トシの読書日記

読書備忘録

言葉の奇跡

2014-10-10 17:26:47 | か行の作家
小池昌代「感光生活」読了



辻原登ばかり読んできたので、ここいらでちょっとブレイクというつもりで選んでみました。これも再読です。過去のブログを見ると、6年前に読んだものでした。近くの焼き鳥屋でビールを飲みつつ本書を開いたのですが、最初の「隣人鍋」という短編を読んで受けた衝撃は今でも忘れません。同作家の「タタド」の時も大きなショックでしたが、またちょっと違うそれでした。


今回、再読して気づいたのは、並べられている15の短編(ほんとに短編と呼ぶにふさわしい、12~13ページくらいの作品群です)のすべてが、ひとつのモチーフでつながっている点です。それぞれにちょっと普通ではない人が出てきて、主人公(大抵はコイケさん)とその人との関わりというシチュエーションになっています。「隣人鍋」のハヤシバさん然り、「ゴッド・オブ・チャンス」の双葉さん然り、「風のリボン」の七夕家(たなばたけ)さん然り。



その、ちょっと変わった人の挙動が主人公はにさまざまな思いを巡らさせるわけですが、そこは詩人の小池昌代。見事な言葉を駆使して素晴らしい短編に仕上げています。


文庫の見開きの著者紹介の短い記事に著作が書き並べられていて、その中の「ルーガ」という作品、まだ読んでないですねぇ。早速ネットで調べてみます。

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