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無意識日記
宇多田光 word:i_
 



さてそうなってくると『君に夢中』のリリースがいつになるのかという話になるのだが、ひとまず、過去のドラマタイアップ曲の発売時期をざっと見てみよう。


1999年04月08日「魔女の条件」スタート
1999年04月28日『First Love』リリース

2001年01月08日「HERO」スタート
2001年02月16日『Can You Keep A Secret?』リリース

2002年04月17日「First Love」スタート
2002年05月09日『SAKURAドロップス』リリース

2007年01月05日「花より男子2」スタート
2007年02月28日『Flavor Of Life』リリース

2008年04月10日「ラスト・フレンズ」スタート
2008年05年21日『Prisoner Of Love』リリース

2008年10月20日「イノセント・ラヴ」スタート
2008年10月20日『Eternally - Drama Mix -』リリース

2016年04月04日「とと姉ちゃん」スタート
2016年04月15日『花束を君に』リリース

2017年07月09日「ごめん、愛してる」スタート
2017年07月28日『Forevermore』リリース

2020年04月12日「美食探偵 明智五郎」スタート
202年05月08日『Time』リリース

2021年04月12日「不滅のあなたへ」スタート
2021年06月02日『PINK BLOOD』リリース

2021年10月15日「最愛」スタート
2021年??月??日『君に夢中』スタート


……こんな具合だ。最速は『Eternally』の“同日即売”即ち“0日後”だがこれは例外かな。その次は『花束を君に』の“11日後”だけどこれも朝ドラで毎日の放送なので参考記録か。「不滅のあなたへ」はアニメなのでこちらも参考記録。でも、それらを考慮に入れても思ってたより結構バラつきがあったかも。大体ドラマが第8話位の時点でリリースされてるかなと思ってたけどそうでもなかったわ。それぞれの曲がまっさらな新曲なのか既にアルバム収録曲として発表になっているかで扱いも変わってくるしな。CD時代と配信時代でも事情は異なるし、昨年今年は感染症禍があったのでなかなか一般化も難しい。となると、『君に夢中』の発売時期は「11月中かなぁ?」くらいに思っておいた方がいいかもしれないね。気長に待ちますか。

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『君に夢中』、事前にはそのタイトルから大体同じ意味の『Addicted To You』を連想した人が多かったが、実際のサウンドに触れた後に上がった曲名は『Stay Gold』とか『Animato』とかだった。わかるやねぇ。

この2曲の共通点といえば、「歌詞の独り言感が強い」事だ。歌うという行為は多かれ少なかれ独り善がりなものだが、そのメッセージ性とベクトルとでもいえばいいのか、この想いを伝えたい!届いて欲しい!と願って歌う歌から、誰に聞かせるでもない感じで呟くように歌う歌まで、伝え方伝わり方に幾らかの偏差とグラデーションがあるように思われる。『Stay Gold』、『Animato』、そして『君に夢中』はそういう『誰に聞かせるでもなく独り言つように歌う歌』という点で共通項がある気がする。

『Animato』に関しては、その独り言感は、同じく自己紹介的でありながら外へ外へと打ち出していく『Automatic Part II』と対比すればわかりやすいかもしれない。レコード会社所属まで歌う俗っぽい『Automatic Part II』に対して、『Animato』では「これは私から全人類へ音楽なのです」という誇大な事を言っている。こういうのは、部屋で一人で居る設定でないと言えないと思うのよね。まぁ最後にDVD観てるから、その場面設定は伝わるかと思うけれども。

『Stay Gold』の方は異論があるかな? 例えば睦言で年下の彼氏に囁いている、という設定で聴く人もあるかもしれないな。あたしの場合は最初の方からこれは「死んだ年上彼女が天国から年下彼氏を見守る歌」みたいな設定で聴いているのよね。だから独り言感が強いんだけど、まぁこれは人によるか。


『君に夢中』は、今聞こえてきている部分の歌詞に関して言えば、その「君」に直接向かって言っているようには思えない。少なくとも、「君」と目を合わせて話しかけてるようではない。どちらかといえば、グラウンドを走っている彼を教室から遠目で見ながらとか、そんな少し離れたシチュエーションを想像させる距離感の歌い方かなと。或いは、部屋で勉強の合間に彼のことを思い出しながら、とかね。なんで学生の設定なのかはようわからんけどもっ。

そんななので、『夢中』とか『狂わす』とか『バカ』とか結構強い言葉が並んでるのに、妙に優しく落ち着いた歌い方になっているのだなと。夢中さに対して結構冷静な。彼が目の前に居たらそんなにすましてられないでしょ?っていうヤツね。

前に引用した『来世でもきっと出会う 科学的にいつか証明される』っていう大言壮語な歌詞も、上記の『Animato』の「私から全人類への」みたいなスケール感に近くて。こういうのって自分の部屋で夜中に妄想してるから思い描けることだったりしてさ。


……なんていうのが今のところの私の『君が夢中』の歌詞の感想なんだけど、はてさてフルコーラスだとどんな感想になるのやら。楽しみやら怖いやらですわねぇ。

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今日は『Eternally - Drama Mix -』の発売記念日。13年前になるのかー。それ以前から常々どっかで『Eternally』再評価されないかな、ユーミンみたいにリリースから20年30年経ってから注目されないかなとかは思ってたんだけど発売から7年でこうやってテレビドラマの主題歌としてフィーチャーされたのは「随分早いな!」というのが当時の正直な感想だったね。いや、本来なら発売時にシングルカットされて大々的にタイアップとってきて然るべき名曲ではあったんだけども。

そのリミックスということで、まぁオリジナルは『Distance』アルバムに入っているからいいんだけど、このドラマミックスの方は各配信サイトのどこにも存在が見当たらないのよねぇ? 未だに公式からの説明もなく、理由はさっぱり謎のまま。それでも手に入れようとすれば、既に廃盤になっているコンピレーション『i〜ずっと、ずっと、愛してる〜』のCDを買うしかないんだが、タワーオンラインでもHMVオンラインでも取扱無し、Amazonに4枚だけ残っているという……これもう今後手に入らないんでないの? まぁリミックスの為だけにコンピレーションのフルアルバムを購入する物好きがどれだけ居るのかと言われたらねぇ。そりゃあたしは持ってるけどさ。

