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無意識日記
宇多田光 word:i_
 



SpotifyとTone Glowでヒカルがそれぞれツアー後とツアー前の心境を詳細に語ってくれた事で、この日記での「SFツアーを振り返る」計画の色合いが随分と変わってきた。いや、色鮮やかになる方へ、なので大歓迎なのだけどね。

んだもんだから、この日記、ここまで数十回分色んな話がとっちらかったまんまなんだけど気にせず行くわよ。(単にまとめるの諦めて開き直っただけですね)


で。SF公演では、昔の曲を、特にセットリストの前半に集中して歌ってくれた事でヒカルの声質と唱法が大きく変化している事を如実にわからせてくれたのだが、私の耳には、昔の歌い方より今の歌い方の方がより自然に入って来る気がしてそこが不思議だった。昔の歌をどう歌うか四苦八苦した・しているというのは、中毒などのRe-Recordingバージョンの話なんかでよくよく伝わって来てたのにね。

しかし、思い返してみれば、特に私にとって、初期の宇多田ヒカルの歌い方って、ヒカルのパーソナリティとかなり乖離してたってのが大きな印象だったのよね。何度も書いて来てるけど私が彼女の虜になったのはテレビに出て普通に話してる姿を見た時で、歌を聴いてではなかったのだ。「歌ってる時と全然別人やんけ!」というのが正直な感想だった。「最初の2つのPV、こいつの可愛いとこ全然撮れてへんやんか!!」と憤ったのが昨日の事のようだけど(なおよくよくガン見してみると、気づかないくらいの頻度で素の表情も映ってるには映ってる)、ビジュアルもそうだったし、更にその歌い方も、なんだかこましゃくれてるというか、やたら守りが堅いというか…。

後から振り返ってわかった事だが、最初の2枚のアルバムのヒカルは、かなりの割合で「強がって」いた。この「強がる」というワードは10代のヒカルには頻出で。言わずもがな?言われてみれば?最初のソロデビュー曲はCubic U の『I'll be stronger』、「私は強くなる」だったしな。その頃のヒカルにとっては大きなテーマだったんだと思う。それを少しずつ少しずつ、化けの皮を剥がすみたいに自分らしさを、自分の弱さを音楽に反映させていく過程が最初の12年であり、2016年以降はそこで得た結論「あらゆる歌は母だった」から始めた─そんな風に過去25年の景色を描きつつ。

その「強がって弱い自分を隠す」時の歌い方が…どう説明しようかと思ったんだけど、

「倉木麻衣が1stアルバム“delicious way"(2000年6月発売)の頃にヒカルの真似して声を出してた時の歌い方」

というのがいちばんわかりやすいかもしれないなと思った。知ってる人にしかわからんけども。口を尖らせてるような、嘯いてるようなそんな声の出し方。今や2人ともそんな風には歌ってないけど、あれは10代だから似合う歌い方だったのかもね。

なので、そうなのよ、今のヒカルが当時の強がってる頃の歌を歌っても、今のヒカルが自分らしさを宿した歌い方が出来てるせいもあって、やたら優しくて明るいというか、お母さんが自分の娘を包み込んで慈しんでるような歌い方になってて。こちらとしてはその優しさが如何にもヒカルらしくて、そうか、初期の「ヒカルと曲のパーソナリティの乖離」だと思ってた部分は、かなりの部分その「強がってる歌い方」に依る部分が大きかったのだなと納得しながら、SF公演を楽しんでた気がする。

そうなんですよ、今の宇多田ヒカルは、パーソナリティダダ漏れな歌を聴かせてくれてるのよね。『BADモード』で聴かせる優しくて頼り甲斐のあるパイセンモードとか、歌を聴くだけでなるほどこの人魅力的!となるようになってきてる。私みたいに喋り声を聴いてメッセを読みに行って「こんな子だったのか!」とそのギャップに驚くみたいなの、近年はグッと減ってるんじゃない??

とはいえ、今回のSF公演で「初めて生で見てこんな魅力的な人だったのかと!」と初めて会った方に力説されたりしたので(笑)(最早その方常連さんですけどもっ)、まだまだ歌だけではヒカル本人の魅力は伝え切れてないのかもしれない。「歌手・作曲家宇多田ヒカルの最大のライバルはアイドル宇多田ヒカル」と幾度となく言って来てるけど、着実にアイドルの魅力が音楽にも宿るようになってきた最初の25年だと思いますよっと。昔のギャップが大きいのも凄く魅力的だったけど、ギャップが小さくなって来た今の方が更にもっと魅力が増してるって、いやあんたほんますごいわ。(つい素になる)

あぁ、そうね、いや確かに、今でもMCの時のゆるい空気と歌ってる時の引き締まった雰囲気のギャップってのはあるわね。でもそれは、同じ人が緩めたり締めたりしてるだけになったのかもなと、そういうことですわ。昔はホント、太陽みたいな笑顔で楽しそうに話す姿と、気持ちを込めて苦しそうに歌う姿は、まるで別人みたいだったから。尾崎豊の「I Love You」のカバーとか、そのスタイルだからこそ生まれた名演も数知れずではありましたが。でもさこれそのうち、「話すように歌う」ところにまで行き着くのかもしれないわね。50周年とか楽しみだわ。やっぱり頑張って生きよっと。

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