今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

自宅の災害危険度の事前確認:地震災害編

2021年08月18日 | 防災・安全

ここ2ヶ月の土砂災害(伊豆山、岡谷)でも分る通り、災害危険度は地域どころか家ごとに異なる。
したがって地域内を一緒くたにした自治体の防災には限界があり、最終的には各家ごとに”独自に”対策を立てる必要がある。
それが防災において言われる”自助”である。

当然、避難判断の基準も家ごとに異なる(自治体から「避難指示」が出ても、あなたの家は安全かもしれない)。
家族の命にかかわる一大事を他人任せにすべきではない。
そこでまずは災害危険度について自宅をチェックしてみよう。

自宅の災害危険度の事前確認について、目下のところ参照してほしい「気象災害編」はすでに記した。

ここでは1年間後回しになっていた地震災害について述べておく(本番が来る前に)。


●まず、地域レベルの災害危険度の把握として、「地震ハザードマップ」(居住自治体のサイトにリンクがある)で自宅周辺を確認する。
これは地盤(地質)の強弱による揺れの違いが表現されている。
あとネットの「地震ハザードカルテ」を利用して、自宅付近の地震被害の可能性も確認しておくとよいかも。


●次にそのカルテでも表現される地形に注目する。
地盤の強弱は地形で表現されるので、目で分らない地質よりも、一目で分る地形をチェックするとよい。
特に地盤が軟弱なのは、河川流域の平地(氾濫原)と河口の三角州(埋立地)で、揺れが大きいだけでなく液状化の危険もある。
液状化については、「液状化ハザードマップ」があればそれも確認する。
すると、川・海沿い以外の軟弱地盤も確認できる。
内陸にある沼沢地(しょうたくち)だ。 
沼沢地は埋立てて宅地開発されると見た目では分かりにくいが、地形的には窪地になっていて、地面の傾斜はもちろん、古い地名(○沼、○久保、大久手など)でも確認できる(地名は意図的に改変・統合されるため、古い地図で確認するとよい)。
その例→記事「武蔵小杉は沼地だった」


逆に地盤が固いのは山地だが、山地は土砂災害が発生する。
土砂災害は地震でも気象災害でもどちらでも発生するから一番注意が必要。
家の周囲の地形としては、周囲に崖などの「急傾斜地崩壊危険箇所」がないかを確認(↓のお勧めサイトから確認できる)。

海に近い所では、液状化以上に津波が怖い。
もちろん自治体サイトの「津波ハザードマップ」で確認(海無し県にはない)。
津波は純粋に標高で運命が分かれる。
海岸から離れていても標高が低いと津波が届く。
そういう場所では、避難先として高いビルが頼りだ。
以上は地域レベルのチェックで、地盤の強弱、液状化、土砂災害、津波の危険性を確認しておく。

お勧めサイト→国交省の「ハザードマップポータルサイト


●次にいよいよ自宅をチェックしよう。
まず建築年月がものをいう。
1981年6月以降に建てられた家は「震度7でも倒壊は免れる」が、5月以前に建てられた家は、震度6で倒壊するかも。
この境目で建築基準法の耐震基準が厳しい方向に改訂されたためだ。
実際、家の建築年代によって被害が異なることは熊本地震でも確認されている。

それに加えて、家屋構造でも耐震性は異なる。
たとえば、一階が駐車スペースなどの柱だけのピロティ構造になっている家は弱い。
また屋内に2階まで届く吹き抜けがあったり、一階に人が出入りできる大きな窓や開口部があると弱い。
逆にいえば、窓が小さく壁が多い家は強い。
ツーバイフォー工法は強い(なので地震保険料も安い)。
瓦屋根は弱い(屋根瓦は気象防災用で、地震には逆効果なので、江戸時代には使用を禁止した藩もあった)。
地上階が地震のエネルギーを直接受けるから、建築物は下層がしっかりして上層が軽い構造がベスト。
逆に下層がスカスカで上層が重いと倒壊しやすい。
以上をもとに家全体の揺れに対する強さを評価。

さらに室内で家具が倒れやすいかもチェック。
補強工事をすればなんとかなるが、箪笥や本棚の収納は、下に重く上に軽くして重心を下げること。
仮に倒れても、就寝中の頭を守れる位置であること。
以上で各室内の危険度をチェックすれば、地震が来たら、そこから逃げた方がいい空間と、そこに逃げた方がいい空間が分る。


避難は、地震の場合、事後となるが、まず津波襲来の危険の有無が避難のタイミングを左右する。
タイミングは大雨の最中の気象災害よりも難しくないはずだが、東日本大震災の死者の9割が、地震の30分後に来た津波によることを考えると、余裕がありすぎるのもかえって怖い。
津波の危険がなく、家が頑丈で倒壊の危険がなくても、ライフラインの破壊や火災の延焼などで避難した方がいい場合がある。

避難場所への避難路を事前に確認しておく。
当然ながら避難路は距離の短さでなく、安全性で選ぶ。
まず避難路は海から離れていること(高台を経由する)。

木造家屋が密集している所は、火災が発生する虞(おそれ)があるので避ける。
道沿いに古いブロック塀や瓦屋根、崩れそうな「急傾斜地崩壊危険箇所」がないこと。
以上の判断基準は気象災害と異なる。
ということは、避難先が同じ場所でも、気象災害(大雨の最中)と地震災害(事後で余震と二次災害が発生)とでは危険要因が異なるため、安全な避難ルートも異なることになる。
すなわち2通りの避難路を実地によって確定しておく。

以上、読者のみなさんは、これを読んで終りにせず、上の確認を実行してほしい。



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