そんなこともあって、『Eternally』って「不遇の名曲」みたいなイメージがついてしまっているので、どこかの時点でコンサートで歌ってくれないかなぁ。ヒカルの「今の声」を通せば楽曲の印象は全く全く変わるんだもんね。


そんなこんなで『君に夢中』の第1話での挿入のされ方をみて、これは『Eternally』と同じく不遇になりはしないかと心配にはなってるとこ。なので明後日の第2話以降では、劇中エンディング問わず、もっと歌自体が聞き取れるように使われて欲しいなと。

本来であれば、まっさらな新曲をリリースするというのなら歌手本人が出てきてテレビで歌ったりするもんなんだけど、ヒカルの場合はなかなかそれが難しくてな。地理的な要素もあるし、そもそもプロデューサーなのでアルバム制作が続いているならそうそう身動きが取れないし。なので、今はドラマ内でのアピールに頼るしかない。

とはいえ、もう3日後からは札幌でハイレゾ試聴が始まるので、もうちょい我慢すればWeb上でも聴けるはず。その際、ショートバージョンではあってもミュージック・ビデオがどうなってるかは注目だわね。今のところ『君に夢中』「最愛」関連でのアー写は『One Last Kiss』の時のセッションのものにみえてるので、新しいアピアランスのアピールがないということはまだミュージック・ビデオが完成していないということだろう。何せ、いつくらいかはわからないが、本人が「納期ギリギリ」って言ってるんだから撮影はこれからだわいね。

となると、久々に音声のみのサンプル音源がお目見得するんかな? 今んとこYouTubeでショートバージョン公開する時には基本的に映像ついてるよね。出来れば、『PINK BLOOD』でやったようにノンクレジット……じゃないな、“ドラマ音声を消した”映像をTBSが使わせてくれたらお互いのプロモーションになるとは思うんだけど、アニメと違ってそこは難しそうだわね。第一、まだ劇中でしか使われてないしね。ほんと、どうやってショートバージョンを公開するのか。もう最初っからストリーミングに乗せちゃえばいい気がするけど、宇多田ヒカルにその前例はなかったりする。暫し様子をみて参りましょうか。

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さて、ドラマ「最愛」の方はというと、サスペンスに慣れ親しんでいる人には好評になるんではないかなと思われる。作りもしっかりしているし、この先破綻の予感も無い。感染症禍も下火になり撮影も順調な様子。期待に応えてくれるだろう。

一方、ただヒカルが主題歌を歌っているからという理由で観てみただけの人には敷居が高いんじゃあないだろうか。第一話から登場人物が多く人間関係の説明も直接的ではない。訳の分からないうちに75分が過ぎてしまった、という人も多そうだ。

サスペンスの演出には定型文が沢山ある訳だがこのドラマでもローアングルやスローモーションやフラッシュバックなんかのオーソドックスな手法が数多使われている。そういうのに慣れていないと、意味深なワンカットの意図とかなかなか掬い切れないわよね。

聞けばこのドラマ、原作小説などが既存しない完全オリジナルなのだという。だったらネット上でもネタバレを気にせずに楽しめてそれはそれでいいのだけど、何故演出面ではまるで原作小説があるような方法論を取るのだろうかねぇ。癖? 地の文で述べられていることを映像と台詞回しに変換する際に目にするやり方が目立っていた気がする。尺が決まっている中で視聴者に端的に状況や関係を説明するには適しているのだが、別に原作小説が無いんだからもっとわかりやすかったらよかったのになと、少し離れた所から視聴しながら思っていましたよ。

まーこういう細かい指摘は「大きなお世話」なのだ。そもそも金曜22時からラブサスペンスを観ようという層を狙い撃ちにしている番組なので、それ以外の視聴者層は想定していない。実際、視聴率を足し算で増やそうと様々なファン層をもつ登場人物を無理に色とりどり出演させてもストーリーが破綻するだけでした、という例は過去にも沢山あったろうからねぇ。本格的な、硬派な作品を作ろうというのならそういう阿りは少ない方がいいやね。


そんな、ある種硬質に洗練された殺伐の中で『君に夢中』が流れてくるというのは、一服の清涼剤というかなんというか。第2話以降で遊びの少ない引き締まったドラマ展開が齎す緊張感をほっとフッとそっと和らげていってくれそうな期待がある。優しく包み込んでくれるような。『Stay Gold』とはそういった共通点もあるように思われる。

何しろタイトルが『君に夢中』だもんねぇ。早くも第1話の時点で「ラブサスペンスって触れ込みだったけどラブな要素少な過ぎね?」と私は思っていたんだけどそこにこんな甘酸っぱいタイトルの歌が聞こえてくるもいうのは本当によくバランスが取れているなぁと感心しましたよ。ヒカルがまたもやドラマの空気感を読み切ったと再度力説しておきたいわ。『PINK BLOOD』もそうだったが、やや敷居の高い本編に対してそれを見据えてオープニングやエンディングとしてどういった曲調が流れるのが適切なのかをしっかり見極められている。納期ギリギリまで粘った甲斐があったわね。


ならば、あとは、第2話以降でどんな使われ方がされるのか、だ。第1話では75分の拡大版ということもあってか23時跨ぎ辺りに、即ち劇中歌として挿入される使われ方をしていたが、次からは素直にエンディングで流れるのかな。それとも引き続き劇中に挿入されるのだろうか。

過去の例でいえば、例えば、同じくTBS系ドラマである「花より男子2」(余談だけどこれ初見で「はなよりだんご・りたーんず」って正確に読める人居ないよねぇ……)に起用された2007年の『Flavor Of Life』は、基本的には挿入歌/劇中歌であって、主題歌/オープニング曲は別にあった(嵐の「Love So Sweet」)。なのに主題歌を上回る特大ヒット曲になったりしたのは、ドラマの中の本当に美味しい場面で絶妙に『Flavor Of Life』が流れてきたから、というのも結構大きかったのだ。番組が終わるや否や皆がこぞって同曲の着うたをダウンロードしたというのだから凄い話ですわ。

