も気づいていた。
しかし、「闇の錬金術」がどれだけ非道な手段であるかという事実は…アクナディンが語らずにいたため、気づくことはできない。
兵を率いてクル・エルナ村に出発する日。見送る小さいセト様を見やって、心の中で語りかける。
「(セト…。私はこの国のために自らの手を血で染めねばならぬ…。
兄が国王に即位した日から、私は影を歩む運命。私もお前も王にはなれぬ身…。
さらばだ…息子よ。)」

……切ない。
ところで小さいセト様、とてもかわいいです。

隣に綺麗な女性がいるのですが、お母様でしょうか。それとも乳母?
お母様だったらいいな~。美人!

国のため、自分の手を汚すことも厭わないアクナディン。
闇の錬金術を行うには…人間の生贄が必要だった。九十九体もの。
王の知らぬところで、…クル・エルナの村人達は虐殺され、そして千年宝物は完成した。……その生き残りがあの、盗賊王バクラ……。
千年宝物のうちの一つ、千年眼の所持者となったアクナディン。千年眼は、持ち主の願いを一つだけ聞き入れるという。
「(バカな…。願いだと…。フ…。
ならば言おう…我が息子を……王にしてみせよ……。)」

……ア…アクナディン様ぁあ……!!


「ファラオの行方はまだわからぬのか!」「まだ報告はありません!」「ええい!ナイルを干上がらせても探し出せ!!」 またナイルですか。
…じゃなくて!
ファラオが行方不明になり、王宮は混乱していた。シャダも行方不明。
六神官はいまや四人。さらに玉座には主の姿が無い……。
「ファラオは必ずや生きておられる!!同時に王国の平和を願う揺るぎなき信念は健在だ!!今はファラオの帰還を信じて待つのだ!!」 ドドドド(←効果音)
…これ、ポーズとか…効果音とか…前半冒頭で私がずっこけたあのセリフをどうしても思い出させるんですが……こっちはうってかわって、演技には全然見えないんだよなあ。普通にファラオ個人の心配をしているように見えるし。すごく神官っぽいし。

しかしそんなセト様を見つめるアクナディン様は…。
「(願い…信念…それだけでは国は守れぬ…!力が必要なのだ!セトよ…。
あの時のように…。闇に魂を売ろうとも…!)」

ああ、なんかやばくなってきた…!
そこへ、セト様に連絡が。キサラが四日間の昏睡から目覚めたと!

アクナディン様と一緒に地下施設に向かうセト様。
ファラオ不在の今、神を越える精霊、強大な力が必要だと言うセト様に…それに加えて新たなる王も必要だと言い切るアクナディン様。
アイシスが予見した闇の波紋。すでに始まっているそのうねりを、包み込む器が必要だと言っていた…その器たる、王となれと。

地下囚人棟の闘技場…ってかこのゲベルクって執事じゃん!懐かしいなおい!
そこで見たものは、強大な魔物を使って闘う囚人達の姿だった。
この時のセト様の反応が!!
「(凄い!!これ程の魔物を宿す囚人がいるとは…!)」

嬉しそうだなアンタ!!
ていうか「凄い」なんて言葉がこの人の口から出るとは思わなかった…!社長だって言ったことないんじゃ…!「美しい…」はあったけどさ。
…あ、「スゴイぞー!カッコいいぞー!」があったか…。

彼らの強大な魔物は、元々力を持っていたわけではなかった。殺し合いをさせられる中で強くなっていったという。…魔物を強化するのは、「生への執着心」…。
そこへキサラが連れてこられる。
わけのわからないまま、目の前にいるのが自分を助け、看病をするように言ってくれた「神官セト様」だということを知って、感謝の言葉を述べるキサラ。二人の初会話です!
「神官セト様…。私めを助けて頂き、なんとお礼を申せば…ありがとうございます。」
「フン…!」 ←ええええええええ!!おいこら!照れ屋さんめ!!(えー)

「女…、名は何という…。」
「……。キサラと申します。」 ←すみません名前の初出はここです。

囚人達の魔物を見て驚き、どうして自分がここに連れてこられたのかわからず困惑するキサラ。セト様から自分の中の魔物のことについて言われても、全く心当たりがない様子…。
手っ取り早くその力を確認するため、闘技場にキサラを放り込むことを提案するゲベルク。魔物を操る事はできないらしいと見て、危険すぎると止めるセト様だが…アクナディン様が、…神の力を試せって…必死の形相で…今すぐって…。
その勢いに、セト様は反論すらできず…キサラは無理矢理闘技場に入れられてしまう。

キサラに襲い掛かる二体の魔物。
「生への執着心」から…当然神を呼ぶものと思われたが、目をつぶり、何の抵抗も見せないキサラ。その表情から死の覚悟を決めたことに気づき、たまらず自分の精霊を出して、さらにキサラの前に飛び出すセト様。
驚くアクナディン様と、ゲベルク。
囚人達も驚いたようだが、自分達を無理矢理連れてきてこんな目にあわせている当人が乱入してきたということで、殺すべく攻撃を仕掛けてきた!
キサラの手をガッ!と掴み、応戦するセト様!
「(囚人共め、生かしておくつもりだったが…やむを得ん!)」
精霊デュオスの剣は、闘技場をつるしていた鎖ごと切り裂き…囚人達を奈落の底へと突き落とした。…が、一人は自らの魔物の能力で落ちずにすんだ上に、デュオスの動きも封じてしまった。セト様が必死に左手で掴んでいるキサラは気を失ってしまっている…大ピンチ!!
やられる、と思った瞬間…光が!
現れたのは……「白き龍」!!

キサラは気を失ったまま。白き龍を操れなければやられると、必死にキサラに呼びかけるセト様だが…場外のゲベルクからそれを制止する声がかかる。白き龍はキサラの魂の姿であり、目を覚ませば消えてしまう恐れがある、と…!
襲い掛かる囚人の魔物。
白き龍は…操る者なしに、その体でセト様とキサラを守りながら…口から凄まじい光を出して、囚人ごと魔物を焼き払った!

嫁が、二人をしっぽで守ってるのがすごくかわいい!

見えづらいですが中心にセト様とキサラがいます。
いやあ、嫁ってこんな…複雑なつくりだったんだなあ…と模写しながら実感しました!泣きそうでした!(えー)


そしてお姫様抱っこである。

いいなあっ…!キサラ……!(ええー)

白き龍の力は、バクラのディアバウンドにも十分対抗できる…。
それどころかファラオの三幻神の力も凌駕する、とアクナディン様。
白き龍の力を必ず手に入れろと、セト様に向かって言う。…キサラの場合、精霊と魂が一体化していて…それを切り離してセト様の力にするということは、キサラ本人の死を意味する。
驚くセト様。驚かないゲベルクと、アクナディン様。
「あの娘を永遠に眠らせれば…神はお前のものとなるのだ…セト…。」
先ほどと同じ。アクナディン様の目の奥に、凄まじい執念を感じ取るセト様。
「(その時こそ、玉座はお前を迎え入れる…。新たなファラオとして…!)」
だが今度は、セト様も言われっぱなしにはしない。
「今は…ファラオの消息を確かめるのが先決かと!アクナディン様…。」
そう言ってその場を去るセト様。

その背中を見ながら、アクナディン様は再び心の中で語りかける。
「(セトよ…。私が父である事実をお前は知らぬ…。)」
は……ええええ!?
「(闇に魂を売ろうとも、せめて…父としてお前にしてやれること…。
お前に王を…、次はお前に神を与えてやる!!
私の手はすでに血に染まっているのだから……。)」


ちょ……えええええ!?ど、どうしようこれ、どうしよう…!
なんで父親をあんな他人行儀な呼び方するのかって謎は解けたけど!
な、なんで知らないの…!?なんでそれで、神官になったの…!?あの女性は結局誰なの…!?ああ、もう、どうなるのこれ!!
てか、社長の出番終わったら感想もさらっと行こうと思ってたのにどんだけこの感想に時間かかったか…!次が恐ろしい!!でも気になる!!やっと行けるぞ21巻!!よっしゃあああああい!!



