【ロスヒューとフォクシーの会話イベントを考えてみる。】
(前回までのあらすじ)
フォクシーは「武人の塔」に参戦するため、クリューヌ城に呼ばれていた。クリューヌへ行く前日、怪しげな「教団員」を捕まえることに成功したフォクシー。父のエレミアがその旨をクリューヌ城に伝えたところ、「教団」の情報を全力で求めているクリューヌからは、「どうか連れて来て欲しい」という回答だった。フォクシーが一人で連れて行くのは危ないと心配するエレミアだったが、フォクシーはあっさりと大丈夫だと答えた。念のため、水属性の言霊を重ねがけして、ガチガチの氷付けにして発泡スチロールの大きなケースに放り込み、さらに保冷材もたんまりと入れておいたエレミアに、心配しすぎだと、フォクシーは笑うのだった…。
「おい、あの人じゃないか?」
ロスタムが指差す方向には、若い女性がいた。そこで待っているはずの人を探すように、きょろきょろと周りを見回している。
船から降りてくる人数は、決して少ないものではない。だが、その女性は明らかに「異質」で、目立っていた。その見事な美貌や、服装のせいだけではない。何よりも、その、荷物…
「なんだ、あれ。…まさか、あれが…」
「…で、それは…棺桶ですか?」
その女性が間違いなく我々の客人、「フォクシー嬢」ご本人だということを確認して…、簡単な挨拶をした後、ついそんな言葉が出てしまった。フォクシー嬢は恥ずかしそうに、父が心配性なもので…と笑った。近くで見るとまだまだ表情などは少女のそれなのだが、…そうなるとますますすごい構図だ。この少女が、人一人入った箱を引きずってこの大陸にやってきた、というのは。
この「棺桶」のままでは迎えの馬車に乗せることができないし、一応生きているかも確認するために、そいつを一旦出すことにした。…と、これはすごい。一体、何回重ねがけしたんだ。
意識を集中する。体の底の方からわきあがってくる力を、短い”言葉”に全て乗せきる。
…どうにかその一度で、「凍結」は解除できた。どうやらこの教団員も生きているらしい。
しばらくは動かなかったが、体全体への戒めがなくなったと見るや、逃げ出そうと暴れだした。ロスタムが押さえているから逃げることはできるはずもないのだが、なぜかその無様な姿に猛烈に腹が立ち、俺はそいつに近づき、言った。
「お前には山ほど聞きたいことがある。城まではおとなしく眠っていろ…!」
そして再び、意識を高め…。
ロスタムは、瀕死状態で意識を失った教団員をひょいと抱えて後ろの馬車に積み込んでから、我々の馬車に戻ってきて、そこでようやく、城へ向かって出発となった。
「お前が見張ってなくて大丈夫なのか?」
「見張りは2人乗ってるし、…大体、ヒューイに瀕死にされて目覚める奴なんていないだろ。」
まあそうだな、と納得してからふと正面の席のフォクシー嬢を見ると、…なんというか、ものすごく、「何か言いたそうな顔」をしていた。元々大きめの目が、一回り大きくなっている…。
「…驚かせてしまいましたか?」と聞くと、俺のその言葉に驚いたようで、一瞬飛び上がったけれど、さすがはあのエレミア家のフォクシー嬢。すぐに落ち着いた態度を取り戻し、話し始めた。
「さっきの言霊…、すごい威力ですね。驚きました!」
笑顔でそう言うフォクシー嬢に、すぐさまロスタムが
「それはもう!ヒューイはクリューヌ城唯一にして最強の言霊師ですからね!」
と返す。…唯一なら最強で当たり前じゃないか、と思うが、コイツはわざとこういう風に言っているわけではないことをわかっているので、黙っておく。
「あれ…でも、クリューヌ城って、確か…」
フォクシー嬢の疑問も当然だろう。言霊山との対立は、一般市民だって知っていることだ。
だが、あわてて後の言葉を飲み込んだ様子の彼女に、…俺もロスタムも何も言わなかった。
彼女は、「武人の塔」で共に戦う…俺達のメンバーの一人だ。東の大陸でも、その強さは有名らしい。
だが、武人の塔の詳しい話をしているうちに、彼女の顔から笑顔がどんどん減っていき、緊張の色が目立つようになってきた。そして、やっと、絞り出すようにして言った言葉が「なるべく足を引っ張らないように頑張ります」だった。…何か、噂に聞くのとずいぶん印象が違う。エレミアさんさえも持て余してしまうほど、強気で、勝気で、男勝りなお嬢様、じゃなかったのか…?そう思ってロスタムを見たら、ロスタムも同じように思っているようで、少し困ったように笑っていた。
自分の力量を正しく知るというのは、戦う者にとって大事なことだ。そういう意味では、…彼女は優秀なのだろう。…だが、今、ここまで萎縮してしまっているのは、先ほど自分が怒りにまかせて見せた、あの言霊が原因なのかもしれない。あれのせいで、「自分とは格が違う」と思い込んでしまったのかもしれない…。
多少責任を感じて、言葉を捜していると…ロスタムが話し始めた。
「フォクシーさん。我々があなたを『武人の塔』へ招いた本当の理由をお話しします。」
「『武人の塔』に出場するのは4人。フォクシーさんと、私と、ヒューイ、…そしてあと一人、名前をシオンといいます。…そうですね、多分、フォクシーさんと同じくらいの年だと思います。今回フォクシーさんをお呼びしたのは、このシオンのためなんです。…彼は、クリューヌ城の次の兵隊長の候補なのですが…少し、隊長となるには未熟な部分があるのです。剣の腕は申し分ないんですけどね。それだけでは、人の上に立つ事はできないでしょう…?フォクシーさんなら、おわかりになる部分もあるのでは…?」