まぁ今回はそういう喧騒にはならないかもしれないけれど、また美味しい場面で使って貰えれば楽曲の評判も上がるというものなので、引き続き劇中歌/挿入歌として使ってくれてもいいかもしれない。ただ、第1話でリタイヤしちゃった人にとっては、決まった時間にチャンネルを合わせれば必ず聴けるエンディング・テーマ固定の方が嬉しいわな。

そんなあれやこれやがあったりなかったりするので、ドラマ自体の評価もこれから高くなっていってくれたら有り難い。プロデューサーさんがヒカルの大ファンということなので、大いに期待していきますですよ。

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今日の【今日は何の日宇多田ヒカル】のネタは私がすっかり忘れていたメッセの話。「ともだちが“ビートたけし〜♪”と歌う夢を見た」なんてヒカルが書いていた。その18年後にヒカルがライブで『ビートたけしが』って実際に歌ったんだからこれはちょっと捻った正夢の類だったんだなと。

昔からヒカルは予言気質があって、ラジオ番組『トレビアン・ボヘミアン』では「結婚するなら映像作家かイタリア人」(※大分端折りました)と発言し、なんと両方どちらともと結婚してしまうという大胆な結果をみせた。当時の口調からしたら本気だったのか冗談だったのかよくわからないが、ヒカルは口に出したら叶う体質なのだ。

もしそれを見抜いた上でお母様であらせられる藤圭子さんがヒカルに演歌を歌わせなかったというなら慧眼中の慧眼だろう。演歌の歌詞は不幸まみれな為歌い続けると自分まで不幸になると言ってヒカルを演歌から遠ざけた。まぁ、慧眼が届かなかった所があるとすれば、自分が死んだらヒカルが不幸のどん底に叩き落とされる事に対して執着し切れなかった点になるがそれももう過ぎた話だ。


『君に夢中』では、

『来世でもきっと出会う
 科学的にいつか証明される』

という歌詞が出てくる。KODOMO新聞で語った死生観そのままを歌詞にしたかのような一節だ。恐らく、確信があるのだろう。我々が生きている間にかどうかはわからないが、輪廻転生と呼ばれる現象が科学的に解明される日が実際にやってくるのだ。ヒカルの予言体質を考えれば、これはかなり確度が高い。

ドラマ「最愛」では、一定時間記憶を失って行動する(と思われる)家族の話が軸となっている。原因は、弟クンに限っていえば「頭部外傷による糜爛性軸索損傷」、つまり頭の怪我だそうで、精神的ストレスを主な原因とする乖離性同一症、所謂多重人格とは別物なのだが、記憶の断絶とその間別人格的性格の人間が行動するという現象面に於いては相似の様相を呈している。そういったテーマを扱うドラマに『来世』と『deja-vu』(既視感)といったキーワードを盛り込んできたのはヒカルの確信的な作詞だろう。嘗て何度か触れてきたように、ひとつの肉体に二つ以上の魂が宿るのが多重人格である一方、ひとつの魂が二つ以上の肉体に宿っていくのが輪廻転生なのだからこの二つは常に表裏一体の関係にある。そこに「deja-vu」という、経験と記憶の秘奥についての単語を絡ませてきたというのは、言い方は悪いが、ドラマを叩き台にしてヒカルの歌詞世界観が更にまた一歩を踏み出してきている予感を抱かされる。ただ、歌詞というのは、『真夏の通り雨』で痛感したように、たった一言が加わるだけでまるでオセロの終盤のようにガラリとその意味を変えていくものだ。やっぱりそこはフルコーラス聴いてから色々と判断したいね。

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20年前の『HERO』と時とは全く違い、『君に夢中』は『最愛』の雰囲気にバッチリハマっていて非常に嬉し麗しい。ヒカルがいつもの千里眼でドラマの色調を見抜いて曲調に反映させたのだろうが、それと共に劇伴との相性が抜群である。

ヒカルの曲の納品がギリギリだった以上、劇伴音楽がヒカルの曲に合わせて作られた可能性はほぼ無い。しかし、例えば『君に夢中』が流れ出す前のピアノ曲などは、このまま同曲の前奏曲としてライブで演奏してみて欲しい程の力作だった。リアルタイムで聴いていた時も「ん?まだエンディングには早いけど、この後歌が来るんじゃないの?」と身構えさせられてそのまま『君に夢中』のピアノのイントロを迎えたし、後から聴き返してみてもやっぱり前奏曲みたいな存在感だ。非常によく出来ている。ホント、よくこんな曲作ってあったな。

こういう「運の良さ」或いは「相性の良さ」が垣間見られる時、タイアップは既に成功している。正直、序盤からの劇伴のクォリティで安心していた所がかなりあったのよ。「不滅のあなたへ」の時もそうだったが、やはり劇伴が良いとヒカルの歌が馴染み易い。ヒカルの曲だけ突出していたりしたらきっと違和感が出てしまうだろう。その点、今回のタイアップも、ヒカルの歌が流れてくる前からもう大丈夫だと思っていた。


一方で、全く違うことも考えていた。ドラマ自体もハイクォリティだが、ひとつのクリエイティブとして、このテレビドラマには手法に何の新鮮味も無い。とはいえら地上波テレビというメディアの現代における立ち位置を確認した時、特にそれは咎められるような話でもないのだが。普段自分はテレビをつけておくことがないのでここぞとばかりに合間のCMもどんなものがあるのか観てみたんだけど、こちらもさっぱり新味が無い。新しいクリエイティブがみられない。勿論そこにそんなニーズなんて無いのだからそれはそれでよく、文句を言う気にもなっていないのだが、一方で宇多田ヒカルの新曲はいつものようにサウンド自体に新味があって、いい意味で自分のサウンドを確立していない。毎度言うように、この声で歌ってしまえばそれでもう皆を納得させられるので、サウンドは色々とチャレンジングでも構わないのだ。そんななので、ヒカルのもつクリエイティブへの貪欲さと、確立されきったテレビドラマの「枯れた手法」とのビビッドネスのコントラストが結構キツイなとは感じましたわ。

