人類は、基本スペックとして120歳くらいまでは生き続けられる能力があるという。
そこまで到らずに斃れてしまう老化現象は、実は”慢性炎症”という病気と見なすことができ、すなわち治療の可能性がある。
その可能性の道を歩んでいるのが、アンチエイジング(抗加齢)医学である。
その分野の基本テキストが『アンチエイジング医学の基礎と臨床』(日本抗加齢医学会、専門医・指導士認定委員会編 2015 メジカルビュー)
医学の専門書だが、抗加齢医学の認定指導士の受験テキストでもある。
それだけに、エビデンス(科学的証拠)に基づくアンチエイジングの信頼できる情報源として、実に価値があった。
せっかくなので、これからその内容をシリーズで紹介する。
まずは、長寿にもっとも効果的なことは何か。
それは、カロリー制限である。
カロリーを70%に制限したマウスの寿命が伸びたという古典的な実験以来、 ほぼ例外なく動物実験では同じ結果となり(人体実験は不可)、そのメカニズムも判明してきた。
カロリー制限という一種の”ストレス”により、サーチュインという酵素が活性化され、抗酸化および細胞のアトポーシスが抑制され、炎症が抑制され、そして長寿遺伝子が発現されるという。
カロリー制限とは、動物が本来もっている飢餓ストレスに対する防御反応を活性化させるストレッサーに相当するのだ。
すなわち、これはホルミシス効果である。
ホルミシス効果とは、 低レベルのストレッサーに曝されることによって、発現する生体に有益な反応で、けっこう普遍的にみられる。
たとえば玉川温泉の北投石やラドン温泉ががんに効くという「放射線ホルミシス」が一番有名(厳密に言うと、前者は民間伝承で後者は医学的概念で必ずしも一致しない)。
放射線ホルミシスに納得しない人(ラドン温泉を忌避するはず)でも、運動という負荷(ストレス)が体を強くすることは否定すまい。
さて、具体的には、どの程度のカロリー制限をすればいいのかというと、BMIが22になるのが理想だという※。
この値が統計的に最も健康障害が少ないからだ。
今では、多機能のヘルスメーターでBMIを確認できる。
今の私はBMIが23なので、あと一踏ん張り必要だ。
まずはこれを目標にしよう。
※津金昌一郎『がんになる人 ならない人』(講談社)によると、日本人男性のデータではベストの BMI は 23-24.9で、 22の人より死亡率が低いという(日本人ではやせた人はかえって死亡率が上がる)。すると私は現状がベストなのか。