「パティシエになりたーい!」ブログ。

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きみに読む物語(読書感想文)

2005-05-04 03:33:27 | 感想文
*ネタばれ注意!!*



「永遠に一人の女を愛する男 その愛が奇跡を起こす」
帯の言葉。
…そんなことって、本当にできるんだろうか。「永遠に一人の人を愛する」。わたしたちはいつもそれを望んでいるけれど、その思いに反して、一人の人は去っていき、違う人が目の前に現れる。去った人を愛し続けても、違う人を愛するのは止められないことなのに。
永遠に一人の人を愛するなんて、そんなことができるなら、奇跡くらい起こりそうにも思う。
むしろ、それ自体が奇跡……
いや、この考えは悲しいな。信じていないみたいだ、「永遠の愛」を。

ノアの、愛の奇跡の物語。アリーへの愛の物語。
中盤までは、ゆったりと流れる、壮大な自然を感じさせる話なのに、後半…いや、「今」に戻るとたくさんのことが立て続けに起こる。壮大な物語はあれで終わったのだ、ある意味。その幕切れは…?「物語の続き」である「現実」のどうしようもない重み。読むのが苦しかった。どうなるのかが予測できなかったから。…このまま、「幕切れ」なのだろうか?美しい物語のあとの現実を、最後まで見届けなければならないのだろうか?わたしたちの、人生と同じように?
読んでいる私達でさえ希望を捨てそうなその時、奇跡は起きる。
まだ、終わらない。手が動かなくなっても、体が動かなくなっても、記憶がなくなっていっても。
愛しているから、君を…


作品中には多くの詩が出てくる。詩を愛するノア、と、それを感じ取る芸術家のアリー。
アリーの詩の解釈はすごく共感した。「詩は分析されるために書かれるのではない。理屈抜きで人の心を元気づけるように、たとえ理解できなくても、人を感動させるように書かれるのだ。」これはノアの解釈とはまた違うけれど、それは当然。アリーが感動する詩は、「その詩を愛しているノア」が読むものなのだから。

原題は「The Notebook」。「これ」を書いたのがアリーの提案だとわかったときは感動した。せつないんだけど。それがわかる「最後の手紙」は本当にすばらしい。ノアに向けて、これまでのすべての感謝を。そしてこれから起こる最悪の事態を予測して必死に「愛してる」と伝える手紙。「この手紙をとっておいて、何度も読み返してくださるなら、今わたしが書いている言葉を信じて。」

この物語に本当に感動するには私はまだ若すぎる。何もかもが足りない。何十年も後でこれを読んだときに、感動で涙が流せるだろうか。流せるようになっていたい。「全身全霊を傾けて愛する」人がいるといい。そうしたら…

そうだね、きっと「それだけで十分」だ。


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