無意識日記
宇多田光 word:i_
 



コラボカフェのパクチー尽くしは結構思い切った。何って、コイツはクセが強くて好き嫌いがハッキリしてるからだ。

宇多田ヒカルといえばかつては自ら八方美人かもという程全方位から好かれた人間だった。『First Love』のビッグ・セールスは同世代だけでなくずっと上の世代にまで受け入れられたのが決め手だったと考えられている。40代以上というのは昔から、いや、昔は、かな、滅多に新作を買わないくせに一度び話題の振れ幅が閾値を超えると群がるように皆一斉に同じタイトルを買う傾向があった。幾つかの"突発的なロングミリオンセラー"は、そうやって生まれたのだろうと推測され、宇多田ヒカルにおいては、30代までの若い音楽ファンに新時代の旗手として持て囃され、一方で同時に40代以上のロングミリオンセラーとしても指名されるという、通常なら有り得ない複合効果で史上最高を名乗るまでになったのだ。

そんなヒカルなだけに、嫌われるようなクセの強いエピソードは少ない。いや、あるのかもしれないが、2回の離婚でも大してイメージダウンになっていないのだからどれだけ好かれているかは推して知るべし。


話が脱線した。そんな毎度書いてる話はいいんだよ。パクチーが好き嫌い激しいって話。

そうやって"老若男女から普く支持されている"ヒカルがまぁ偏った食材で攻めてきたもんである。我々はついつい、「だって前々から『パクチーの歌』を楽しみにしてたんだもんねぇ」と考えてしまうが、いやそもそもなんでパクチーの歌を歌ったんだよと。いやまぁもう今は『パクチーの唄』という表記ですがね。

多分、パクチーが好きなのだろう。だとしたら身も蓋もないが。嫌いなのに歌ってコラボメニューまで監修したとすると鬼である。いや鬼は鬼でも天の邪鬼かな。

お陰で、スペクトルの広いヒカルファンから次々と悲鳴が上がっている。パクチーを好きではない、嫌いな人たちからだ。コラボカフェは絶対行きたい。メニューだって見てみたい。でもパクチーを口にするのはイヤだ…! そう感じている人は日本に何千人居るだろうね。

こういう事は、これからも起こるであろうと推測される。ヒカルが特に大衆に媚びる気もなく面白いからといった理由で余り人気のないものをどんどん取り上げていく事が。もう昔のヒカルじゃないもんね。忌避される事を忌避しない。

こうなった時に戸惑うのは熱心な人たちだ。私はヒカルが大好きだ。企画とか全力で乗っかるもんね。それだけの為にM-onだって契約してるさ…でもパクチーは苦手!どうすりゃいいの!?ってな。

処方箋はシンプルである。普段から好き嫌いを減らしておけばいいのだ。これは、食べ物に限らない。例えば自分が嫌いなミュージシャンが居たとして、次のアルバムでヒカルと仲良くデュエットしてたらどうすんだ!? 「新曲発表!? やった! どんなの?? …(詳細を目にする)…お、おう………。」ってなるよきっと。特に皆が自分がそのミュージシャンの事が嫌いだって知ってたら、気まずいぞぉ。考えただけで身震いする。

ハッキリ言ってヒカルの音楽の趣味は広すぎて一般人にはとてもついていけたものじゃない。しかし、自分の嫌いなジャンルについて、あまり積極的に発言しない事は出来るだろう。ずっと黙ってたら心身の健康に悪いのでどこかにガス抜きは必要だろうが、ふと手を止めて「ひょっとしたらこれ、ヒカルが好きかもしれない」と考えるクセをつけておく事はできる。そこで一つ立ち止まれれば、少なくとも気まずい空気は回避できるようになるだろう。

私?食べ物の好き嫌いならヒカルより遥かに少ないし(分け隔てなくほぼ何でも食う)、音楽の趣味の広さは流石にかなわないが、「苦手なジャンル」というのは多分ヒカルより少ない。なので、ヒカルが誰とコラボしても恐らく受け入れるのに抵抗はないだろう。まぁ、抗争に明け暮れているラッパーの皆さんとはあんまりかかわり合いになって欲しくない、というのは本音だがそれは音楽の話じゃないからね。ヒカルはNotorious B.I.G.を高く評価してたから、そういうのにも抵抗ないんだなぁと。まぁ自分も言われてみれば殺人者のブラックメタルを素晴らしいとか言ってたりするから同類なのか…。

とこのような考え方をしていくので世の中から嫌いなものはどんどん減っていくのが年寄りなのだ。若い皆さんは気まずい思いを沢山経験して、自分の好き嫌いとの付き合い方を考えていって下さい。あとはどれだけヒカルに拘るかだけよ?

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コラボ企画ひとつひとつの内容には何の不満もないが、全体として攻められてくると「…で、アルバムの中身は?」という所が置き去りになる印象を抱いてしまう。まぁそんなのこちらの心の持ちようひとつなのだが。

折角だからまた歌詞を呟けるようにしといてくれると有り難いんだが、或いは、兎に角聴いて貰えさえすれば気に入って貰える自信があるから今はひとまず「手に取って!」とだけアピールできれば正解なのかもね。

やっぱりいちばん沢山の人の目に触れるのは地上波テレビなのだろうから、見た目で訴求するコンテンツが必要だ。こちらは歌と音楽という耳に訴求するコンテンツをメインにしているのだからそれを直接となるとなかなか難しい。結局、本人が出演して話して歌うのが、当たり前だが、いちばんのプロモーションとなる。

今回のコラボ企画はどれもがパッと見のテレビ映りが映えるものばかり。コラボカフェは店内の装飾や奇異なメニューなどのビジュアルが強いし、ARくまちゃんは言うまでもないだろう。タワレコポスターも「あの黄色いヤツ」と言えば伝わる(?)のだし、内容勝負のうたマガだって表紙をバーンと映せばいい。宇多田書店も本屋の一角を占めているカットが目に入れば「気合い入ってるなー」と感心できる。どれもテレビで直接取り上げ易い。

…という書き方でわかるとおり、フリーペーパーと宇多田書店に関しては、内容重視の、本来のコンテンツである音楽により近い企画となっている訳だ。特にうたマガはここにオフィシャルインタビューを持ってくるという暴挙に出た。ここは梶さんが来ていないだろうから思い切って言ってしまうと、「スマホで何でもタダで読める時代に有料紙媒体である雑誌にインタビューを載せても訴求力が弱い。同じタダのうたマガなら、CDを買いにきたついでに高確率で手にとって貰える。何しろ、読んで貰わないと始まらない」といったところか。

「CDを買いにきたついで」というのは、『初恋』を買いに来た人は勿論、ヒカル以外のCDを買いに来た人にも狙いをつけている。雑誌だって立ち読みすりゃいいんだがなんだかんだで肩身が狭い。フリーペーパーなら手に取った瞬間自分のものだ。遠慮なく立ち読みできる。それを読んで『初恋』を買ってみようかなと思う人だって出てくるだろう。発売日にも縛られずにピンポイントで投入できるし、ありていにいえばろきのんよりやくにたつとはんだんしたのではないかな(なぜかひらがな

敢えて書き方を過激にしてみたが、テレビで表紙を宣伝しておけば店頭で手にとって貰える確率は格段に上がる。パクチーノの「む」のインパクトと共に目印となるうたマガの表紙も宣伝してくれると有難い。普段テレビ観てないのにこんな事言っててすみません。お互い様ではありますが。

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