同じく"部屋"が印象的な歌といえば『For You』がある。
『散らかった部屋に帰ると
君の存在で自分の孤独確認する』
これは正確には“不在”だと思うが、『In My Room』で『君がいるなら同じ』とも『君がいないなら同じ』とも歌っているのでその区別はそこまで重要ではない。『君』の在不在を問うてる時点で既に気を囚われているのだから。
『あなた』では、しかし、『この部屋』に2人でいる。確かに明言はされていないが、曲中ずっと『あなた』から離れるつもりは毛頭なさそうなのだから自然な類推だろう。
これに近いのは『日曜の朝』か。
『デートだとかおしゃれだとか
する気分じゃないから部屋でいいじゃん
カーテンは開かないまま
ゆっくり過ごす日曜の朝だ』
これと『あなた』の歌詞とを対比してみる。
『戦争の始まりを知らせる放送も
アクティヴィストの足音も届かない
この部屋にいたい もう少し』
『日曜の朝』ではカーテンを閉め切って外界からの影響を排除しているが、『あなた』では放送や足音といった“予感”を匂わせつつもそれでもこの部屋にいたいと歌う。『もう少し』に、やがてこの空間から出て過酷な現実と向きあわなければならない日々がやってくる事への自覚がみてとれる。『日曜の朝』は如何にもモラトリアムな若者の歌で、『あなた』は人の親の歌だわね。
勿論、いつも通り歌の登場人物は様々に入れ換えてもらって構わない。『日曜の朝』が親子の歌だってよいし、『あなた』を恋人だと思っても大丈夫。それぞれの部屋の風景から君やあなたが何を思い浮かべたか、それが大切なのですよん。
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