あ、最後にもひとつ。
涙なしには読めない高橋先生のあとがき…。
「やむを得ずカットしたエピソードでは、神官セトとキサラのくだりが今でも心残りです。読者の方の予想通り、現代の海馬瀬人と『青眼の白龍』との関係を語る上でも、とても重要なエピソードだったからです。」
うおおおおおおおおおおおおおお(血涙)。
今からでも…今からでも遅くないっすよ先生!!是非読みたいですよ…!!
ああ、でも…これを読むたび、物語を語るにはいろんな方法があるんだなあと感心してしまう。改めて、すごいなあ…と思う。
それにしても無念だ……!しゃちょおおおおおお……!!

遊戯王文庫版感想 20巻(前半)

2009-11-07 02:58:05 | 遊戯王☆感想文
遊戯王の文庫版、全22巻購入記念企画!
「全巻の感想書く!主に社長の行動とセリフに注目!
ちなみに書くまで次の巻開封禁止!」

☆古代編突入に伴い、注目の対象を「セト様」へとシフトしております。
☆この色は社長(セト様)のセリフ
☆社長(セト様)のことばっかりになるかもしれませんが許してください。社長大好きなんです。出てこなくたって大好きです。
☆アニメ(DM)はBC編まで視聴完了。ニコニコのエネコンMADでふつくしい社長に惚れて今に至る。
☆宝物はKCマグカップ。あと海馬ランドトートバックとKC名刺ケース。コスパ万歳!!
☆念願の「海馬コーポレーションセット」も「キーボールチェーン」もゲットできて…もう欲しいものなんて…あ、ペンダント(……)。



**************************************


20巻!
気がつけば、もう終わりが近づいているんですね…。寂しい。
でも最後までがんばります。

表紙は盗賊王と、ディアバウンド。盗賊王の表情、めちゃイイです…。
そしてタロットは、ファラオと神官団!!
これがすばらしすぎて…!キラキラもめちゃゴージャスだし!
ファラオの青いマントがまた素敵。…てか、前巻で思ってた「セト様だけ服に青い部分が多いのはなぜ?」という疑問…こうして見ると…多いのは「ファラオとセト様」なのね。…やっぱ位が高いのか…??いや、どう考えてもアクナディンさんはセト様より上だよねえ…。若い順とか??でもシモンも青っぽい部分あったよなあ…。


この巻、一言で言うと「激動」の巻です。
色んな大変なことが起こりまくる。悲惨なものも多く、それに立ち向かうファラオや神官達、皆がどんどん傷ついていく様は…正直言って、キツイ。
そして、盗賊王バクラの動機…過去にあった惨劇……。
読み終わっても、簡単に感想が出てこなかった。本当はすぐにでも次の巻なり最終巻なりを開けて、読みきって、どういう形であれ…このエピソードの結末を見て安心したいくらいだけど……
それは一番最初の「誓い」が許さない。…なので苦しいですが、がんばって書きます。
あとがきを読むと、このあたりで高橋先生が体調不良で倒れられた頃のようなので…その辺もちょっと関係しているのかもしれないな…。


ていうかですね……何より「セト様のキャラがよくわかんない」んです!!
だから書けないんですーーー!
…まあ社長だって、あんっだけ書いてきてようやく17巻あたりで性格をつかんだようなもんなので…接してる時間が短いっていうのもあるんですけど、それにしても…つかめない。
↓序盤のコレでズッコケそうになりましたもん!
「おお…!これ以上…!ナイルに悲しみの涙を流してなるものかぁぁ!!」 ドドド(←効果音)

ブラマジ師匠の石版を前に、泣き崩れるマナ(ガールだ!)を見て、これ。
あのう……本気で言ってたらすばらしいセリフだと思うんですが、
どう見ても演技です。バクラ並みに演技してます(←現代のバクラね)。
ちなみに演技の目的は…前巻で言ってた「町の住民の中から強い魔物を宿す者を見つけ出して兵器にする」というのをやるために、兵を連れて町に行きたいんですね。しかしそんなのファラオに言うわけにはいかないから、今現在行方の知れないバクラを捕まえるために兵を配備したいとか言ってるんです。それをさらに今すぐ!と煽るためのセリフが上のもの。
…ファラオはなんとなくこのウソを見抜いてる感じです。
民を脅かすことのないように念を押した上で許可を出すんですが…
もう、この人全然言うこと聞く気ない…。口では真面目に返事してるけど!
勘弁してよ……!ていうか本当に神官なの!?ねえ!!

町へ向かう際、セト様はシャダも一緒に連れて行く。…住民の中の魔物を見つけるには彼の持つ「千年錠」が必要だから。
道中で初めてその目的を聞き、驚愕するシャダ。罪の無い者の心を見ることは許されないと抵抗するのだけど…
「では聞くが…この先バクラのように国をも脅かす者が現れないと断言できるか…。再び王宮襲撃の悪夢が繰り返されたら…我々神官団の力で対抗できるか。」
シャダはその問いに答えられない。そしてこう続けるセト様。
「反乱分子は芽の出ぬ内に狩り出す。全てはファラオをお守りするためにな!」
…さらに、突然の神官団の登場に驚く町の者達を前にして、これ。
「(権力こそが世に平和をもたらす!)」 モノローグでよかった、と思いきや…
「わずかな民の犠牲など…王家の谷の石コロにすぎぬ…」
あああああああああああああああああ!!
怖いよーーーー!ていうか口に出ちゃってますセト様!そこもモノローグでお願いしたかった!!

魔物狩りを続けるセト様御一行。
途中、シャダは再びこの行為に対して異を唱えるのだが、セト様はまったくブレません。
「シャダよ…、王国の基盤を揺るがす元凶は、体制・権威に対する反逆者なのだ!そのような者の中から第二のバクラが現れぬとも限らない!我々はそれを阻止せねばならないのだ!」
…えーと…、この、忠誠は本物、ってことでいいんでしょうか…。
ファラオのやり方は間違ってる!とかではなくて、…王国を維持しようと思う気持ちは本物で、そのためには手段を選ばない+ファラオの意志に反する行為も厭わない、ということ…?でも普通、ファラオのためってことなら、ここまで逆らうようなこと(人狩りなんて聞いたらいくらあのファラオでも激昂するんじゃ…)は、ためらいそうなものだけど…。一種の「汚れ役」に徹するつもりなのでしょうか。てか、今後バレないはずがないと思うんですが、例えばこの作戦が上手くいって、国の平和も守られた際に…この件の責任を問われ、神官の立場を追われる可能性とかは考えないのでしょうか…??絶対そうならない自信があるのか…?
……それとも、ファラオ個人に忠誠を誓っているわけではなく、神官として「王国そのもの」へ絶対の忠誠を誓ってるから、トップとしての存在が最重要と理解しつつも、個人としてのファラオの考えなどは意に介さないということ??ううむ……。


まあ、一旦それは置いといて…
ついに、ついにここで……運命の!!出会いですーーー!!(盛り上がってまいりました!)
キサラーーーーー!!待ってたよ!!(20巻て!どんだけ長かったのか…)
ちなみに私、1巻の感想で早くもキサラの名前を口走るという愚行を犯しておりますが(最低だな…)、実際キサラがどういう人で、どういう経緯で社長の嫁となるのか全く知らずにここまで来たので、出た瞬間はホント、心の中で万歳三唱でした!(……)
てか、結構…悲惨な出会い方なんですね……。

町の中で、何人もの住民に石を投げられている一人の少女。
相当衰弱していて、水を一杯欲しいと頼んだようなのだけど…肌の色と目の色(青!)が異なるという理由で、不吉だと、不幸を招くと非難され…石を投げられている。…ファラオの名前を見つけるためにこの世界にやってきた表遊戯と仲間達はその様子を見て慌てて止めようとするが、彼らはこの世界の人間には姿も見えず、その声も聞こえないため、それができない。
そこに現れたのが…セト様!
一見して「(海馬~~!?)」と反応してくれる皆さんありがとうありがとう。さらに表ちゃんはちゃんと「……くん」って付け足してくれてます。ありがとう!

