トシの読書日記

読書備忘録

転がる石のように

2008-02-17 02:15:42 | あ行の作家
絲山秋子「ダーティ・ワーク」読了

本の帯には、芥川賞作家の初の連作短編群像劇とある。そのコピーの通り、ひとつの短編で主人公の友達が次の短編ではその人が主人公になっていてそこで脇役だった人が次にはその人が主役だったりという感じで全編がつながっていくという体裁をとっている。

いつもの同作家の持ち味が存分に発揮された作品で、なかなかおもしろかったです。しかし、「海の仙人」は越えてないなぁ。

ま、形よくまとまった小品といったところです。

疾風怒濤のなんやかや!

2008-02-09 23:54:50 | か行の作家
川上未映子「わたくし率イン歯ー、または世界」読了

これ、すごいです。びっくりしました。どこがすごいって?まぁ読んでみて下さい。もうね、これは小説の域を越えてます。立派な哲学書です(笑)

主人公の私は「わたし」が「私」であるために脳でもない、かかとでもない、ましてや目玉でもない、私の奥歯を「私」であると決めたわけです。そこに異論を唱えるつもりはまったくないんですが、そこに至る過程がね。何度読み返してもきちんと理解できないんです。その、理解できなさ加減が楽しめました。

最後の部分の展開は、ちょっとねぇって感じだったけど、全体の出来としてはそれを補って余りある迫力でした。

すごいです。この作家。