ウィトラのつぶやき

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囲碁、井山六冠の特集番組

2013-04-21 18:28:52 | 囲碁

囲碁で井山裕太氏が史上初の6冠となった事をNHKの教育テレビで取り上げ、6つ目のタイトルの棋聖戦の勝負どころの感想を解説していた。番組は師匠である石井九段が「この手はプロでも驚いていたけど、どの辺りから考えていたの?」と聞いてそれに井山氏が答える形で棋聖戦挑戦手合いの勝負所を解説していた。囲碁の解説というよりは、プロでもほとんどの人が気が付いていなかったような点を、どういう気持ちで打っていたのかという人間性のようなものを引き出そうとする番組だったが、プロ同士の会話なのでかなり強い人でないとぴんと来なかったかも知れない。

私が感心したのは第5局で、黒ががっちり地を固めて白番の井山氏が攻めに行ったあたりで、私は井山氏が苦しい局面だと思っていたのだが本人は苦しいと思っていなかった点である。一見して黒字が多く、白は黒石を攻めることはできそうなのだが攻めてどこに地を作ればよいかが見えない局面で、相手の石を取ることもできそうになかった。しかし、井山氏は「互角以上」という感触を持っていたようである。それは攻められる黒石は捨てられないほど大きく、周りの白石にも弱みが無いからだった。こういうところの感覚は井山六冠と残る一つのタイトルを持っている山下名人に共通している感じがする。実際、その碁は白が上手く攻めて勝った。

番組の中で様々な人の井山評が出てきたが私が普段感じている「井山氏は江戸時代の本因坊秀策と似ている」と言った人は居なかった。本因坊秀策は「ヒカルの碁」でサイとして出てきた江戸時代の名人である(実在の人物)。囲碁の名人クラスは誰でも考え方が柔軟で構想力がある。構想を立てるのだが相手のいることなのでそれを邪魔してくる。そのときにプランBを用意しておいて邪魔するならプランB にする、という考え方が柔軟でかつ上手いのである。そして結果として相手を攻める形になることを好むあたりが秀策と似ていると思うのである。攻めは好きな名人クラスの人として過去に藤沢秀行とか大竹英雄とかいう人たちが居たが、こういう人たちよりも井山氏のほうに秀策との近さを感じる。

日本国内では無敵の井山氏も韓国、中国にはなかなか勝てない。彼が韓国、中国の棋士をどう感じているのかを聞いてくれるともっと良かったのだがそこが少し残念である。


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