今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

私がMT車を買った理由

2016年01月13日 | 生活

(私がFIAT500Sを買った話の続き)
そもそもなぜ新車にあえてMT車を選んだか。

欧州ではMTが当り前なのだが、日本では車はATがデフォである。
そんな日本であえてMTを選ぶのは、よほどガンコな車好きかと思われるかもしれないが、私は、本来的に車好きではない。

移動手段で一番好きなのは”歩く”ことであり、その次は鉄道だ。

そもそも私が名古屋に来て、初めて自分の金で買った車が英国車のRover MINIだったのは、クルマに興味のない私でも、街で見かけると心惹かれ、ちっとも見飽きない車だからにすぎない。
つまり選択基準はあくまで素人目線なのだ。

そんな私だから、MT車に格別の思い入れがあるわけでなく、実際、「MTに乗るのが真のクルマ好きで、ATは素人向けだ」なんてまったく思っていない。

最初の車でMTを選んだ理由は、MT乗りはATを運転できるけど、AT乗りはMTを運転できなくなると思ったからだ。
つまり自分の能力を減退させることにデメリットを感じたから。
以来、この論理を踏襲しているが、現実的にはレンタカーなどATばかりなので、MT乗りであることのアドバンテージは少なくとも日本では無きに等しい。

ただ、ATには嫌な点がある。
AT車の方が事故につながるミスを犯しやすいと思う。

まず、AT車の停車時のクリープ現象がいやだ。
信号待ちしていてブレーキをしっかり踏み続けなくてはならない(最近のアイドリングストップ可能な車であればこの手間はなくなるだろう。バッテリーの消耗が進むが)。
何かの拍子に気が散って、足がおろそかになると前の車に追突してしまう。 

それと、AT車になるとギアをニュートラに戻す習慣がなくなるため、ギアを入れたままのミスが発生しやすい。
たとえば、停止線から前に出過ぎたためちょっとバックして信号待ちした場合、AT車はブレーキを踏み続けているからそれで停止できる。
そして青信号になったので、アクセルを踏む。
この時ギアがバックのままだったら、勢いよくバックして後続車と衝突する。
私自身、このミスをやらかして、慌てたことがある(幸い事故には至らず)。

それから、私はまったく経験ないが、時に死亡事故になっているアクセルとブレーキの踏み違え。
これもMT車なら自動的にエンストし、事故になることはない。
ということで、少なくとも発進時のミスによる事故はMTの方が少ないと思う。

 あと、メカ的には、MTの方がつねに最適なギアを選択でき、車体も幾分軽くなるため、実際に燃費がいい。
ただ、ギアやクラッチの摩耗がある点でメンテをふくめるとトントンか。 

MTでのデメリットはまずは坂道発進だが、FIAT500Sでは自動的にブレーキがかかるのでひとまず安心。
それから1速での半クラッチも加減が面倒かもしれない(失敗するとエンストする)。
あとギアにP(パーキング)がないため、傾斜地で駐車する場合はギアを1速またはバックに入れておかねばならない。
それを忘れて、始動時にニュートラに戻さずにエンジンをかけると、エンストする。
傾斜地でニュートラに入れたままサイドブレーキだけで駐車する場合、サイドブレーキが甘くなっていると車が勝手に動き出してしまうこともある(やったことあり)。
このミスはAT車にはない。

以上、MTは特に停車時に余計なことをする必要があるが、人間のミスが機械を介在することで重大化させない(エンストで終る)点で安全性は高いと思う。
それと、これは私だけの話だが、左利きの人間にとってはMTだと左手も左足もきちんと使えるのもいい。

MTの良さをいうなら、最適なギアを自分の意思で選択し駆動をコントロールしているという操作感の高さだ(ATを運転していた時でもDレンジのままではなく、低速ギアを多用していた。特に長い下り坂でシフトダウンしてエンジンブレーキを効かしての走行は必須。ただこの行為は「最適なギアを選ぶ」というMT的発想ができる人に限られるみたい。
ギアを選択するという発想のないAT専従者は、富士裾野などの長い下りでブレーキを踏みっ放しにしている。それが危険であることを知らずに)。
たとえばカメラの撮影をおまかせのオートのままはなく、絞りやホワイトバランスをマニュアルで設定する操作感と似ている。
といってもたかが公道上の運転なので、ギアの選択が芸術的である必要はなく、燃費が向上するのが楽しいくらいだが。

とはいっても、MT車は今後の”自動走行”化の流れとは正反対の”古いメカ”なのは確か。
もともと自分の足を使って歩くの好きな人間なので、車も手動で扱いたいだけなのかもしれない。