ロスタムの話を真剣に聴いていた彼女は、そこでしっかりとうなづいた。その目には光が戻っている。
「シオンのその未熟な部分を鍛えるため、王と現隊長が話し合い、出した結論があなたを呼ぶことでした。あなたを含めた4人で協力して『武人の塔』を勝ち上がること…。あなたには失礼なことかもしれませんが…」
いえ、と首を振って、彼女はロスタムと俺を交互に見ながら話し始めた。
「失礼なんてことは…。父も言っておりました。広い世界のことを知るのは大事な事だと。世界の変わり目が近づいている今…、私は…もちろんこれからもオリアブの街を守るつもりですが、…私個人でできることはそんなに多くない…。きっと、本当に大変なことになれば、そちらの手もお借りすることになると思いますし…。それに、その…自分の限界をここで知るのもいい機会だと思っています。…あと、もちろん、もっともっと強くなるためにも。」
驚いた。驚きすぎて、少しの間言葉が出なかった。
その短い沈黙をごまかすように少し笑ってから、やっと息を吸った。
「……これはまた、随分としっかりしたお嬢様だ。…わかりました。フォクシーさん、一つ確認させて下さい。『…怖いですか?』」
「…?いえ、怖くは…ありません。」
「それはなにより。先ほど話したシオンとは、すぐに城で顔を合わせると思いますが…奴には、その強気な態度を見せていたほうがいいと思います。」
「…なぜですか?」
「…単純だからなあ…。」
「そのまんま受け取るよな。」
「はあ…。」
シオンの単純さを表すエピソードをお互いに2つ3つ脳内に走らせて、二人でぷっと吹き出す様子を、彼女はやや困惑気味に見ていた…。
「でも安心してくださいね。我々二人はさっきのフォクシーさんの言葉は決して忘れません。…いや、シオンに対しても、ずっと隠していろというわけではないんですが…。」
「なにしろ単純すぎるからな。」
そこまで聞いて、彼女はうれしそうに笑って、こう言った。
「まっすぐな人なんですね。会うのが楽しみです。」
「あなたも、まっすぐな人ですから、きっと仲良くなれますよ。年も近いし。」
「…なんだか似てるしな。」
彼女はまた、うれしそうに笑った。
さっきまでの緊張の面持ちはすっかりと掻き消え、「シオン」に会うのを、本当に楽しみにしている彼女を見ていて、ロスタムがしみじみと言った言葉は、俺が考えていたのと全く同じ言葉で。
少し笑った。
「…フォクシーさん。
これから、どうぞよろしく。
あなたが、シオンを変えてくれるかもしれない。
期待していますよ…。」
馬車は、もうすぐ城に着くだろう。
城には、あいつが待っているだろう。
…あいつは彼女を見て、なんて言うかな?
想像して、少し笑った。
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はいっ…お疲れ様でした!
ていうかもう朝!朝です!やっぱ無理だあー!小説風なんて無理ー!!バントロ日記もそれでなかなか進まないんだもーん!(それは言い訳だ)
だいたいあらすじ書き終わってから(あのあらすじもいきなりツッコミどころ!前回ってなんやねん!!)、「えーと…誰視点でいこう…」とか考えて、散々迷って「ヒューイで!」って…。今更考えるなそんなん!!
えと、冷静になろう。
こちらは、うちの死にかけハチャメチャサイトの旧メインコンテンツ(←ちょっと待て)…「ゲームのお部屋」のルドラの秘宝プレイ日記の下にひっそりあったルドラの考察コーナー、タイトル「ヒューイリングの行方」の、4です!
これ、今からサイトに載せる準備します。色とか忘れてるから時間かかるかもだけど!
なんで突然こんなんを書き出したかというと…えと、本家のweb拍手で、ルドラのプレイ日記の感想を送ってくださった方がいらっしゃいまして!あんな古くてやたら長くてしかも文章もややつたない…でもまだ読んで下さる方がいるんだ!と思うとうれしくて…。とりあえず私も全部読み返して(←何故)…、で、よく見たらこれが途中で投げっぱになってて…、この部分は一応構想としてはあったので(本当です信じて!)、今日、ちょっとがんばってみたのです!いえい!あかん眠くてめまいしてきた!
ああ、起きたら拍手の返信とあわせて、更新するんだ…。
いつぶりやねん…すみません。すみません。
真面目にこの小説もどきの解説。
この展開を考えたのは、……二つ。
シオンで始めると、フォクシーがいきなり慣れ慣れしいし、妙に自信家なのはなぜか?…っていうのと、
ロスヒュが、そもそもなんでシオンにフォクシーの相手を頼むのか……っていう疑問があったから。
1個目は、そういう子だから、で終わるかもだったけど…2つ目はちょっと考えたら、「シオンとフォクシーに共通点を見出した」とか?ならしっくりくるかなあ、と。
実際、画面外にロスヒュ+フォクシーの三人での時間は確実にあったんだから…そこでの会話で、ロスヒュにとってフォクシーが、シオンになんらかの「いい影響」を与える存在だってわかった、としたら…
という風に考えてたら、自信家(のようにふるまってる設定)までこじつけでできちゃいました☆
あかん、眠くてわけわかんないこと書いてる気がする。
書いてるときはそうでもなかったのに…終わったとたん眠気が…。うう。
この辺は直してアップしよう…。
おやすみなさい…。