今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

文士の散歩

2007年08月16日 | 東京周辺
東京の西日暮里で39.1℃(日射を考慮した体感温度52℃)を記録した今日、岐阜県多治見市で埼玉の熊谷とともに40.9℃の日本記録を樹立した。
まずはおめでとう。
市民のみなさん、よく耐えました。
多治見は盆地で、唯一名古屋からの口(土岐川)が開いている。
南西の風だったので、たぶん、名古屋からのヒートアイランドの流入(熊谷などが暑い理由と同じ)の影響だな。
つまり今回の記録樹立は名古屋の協力のおかげだからね。

さて、原稿も一段した私は、酷暑の下、東京都北区の歴史の勉強に出発した。
さて出で立ちは、
黒に白糸柄の涼しげな単衣(ひとえ)の着物(浴衣じゃない)に、江戸紫の半襟をのぞかせ、
角帯の結びは町人風の「貝の口」ではなく、ハの字に下がった「浪人結び」(市川雷蔵の『眠り狂四郎』風)。
帯の左腰に鉄扇を差し込む(脇差の代わり)。
間違っても白足袋は履かず、素足に下駄(新選組風)。
このような首から下の侍仕立てに
頭には白いパナマ帽をすっぽりと被り、ぐっとハイカラ風に。
唯一の悔いは、メガネのフレームが丸眼鏡でないこと。

この姿で、まずは田端駅前の「田端文士村記念館」に入る。
館内にある芥川龍之介らの当時の写真を見ていると、見学者の私の姿と違和感ないではないか。
いやむしろ、この私こそ、大正時代の文士村からタイムスリップしてきた同人の一人と思われそう
でも、館内には他に見学者はいなかった。

次は、京浜東北で2駅先の王子。
ここもめったに来ない所なので、まずは昼食の店を探す。
この姿ゆえ、和食か蕎麦がふさわしいのだが(といっても立ち食いは×)
37℃を超えた正午過ぎには見当たらず、すこしは涼しげな音無川沿いの中華料理屋に入る。
メニューを見たら、目が「生ビール」の所から動かない。
仕方なしに、禁断の昼ビールを注文。
食事も餃子定食なので、ビールに合う!

更に気温が上がる外に出ると、ビールの恩恵も消滅。
でも着物の生地はお気に入りのポリエステルなので風を通し(浴衣生地の綿は暑い)、飛鳥山公園の日陰に入れば気持ちいい。
「渋沢栄一史料館」は工事中で入れず、「北区飛鳥山博物館」に入る。
さらっと見学した後、ここに来た主目的のミュージアムショップへ。
期待通り、都立中央図書館で見つけた『田端冨士三峰講調査報告書』が売っていた。
冨士講にも近所の神社にも興味がある私には、180ページにおよぶこの書が700円とは安すぎる。
その他に田端文士村関係の本を買い、資料室で論文をコピーした。
近所の史跡が専門家に詳しく解説されるのは、とてもうれしい。

でもちょっと気になることがある。
こういうのを研究する人は、若い院生でもいいけど、定年退職後の郷土史家であってほしい。
近所の歴史という近視眼的過去志向につかるのは、暇になった老人が趣味としてやるべきで、
若い人は、生産的・創造的な未来志向の仕事についてほしいから。