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山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

前線って何物?.低気圧でないのになんで天気悪いの?:気象学超入門6

2023年03月16日 | お天気

◇前線とは

「前線」って戦争なんかでいう戦闘の先頭て意味ですよね.
では気象の世界では何の先頭なんでしょう.

一定の性質の空気(気団)の先頭.
つまり性質の異なる空気同士の境なのです。
そのようなは空気の流れが水平的に不連続になるので「不連続線」といいます.

前線は気象の変化を伴う規模の大きな不連続線です(前線にならない小さな不連続線もあります)
空気のは具体的には暖気と寒気の境界と思っていいです。

地球は主な熱源である太陽光線の入射量が緯度で異なるため
(太陽光の入射角度が緯度で異なるから),
赤道近辺では空気は地球の平均以上に暖められ,極域ではむしろ熱が逃げていきます.

だから緯度の違いで空気の温度差ができるのです.
いいかえれば南には暖気,北には寒気ができるのです.

その境目は北半球では北緯40°付近で、モロに日本(秋田県大潟村を通る)です.
日本は暖気軍と寒気軍がせめぎあう戦いの「前線」に位置しているのです(だから天気変化が大きい)。


◇前線の種類

前線には4種あります.

温暖前線:低気圧の前面にある.南からの暖気が寒気の上を昇っている,南軍が優勢の前線で低気圧の東側を北上していく.幅300kmくらい.巻雲から高層雲,乱層雲へと雲が厚く低下し,長い雨が降る.温暖前線通過後は気温が上がる。

寒冷前線:低気圧の後面にある.北軍が優勢で,北からの寒気が暖気の下に入り込んで,低気圧の西側を南下していく.幅10kmくらい.積乱雲があって強雨・強風がおきる.通過後は気温が下がる.

閉塞前線:寒冷前線が温暖前線に追いついて合体した前線.つまり北軍のゲリラ的侵攻がすばやく,南軍の大規模侵攻に背後から追いついてしまって前線が一つになった状態.これができると低気圧はこれ以上発達しない.地上では寒気同士がぶつかり暖気が押し上げられるので(気層が安定して),寒冷前線よりは悪天候でない.

停滞前線:暖気と寒気がぶつかっていはいるが,力が等しく膠着状態の前線.1つの低気圧より規模の大きい現象(ぶつかり合い)で、梅雨前線・秋雨前線など季節変化をもたらす。停滞前線の一部に回転の力が生じると,そこが温帯低気圧(渦)となる.つまり温帯低気圧とは,暖気と寒気がぶつかり合ってできた渦のことで,広い意味で温帯低気圧の方が前線の一部ともいえる.もう一度言うけど,熱帯低気圧は前線(寒気と暖気の衝突)とは無関係.

低気圧中心(L)から出る温暖前線(右)と寒冷前線(下).この状態の低気圧は発達期にある. 北から閉塞前線化している.低気圧中心から分離し,低気圧は衰弱していく. 低気圧に付属しない停滞前線.むしろ停滞前線上の折れた所(中央)に小さな低気圧(L)が発生する.

つまり,雨が降るのは「前線だから」,という場合の方が,われわれの住む温帯では多いわけ.


◇収束

前線とは何か,はもういいですね.
暖気と寒気などの異質な(気温差でなくてもよい)空気がぶつかるところ(接するのではなく,ぶつかる).
この空気がぶつかる現象を気象学では「収束」といいます(その反対は「発散」).

前線は収束線なのです(実は線でなく面積をもった帯なので、「収束帯」がふさわしい).

収束,すなわち空気のぶつかり合いとは,どんな現象でしょう.

典型的には風が向かい合って吹いていることですが、正面衝突だけでなく,側面でも,追突でもOK.

さて空気がぶつかるとどうなるでしょう。
参考書にはたいてい「ぶつかった空気は地面の下には行けないから上昇する」と書いてあります.
つまり上昇気流となるのです.

でも私はそう教わって疑問に感じました.
「確かに下には行けないだろうけど,上以外にも,右や左にも行けるんじゃないの?」って.
だって「圧力はすべての方向に等しくかかる」っていうパスカルの原理があるでしょ.
実際,予報士受験講習会の先生に上のように質問したのですが,明確な回答をもらえませんでした.
へんな疑問なんでしょうか.
あえてその質問をした理由は,収束帯があると,収束する空気の全てが上昇するのではなく,左右にも空気が流れる分だけ上昇量が減り,収束帯の左右の端では新たな収束が起きるのではと思ったからです.
いったいどうなのでしょう.

上昇流が生じるのは私も認めるわけだから,話を戻しましょう.

前線すなわち収束があれば上昇流はあるのだから,
その上に雲ができ,雨が降るのです.
低気圧があろうとなかろうと

降水←(厚い)雲←(厚い)上昇気流←空気の収束

ということです.

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