最新曲『Mine Or Yours』の
『令和何年になったらこの国で
夫婦別姓OKされるんだろう』
の部分の歌詞を紐解くにあたって"この国"の「夫婦別姓」について軽くおさらいをしておこう。これまた政治の話なので今回のエントリも読まなくても構わない。GW特別出稿だと思っといとくれ。
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まず最初に。
私は選択的夫婦別姓&同姓制度“賛成派”です。
きっぱり。
なので、賛成派の言う事は読みたくない、という方はここでブラウザを閉じてね⭐︎
とはいえ、だからといって支持政党があるわけでもないです(もしあったら「表現自由党」は支持するかもしれないけど)。総ての政策についての是非の判断が私と同じ政党は存在しません。各々の政策について別々です。是々非々ってやつですね。積極的無党派層だとでも思っておいてください。
でも、なんですよ。こんにちの政治の世界では、国際政治、経済政策、福祉政策、税制、国防政策などなどなどなど様々なイシューがあって、私としては賛成反対がどの政党に固まるということもなく、それぞれに聞くべきところがあったりなかったりで落とし所はその間のどこか(5:5だったり7:3だったり1:9だったり)かなぁと殆どのケースで判断してるのですが、ことこの「選択的夫婦別姓&同姓制度の導入」に関しては
賛成10:0反対
です。反対派の言うことはまるっと無視してます私。聞くべきところがあるとしても、それは姓選択制度の導入とはほぼ全く関係ない話になっている。つまり、撹乱戦術として挿話されてるだけなので、制度の導入是非判断の材料には殆どなりません。だって私は男女とか性別とかで人の権利を制限したりする事をよしとしてないからね。よしとする人は、確かに10:0じゃなくなるだろうな。反対派ってそういう人たちなのです…という話に移りますね。しばしちょっと口調を整えますか。コホン。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji36.html
↑法務省のウェブ・サイトによると、"別氏夫婦"制度(現在で言う夫婦別姓制度)について、法制審議会の部会レベルで試案が出たのが1991年(平成3年)、法務省が改正法案を用意した(が国会への提出は見送られた)のが1996年(平成8年)とある。つまり、これは既に2025年視点からして30年前後議論が続いている政策・法案であることが見て取れると思う。そして、リンク先でpdf等を読んで貰えればわかる通り、想定される懸念点(子の姓の決め方や民法上の戸籍の維持など)はこの時点で粗方議論されている。
問題なのは、なぜこの法案が、こうやって省レベルでは30年も前から準備されているのに国会への提出すら覚束ないのか、という点だ。取り下げられることも取り上げられることもなく、宙ぶらりんで塩漬け状態のまま平成丸ごとをすっ飛ばし令和も7年まで来てしまった。そりゃヒカルも『令和何年になったら』って歌いたくもなるよね。
でその理由についてなのだが、、、ここから先は私の妄想ということにしておいてほしい。単純に、証拠となる資料がないのでね。信じる信じないは読者であるあなたに任せます。
かなり昔の新聞に、とある取材記事が掲載された。曰く、
「なぜ党として選択的夫婦別姓制度に反対なのですか?」
という内容だった。記事に答えてくれたのは当時の与党第一党の重鎮ということらしかったが、名前は伏せられていた。というか内容的に名前を出せるはずもないものだった。公然の秘密ということだったのだろうな。
彼が言うには、
「女性の権利拡大を阻止したい」
からだそうな。そもそも、平成初期の段階で婚姻制度の見直しに伴って別氏夫婦に関する試案が法務省で取り上げられたのも、当時女性の社会進出がより活発になってきていたからだ。仕事をする女性が増えると、当然自分の名前がブランドになる人達も出てくる。研究者や学者、芸術家なんかもそう。衆目に対して目立たない職種であっても結婚して姓が変わると紙の名刺全部刷り直さないといけなかったのはみんなそうだったしな。もちろんそれは不便の一つでしかなく他にも沢山「婚姻時の姓の変更」に関する雑事に頭を悩まされる人が増えてたってことね。実際、法務省にもそういう女性が居たはずだよ。
だが、ご存知のように昭和ってのは男性の多くが女性の社会進出を快く思っていないご時世だった。しかし、とはいえ、昭和末期~平成初期の時点であっても流石に
「女性が男性と同じだけの人権をもつのはおこがましい」
みたいな主張を国会議員が公の場で展開することはまずかった。それを言ったらバッシングに遭う程度には。(党除名や議員辞職にまではいかなかっただろうが)
なので、上記のように、「名前を伏せるなら言えるけど、名前を出しては言えない」位の話だったのですよ平成初期の時点では。
本音で言えば女性の権利拡大を阻止したい、しかし、それを表立って言うと流石に世間的にはまずい。ならば、
「表向きには他の様々な理由を持ち出して夫婦別姓法案を葬ろう」
ということになったのだ。そして、そういう判断を下したのが党のトップ付近の人間だった。「党是」ってやつになっちゃったのね。それが30年を経た令和の現代にも効いているのである。
つまり、そもそも「表立って言えない動機」で反対を決めたのだから、こと夫婦別姓法案に関しては、残念ながら議論というのがほとんど意味を持たないのだ。なぜなら、反対の為に表立って言及する政策論は本音を隠す為のごまかしでしかないからね。結果、支離滅裂で矛盾だらけの反論であっても構わないのだ。それらは本丸ではないから。どこまでいっても根っこは
「女性の権利制限」