ボロボロの姿で、地面に倒れているキサラを見下ろすセト様。
水を与えてやるように兵に命じるその心理が気になる。…一応女性には優しくするのか?それともセト様は肌の色や目の色で差別したりしないってことなのか?
しかし次の、民への怒り顔でのセリフが…
「肌の色ごときで弱者に石を投げつけるなら…本当の身分の差というものを貴様らの肉体に刻みつけてやろうか!!」
セト様は肌の色や目の色で差別はしませんが身分で差別はきっちりするそうです!
そこらの民には容赦なく石投げそうです!弱い者いじめしてたから石の量も3倍にしたりしそうです!!怖ぇえええ!!
…今までも結構ひどいセリフはありましたが、なにげにこれが最高にひどいんじゃ…。でも表ちゃん達がこれ聞いて「(いいぞ!海馬に似た人!!)」とか盛り上がっているのを見ると、もしかしたら単に脅しのセリフなのかも。もしくは照れ隠し(ええええ)。

衰弱したキサラを介抱してやるように兵に命じるセト様。
そこで千年錠が反応する。キサラの持つ、計り知れない魔力。そしてシャダに…その身に宿す精霊、白き龍の姿を見せる……。驚くセト様。
探していた、戦力になり得る人材の発見…。
セト様は彼女を、…他の捕えた者達と同じ囚人棟には入れず、離宮の部屋を与えろと命じる。十分な静養ができるように、と。そしてこの事はファラオには伝えるなと。


その夜。町では…やはり生きていた盗賊王バクラが動き始める。
…石版の神殿にて、アクナディンさんに「魔物狩り」の成果を報告するセト様。今日だけで二十人ほどの人間を捕えてきた、という報告に、…衝撃を受けるアクナディンさん。
「セト…今からでも遅くはない…。その者たちを解放するのだ…!でなければ、我々も闇に踏み入ることになる…!罪は人の心に『恐れ』を生む…。『恐れ』は人を果てなき闇に誘うのだ!」
必死の訴えは、しかしセトには届かない。王権崩壊という「恐れ」を抱いていることは否定しないが、「神に匹敵する『精霊』」を見つけ出したことへの「期待」が「恐れ」を遥かに凌駕している。そして、その「期待」はアクナディンさんも確かに持ってしまっていて、…結果的にセトを止めることはできない。
セトが去った後、膝をつくアクナディンさん。
「(私の『恐れ』を増幅させる…これも千年眼の闇の誘いなのか…。セトよ…お前は私と同じ過ちを犯そうとしている…!)」
「(……、息子よ…。)」

息子ォ!?
え、だって…セト様「アクナディン様」って呼んでたよね!?父親にそんなのって…えええええ!?

そして、そこにバクラがやって来る……。


石版の神殿を出て、セト様が向かったのは…隔離棟。キサラの容体を確認しに来たようです。
眠ったままのキサラをすぐ隣で見下ろしながら、モノローグで語りかける?セト様。
「(白き龍を宿す女よ…。
貴様の青き瞳をどれほどの悲しみに染めれば龍を天に解き放つのか…。)」

ぅええええええええええええええええええ!?
「(白き龍を必ずや我がしもべにする…。宿主の命を生贄に捧げようともな…。)」
いやああああああああああ!!もうやだぁ!この人!!


アクナディンvsバクラ。
数ある石版から魔物を召喚しながら応戦するアクナディンだけど…またパワーアップしているバクラとディアバウンドには敵わない…。
殺すのは簡単だと言うバクラ。でもそうしない。それだけでは収まらないと。
「貴様には今も聞こえるか…。盗賊村(クル・エルナ)の犠牲者の断末魔の叫びが…。オレ様はその村の…盗賊村の生き残りだ…。」
その言葉に衝撃を受けるアクナディン。
「さて、次はこの王国を血に染めるんだ…。貴様自身の手で…。
闇の支配者となってな…!」

響き渡る悲鳴。
…マハードから奪い、バクラのものとなった千年輪は、形あるものに所持者の念を封じ込めることができるアイテム。…千年眼に、バクラの邪念を吹き込めば…アクナディンは……。

王宮から逃げるバクラを追う兵士。神官達。そして…ファラオ。
ディアバウンドを使って兵士達をなぎ倒しながら逃げようとするバクラに対し、オシリスを呼び出し、自ら先頭に立って追いかけるファラオ。
神であるオシリスの力は圧倒的だが、ディアバウンドは新たな能力を身につけている上に、途中バクラは町の人々を巻き込もうとする。人々をかばいながらでは存分に闘うこともできない…!
オシリスもやられてしまい、民を攻撃すると脅され、バクラの要求通り千年錘を差し出そうとするファラオ。…それは最後の賭けだった。闇に姿を隠しているディアバウンドをおびきよせるための。しかしバクラに奇襲をかけたオシリスは攻撃することができない。ディアバウンドは…空中ではなく、ファラオをすぐに攻撃できる位置に隠れていたから。
バクラの「ムウト(死ね)…。」の言葉に合わせて、攻撃するディアバウンド。
やられる!と思った瞬間……ディアバウンドの腕がちぎれて飛ぶ。
そこにいたのは…剣を構えた、セトの精霊・デュオス!
間髪入れずそこにやってきたのは…神官団!!
おおおおおお!!かっこいいいいいいい!!

(馬とか真剣に描いたの初めてです。あんまりよく見ないでください…つかうっかりセト様より時間かかるとこでした…)
こことか!この次のコマの、セト様の真剣な顔のアップでの「(ファラオ!)」とか…めちゃくちゃかっこいいし、…すごく真面目な「神官」って感じです…。なんだろうこのギャップは。…いやこれギャップじゃないのか?セト様にしたらずっと同じな「自分自身」なのか?むしろすごーく自分に素直な人なのか?(えー)

力を合わせてディアバウンドに挑む神官達とファラオ。
もう体力の限界であるはずのファラオは、なんと神・オシリスを囮として、セトのデュオスに攻撃させる…が、その攻撃もディアバウンドには届かない。もう終わりかと思ったその時、…声が聞こえる。
「(遊戯!)」
振り返るとそこには……この世界の人間には姿が見えないはずの表遊戯と仲間達がいた。闘いの中ですでに力尽きたと思われたファラオの魂。でも…「相棒」は言う。
「(まだ君の魂の半分はボクの中にある…!)」
”希望の光を照らす太陽こそが、この世の闇を打ち消す。”
ファラオは三体目の神、ラーの翼神竜を召喚し、その炎はバクラとディアバウンドを焼き尽くした……。


その頃、王宮のアクナディンの元に謎の男がやってきていた。
…男は語る。自分はアクナディン自身であると。闇と契約して姿を変えたのだと。
驚き、もちろん信じられない様子のアクナディンだが、「闇の大神官」となるのはは過去の(目の前のアクナディンにとっては未来の)真実だと…そして真実であって真実ではないのは、今のこの世界なんだと言う。
ここは、ファラオだけの記憶の世界ではなく…この「闇の大神官」とファラオの二人の記憶の世界であるらしい。過去に、ファラオと大神官は闘い……最後にファラオは自分の魂もろとも千年錘の中に大神官の魂を封じ込め、それを砕いた。この世界は千年錘の中の世界であり……大神官の目的は、この世界を自らの記憶で支配して、現世に復活を果たすこと…。