と言っても、ヒカルの方も、メロディ運び自体は、この数年の傾向を踏まえて、ヒカルの癖のようなものが感じ取られる。歌詞の内容も、十八番の転生ネタを持ってきたりしていて、そういった所を取り出せば安心の宇多田印という言い方も出来るわね。一方で、徐ろにせり上がってくるシンセベースのラインは今までに無かったサウンドで、またこういうのはなりくんのインプットなのかなとは思うが、何れにせよ「また新しいことをやってきたな」とこちらを唸らせてくれた。更に楽曲後半の展開に至っては……と、ここをじっくり語りたいところだが正直ドラマの音声の裏に隠れてしまっていて今は何かを言える段階ではない。最近のヒカルの楽曲はどれも曲構成が独特で、そういう所で新味を出してくれることに非常に喜びを感じてしまう私にとってはもう今回も至福の予感バリバリなのだが、『君に夢中』の独特の曲展開、まるで音がちゃんと聞こえていないのに早くも身悶えさせられ始めてますぜ。なんだかんだで、期待に応えてくれてるなぁと。

惜しむらくは、まだ公式から音声のみの試聴音源がリリースされていないことだが、これも今週末スタートの札幌エキジビションでハイレゾショートバージョン公開が確約されている以上、Webでも今週中に聴けるようになる事が期待されている。勿体ぶらなくていいからもう今すぐアップロードして欲しい。テレビサイズを各ストリーミングでもリリースしてくれないかなぁ。うーん、焦れったいぜ。

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金曜日に「最愛」の第1回放送があり無事最新曲『君に夢中』が劇中に流れた。そう、劇中に。エンディングで流れると思ってたあたしはおっかな吃驚。先週あたしが書いたことをそのまま受け容れて23時跨いでテレビつけた方がいらしてたら誠に申し訳なかった。

挿入歌としてオンエアされていた為、大半の歌詞が台詞に埋もれて聞き取りづらい中もうYouTubeには幾つも耳コピカバーが投稿されていて凄いなぁと思いつつ、これで曲の話をされるのヒカルは不本意じゃないのかなぁとも気に掛かる。一応、『君に夢中〜』と歌う所では心做しか歌の音量を上げてくれていた気がするので最大限の配慮はしてくれてたし、聞き取れないながらも歌詞とドラマの場面の適合感も考えられていたようには捉えられたが、でもやっぱりエンドロールでじっくり聴かせて貰いたかったというのが本音ですわ。ドラマに没頭してる人に歌は耳に入らないだろうし、歌を目指して来ていた人にはドラマの流れが途切れただろうし、お互いに余り得をしていないように思う。時間帯としてザッピングタイムで毎分視聴率狙いだったようにも思うが、ドラマの性質上途中から観てもそんなに面白いとは思えない気もしなくもない。まぁそこらへんは現代の地上波テレビ事情に疎いあたしが何か言うことでもないかな。

という訳で本来なら曲の感想や評価は一旦保留にしときたいとこなんだけども、それでも聞こえてきたヒカルの歌声がとても優しくて優しくてうるうる来てしまってね。やっぱり凄いなぁと。昔からヒカルの歌声はたとえAMラジオの素朴な音質であっても浮き上がってくる強さがあるとは言ってきたが、ドラマのセリフに埋もれる中であってもその強さは発揮されていた。単にこちらのヒカルボイスセンサーが敏感なだけかもしれませんが。

そして、優しい。『PINK BLOOD』を最初に聴いた時にもまず思ったが、歌からすぐにヒカルの優しさが伝わってくるというのが何よりもの第一印象だった。なんだろう、優しく歌おうとか優しさを表現しようとか、そういうところからの技巧では最早無く、そもそもの歌との向き合い方自体が優しいというかね。なので、ヒカルがデビュー時から、いやさデビュー前から持ち合わせている圧倒的な切なさは今も変わらずそのまま持ち続けていて、それで尚且つ心にじんわりと染み入る優しさを湛えているものだから、声の力というのはこうやって年輪を重ねられるのだなと22年の歩みを感慨深くも想えたり。これが更に今後も続くんだろうな。

そして『君に夢中』の曲調だが、『Stay Gold』を思わせるピアノの調べから入るスロウ〜ミッドな逸品で、尚且つその『Stay Gold』のスタジオバージョンにはなかったベースサウンドが結構な幅を利かせている。編曲のバランスは、よって、すぐさま『Find Love』を思わせ、アルバム収録時にはこの二曲が隣り合わせになるかなというイメージも沸く。

一方で切々と歌うヴォーカル・ラインはなお突き抜ける宇多田ヒカルの真骨頂で、全く気をてらわずにドラマ制作側の期待感に応えた哀感を提供している。特に楽曲後半の展開は……まともに聞き取れなかったけれども、ドラマが後半の切迫した状況(12月頃のオンエア?)になる頃には更に活かされるようなサウンドが展開されていた。恐らくまた劇中で使われる編集が有り得るだろう。

バラードというにはサウンドがとても凝ってはいるのだが、ヴォーカルのアプローチはそう呼んでしまって構わない。『SAKURAドロップス』を聴きながら企画を練った新井順子プロデューサーも大満足の出来だろう。ここらへんも素直に優しい。

これが大ヒット曲になるかと問われれば、この第1回の扱いではインパクトを与えづらくてなんだか出鼻をくじかれた感が強い。そこまで話題になるかなぁというのが正直なところだ。『Stay Gold』はリリース当時10代くらいのリスナーに好評だったが、今回のドラマタイアップの想定視聴者層は50代辺りだろうから少しミスマッチも出るかもしれない。そういった評判の諸々は、フルコーラスがリリースされてからの動向を見た方がよさそうだね。

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『君に夢中』って言われると、ジュヴナイル味というか青春真っ只中まっしぐらというか、若々しいイメージが付き纏うところなんだが、ヒカルがそんなにストレートに甘酸っぱい歌詞を書いてくるか??どうなんだこれは?

