無意識日記
宇多田光 word:i_
 



前々回の補足をしておくと、宇多田公式側も別にそこまで「シンコレはベスト盤ではない」と躍起になって否定して回ってきた訳ではない。現実的に、シングル・コレクションをリリースすればベスト盤と呼ばれる事になるだろう、程度の予想は20年前もついていた筈で、きかれれば「そのつもりはない」と答えるだろうけど、例えば「『UTADA THE BEST』はアーティストの意向に沿った作品ではありません!」みたいな強度で主張したかった話でもなかったのだ。なので、「今までシンコレのことベストアルバムだと思ってたよ」という人も、特に焦る必要はないのですわ。自分の好きなように受け止めておいたらいいのだぜよ。


さて、ヒカル本人が関わると何が出来るか。いちばん極端なのが、『Single Collection Vol.2』と同様に「新曲を同梱してしまえる」という点だ。最早それはシングル・コレクションと呼べないのでは?というツッコミは、2010年当時殆ど聞かれなかった。宇多田ヒカルによる1年半振りの日本語新曲リリースという興奮の前には、そんな事は些細な話だったのだ。

なので、今回のベスト盤にも新曲が入る可能性は大いにあるだろう。第一、CDでリリースするとすれば既発曲のみで構成されているより新曲が入っている方が遙かに売れるしな。恐らくそこは柔軟な対応になる。また、収録されればだが『Gold ~また逢う日まで~』の初CD化も叶うわね。それを言うならコンピレーションのみでCD化された『Eternally - Drama Mix -』をですね、、、とと、そう、ベストアルバムの話を始めるとこういうのキリがないのよね。なので軌道修正してと。


ヒカルが関わるとして、ではそういった選曲がどこに落ち着くか。予想をするのはかなり難しい。ファン投票という方法をとるかもしれないし、自ら総て決めてしまうという事も有り得る。チーム宇多田の合議に委ねる手法もあるかもしれない。前者は選曲の不満を最小限に抑えようという方策、後者はヒカルや制作陣のエッセンスを色濃く出していくやり方だ。もし『SCIENCE FICTION』のアートワークにヒカルが写っているのなら、そこで自分の色を出さない訳にはいかなくなるだろうし。


そうね、例えばその色がどう出るかを知るには、デビュー22周年記念企画、

『Hikaru Utada Playlist Library
 - Celebrate 22 Years with 22 Songs』
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/utadahikaru/22songs/hikaru_utada.html

がうってつけかもしれない。これは2020年々末~2021年々始に発表されたものなので、更にその後にリリースされた曲の中から2~3曲ピックアップすれば2枚組ベストアルバムにちょうどいい曲数になるだろう…けれども、そう、このプレイリストを聴いた人ならわかると思うけど、この傾向の選曲でベストアルバムって言われても困るってのが大半の意見になるんじゃないのかな。幾ら何でも『First Love』も無しってのはね。

そうなのだ、シングルコレクションに較べてベストアルバムは制作陣の創造性を盛り込む間隙が増える一方で、リスナー側からの要求の縛りの強さも増すのである。波風立たないシンコレに較べてなんと波瀾万丈なことか。そこでどれくらいのサービス精神を発揮するかが選曲の評価の別れ目となるだろう。

大ヒット曲を漏れなく、となるとシングルコレクションと変わりがなくなるし、かといって22songsのような選曲を貫き通すと多数派の期待に応えられない。ここのバランスをどう取るか。そういう話になってくるのです。

ここでの解決策はといえば…そう、今回のベストアルバムのタイトル『SCIENCE FICTION』とは、デビュー25周年ツアーのタイトルでもあるのだよね。この2つは連動している。ならば、ベストアルバムの選曲は「コンサートのセットリスト」を基軸にするのが基本路線になりそうなのだ。

だが、うん、勿論選曲がそのままセトリになるという「それそのもの」だとつまらなすぎる。恐らく、ベストアルバムとツアーでは、ベストアルバムのリリースの方が先の筈だから(「ツアーチケット応募優先権」か何かをベストアルバムに同梱して売ってくるだろうことはほぼ間違いないのでね─これに関しては既に2018年のアルバム『初恋』と『Laughter in the Dark Tour 2018』で実行済みだ)、そうなるとどうなるかってーと、ベストアルバムが「コンサートのセットリストのネタばらし」になっちゃうのよなぁ。こんな興醒めなことってある!? ねぇ?

ただ、昨今は「ネタばれを知ってからの方が安心してコンテンツを楽しめる」という風潮も無視できない大きさの潮流になってきた感もあり。その雰囲気を利用して、「何を歌うかを予習してきた方が楽しめるコンサート」を企画出来れば、セトリネタばれアルバムとしてベスト盤を先にリリースするのもアリになるかもしれないね。具体的にどうってのは今パッと思いつかないけど!(使えない私である)

可能性は低いが、もしベストアルバムリリースとツアー催行の順序が逆になるのなら、ベストアルバムの選曲がツアーのセットリストそのまんまでもかなり「思い出深い」1枚になり得るし、ベストアルバムの選曲に対する不満も殆ど聞かれなくなるだろう。いやま、コンサートのセットリストの選曲への不満の声は、通常通り上がるだろうけどね。何より、どうやって優先権売るねんてなるからな。その為に新曲を先行EPとしてツアー前にリリースするとか…うーん、どうだろうね。


斯様にベストアルバムのリリースというのは選曲面をみるだけでも非常に自由度が高く、何をしてくるのか予想がつきづらい。ただ、何処かで「宇多田ヒカルらしさ」や「チーム宇多田らしさ」を発揮してくるだろうことは、やっぱり“初の”を強調してくる以上間違いないと思われる。詳細発表が楽しみで仕方がないですね。多分、来月の19日になるまで待たないといけないんだろうけどね!

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