先ほど、この世界では…ファラオが現代の表遊戯たちとの接触により力を取り戻し、バクラを倒した。それは過去の真実とは異なるもの。闇の大神官…ゾーク・ネクロファデスは、ファラオ達の前に現れ、…自らの目的のため、特殊能力を発動させる!
「記憶の巻き戻し」。時間が…逆行していく。ラーは消える。表遊戯達と引き離される。オシリスはディアバウンドにやられ、ファラオも大ダメージをくらう…。

そんなんアリかよ!!
…失礼しました。いやあ、ものすごい壮大な話になってまいりましたよ!!はしょるにはしょれんわ!(……)


(後半に続く)

遊戯王文庫版感想 19巻

2009-10-03 17:08:53 | 遊戯王☆感想文
遊戯王の文庫版、全22巻購入記念企画!
「全巻の感想書く!主に社長の行動とセリフに注目!
ちなみに書くまで次の巻開封禁止!」

☆古代編突入に伴い、注目の対象を「セト様」へとシフトしております。
☆この色は社長(セト様)のセリフ
☆社長(セト様)のことばっかりになるかもしれませんが許してください。社長大好きなんです。出てこなくたって大好きです。
☆アニメ(DM)はBC編まで視聴完了。ニコニコのエネコンMADでふつくしい社長に惚れて今に至る。
☆宝物はKCマグカップ。あと海馬ランドトートバックとKC名刺ケース。コスパ万歳!!
☆なんで普通に「セト『様』」って呼んじゃうんだろう。「社長」も敬称だから…?(そうか?)



**************************************


19巻!いよいよ、古代編突入です。
上にも書いてますが、私はアニメですでにBC編は視聴完了しておりました。でもまだドーマ編の途中…。アニメではその後にあたる「古代編」のストーリーはほとんど知らないのです。
どういう展開になるかまったく知らない状態で読み進めるのは、実にDEATH-Tのあった文庫版3巻以来!
…正直一回目は、カーやらパーやら全然理解できずにさらっと読んでしまって…素で「ちょっと…もう一回読み直そう」と思ってしまいました…。
全然知らないキャラ、全然知らない展開…新鮮でいいですね!!久々です、こういう感覚…(と言いつつ必死で読み返す私)。


とにかく感想を。
表紙がファラオと神官達!このセト様、やたら穏やかな表情なような…。
タロットは、前巻で社長と同じく出番終了したはずの闇マリク。まあ「太陽」だもんね。…かっこええなあ。でも解説読むと…これって千年ロッドを「差し出してる」の!?そっかあ…。


いきなり、若くてかっこいいじーちゃんが登場するのでびっくりしました。
過去話ですね。千年パズルを見つけた時の。タキシードかっこええ。
ファラオが現れ(?)、手を伸ばしてじーちゃんを助けようとするシーンは、かなりドキッとしました。顔はものすごく真剣なんですが、何か儚そうなイメージがあるのは、幻影っぽいからだけじゃない気がします。セリフのせいかな。
「(待ってたよ…。シモン…。)」
待ってた……。じーちゃんが来て、パズルを手にするのを……。
そして、彼の孫である遊戯が、パズルを完成させるのを……。


バトル・シティの戦いを経て、三枚の神のカードを手に入れた遊戯。
いよいよ闇様の記憶を求める旅が始まる…その前夜、何者かが部屋に侵入し、神のカードを奪って逃げた!必死で追いかける表ちゃん。その先には…
なんと、バクラが!!
「おい…!ファラオの記憶のありかを示すカード…それを守るのがてめえの役目じゃねえのか!!遊戯!!」
バクラが取り返してくれてた!!ボディーガードですかアンタ!あはははごめん、なんか笑っちゃうわ!!
相変わらず、…なんていうかマジメっていうか苦労人っていうか…いつか報われるといいですね。いや絶対報われないだろうけどさ(物語的に)。
黒コートかっこいいな~。どこから持ってきた!?とは思うけど。

「バクラ君…カードを取り戻してくれたことは、礼を言っておくよ…。ありがとう。」
表ちゃん!?社長の物言いが若干うつったんじゃ!?…ああでもあの方は「ありがとう」とは絶対言ってないわな。
まあ仕方ない。今までしたことを思えば、簡単に信用はできない。当然やね。
ペガサスから奪った(懐かしっ!)千年眼を遊戯に渡し、忠誠を誓うバクラ…。怪しすぎます!!でも、ようこんな、心にもないこと言えるよな~…。成仏したいとか…。がんばれバクラ。めっちゃ不審に思われてるけど。
とにかくバクラは、自分の目的のため、元気に任務を遂行中のようです。

翌日、仲間達と美術館へ行く日。
表ちゃんだけじゃなく、獏良もすっごいクマできてるのに思わず笑ってしまった。かわいそうになあ…宿主…。
美術館の入り口の前で、謎の男「ボバサ」が待っていた。シャーディーが持っていたはずの、残り二つの千年アイテムを持ち、闇様を、そして仲間達を、記憶の世界へと誘う……。
ただ、仲間達の中で…獏良だけが遊戯の心の迷宮に入ることを許されない。そう判断したのは千年秤。おそらくバクラの邪悪な心を感じ取り、傾いた…。
仕方なくその場を去る宿主。皆には見せなかったけど…走りながら泣いていた。……ここは本当に、か、かわいそう…。宿主はちっとも悪くないのに…。しかも理由もわからないまま…だなんて。
しかも、バクラは全然焦ってないし。遊戯の心の中にすでに自分の意識が「いる」かららしい…。や、宿主…。

そんな、現実世界の話を挟みつつ……物語は、三千年前の自身の記憶の世界に飛ばされた闇様…いや、「ファラオ」の視点で進みます。
気がついたら、どこだかわからない玉座にいて。周りにも知らない者ばかりで。
じーちゃんかと思った「側近」は「シモン」で。
そばに立つ六人の神官達は…それぞれ千年アイテムを所持していて……
そしてそして。
一番神官っぽくない奴が、どっかで見たような顔と名前と性格で!!

セト様ーーーーーーーーー!!
なんであなただけ名前そのまんまなんですかーーーー!?
てか…なぁにこの服ぅ!!模写で泣きそうになったのは久々です…。


王墓に侵入した罪人を、千年アイテムの力で裁く「王宮裁判」。
罪人の中に存在する魔物(カー)を抽出し、石板に封じ込める…。その「封じ込める」ということができるのが千年錫杖を持つ「神官セト」。
よくやった、と言われた後のセリフが…!
「ファラオには、少々退屈だったのでは…。いっそその罪人の八つ裂き刑でも披露致しますか」
ギャアアアアアアアアアア!!怖ええええええええ!!
神官の中でも位が高そうな…「アクナディン」さんに、罪人でも慈悲を与えることも神官の務めだろうって諭されても、
「偉大なる王眠りし場所は神の領域――、聖なる場所を暴く墓荒らしに憐れみなど不要――身を裂き、骨を砕き、死の制裁を与えるべきでは…」
怖いよ!罪人も超びびってるし!!なんでこの人神官なの!?
しかもこんな怖いこと言ってるのに、不敵に笑ってるし!!
…でも、ファラオに忠実なのは、一応間違いなさそう…。
「ファラオをお守りするのが我ら六神官の使命だ!現世も――来世を待つ王墓で眠りし時もな!」だってさ。

神官「アイシス」さんの千年タウクが、不穏な気配を察知。
…めっちゃイシズさんやぁ~。そもそも現代でも衣装があんな感じやったから違和感が全くない!後のメンバーは…「シモン」がじーちゃん、「シャダ」は多分シャーディー…で、「マハード」はブラマジだよね。…ん?

