無意識日記
宇多田光 word:i_
 



『SCIENCE FICTION TOUR 2024』横浜Kアリーナのプレミアム席(¥27500)に当選するつもりでいた所当たった席がA席(¥16500)だったので、その差額¥11000を使って下見がてらKアリーナに行けるコンサートはないかということで、昨日TM NETWORK 40周年記念ツアー最終日のライブを観に行ってきましたよ。

色々と心揺さぶられたが、結局のところフロントマンの宇都宮隆の凄さが最高だったというのが、言葉を絞った時の感想になるだろかうな。他にこのスタイルのヴォーカリストが居ないので比較は難しいけれど、今年の誕生日を迎えると67歳になる人があれだけのパフォーマンスを見せてくれるとなると、そうですよ、『SCIENCE FICTION TOUR 2024』でのヒカルのパフォーマンスに対する評価軸を、ますます手厳しいものにできるやり方を見出せるってもんなんですよ。

ヒカルのステージ上での歌唱力に関しては、全くといっていいほど不安はない。18年前の『UTADA UNITED 2006』では公演ごとにバラツキがありかなり不安定だったのだが、前回6年前の『Laughter In The Dark Tour 2018』では、録音録画がOKということで各地の歌唱を聴くことが出来、それから推し量れる限り、どの公演どの土地でもかなりのハイクォリティな歌唱を安定して披露できていたように思われる。昔に比べて経験も積んだ上かなり日頃からシェイプしているので普通に体力も上がっているのだろう。

なので、今回もヒカルの歌唱自体には不安を抱く必要はなく、素晴らしいものを聴かせてくれそうだ。しかし、昨日見た宇都宮隆は、ただCD以上の艶のある歌声を披露していただけではなく、ステージ上での中心人物として、ステージ全体を引き受けるパフォーマンスの切れ味が素晴らしかった。あんなの初めてみたかも。

とにかく生の宇都宮隆はカッコよかった。ネットでは最近の彼の老け具合がわかる写真も見れるだろうけど忘れていい。ステージでの見栄えこそ本分ですから。そのカッコよさといったら…「カッコいい」という言葉の定義の仕方は幾つもあるけれど、ここでは「総ての責任を引き受ける覚悟の強さと潔さ」をその定義としたい。彼の場合そこに「甘さと優しさ」が加わる。そりゃ黄色い悲鳴が上がるよね…。

ある時、小室哲哉のキーボードソロの音がリズムを外した。まぁ生演奏だからそういうこともある。寧ろちゃんと当て振りじゃなくてリアルタイムで演奏してんだなと好感を持ったくらいなのだが、ああ音外したなとは思ったですよ。しかし次の瞬間、切り込んできた宇都宮隆のボーカルラインはその小室哲哉の外したリズムをほんの僅かになぞってみせたのだ。

些細な違いだったし、恐らく本人も無意識のことだろう。しかし聴いてたこっちは「あ、じゃあさっきの小室哲哉も、音を外したんじゃなくてああいうライブアレンジだったのかな」と思わされた。これが、「ステージ上での格好をつける」ことなのだと思った。ミスをミスのまま放置して聴衆のテンションを下げることをせず、しっかりと集中させ、夢の続きを醒めさせることなく見せ続ける。これがフレディ・マーキュリーが死を覚悟しても歌った“Show Must Go On"の極意かもしれないと本気で思った。

宇都宮隆本人に聞いても「単にミスにつられただけだよ(笑)」と笑い飛ばすだけだろうけどね。でも、他の局面でも咄嗟にみせる彼の歌の機微はそのどれもが物凄い包容力を感じさせた。ステージ上の友人たちも目の前のオーディエンスも総て包み込んで連れて行く。本編最後の“Electric Prophet (電気じかけの預言者)”の「何もかも頼っておくれ」という歌詞は、ステージから聴衆に対して歌った時にこんなに説得力が込められるものなのだなとライブの醍醐味を堪能させて貰いましたよ。

つまり、何が言いたかったかというと、今度のツアーではヒカルさんも、ただ歌が上手いだけではなく、それによってバンドメンバーやオーディエンスを包み込んだり引っ張ったり、或いは手を携えたり、場合によっては助けて貰ったり、何でもいいのだけれど、「人との繋がりの中での宇多田ヒカルの役割」を意識したパフォーマンスを見せてほしい、ということなのだ。“The Show Must Go On"の精神を体現して欲しい。何も宇都宮隆と同じカッコよさを出せということでもないし、フレディ・マーキュリーのようなカリズマティックなパフォーマンスを見せてくれともいわない。宇多田ヒカルらしさを前面に、いやさ全面に出して、全体をその優しさと思い遣りで満たしてみて欲しい。歌の良さを、どうステージ全体、公演全体の中心として機能させればよいか。それを新しい評価軸として、ツアーのパフォーマンスを楽しませて貰おうかなと思っていますので、どうか覚悟しててくださいねヒカルパイセン♡

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