嘗て『Automatic』が大ヒットした時何が変わったって、“オートマティック”という日本語の意味する所が変わったのだわ。それまではオートマといえば自動車の限定免許の事だったのが、1999年以降もっとロマンティックなこの歌のイメージが加わったのだった。ある意味、日本語の一部を改変した歌なのだ『Automatic』は。

今回もそれに近いことをする気なのでは?と思いたくなってる。ヒカルの『君に夢中』を聴く前と聴いた後で「君に夢中」或いは「夢中」という言葉の意味が一部改編されるような、そんな予感。時間は不可逆。新しい歌を聴いてしまったら、もうそれより前の感覚には戻れない。『君に夢中』が若気の至りな気恥ずかしいフレーズのままでいる今の感じを、最後のつもりで、味わっておきたい。

それとは別に、「きみにむちゅう」という日本語の響きについても、気に掛る。「キミニム」が「シノニム」みたいでね。何と同義語なのかと言われてもいや音の響きの話なんですけれどもね。

「七回目のベルで受話器を」を『な・なかいめのべ・るでじゅわきを』に区切り、「ともだちにはなれない」を『ともだち・にはなれ・ない』と歌った宇多田ヒカルにかかれば「君に夢中」もどこで切って歌ってくるのやら。いや歌詞にタイトルが出てくる保証なんてどこにもないんだけど、どうにもこの言葉の響きが「震度6弱の地震」同様、ヒカルの唇に引っ掛かる感じが抜けない。「言いたくなる・歌いたくなる日本語」なんじゃないのかやっぱこれは。


まぁそれもこれもまもなくわかることだ。ってこれ読んでる人のかなりは歌を実際聴いた後かもしれへんけどねー。


冷静なことも書いとこ。

来週23日土曜日から始まる札幌のエキジビションでは、この『君に夢中』と『Find Love』の2曲のショートバージョンがハイレゾで試聴出来るらしい。2曲とも、だ。そうしっかりメルマガに書いてあるぞい。どちらか片方を見落としてる人が多そうなので念押ししとこ。

となると、ここから一週間以内にWeb上でもこの2曲のショートバージョンが聴けるようになるのが道理なので、皆さんそこはしっかりチェックしていきましょうね。

そして、札幌の次の福岡か大阪で、2曲のフルが解禁になる流れかと
……! やはり今回のエキジビション全国行脚は、刻一刻と様態が変わっていくんだろうな……今までに無い企画になってる。不可抗力かもしれんが。なかなか足を運べる人は限られているだろうが、行けた人のレポは引き続き期待してますよっと。


……ん?もしかしてあたしが『君に夢中』の感想ここに書くの、いつも通りの習慣だと週明け? どないしましょ。まぁそこは聴いてから考えまーす。

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「最愛」主題歌のタイトルが発表された。『君に夢中』。ドラマ放送の日の朝4時発表って、いや前例はあるんだけど不意打ちにも程があるな早朝に!

つまり、劇中の演出の都合とかでタイトルを伏せてたんじゃなくて、本当に決まっていなかったんだなこれきっと……。当日の朝発表だもんねぇ。でも、ええこっちゃ。というのも、7月に『Find Love』の存在が露わになって、しかしその後リリースされずに来てるので、ただ「宇多田ヒカルの新曲」という言い方を続けてるとどっちのことだかわからなくなるからね。プロモーション上も得策とはいえない。こうやって「宇多田ヒカルの新曲『君に夢中』」って書けるようになったのはデカい。ほんの18〜19時間の差かもしれないが、今日一日話題に上るかどうかって結構違う。このタイトル決定のニュースに触れてドラマを観てみよう、って人も増えるかもしれないからね。間に合ってよかったっちゃ。

しかしみんな朝から反応が早いな! すぐに複数確認出来たのが「『Addicted To You』を思わせるタイトルだ」という旨のツイート。そう、2018年の初恋』が1999年『First Love』の、2020年『誰にも言わない』が2001年『Can You Keep A Secret?』のそれぞれ邦訳タイトルになっているのに倣って、2021年『君に夢中』も1999年『Addicted To You』の邦訳タイトルになっているぞと。いやはや、長年のファン/リスナーは22年前の楽曲であろうとたちどころに連想するねぇ。大したもんだ。

でも検索を遡ってみると朝4時の公式ツイートにいちばん早く反応したツイートが「宇多田ヒカル、最愛の君に夢中だよ」でさ……いやもう何それ今回の新曲&タイアップの必殺フレーズもう出来てんじゃん……簡にして要、最速が至高とかほんともうね。平伏しましたm(_ _)m


という感じであたしからはもう改めて何か言うこともないのですが(笑)、そうね、折角なので【今日は何の日宇多田ヒカル】に触れておくと、22年前の今日はラジオ番組『トレビアン・ボヘミアン』でヒカルが初めて『Addicted To You [UP-IN-HEAVEN MIX]』をオンエアした日なのね。その前週に『Addicted To You [UNDERWATER MIX』の方を流してて、「え?先に流した方がカップリングで、後に流した方がメインなの??」って当時非常に混乱をきたした。リアルタイムで追ってる人にとっては、そうなのよ、未だに[UNDERWATER MIX]のインパクトが強くてそっちがメインみたいなの引き摺ってたりしてな。罪作りなオンエアだったぜ。

そんな『Addicted To You』を想起させる『君に夢中』がどれほどファンとリスナーを酔わせる罪作りな曲になっているのか、正直このタイトルがドラマの雰囲気に合うようには見えてないんだが、吉高由里子の醸し出してるムードには合ってるような?? 主人公のテーマソング、みたいなとこかもしれへんねこれは。いやはや、夜が待ち遠しいですな!

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【公式】TBS金曜ドラマ「最愛」:

宇多田ヒカルさん!
カッコいい楽曲ありがとうございます✨✨
ステキすぎてステキすぎて💗
現場で曲を流しながら撮影してます!