その不穏な気配の主は、盗賊王「バクラ」だった。…あ、ここにも名前そのまんまの人が。てか、じゃあ、バクラって本当にバクラだったのか。宿主の名前が「獏良」だから、便宜上そう名乗ってるのかと…思ってた…。闇様みたいに。
たくさんいるはずの衛兵をものともせず、堂々と、真正面から王の間にやってくるバクラ。
そして、それを迎える六神官…なのですが。

さすが!セト様一番前!腕組んで超偉そうだ!!
社長と一番違うのは、肌(腕)がおもっきし見えるデザインの服、でしょうか(あと帽子もやが)。筋肉質な生腕にドキドキします!てか普通に初めて描いたわ!
あと、こうやって並ぶと特徴的だけど…六神官の服って基本、白い布+金の装飾ってシンプルな感じやのに、なぜかセト様だけ青い布の部分がめちゃ多いんですよね。何故?地位の高さ…ってわけじゃなさそうだし。単なる好み??
…つか、私の模写じゃ他の誰の衣装も描いてないから比べようがないですねすみません…。是非、お買い上げいただき比べてみてください(←すでにお決まりのフレーズ)。

さっきの裁判にかけられていた罪人は、王墓に侵入した罪で捕らえられたけど…宝はなかったと言っていた。バクラが今、身にまとっているものこそ、そこにあったはずの宝。王墓に先に侵入していたのはこのバクラだった。そして…なんと、そこに葬られているはずの先代ファラオの…屍をも…引きずって持ってきていた……。7つの千年アイテムをよこせと言うバクラだが、もちろん六神官はそんな要求には応えない。先ほどのように、盗賊の内なる魔物を捕らえようとするが…その強大さに、さらにそれが「魔物」ではなく…悪しき心に宿すはずのない「精霊獣」であることに驚愕する…。千年錫杖の力でも石板に封じることができない。呼び出した精霊や魔物の力でも歯が立たない。

このバトルの間中、セト様が好戦的過ぎて何だか涙が…。ああ懐かしい…(えー)。
「フ…たかが盗賊ごときがこの六神官の前に立ちはだかるとはな。特別に、貴様の心臓を収めるカノーポスの壺を用意してやる。」 カノーポ…?なんかわからんけど怖ッ!
「安心しろ…。その前に我らが死の制裁を下してやる。」 安心できない…(←ベタ)。
「いや!こやつごとき私一人の力で十分!!」 力を集結させて戦うべきと言われかけてこれ。懐かしい…(またか)。
「(噛み砕け!!)」「(踏み潰せ!!)」 怖い。
「先代の偉大なるファラオの亡骸を踏み躙る蛮行!断じて許さん!!」 ここはすごくかっこいいんですが、もっと早く怒ってほしかった…。踏み躙ることだけがダメみたいじゃん!連れてくるのでも相当ダメじゃん!

途中、ファラオがバクラに「どけよ…。」って言って押しのけるシーン…。
軽く息が止まります…。
すごいよなー。精霊や魔物が飛び交う大乱闘の中、普通にバクラのとこまで歩いていったファラオ…。打ち捨てられている「父親」を助けるために……。

バクラは言った。千年アイテムを生み出したのは、この…アクナムカノン王だと。
闇遊戯としての記憶を持つこの若きファラオは困惑する。今まで、千年アイテムに宿る邪悪な意志と嫌というほど遭遇してきた。それを生み出したのが…自分の父親…?
亡骸を腕に抱えながら、目を閉じて、祈るように呼びかける。
「(父上…。真実を教えてほしい…。あなたが本当に千年アイテムを…。)」
答えはない。
「(オレには…父上の…ほんのわずかな記憶しかない…。だが…感じる…。亡骸から伝わってくる…ぬくもりを…。)」
その時、声が。
「(正義は神の名のもとにある……)」


バクラの精霊獣・ディアバウンドの強さは圧倒的で、神官達がまとめて向かっていっても倒せない…。
その時、ファラオが「オレが闘う!!」と、前に出る!
さっきの父の言葉を思い出し…神の名を呼ぶ。三幻神のひとつ「オベリスク」を…。
これはすごいことらしい。ファラオだから神が操れるってわけじゃなく…ここに立つ、今、闇様の記憶がある彼こそが「選ばれしファラオ」なんだって…。
神を前にしたバクラは、驚くものの…ひるみはしない。
千年アイテムは、自由と平和を願う父の遺志がこめられている、というファラオに笑わせるな、と…。善と悪を宿す両刃の剣だって…。
「そいつを所持するやつは用心しなけりゃならねぇ…なぜなら…千年アイテムはどんな人間の心にも巣くう『悪意』にたちどころに反応し、そいつを邪悪な世界に引きずり込むやっかいな代物だからな…。」 え……!?
「正義と悪の境界線なんざ、誰もわかりゃあしねぇのさ!千年アイテム…そいつはそれを見極める…心の羅針盤よ!」
バクラ、やってることはむちゃくちゃなんだけど、言うことは一理あるような気がして…(なんか誰かさんみたいだな)、一体何があったのか知るのが怖い…。千年アイテムの誕生の秘密と、復讐…。
「現に王サマよぉ…、てめえのうしろに控えた正義面した六神官…。そん中にも王権を脅かす人間がいないとも限らねえぜ…。」
ちょ…ちょっと…す、すげー嫌な予感が!!
いや、すでに悪人面なセト様はこの場合対象外だよね?(←ひでえ)いやほんと勘弁してください…よ…?

神の一撃で、バクラは退散した。しかし彼はまたやってくるだろう…。
王宮を遠くに見ながら、一人不敵に笑う。
「…クク…、これが王権崩壊の序曲だ…。盗賊一匹が戦争をおっ始めてやるぜ!!楽しみにしてな…。」
こ、怖いけど…かっこええええええ!!フード?みたいなのかぶってないほうがかっこいいよ盗賊王!ざっくりした髪型がまた…。
でも怖い…。王権崩壊って……。

その夜。石版の神殿で二人話をするセト様とアクナディン…さん。
バクラの魔物があれほどに強かったのは、憎しみの大きさゆえだと話すアクナディン。彼は知っているらしい。バクラが言ってた「クル・エルナ村」のことも、大邪神との闇の契約のことも…それが全て真実であることを。その上で、決して奴に千年アイテムを渡してはいけない、と…。
それを聞いたセト様。すごい提案してます。
「町に住む人間の中にはまだ潜在的に魔物を宿した者がいるはず。素養を持ち合わせた人間を捕え…我々の手によってその者の宿す魔物を強力な兵器として開発するのです!」 …は、はあああああ!?
「ククク…魔物が憎しみによって力を得られるならば…権力によってその者に究極の苦痛を与えればよいだけのこと…。」 おいいいいいい!!何言ってんのおおお!?
さすがに止めるアクナディン。ファラオが許すはずないって。そらそうだよ!!
「世の平和を支えているのは、現人神としての王の絶対権力に他ならない…。しかし時に我ら神官がファラオの影となり、闇の権力で王宮を守ることも必要なのでは。」 ひいいいいいい!一見もっともらしいけどさ!怖いよーーー!!
「いずれはあなたのお望み通り…神をも越える魔物をこの手で創造して見せましょう。」 なっ!…オベリスクにやたら反応してたのは、あれか。こういうのより強いものをっていう目標、みたいな…。なかったら自分で創っちゃうセト様マジ最高!神の力に追いつくために科学…はまだないので、闇の力で頑張るってすげえ!
…いや怖い!怖いわ…。


三日後。バクラ対策の一環で、神官同士が決闘(ディアハ)して訓練してるんだけど…ここでもむちゃくちゃしてますセト様!力で押し切ろうとするわ、フォローしてくれた味方の魔物攻撃して自分の精霊の攻撃力あげるわ…。
たまらず意見したカリムに対しても「フ…、戦は兵隊の数でも…口数の多さで競い合うものでもない…。」とか全然反省してねえ!一理あるように聞こえるのがまた腹立つ…(※私はセト様大好きです)(……)。
そこに一部始終を見ていたファラオが、力だけに頼る闘い方はよくない、みたいなことを静かに言う。仲間を傷つけるものじゃない、とも。
それに対して不敵に笑って「では力とは何なのか…恐れ多いのは承知しておりますが…是非ファラオにご指南頂きたい…。」って!あんたぁ!神官のくせに無礼すぎる!慇懃無礼という言葉がぴったり…あ、そういやセト様一応敬語なのね…。ああ、社長ボイスで聞きたいわ…。
無礼だと怒ったのは私だけじゃなくシモンもで…でもファラオはセトからの決闘の挑戦を受ける。精霊獣デュオスを召還したセトに対し、ファラオが石版から呼んだ魔物は…「クリボー」!!
「(く…私を愚弄する気か!)」 あ~……。ていうか愚弄って…ファラオですよ、相手…。
石版から召還される前に、石版ごと力で粉砕したセト。しかし…粉々になった石版の数だけ魔物が分裂。その状態で召還!デュオスの剣が封じられ、使えなくなる…!
「な!『力』ってもろいだろ!」
「く……!」
社長があんなにもクリボーを嫌っていた理由。それは三千年前からの因縁が原因であった…(えー)。

