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博客 金烏工房

中国史に関する書籍・映画・テレビ番組の感想などをつれづれに語るブログです。

『中原の虹』第四巻

2007年11月22日 | 小説
浅田次郎『中原の虹』第4巻(講談社、2007年11月)

というわけでこのシリーズもいよいよ最終巻です。

張作霖や前作の登場人物の梁文秀が動き出し、あるいは邪魔なキャラクターは退場させられて(^^;)、ようやく物語が大きく展開し始めたなあというところで終わってしまいました。最初から最後まですずっと序章が続いていたような感じでしたね。西太后・光緒帝の死、辛亥革命といった大事件が扱われながら、また分量は前作『蒼穹の昴』の二倍になっていながら、話の濃度は前作よりだいぶ薄まっているように感じました。

思い入れたっぷりに描かれた宋教仁の死も、彼が物語のもっと早い段階から登場しておればなという感じです。個人的には宋教仁の死よりも袁世凱が皇帝に即位する場面の方が泣けました。 自分のしていることが馬鹿げていると自覚しつつ、また歴史の重みに気圧されて挫けそうになりつつも、盟友徐世昌に叱咤されて紫禁城太和殿への道のりを歩む袁世凱。その彼に意外な人物が手を差し伸べ…… まさかこの場面で泣かされることになるとは思いも寄りませんでしたよ(;´д⊂)