皆さま。
明日ぜひお楽しみに🎶

#tbs #最愛ドラマ #さいあい
#10月15日スタート
#宇多田ヒカル

https://twitter.com/saiai_tbs/status/1448564262541029384


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ドラマの公式アカウントからのツイート。なぬ。「カッコいい曲」ですか。ほいじゃバラードやないんかな。「カッコいいバラード」ってあるにはあるけど大体男性ボーカルものだしな……。

ヒカルの書く「カッコいい曲」の筆頭は、自ら『硬派浪漫』と形容した『Letters』だろうか。
https://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_86.html
数々の名うての男性ギタリストを従えて最も男前なパフォーマンスを見せたのがヒカルのヴォーカルだったというこの曲は最近のライブだとついついバラードめにアレンジされてしまうことが多いのだが、元々は切れ味鋭いアップテンポの楽曲だ。

ヒカルのアップチューンってそもそもが硬派なんだよね。『Movin' on without you』とか『Wait & See〜リスク』とか、嘶くエレクトリック・ギターに全く負けることのないまさしく「カッコいい」を体現した歌唱で周囲を圧倒するような。これが『Making Love』や『Play A Love Song』になるとアップテンポでありながらも女性らしいたおやかさに満ちた優しい曲調になるんだからホント無敵の作曲家だ。

ヒカルの書く歌は、明るいメジャーキーの楽曲だとメロディが比較的素直になり、マイナーめに引き締めにかかると癖の強い、あまりオーソドックスでない旋律の動き方をしがちとなる。『Easy Breezy』の直球の明るいどポップさと『You Make Me Want To Be A Man』の誰をも寄せ付けぬ激しい上下動を見せつけたメロディラインなんかはいい対比となるだろう。


……等々といったあたりのあれやこれやが、ヒカルの「カッコいい曲」の傾向や基準となる。ドラマの収録現場に流しているということは恐らく士気を高める効果が見込めるので『Be My Last』や『夕凪』のような落ち込みの激しいタイプではないだろう。そして、『Easy Breezy』や『人生最高の日』のようなかわいらしさを前面に押し出した曲調も違う。やはりここは『Letters』や『COLORS』のような空気の引き締まるタイプで、そしてその2曲のライブバージョンのようにそのままバラードにもしてしまえるようなメロディの強さを持った楽曲を想像したい。総合すると……あれ?やっぱり『Can You Keep A Secret?』がいちばん近いんじゃね? 総じてギターのアルペジオ風味のイントロからくるシックでミステリアスなヤツ。ふむ、妄想が暴走するな。もうあと24時間余りで聴けるのかと思うと最後の駆け込みイマジネーションが炸裂ですわ。

昔からのリスナーの年齢層を考えれば、『花より男子』シリーズのような溌剌としたドラマよりも、サスペンスと大人の恋みたいな今回の作風の方がウケがいいのかもしれない。それに合わせた曲調となれば、それはなんだかんだで新境地と呼ばれるものになるだろうか。いやぁ、楽しみで仕方がありませんな。後は、流れるのが23時を過ぎた頃になるだろうから、それまでに寝落ちをしないように気をつけないとだわさ〜。

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@utadahikaru : あと2日で放送始まる〜🥳主題歌の納品ギリギリまでお待ちくださりありがとうございました! https://twitter.com/saiai_tbs/status/1447737606419009537
posted at 2021/10/13/22:23:18

https://twitter.com/utadahikaru/status/1448278173670576130


ということで無事納品おめでとう&お疲れ様でした。でもこのツイートだと2日前納品っていう認識が広まっちゃったりしませんか? 人間の生得的な言語能力は論理的ではないので(なので論理力は後天的に獲得せんといかん)、目の前に並べてある単語を関連付けて解釈しちゃいますよ?

吉高由里子が先週にはもう聴いていたらしいので2日前納品ではない筈です。ただ、ドラマの第1回の納品は昨日だったようで。(!)

https://twitter.com/saiai_tbs/status/1448187053288480769?s=20

感染症禍下で制作が大変なのは承知だけど(「美食探偵」なんて終盤しっちゃかめっちゃかだったもんねぇ)、いやはやみんなして綱渡り? それともヒカルの曲を当て嵌めるのが最後の作業で、曲納品をずっと待っていた? 真相はわからないけど、こういうのは間に合えば正義なのだからこれでいいか。ヒカルのギリギリ納品も、毎度の事だしね。いっつも最後まで歌詞を練るもんだから……。

さて、これで新曲の「タイトル未定」が、演出上の秘匿などではなく「単に本当にタイトルが決まっていなかっただけ」という疑いが濃くなりましたな。とはいってもそれも、決定事項ではなく。曲が出来てから全体を俯瞰して名前を決めるケースもあれば、まず最初にタイトルを決めてからイメージを膨らませて楽曲制作に取り掛かるケースもある。後者なら納品ギリギリでもタイトルはとっくに決まってるわな。

こどもの名付けだって人生の最初にやるもんだ。人生を俯瞰してから名前をつける訳じゃない。いや人の名前と曲タイトルを一緒にしちゃいけませんかね。


それもこれも、明日の夜には総て吹き飛ばしてしまうというか、もうこれもいつも通りで、慣れっこかと言われたらよくわからんけど、曲のクオリティで総て納得させてしまうというか有無を言わせないというか、最近特にその傾向が強いような。

『Laughter In The Dark Tour 2018』映像商品だってあれだけ配送だの何だので揉めた割には内容がよかったもんだからそういった悪評は立ち消えしたし。インスタライブがどれだけ遅刻しようと最後に歌ったら総て良かった思い出になっとるしね。やることやれば後の細かいことはどうとでもなる。でもそういうの、あんまりこどもは真似しちゃいけませんよ。いやオトナはもっと真似しちゃダメですか。仕事の質が図抜けて高い人がやるから、なんとかなっているのです。仕事に自信が無い人は最低限、遅刻しないようにしておきましょう。……って、何の話だよ?(笑)


あぁ、明日夜の第1回は初回拡大版スペシャルだから75分あるぞよ。「そろそろ主題歌流れるかな〜?」と22時45分あたりにテレビをつけても更にそこから30分近く待たされるので、気をつけてくださいね。毎度タイアップって観る人観ない人に別れるけれど、あたしは劇中に流れる主題歌のインスト・バージョン/ピアノ・バージョンを捕獲したいのでドラマの内容如何に拘わらず毎度観るかと思われます。最近では「美食探偵」の『Time』のピアノインストがよかった。「少年時代」でもコラボしたEnsemble Foveの坂東祐大による編曲で。今回の「最愛」でも、そういうのがあったらいいな。

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「Strides」で1曲挙げるなら私は「butter」を推しておきたい。タイトル通り「バター」を軸に展開する日本語歌詞の構成のまぁ見事なこと。連想がいちいち小洒落ていて唸らされてしまう。もしこのアルバムの7曲でヒカルが作詞に関わっていたのはどれとどれ?と答えを教わらずに訊かれていたとしたら多分「Parallax」とこの「butter」を選んでいただろう。それくらいに歌詞がよく出来ている。思わず何度も感心してしまった。