次のお話では…マハードが「ブラックマジシャン」になる、一つの事件が。
バクラを新しく作った偽の王墓に誘い込み、自ら刺し違えてでも倒すつもりだったんだけど…バクラの精霊獣はまた進化していて…。
うう……その忠誠心…お見事でした。
「(ファラオよ 我が魂は 永遠のしもべなり)」
マハードの…いや、「ブラックマジシャン」の姿が浮かび上がった石版を見つめるファラオが…泣ける。



さて、遊戯の心の中で…真実の扉を探す表ちゃんと仲間達。どれくらいそこにいて探し続けているのかわからないけど…まだ見つからない。
ふと、表ちゃんが一つの扉に近づく。胸が苦しくなるって。
そこに広がっていた光景は…
「遊戯!貴様のカードで俺の首を掻き切れ!!」

出たよ……。(←素直にうれしいって言えよ)
攻撃しようとする闇様に…それが記憶の映像であるにもかかわらず、涙を流さんばかりの勢いで止めようと叫ぶ表ちゃん。うう…。城之内が思いっきりドアを閉めるのがまた…。
「あの闘いは、もう一人のボクにとって…苛酷なものだった…。この扉には…過去の辛い思い出が封印されているんだ…。」 社長!かなり印象的だったみたいですよ!よかったですね……って全然よくねーよ!!(一人ノリツッコミ)
この後の城之内がまた、すごくいい…。「ケッ!見損なったぜ!いつまでも過去の苦しみを忘れられねーなんてよお!んなもん乗り越えて強くなりやがれ!!」とか本気で怒って扉を蹴っ飛ばすんだけど…
「何のためにオレ達…仲間がいると思ってんだ…。バカヤローが…。」って…。
くそぉ…かっこええ……!!
「いつかオレの心ン中を見せてやるぜ!広くて明るくて元気な心をなあ!」もかわいい。是非見たいです…。

この出来事を経て、表ちゃんが何かに気づく。試されているのは、自分達の心…。
真の目的を心に強く念じて、見えるけど見えない扉を、開く…!

扉の先に広がるのは、古代エジプトの…闇遊戯の記憶の世界。
勢いよくその世界に飛び込む仲間達!
…怖がって、結局ボバサに抱えられてダイブしてる城之内…。最後までとことんオイシイな…!
あと背後にはバクラ!!怖ェ!!

さあどうなるのやら!!
行きますよーーーー!!ついに次は20巻!!

遊戯王文庫版感想 18巻(急)

2009-09-08 22:01:43 | 遊戯王☆感想文
さて、ようやく18巻感想です。
まず表紙!いきなり泣きかけた…!
社長が、皆と一緒にいる…!いいなあ、すごくいいなあこの表紙…!一番好きかも。
モクバかわいいし…。イシュタール家が後ろで見守っているかのようなのもいいし…。ところでこれ、獏良は…何をしていらっしゃるんでしょうか…。
タロットは闇マリ。彼も今巻が登場最終巻ですね。かっこいいなこれ。


17巻は、な、なんだってー!ってとこで終わったので、その続き。
冒頭、あの石板に書かれていると思われる詩が。
「あの石板は王と対峙する神官――その者が世に残したもの…。友の詩を記した死者への祈り(ペレト・ケルトゥ)。」
『遥か魂の交差する場所に我を導け』で終わっているその詩。ここではまだ正確に意味はわからないけど、その最後の部分の想いを、現実にするために…書き手はこれを残したんでしょう…。
しかし、それを受け取るべき人物は相変わらず聞き入れようとはせず…。
でもイシズさん強い。全然くじけない。
「心と向かい合うのです…瀬人…。あなたが築いたこの決闘塔こそ…魂の交差する場所。あなた自身、魂が築いた…闘いの聖域(サンクチュアリ)…。」
しかしその冷静な態度が逆効果だった!?社長、とうとう声を荒げ、「ならばその聖域とやらを海に沈めてやるまで…!」と。モクバに装置を作動させるようにどなる!でも…動かないモクバ。さらにどなる社長。
そしてモクバが次に、きっとものすごい勇気をもって言った言葉に、社長は大きな衝撃を…受ける…。
「兄サマ…!オレ達が背負わされた怒りや憎しみ…、そんなものに遊戯たちを巻き添えにする必要なんかないよ!」
モクバああああああああああ(涙)。
「オレ…あいつらに会って…最初は憎たらしくて大きらいだった…。でもペガサス島でオレのために必死で闘ってくれたんだ…。まるで仲間みたいに手をさしのべてくれた…。」
涙を浮かべ、そう言うモクバにマジで涙が止まらないんですが…この次の社長のセリフが……
「安心しろ…モクバ。奴らには飛行船を残しておいてやる…。」
そういう意味じゃねぇよバカぁあ!!
…ってモクバも言いたかったんじゃないかと思うんですが(え、だって違うよね?)モクバは私と違って優しく思いやりがあるため、こう言うのです。
「兄サマ…!約束して!決闘塔を海に沈めるのは、兄サマの憎しみを消し去ることだって…!」
ここで、…ずっと願いながらも、口には決して出さなかった思いを、ぶつけるモクバ。
「そして、昔の兄サマに戻って欲しいんだ…!!」
この言葉を聞いた、社長の衝撃はいかばかりだったんだろうか…。
ハンパないものであったということは、次のコマの表情で伺えます。
そして苦悩。
「(オレに…憎しみを捨てることなどできようか…。たとえ…この塔を海に沈めたとしても…。)」
ショックではあっただろうけど、モクバの言葉は心にダイレクトに届いてるらしい社長。あの最終戦でのしつこいガンコっぷりが嘘のようです。
…いや、敗北を経て、変わったんですよね!


別の部下を使って、起爆装置のスイッチを入れさせる社長。
まもなく決勝戦が始まる。でも、結果は見えている…と、やはりその場を去ろうとする社長。
もうひきとめることもしないイシズに、最後に皮肉を言うのだけど…イシズは、真剣な顔で…マリクを救えなかった時の覚悟はできている、と。
少し目を伏せたその表情から…全てを察する社長。
「(この女…、弟を救えなかったら…このアルカトラズと共に海のもくずとなる覚悟を…。)」
思い出す、昔の自分。ペガサス城での遊戯との決闘…。
「(あの時のオレのように…。)」

あれは間違った手段だった。
今ではそれを理解している社長は…、でもそのことには触れずに、先ほど自分が降りてきたエレベーターに戻る!驚くモクバとイシズ。
「おもしろい!これは確率20パーセントのゲーム!!」

ラーの能力を封じるたった一枚のカードを自分のデッキから抜いて、それを遊戯に渡すために、天空決闘場へと戻る時のモノローグ、熱いです!
「(遊戯は言った…。
『友の力がオレに勝利をもたらしたんだ!』

ならば、わずかばかりの可能性を秘めたこのカード!遊戯…貴様にたくしてやる!!)」

エレベーター到着。戻ってきた海馬の姿を見て、驚く闇様。
しかしまだ、何も言わない社長。モノローグだけが続く。
「(遊戯…貴様に奇跡を起こせるか!
…奇跡などない!!友の力などない!!)」