なのですよずっと。なので、インターネットにいらっしゃる極端な女性蔑視な方々との親和性が高いのだ。
ただ、政権与党第一党なので、党是として数で押し切れるのが事態を混迷化させてきた。というか、そもそも法案提出にまで漕ぎ着けられずに何年も過ぎていったというのが実態なので、党や内閣の有力者の発言力の大きさって凄いのねと感心させられる。
この事態の何が不幸だったか。上述のとおり、本音を隠した反対議論を展開しているため、議論自体には殆ど意味がなかったのだ。要は、「党として反対方針を打ち出した」という時点で、夫婦別姓制度は、
「政策ではなく、"党派性の発露の手段"として扱われるようになった」
のである。そして、それが30年ずっと続いている。同姓強制制度で不利益を被っている人の事が顧みられることなく、ね。
だって冷静に考えてみましょうよ。提案されてるのは「選択的夫婦別姓」ですよ? もっと詳しく書けば
「夫婦同姓/夫婦別姓・選択制」
なんですよ。同姓も含んでるのよ。これ短く書くから対立軸が誤解されがちでね。別姓賛成派と別姓反対派が争ってるの“ではない”んですよ。即ち、
・別姓賛成
・別姓反対
ではなく、
・同姓も別姓も賛成
・同姓のみ賛成
の2つが争ってるのよ。
・選択的・同姓/別姓・制度
・強制的・同姓・制度
なのね。これ、関心のない人にとっては「別姓も選べるようにしたらええやんか」で、本当に終わりなのです。えぇ、それで納得した人はこれ以上の議論は必要ありません。ここでブラウザを閉じでください。ここから先は反対派による「撹乱」の話になるので読む価値無し。そう言い切っていい。だって本音の「女性の権利拡大を阻止したい」ってのを口に出せば今の令和の世の中じゃ袋叩きに合う&味方からも見放されるに決まってるから。後は、政敵に対して撹乱をし続ければいい。与党なので内閣も押さえてるからまず法案を出させないし、出したとしても数で否決できる。後はある程度世論を黙らせられればいい。というのも、ほとんどの人にとって興味ないからねこの話題。過半数の婚姻が夫側の姓を選択して終わるのだから今の強制的同姓制度の下では。興味が薄ければ優先度が低く見積もられ、政治的議題にのぼらなくなっていく。
したがって、一時的にでも煙に巻けば、そのうち政治の話題は次に移る。よく調べない中立的な人たちを騙したままにしておければそれで正解なのよね。
気の毒なのは、こういう経緯を知らない若い人たち。中には本気で「家族の絆が脅かされる」?とか「戸籍制度が破壊される」?とか「外国人に侵略される」?とか思い込んでる人が居そうで不憫。最初に仕掛けた人たちは「女に偉そうな事を言わせない」という意気込みで屁理屈捏ねてるのは自覚してるのだけど、後から政党を支持して加わった人たちはそんな経緯知らないよね。建前しか見た事ない。特に外国人云々言ってるのは本気で危ない。これ実際の侵略行為から目を逸らす為のスケープゴートなんじゃない?大丈夫? 本気の侵略って国家・政府から援助の出てる日本列島の土地の買収とかだと思うんだけどねぇ。まぁ両方言ってる人も居るからそれはいいか。嗚呼、昔ヒカルさんも触れてますよこの件は。
『日本の森林や離島がどんどん外国人に買われてる問題が気になってて、今日スタジオにあった新聞で「外国人・外国法人の土地取得を規制強化へ」という見出しを見て久しぶりに新聞ちゃんと読んだ!関連法案の行方、要チェックやで〜』
https://x.com/utadahikaru/status/22602361000165377?s=46
なお、既述の通り子の姓についても30年前から既にちゃんと法務省で検討されてて「今更」なのですわ。今作られてる法案でも配慮されてる。まぁ私は不十分だと思うけど。
そもそも現状が「親子同姓強制」及び「成人兄弟姉妹強制別姓」なのですよ。後者は詳細な説明は面倒くさいので省くけど、実情に合わせて雑に言うなら、結婚した成人の姉妹は家族の絆のうち姉妹の絆とやらを実質上取り上げられてるのよね。それはまるごと無視されてるわね。まぁここでも女は黙って我慢してろということでなー。
なるほど、飽くまで未成年のこどもたちの姓が問題だ、成人は我慢しろというのかな。どちらかの親の姓が自分と違うと家族の絆に不安を持つものである、と。そうねぇ、そういうことがあるかもと心配する人は同姓を選んでねで終わるのですが、それを超えて他人の同姓を強制したいのかな。
じゃあ例えば孫の姓は、母方の祖父母の姓と父方の祖父母の姓のどちらかとしか同じにならないけど(※)、異なる姓の祖父母は同じ姓の祖父母に比べて疎遠な感覚を覚えて不安になるのかしら? 姓なんて家の距離や会う回数に比べて極端に少ない影響しかなくない? どうなんだろうね?
(※ どちらとも同じになる例はもちろんあります。偶然だったり遠縁だったりしてね。というかうちの家系にも居ますね。まぁここは“概ね”ですわ)
戸籍に関して言えば、外国人云々については、ごめん、どこから反論すればいいかわからないくらい全部嘘なので省略します。お、「逃げた」って言われそうだな。これ、情緒戦略だからね。外国人って言えば怯える人たちが一定数いらっしゃるので。「え、なんか怖い」と思わせたらそれでいいのよさ。理屈じゃない。なのでこちらも理屈で返さないわ。怖がってる人に理屈言っても通らないもの。これはもう全く別の問題を引き入れてるのでなかなか難しいですわね。それに、戸籍が具体的にどう運営されてるか知らない人には確かに効果的ではありますわな。それ調べた人は大丈夫でしょう。
、、、という流れのまま本来なら個別のQ&A作って反対派の議論の「荒唐無稽さ」と「女性の権利と心理への無視」「女性蔑視ぶり」(もちろん、女性によるものも含みますよ)なんかをぷちぷち逐一指摘して回りたいとこだったけど、力及ばず。今回はこの辺でっ。