今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

通園バスの中の園児を置き忘れない方法

2022年09月08日 | 防災・安全

登園中の園児をバス車内に忘れ、死亡させるという、起こしてはならない人為ミスがまたしても起きてしまった。
たった3歳の身で灼熱の車内で一人で苦しんでいった状況を思うと、それだけで許せない気持ちになる。

これは明らかに、下記の園側がやるべき事を怠ったがための、すなわち業務上過失致死による。

①送迎バスに乗っている大人によるタブルチェックが、”たまたま”臨時の”安全確認に不慣れな”職員(理事長を含む)が担当した事で、2人の間でシングルチェックを互いに暗黙の間に押しつける(自分がやらなくても、相手の方が、慣れている・上司だからやってくれるもの)という最悪レベルの業務意識状態になった。
※:ダブルチェックですら完璧でないことは、学校関係者なら、入試での出題ミスが0にならない事実で痛感している。
②さらに園児が降りた後の座席のアルコール消毒を怠った(実行していれば①があっても発見できた)。
③個別登録すべき登園管理の一括登録(点呼の不作為)。
④登園しているはずの園児が現実にいない事実に対しての無策。

①〜④のどれかが起きても、他のどれか1つでもきちんとなされていれば、少なくとも園児は死なずに済んだ。
すなわち、通常実行すべきことの複数の業務怠慢の連続によって、本来防げたはずの最悪の事態を招いてしまった。

園側に言われせれば、当日朝の運転手確保ができなかったため、臨時に理事長(兼園長)が代行せざるを得なかったということだが、逆に園側の最高責任者が担当するのだから、守るべき業務について知らなかったという言い訳は通用しない。

結局、職務怠慢という、人間的要素が原因である。
守らなくても実害がなかったという経験があると、どんどん手順が(勝手に)省略されていくのは人間が本来持っている、”習熟”というシステム2のシステム1化(自動化)の性向による(上層部からしてこの態度であれば、職場全体がそうなる)

この性向は人間行動の根源的要素であるため(誰に対しても例外なく作動する)、これに抵抗する(馴れても省略させない)には、強制的なシステムが必要である。
※:なので他人事ではなく、我が身に置き換えてみるべき。
もちろん法的義務化がその第一歩だが、この力は現場では強制力としては必ずしも作動しない。

アメリカのスクールバスでは、生徒が降りた後、バス内にアラーム音がなり、運転手がバス最後尾のスイッチを押しに行かないと止まらない仕組みにしているという。
すなわち強制的にバスの座席を往復で視認(視野の中に入る)をさせる、メカニックに搭載されたシステムだ。

このように法的にではなく、行動的に強制するシステムでないと、人間はいとも簡単にスルーしてしまう(この発想には行動科学が必要で、学問が社会と連携している羨ましい実例だ)。

すなわち、ダブルチェックなどの現場で省略できる行動を”法的に”強化するだけでは、再発を防げない。
②のように行動そのものが省略可能な場合はもとより、③のように情報入力レベルの行動でも、組織的に省略可能である(ことが実証されてしまった)。

もっともここのように箍(たが)が緩んでいる所は、アラーム装置を解除してしまう可能性すらありそうだが。


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