更に曲構成が独特で、後半での「Gimme one more night」のコーラスの配し方などよく考えられているなぁと更に感心を重ねたのだが、面白いのは、これだけ日本語歌詞がよく出来ているのにサビが英語歌詞で、アルバム中いちばんキャッチーともいえる明快なリフレインを構成しているところ。小洒落ていて構成的な日本語歌詞と独特の曲構成だけではややマニアックな仕上がりになっていただろうところを、この素直なリフレインで一気にPop Musicに持っていくのが凄い。隅から隅まで本当によく出来ている。

と、これだけ絶賛出来るのに、きっと私はこの歌を好きになれそうもない。

理由は完全に難癖。そのキャッチーなサビの出だしが「We really hit it off」なんだわ。『Can You Keep A Secret?』の話を出したばかりの私はすぐさま同曲の『Hit it off like this』の一節を思い出した。でもまぁこれだけだったら構わなかった。それくらい、普通の言い回しなんだし英語歌詞なら出てくるだろう。ところがその次にバックコーラスで「Addicted to you〜♪」って歌いやがんの。いや確かにこれも普通の表現ではあるのだけど今その並び? 思わず歌詞を確認したがバックコーラスだからか表記は見当たらず。未だに「何かの聞き間違いだったらいいのに」と思ってる私。

ここでちらっとイラッとした私を更にイラッとさせたのがここ。

「耳に光るCartier
 さすが俺のVenus」

その前が無くてここだけだったんならイラッとはしなかったと思う。カルティエの耳飾りつけてる人はそりゃこの世にごまんといるだろうさ。「ひかる」と「かるてぃえ」で語呂もいいだろうさ。しかしさっきの「Hit it off」と「Addicted to you」のコンボでチラッとイラッとしてた私はもう完全にヒカルがカルティエつけてんの想像しちゃいましてね。えぇ、嫉妬ですね。

それに、ヒカルのカルティエといえば、耳飾りではないけど、すぐに連想するのが、お母さんから貰ったという7連リングと3連リング。


https://www.utadahikaru.jp/from-hikki/index_14.html
『あ、ちなみに左手の薬指に指輪してますが結婚したわけではございません(笑)
ママから昔もらったカルティエの7連リングと3連リングをしているんですがね。ちょうど薬指と小指にぴったりなの。』

(「宇多田ヒカル カルティエ」で検索したらこのメッセがトップにくるんだな。)


今や母の形見ともいえる大切な逸品なっているであろうカルティエのリングを(あたしが勝手に)連想してしまったのだ。

そう、『Hit it off』「Addicted to you」「光る」「Cartier」って、決定的証拠にはならないけど状況証拠まっしぐらな歌詞を続けられた挙句が「さすが俺のVenus」だったもんだから「これ普段のなりくんの匂わせ満載言動そのまんまやないかっ(怒)」ってなっちゃったのね。印象最悪。曲に罪はないし本当によく出来たいい曲だとは思うんだけど、お陰で「私の好きな曲」とは言いづらくなったのでした。まる。いやぁ、まるで無関係な人の嫉妬はホントみっともないねぇ我ながら……。

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小袋成彬の3rdアルバム「Strides」がリリースされた。何の因果でTwitterブロックされてる相手の仕事に触れなきゃいけないんだとプチ憤慨しているが、ヒカルのクレジットがあるんなら是非もない。そりゃ聴いてみますよ。

大体、あたしゃ当初からTwitterでは「小袋成彬」と呟かないようにしてきたというのに一体なぜブロックされたのやら。ほぼ総てを「なりくん」で統一していたから嗅ぎつけられる道理が無い。つまり、彼はTwitterでエゴサするのみならず、そこから更にうちのこのブログまで読みに来たってことだろう。メジャーレーベルからアルバム複数リリースしてる人のすることか?暇人?偏執的ですらあるわねそこまでするとなると。

まぁ、あたしもブログ読まれたらブロックされるかもなと予め警戒してたから「小袋成彬」と呟かないようにしてた訳で完全に自業自得なんだけどね。

でその「Strides」、ヒカルは「Rally」と「Parallax」の2曲にクレジットされている。二人でデュエットした1stアルバムの「Lonely One』、作詞で参加したと思しき2ndの「Down The Line」、どちらも素晴らしかったので今回も期待して耳を傾けた。

「Rally」の方は、一聴しただけではヒカルのカラーみたいなものが感じられず戸惑う。ふむ、わからん。もしかしたらラップ・パートだろうか? メロディに載せる時は発音の制約がある為個性が出るが、ラップだとそういう軛が緩むから作詞も結構自由になるのがヒカル。いや、ラップの時の作詞は例が少ないけど、『Too Proud』では遠慮無く『ビートたけし』とか放り込んできてたんだから、どんな作詞をしてきてもわからないかもな。(そういやこれ、すっかり忘れてたんだけど正夢だったのよねぇ……)

一方、「Parallax」の方は出だしから歌詞が宇多田ヒカルっぽい。出だしの「一目みただけでわかっていた わかっていたこと」からして『嫉妬されるべき人生』の『軽いお辞儀と自己紹介でもうわかってしまったの』を連想してしまう。

更にここから「あなたから隠れて黙って戦っていたこと」と続く。それ『Prisoner Of Love』の『人知れず辛い道を選ぶ私を……』へのアンサー?ねぇアンサー?