そして…「受けとれぇぇい、遊戯!!」
全力でカード投げた!前置き一切ナシで!!
驚きつつも、受け取る闇様。その姿を見て…再びモノローグ!
「(貴様の敗北はその証となる!!)」

せーの…
エエエエェェェェ(゜Д゜;)ェェェェエエエエ

素直じゃないってレベルじゃねーぞ!
すごいよね…もうホント…。好きですよ…社長(えー)。


しかし、渡すだけ。これがラーの特殊能力を封じるものだとかの説明は一切しない。しかも言うことといったら、皮肉に近いこんなセリフだけだったり。
「そのカードをデッキに入れるか入れまいかは貴様次第だ、遊戯…。そのカードがオレの仕掛けた罠だとしたら、命取りになる可能性もある。他人の力など足枷になることを貴様に知らしめるための罠…。ククク…。」
でも闇様は、そんな皮肉は軽く受け流して…そのカードを迷わずデッキに加える。
「海馬…オレは貴様を信じる!!そして…マリクを倒すぜ!!」
闇様、か、かっこええ…!
そして、海馬を信じてくれて…ありがとう…。本当にありがとう…。

そのまま、決勝戦が始まるのを見守りつつ交わされる、社長とイシズのやりとりがとてもいい。この二人って普通にめちゃ頭いいだろうから、普通に会話したらすごく興味深いものになりそうなのに、研究ジャンルが真反対な上に社長がアンチオカルト過ぎて…(笑)。
そうそう、ここで再び「ゾゾゾ」が見れるとは思ってなかった!懐かしいなオイ!


社長がたくしたキーカードは、ここで引かなければ負ける、という時に見事引き当てられる。
しかも…ドローしたそのカードを確認せず、リバースでセット。
そのカードが開かれて、まさにあのキーカードであったことを、その目で確認したときの社長の驚きようがすごい。でも闇様は驚いていない。まるで当然だと言うように。
「(カードに触れた瞬間、伝わってきたぜ!海馬、貴様の――魂の鼓動が!)」
ドローの瞬間伝わった、魂のクロス……。


ラーのさまざまな特殊能力、そして表のマリクの命を盾にされたことで、困難を極めた決闘だったけど…、最後はリシドの心からの訴えで生きる力を取り戻した、表マリクによるサレンダー(降伏)で、終わる。
遊戯の勝利。バトル・シティ…長かった闘いの頂点に立った。
マリクも…自身の闇に打ち勝った。神のカードを渡し、背中に刻まれた王の記憶の秘密も、千年アイテムも渡して……姉イシズと、リシドと共にイシュタール家として、新しく歩みだす…。
遊戯もまた、ようやくそろった三枚の神のカードを手に、記憶探しの旅を始める。
皆が歩みだす。城之内が決勝戦直前にそういえば言ってた。「決勝なんざ…通過点だぜ。」って。


そして、社長は。


バトル・シティの終幕宣言をして、この塔を爆破することを皆に伝え、早めに飛行船へ移動することをうながした後は……誰も行方を知らなかった。慌てて探す部下達の焦りなど全然知らない風で、どこかでモクバと一緒に、何かのパスワードを入力している社長。
窓の外のガレキを見ながら、一人、こうつぶやく。
「フン…海馬コーポレーションの軍需産業の残骸…それもこれで見納めだ…。
海馬剛三郎の怨念の象徴…。そのすべてが海の藻屑となる。」

そして、ここまでの闘いを振り返る。
「(遊戯…、オレはこの塔で貴様に敗北した…。あの闘いで奴は言った…。怒りと憎しみの先に勝利はないのだと…。)」
目を閉じ、少し微笑むように…
「(……。友の力…。フン…。)」
目の前で証明されたのだ、つい先ほど。
友の力は奇跡を起こして、闇の力に打ち勝つことができるんだと。
決して今まで認めなかったその力を、こんな落ち着いた感情で見つめることができるなんて。社長が一番信じられないのかもしれない。だから笑えてしまうのかもしれない。

「(遊戯…貴様は、千年アイテムと関わる者達と闇のゲームを闘い抜いてきた…。だがこのオレも、オレの心に巣くう剛三郎の怨念と闘って来たのだ…。それもまた闇のゲーム!)」
「(オレは奴の怨念に打ち勝つことができたのだろうか…。この塔を破壊したとしても…その先にオレを待つロード…。)」

胸のペンダントを見つめ、その中のモクバの写真を見つめる。
「(遠いあの日…モクバと誓い合った夢……。)」
回想。孤児院の砂場で、大きな砂の遊園地を完成させた幼い瀬人とモクバ。
「モクバ!兄さんの夢はな、世界中に遊園地を作ることなんだ…!」
笑顔で夢を語る瀬人。
「こんな砂の遊園地じゃないぞ。この施設にいるような、親のいない子供はタダで遊べる遊園地だ!」
「そうしたらみんなも遊べるね!」
「ああ!」
回想終わり。社長はまだ手の中の写真を見つめている。
…顔を上げる。
「(オレの心もまた、このアルカトラズのように瓦礫に埋もれていたのかも知れない…。)」
「(瓦礫の底に眠る…オレのロード…!)」

まっすぐに前を見つめる社長。ここのロードのルビは「夢」……。


278話。サブタイトル「それぞれの旅立ち!!」。
アルカトラズ爆破5分前、遊戯たちは、社長とモクバが行方不明であることを知る。必死で船内を探す皆。しかし見つからない。やむなく飛行船は離陸。
そしてとうとうアルカトラズ爆破!窓からそれを見ている皆だけど…そこに信じられない光景が!!

「わははははははは!!!」

敗北のショックで島と心中するつもりなのでは、とまで思われていたのに…本人余裕で戦闘機で脱出してました!!(ていうか嫁ジェットじゃない!!アニメスタッフGJ!)この戦闘機のデザインもかなりアレですが!!ていうかもう…バカだなあ本当に~~!もうばかばかばか!大好き!!(えー)
「フン!海馬コーポレーション総帥たるこのオレが飛行船ごときで帰還できるか!」 飛行船ごとき!?あれもあんたが作ったんでしょ!?ていうかあれで来たくせに!!
「どーだ、すげーだろ!」いやそりゃすごいけどさあ…。モクバぁ…。
心配してた皆がかわいそうです。
しかしそんなこと全然気に留めず…窓から、沈んでいくアルカトラズを見て…
「(さらば…憎しみの塔…。)」って。穏やかな表情で…。

飛行船の上のステージに集まっていた皆の方に向き直る。
遊戯を見る。遊戯も社長を見てる。通信?で声は届くようだけど、何も言わない。
かわりにしゃべるのはモクバ。
「兄サマはなー、世界海馬ランド計画のためにこれから海を渡ってアメリカに行くんだぜい!」
なっ…今からもう行くとか、相変わらず行動力スゲー…ってレベルじゃねえ!もうむしろものすごくせっかちなのかも!(←?)
ていうか戦闘機でアメリカ行っちゃだめだよ!撃墜されちゃうよ!!

引き締めた、真剣な表情で遊戯を見て…でもやっぱり言葉にはしないんだけど…
「(遊戯!オレ達の闘いに終わりはない!)」と。
闇様も言葉にはしない。
「(海馬!)」
でもきっと伝わってる。十分に…。

そして…この表情。

こんなに穏やかな笑顔を見せてくれるなんて、思わなくて…
初見でめちゃ泣いてしまいました。
本当に、いい顔をしてる。ここまでいろんな表情を見てきたけど、そこからは到底思いつけないようないい顔。
トラウマに打ち勝って、本当の夢を思い出して、…そういう変化の全て、この笑顔にこめられてるように思える。最後までそれを遊戯たちに語ってはくれないけど…でも、伝わったんだろうなって信じられる。

…いつもムダに多い模写、今回はここだけです。
ここ以外、描きたいところが思いつかなかったから。18巻はもうこれだけでいいってすごく思ったから。
でもやっぱり…本当はもっといい顔をしてらっしゃいますので、是非買って見てみてください。泣いちゃいますぜ。



新たな夢に向かって旅立った社長。
寂しいけど…ここでお別れです。
今まで本当にありがとう。
あなたの強さ、そして見事な変化と成長を、絶対に忘れません。
あなたと、弟さんの夢のために…がんばってくださいね。
ずっと応援しています。


…あ、もちろん感想はまだ書きますよ!
ていうか書かないと次の巻開けれないので…。
それにほら、次からはきっとあの方が!!
全力で追っかけます!
行くぞーーーー!19巻!!
社長、大好きだーーーー!!今までありがとうーーー!!

