トシの読書日記

読書備忘録

心に蹲る真実

2008-02-20 18:16:17 | ま行の作家
所要のついでに本屋に寄る。
以前、週刊ブックレビューで出演した蜂飼耳の「紅水晶」、直木賞候補になった井上荒野の「ベーコン」を探すがいずれも見当たらず。田舎の本屋はしょぼいっす。

購入本

大森望・豊崎由美「文学賞メッタ斬り!」
橋本治「蝶のゆくえ」
笙野頼子「三冠小説集」(タイムスリップコンビナート・二百回忌・なにもしてない)
堀江敏幸「おぱらばん」



町田康「告白」読了

676Pに及ぶ長編。第41回谷崎潤一郎賞受賞作。

相変わらずの町田ワールドで、終盤までは笑いっぱなしでした。しかし、最後の松永家への襲撃シーンは凄絶で、圧倒されました。

人一倍悩み、論理的な思考を試みようとする城戸松太郎。しかし、それ故に周りから疎んじられ、馬鹿にされてしまうのだが、自分は松太郎の中に人間のあるべき生き方があるように思います。感動しました。

情けない男を書かせたら、当代随一の本作家であるが、この小説はそれだけでは終わらない、深く、重いテーマを掲げています。