goo blog サービス終了のお知らせ 

博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『書写歴史』その2

2009年11月08日 | 中国学書籍
朱淵清『書写歴史』(上海古籍出版、2009年7月)

先月からぼちぼちと読んでいた本書ですが、やっとこさ読了。内容は中国古史研究者の朱淵清による史学概論なのですが、何かもう色々と失望した(-_-;) 

各所で疑古派に対して批判的なコメントをしている割には、「鬼神を敬してこれを遠ざく」と言わんばかりに李学勤の『走出疑古時代』についてはノーコメント。『走出疑古時代』刊行以来の信古的な風潮に対してもノーコメント。

このあたりは賛否どちらにせよ、疑古派について触れる限りは避けて通ってはいかん所だと思うのですが…… 著者からすれば、そういうことは今更李学勤に遠慮する必要のない老大家か、まだしがらみの少ない若手が論じればいいという腹づもりなのかもしれません。

まあ、顧頡剛とか傅斯年・王国維らの動向については割に詳しく触れているので、このあたりの行間を丁寧に読み込んでいけば、どうして今のような研究状況になったのかについては何となく道筋が見えてくるかもしれません。

全体についてはともかく個別のコメントには面白い指摘もあるので、次回はそれをちょっとピックアップしてみたいと思います。