そこから先もあれやこれやと連想させる歌詞が続いていく。これはヒカルが作詞したと言われても肯いてしまいますねぇ。

という感じでかなり対照的な2曲になっている。「Rally」がラジオから流れてきてもスルーしちゃうけど、「Parallax」の方は「あら、ヒカルのこと好きだよねこの人」くらいには思うかもしれないね。

そういったクレジットのある曲も興味深かったのだが、一方で例えば一曲目の「Work」の歌詞の乗せ方がヒカルの『ともだち』っぽくもあったりして、あれ?なりくんって『ともだち』ではバックコーラスだけじゃないの?もしかして作詞にも絡んでた?或いは逆に今回ヒカルは他の曲にも絡んでるけど「クレジットするほどでもないでしょ」って名前乗ってないケースもある?なんていろいろ邪推したくもなった。好き嫌いは別として、この「Strides」、「ヒカルっぽさをさがしてみる」のを目的に聴いてみてもよろしいんじゃないでしょーかね。

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「中国の資生堂キャンペーンで宇多田ヒカルが大フィーチャーされている」旨のツイートが流れてきてまして。なんでも中国本土独自商品である“Vital Perfection"とかいうののプロモートなんだとか。ヒカルがアルバム発売した時の渋谷並みいやそれ以上に至る所にヒカルのご尊顔が飾られていますな。

現在のアンバサダーのうちアジア人であるヒカルがフィーチャーされるのは自然な流れ、なのだろう。隣国の有名人ということもあるし。だが、あたしゃこれ素直に喜んでいいのやらとついつい悩んでしまうタチでして。

香港や台湾でのヒカルの人気はかなりのものらしい、というのは伝え聞くチャート成績で何となくわかる。そもそもマーケットのサイズが小さいというのもあるのだろうが、そういった地域での事情と本土との事情は余りにも違いそうだ。行ったことのある人の意見も聞いてみたいけどね。ご飯の美味しさとかそういうことではなく、商業音楽の扱いという麺、いや面でね。……お前も美味しいもんに惹かれとるやろがい(笑)。

困ったことに、最近の中国からのニュースといえば表現規制強化の話ばかりでね。あたしがそれを嫌っているのは長い読者ならご存知かなと思うが、半世紀前の“文化大革命”の悲惨さを伝え聞くと、あの国にとっての表現規制とは要は命の奪い合いのことなのだから何一つ洒落にならない。正直申しまして、現地に幾らファンやリスナーが居ようが、一生関わらなくていい国なんじゃないかとまで思ってたりもします。

いや勿論、多くのJpopアーティストたちが公演を成功させてきているので、それはおまいさん心配のし過ぎだろうとは思うのだが、それやるんだったらまず地元(ロンドンとニューヨーク)に力を入れるのが先なんじゃないですかねと。後回しでもいいんじゃないかなーとな。

こういうのって、現地で住んでる人々は普通に暮らしていて、ニュースになるような特異な出来事とは何ら関係なく過ごせてるってのが往々にして真実なんだけど、ヒカルに特に何かをする意志がないのなら、色々とスルーするのが生きてく為には賢明であるような。何しろ世界には「音楽禁止」な国というか政権、政体まであるからね。中国がそういう国になると主張するつもりはさらさらないけれど、歴史を紐解くと、兎に角何一つ侮れないというのが偽らざる心境でな。

まぁこんなこと言ってたら中国語を取り込んだ歌詞とか発表してきちゃったりするかもしれなくて、世の中一寸先は闇だと痛感しちゃったりね。二寸先の明るい未来を信じていけるよう、無体なことは慎重にしといてほしいずらよ。

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ほう、吉高由里子が番宣で情報番組に出演してヒカルの曲がギリギリで完成した風に発言したと。納品完了なのかな。そりゃよござんした。最後の最後まで歌詞を練るのは毎度の事だしな。


常にこういう作り方ならわかりやすいのだけれど、ご存知のように例えば『PINK BLOOD』はどうやら『One Last Kiss』よりも前からある曲らしく、リリース順は必ずしも制作(開始)順と一致しない。

自分の感覚からすれば、曲の作風って時間経過とともになだらかに連続的に変化していくものだと捉えているので、特に意識的な関連性のない楽曲たちを集めて「アルバム」と名乗るのなら、安直に「制作順」で並べて聴いた方がナチュラルなんじゃないかと思ったりもする。

当然それは、作風の流れであって、目の前の音符の流れとは違う。全く関係ない楽曲同士がそのまま素直に繋がるとは限らないので、アルバムに寄せ集めの楽曲を収録する場合はテンポやリズム、キーの遷移などを吟味して曲順を構成するのが、ひとつの作品を提供するスタンスとしてはスタンダードだ。

ただ、それを突き詰めるのなら最初っから組曲として全曲を作った方が全体の流れとしては上手くいくはずだ。そうなるように設計するんだからね。

毎度触れているように、世にある「アルバム」という作品は大概において如何にも中途半端ではある。単なる曲の寄せ集めでもなければ、ひとつのテーマやコンセプトやストーリーに基づく訳でもなく。わざわざコンセプトアルバムという言葉があることからもそれは明白だ。

ヒカルの場合、昔は「曲の寄せ集め」という意識が強かったのか、曲順を決める会議には出席していないようだった。制作を終えて疲労困憊で最後のレコーディングが終わったらさっさと突っ伏してたというのが大きいのかもしれないが、こと最近二作である『Fantôme』と『初恋』に関しては曲順を決めるプロセスにも積極的に関与したらしく。昔とは事情が変わっている。

ここで悩ましいのが、作品をどう捉えるか。リスナーのニーズとして、アルバムの音楽的な流れを重視するのか、それとも、“宇多田ヒカルという人”に興味があるのか。前者であればマスタリングも含めた、言わば作編曲の続きという感覚で挑めそうだが、後者の場合は、先程触れたように「作った順番」で収録するのが賢い。宇多田ヒカルという人の機微の流れをそこから掬い取れるからだ。これは、意図して作られた流れではなく、一曲々々を全身全霊で作ってきた結果として生まれた流れである。 

意識と無意識の違いと言ってもいい。バラバラの楽曲の集まりからパズルのように「こういう流れが作れるからこうしよう」とプランを立ててアルバムを構成するのと、「気がついたらこうなってた」と自然発生的な統一感が生まれてくるのと。どちらがいいのかは、わからない。

言い方を変えれば、舞台裏に興味があるかどうかということもできる。「創る過程」まで楽しもうというかね。美味いもん食った時にレシピを知りたくなる欲求というか。でもま、食べて美味しくてよかった、で完結する事の方が多いかな。次のヒカルのアルバムがどんな曲順で来るか、シングル曲が揃ってくるとますます気になっていくのでした。

『First Love 15th』の時みたいに、普段のオリジナルアルバムでも各曲の制作時期を記してくれれば、自前でその「制作順」のプレイリストを作って楽しむんだけど、できませんかねぇ?

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