ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

京大の入試問題漏えい事件に思う

2011-03-03 09:26:15 | 社会

京都大学の入試問題がインターネットに漏えいして、大きな騒ぎとなっている。リビアでは大量虐殺が起こっているのに政府も特に反応せず、マスコミもこちらの事件をはるかに大きく扱う日本は平和な国だな、と思う。

今回の問題はヤフーという一般サイトに投稿されたので問題が明らかになったが、実はこれは氷山の一角でSNSサイトや、メールなどで隠れてやり取りしているケースがもっとたくさんあるかもしれないと思う。

大学はこぞって、監視を強化して携帯電話を持ち込ませないとか、机の上に出してから袋に入れろとかやっているようだが、携帯電話を2台持ち込んでいれば一つは隠しておける。そのうち空港のような金属探知機を通させるとか、ボディチェックを行うとかを始めるかもしれない。携帯電話がつながらないような装置(雑音発生機)を試験会場に置くようなことも検討されているらしい。

私は、携帯電話を試験会場に持ち込ませないとか、使わせないとか、監視を強化するとかいうのはちょっと違うのではないかと思っている。こういうことをすればコストもかかるし、受験生も気持ちが良くない。むしろ使うことは規制しないがその内容をチェックする、というほうが現実的だと思う。試験時間中に携帯電話を使ったという記録が出ればその学生を呼び出して問いただす、試験時間中の通話記録は全て記録に残っていて、チェックされますよ、というほうが効果があるのではないかと思っている。大学が通信オペレータに対してそのような情報開示を求める。それを政府が許可する、というやり方が良いのではないか。理想的には試験会場に臨時の基地局を置いて会場からの通話は全てその基地局を通るようにする。そしてその通話記録は大学に開示される、というのが抑止力になるだろう。

そもそも、大部分の受験生にとっては、ネットに投稿するより自分で考えたほうが早いはずである。効果は少なく、しかもばれたら大きな懲罰が下る、そしてばれる可能性が高いとなればやる人はいなくなるのではないかと思う。今回の事件はばれたらどうなるかを世間に知らしめる意味で大きな効果があり、これだけでもかなりの抑止力になると思っている。ただ、問題が起きたから規制を強化する、という対策ばかりでなく問題を起こす意欲をなくさせる、という対策を考えてほしいものだと思う。

入学試験で不正が出るのは入学できると後が非常に有利になるからである。会社への入社もそうだか、日本をはじめアジアの国ではまだ仲間に入るところで絞り込んで一旦はいれば後は安泰、という文化が強い。色々なグループへの参加は簡単にできる、しかし参加を維持するには継続的な努力が必要だ、という方向に持っていくのが大きな意味での社会としての解決策だと思う。


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2 コメント

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入試の不正防止策 (世田谷の一隅)
2011-03-04 13:08:51
ウィトラさんの主張する「起こさせないための工夫」として、臨時の基地局、情報の開示なども別の意味の費用が掛かると思います。それをだれが負担するのか? も次の課題です。

大学共通入試の際だけ使用される機器に本部からの連絡用FAX、ヒアリング試験用の聴覚機材等があり、私の目から見ると、大変な非効率の費用に見えます。それらのHWを保守し、更に直前には動作試験までする工数を考えるとやはり本来は仕訳すべき業務だったように思います。

何かの無駄や非効率を廃止すべき為に、新たな非効率を導入するのであれば、そんなことを検討している人(=官僚、公務員)を削減する方がよほど費用効果が上がります。

基本は電子機器を一切持ち込ませないこと、これに尽きると思います。そして厳罰にすること。

一旦通れば、あとは楽園が待ち構えているのは、東アジア(中国、韓国、日本)の文化だから致し方ないですね。簡単に崩せません。「学歴」や「名刺」がものをいう社会ですから。それを「ご破算」にしたら、困る人の方が多いのでしょう。特に、日本の官僚機構がその典型です。最近の報道では、公務員のスト権を棚上げにして、給与を労使交渉で決める法令改正が検討されているとの事ですが、①人事院が不要になるわけではなく、相変わらず名前を変えて存続する。②スト権や解雇権が現在とあまり変わらない。 こんな状況では、労使の馴れ合いによる「お手盛り=ツケを税金で補填」が横行するのは目に見えています。 民主党(=労組の支援組織)が政権を持つと、段々公費増大の傾向にあるとはわかっているのですが、やはり、止められないのですね。

基本は、競争原理の導入、規制緩和しなかいと思います。それを進めるには、公務員の削減と表裏一体で、だから民主党や官公労が強く反対するのでしょう。(小泉さんの時代が懐かしいですね)
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負担最小も重要ですが、考え方も重要です (ウィトラ)
2011-03-06 10:29:07
負担の問題は重要です。現時点では臨時基地局はコストが高いかもしれませんが、数年たつと現実的なコストでできてくると思います。

ただ、法律改正を行って大学が入試時刻の通話記録をオペレータに求められる、とするだけでかなりの抑止効果があると思います。コストを意識するので実際に全て調査することは難しいでしょうから、どこかの大学でサンプル的にチェックを行えば始められるのではないかな、と思います。

こういう新しい動きは仮に合意が得られたとしても実施までに2-3年かかると思いますので、そのころには臨時基地局も現実味を帯びてくると思います。

私の念頭にあったのはドイツの地下鉄などの考え方です。ドイツなどでは、切符を買わなくても地下鉄などに乗れます。降りるときにもチェックなしです。ただし、ときどき検札に来て、そのときに有効な切符を持っていないと非常に高い罰金を取られます。

おそらく当局もこれでは不正乗車をする人はゼロにはならない、ということを認識していると思います。しかし、たとえ問題を根絶できなくても、大部分の人は真面目に切符を買っているし、その方がコストが安いのでこういうシステムを採用しているのだと思います。

日本ではむしろ逆に一人も逃すまいと技術開発を続けている感じがします。

暴力や、窃盗と違って、他の人に対する害があまりない問題に対しては、このようなドイツのような考え方をしても良いのではないかと思うのです。むしろそのほうが社会規範に対する意識は高まるのではないかとも思います。
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