「テロ対策」の名のもとに、政府に反対する者を萎縮させ、監視する法案が「共謀罪法」です。短時間の審議で成立しようとする安倍政権に「ええかげんにして」と叫んでいます。
「平和がいちばん」4月号の1面です。
共謀罪」法案が国会に上程されましたが、まともな審議もせずまたもや強行成立の危険性があります。
「共謀罪」は「二人以上の者が犯罪を行おうと合意することによって成立する犯罪で、実際に行わなくても共謀した段階で検挙することができる」のです。政府は大規模テロの防止などを口実にしていますが、現行の刑法に「殺人予備罪」があり「共謀罪」は不要です。今回の新設は対象となる行為を限りなく拡大しようとするものです。私たちの「市民の会」は、法案のおおもとの「組織犯罪処罰法」でいう「団体」にあたるのでしょう。つまり「共同の目的を有する多数人の継続的結合体」で、市民団体や「○○に反対する会」も「団体」とされる可能性が強いのです。これは捜査機関や司法が勝手に決めることですので、運動する市民の側があずかり知らないことです。安倍首相は「市民団体が“一変して”テロ団体になりうる」旨の答弁をしました。この“一変”の判断も捜査当局です。
この法案は、戦前の「治安維持法」と同じ性格を持ちます。治安維持法は1941年に共産主義運動を防止するとして制定されましたが、やがて宗教団体、自由主義など政府を批判する言論や運動はすべて弾圧・粛清の対象とされました。この法律を安倍政権はどんな使い方をするのか。昨年6月参院選時、大分県で労働組合の建物の敷地に県警が監視カメラをこっそり設置していました。沖縄では新基地建設反対運動のリーダー山城さんの逮捕と150日にも及ぶ勾留は、立件も疑わしい微罪に対してなされました。「共謀罪」が成立すれば、現行法では明らかな違法捜査が合法とされ、警察などによる人権無視、憲法違反の強制捜査が日常的に行われることは予想に難くありません。基地や原発、産廃施設の周辺で見たり聞いたり写真を撮ることが「共謀罪」とされる可能性が高くなります。またその威嚇によって運動を委縮させることも法案の大きな狙いです。「共謀罪」法案は市民が却下しましょう。