遊戯王文庫版感想 18巻(破)

2009-09-07 20:01:03 | 遊戯王☆感想文
「『自己愛発言』からの海馬瀬人についての考察」
(17巻感想作成中に書いていたもののため、かぶっているところもあります)

社長は、自分のことが嫌いだったのかもしれない。
あんな人だから、自分大好き!に一見、見えるけど…。

遊戯の指摘した、「憎しみ」。それは他人だけでなく、自分にも向いていた?
そう考えると、あの自己愛発言もちょっとわかるような。
でも社長の環境は…剛三郎とか親族とか、100パーまわりのせいである。
それでも、きっかけはどうであれ…こういう手段しか取れなかった自分への憎しみが…、モクバに「家族」を与えられなかった自分への憎しみが…積み重なっていった。
「イカサマゲームなんかやらなければ…」
これはモクバの願いであって、本当の兄サマの願いでもあった?


「教えてやろう遊戯…。人間が何故闘うのか!何故勝利をつかみたいのか!それはすべて『自己愛』獲得のためなのだ!」
自分が嫌いだから信じることもできない。しかしそれでも自我崩壊せず、周りへの憎しみへと変えて生きてきた。闘って勝つ、という「結果」だけが自分で自分を認められるもので…だから勝利にこだわっていた。この発言は一般論じゃなくて、経験談であったのかもしれない…。
怒りと憎しみを糧にして、…それにつぶされないようにまた新しい最強の称号を、勝利を求めて…。あの闘いで負けなければ、闇様の言う通りの未来になってしまっていたのだろう。




…唐突に、「炉心融解」について。
日記としても書き残してますけども、17巻感想を書いてるときにこの曲を初めてちゃんと聴いて、大きな衝撃を受けました。ニコニコでは超有名な曲です。いろんな意味で。

とりあえず…まあ一度は聴いて欲しい。
コメントは消したほうが美麗なPVも歌詞もよく見えていい感じです。右下クリックで消えます。
【鏡音リン】炉心融解【オリジナル】


この曲を聴くたびに、びっくりするほど泣いてしまうようになってしまった理由は…、何度も聴いているうちに、歌詞が社長のことにダブって聴こえてきてしまったから。
「君の首を絞める夢を見た
光の溢れる昼下がり
君の細い喉が跳ねるのを
泣き出しそうな眼で見ていた」

あの映像…あの、首絞めてるとこ…社長が、子瀬人の首を絞めてる映像が見えてしまう。あの綺麗な青い瞳を細めて、全力で、昔の自分を殺して、…闘って生きてきた社長が見えてしまう。

それが子瀬人なら、社長はその手を緩めることは絶対ないだろう。
だけど、いつのまにかモクバに変わっていたら…
子瀬人を、…本当の自分を殺し続けることは、モクバを傷つけることに他ならない。夢の中だから出てくる無意識。現実には絶対に出してはいけない…『気づいてはいけない』事実。
その手はもう止まらない。でもモクバはきっと、最後には笑うんだろう。

ドーマ編で(いきなりアニメの話ですみません)「救える!」と断言していた社長に…愚問だとは思うけど、聞きたい。
モクバを切り捨てようと思ったことはないですか…。
…ないですよね。でも、いっそ自分と一緒に…くらいは思ったことはあるかもしれない。
または、…強く、強く押さえつけていたからこそ、こういう夢は本当に見ていたかもしれない…。

「核融合炉にさ 
飛び込んでみたいと思う
真っ白に記憶 融かされて消える
核融合炉にさ
飛び込んでみたら また昔みたいに
眠れるような そんな気がして」


そんなことは絶対に思ってはいけない。
けど、全部忘れて…綺麗に消えてしまえたら、もう闘わなくてすむのなら…それはどんなに楽だろうか。
そんな思いを押さえつけるあまりの、あの態度なんだとしたら…と思うと、もう涙が止まりません(ていうかここまで全部私の妄想とか本当すみません…)(もちろん、社長がそんな女々しくて弱いわけないだろう!それお前だろ!っていう意見が大多数だろうなとは理解してます。でも、こういう可能性だってある、ということで!)。




遊戯との闘いでの、「理想とする家族像」発言…。
過去を憎む発言は、たっぷりあるけど…ここでの過去の具体的な話はモノローグのみ。しかも向かう先はモクバ。
自分の過去を他人に話す気はない、同情はいらない、わかっているのはモクバだけで、それでいい…ということ?
子供時代の口ぐせは、「いい暮らしをさせてやる」
施設から出て、新しい家族と…お金もたくさんあるところに見事行ったつもりだった…。だけど剛三郎が……。
今や二人は社長と副社長。超お金持ち。剛三郎すら、いない。
だけど、モクバに「家族」は与えてあげられなかった…。「(そこに理想とする家族像などなかった…)」のセリフは、そのことをまだ、悔やんでいるということなのかもしれない。
…そういや、剛三郎はなぜモクバには英才教育をしなかったんだろう?
瀬人だけに才能を見ていた?(イカサマするくらいだし)
いや、違う…。きっと、瀬人が守ってたんだよ。自分がやるからって、モクバを守ってたんだよ…(琥珀さんだよそれ…涙)。

モクバを守ることが、生きる力、闘う原動力になっていた社長。
…それを重荷に感じることもあったのでは?というのが上の…炉心融解の話あたりの考察なんですが、
重荷に感じていたのは、モクバだったかもしれない…というのが最後の考察。

あんな賢い子だから…自分さえいなければ、兄はもっと自由だったかもしれないと考えたことも一度や二度ではないと思う。それでも何もできない…兄に守ってもらうしかない、って理解してしまうのは…辛いだろうなあ。今、あんなにしっかりしているのは、必死の背伸びの結果なのかもと思うとまた泣きそうになってしまう。それでも兄がすごすぎて、全然追いつけないんだもんね。
社長はたとえモクバに何か言われたとしても、聞き入れることはないだろう。モクバを守ることが自分の使命だと信じているような感じだし…モクバもまたそれを理解して、あえて言わないようにするだろう。だから、「自分さえいなければ」みたいな考えをモクバが持っているかもしれないってことには、社長は永久に気づけなかったかもしれない。…きっと、そういう意味でもあの敗北には意味があったんだ。憎しみで本当の自分を傷つけ、消し去ってしまうことだけでも、とにかくやめてもらえたんだから。


それにしても闇様はすごいなあと…本当に思う。
私はかなりの時間を掛けて、妄想で回り道しつつも必死で色々考えて、ようやく社長の本質みたいなものを少し理解できたかなぁ…と思える程度なのに、あまり長くない時間を一緒に過ごしただけで社長のことをあそこまで見抜いて、救って…そして変えてくれたんだもの。すごい。
真剣勝負の中で向き合う、っていうのは、お互いにとってそれくらいに凝縮した、充実した時間なのかもしれないけど…それにしてもすごい。闇様が何者だったのか…これから読めるのがとても楽しみ(次を書いてからだけど…)。


さあ、それでは行きましょう。
ここまで本当に、本当に色々あった海馬くんの、…一つの「答」を見に。
その成長を、変化を、受け入れて…、
そして笑顔で見送るために。