トシの読書日記

読書備忘録

4月のまとめ

2019-05-07 16:10:07 | Weblog



4月に読んだ本は以下の通り

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」第三部「鳥刺し男編」
武田百合子「ことばの食卓」
村上春樹「海辺のカフカ」(上)


以上の3冊でした。「ねじまき鳥」は面白かったなぁ。「羊をめぐる冒険」、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」、そして「ねじまき鳥クロニクル」と、どんどんテーマが深くなり、そして面白さが増していく感じです。で、真打登場、「海辺のカフカ」というところですかね。


あっちへこっちへ寄り道しながら約半年続いた村上春樹祭りも「海辺のカフカ」(下)を残すのみとなってまいりました。それもそろそろ読み終わるんですが、すごい展開になってます。改めて村上春樹のすごさを感じないわけにはいきません。再三言いますが、そのころは、ということです。

オイディプス王と佐伯さん

2019-05-07 14:43:44 | ま行の作家



村上春樹「海辺のカフカ」(上)読了



本書は平成17年に新潮文庫より発刊されたものです。


さて、村上春樹祭りもいよいよ大詰めを迎えてまいりました。このあとも読みたい本、よまなきゃという本が目白押しなので、そろそろこの辺(本書の上、下巻)で打ち切りにしたいと思っております。


前回読んだ「ねじまき鳥クロニクル」はテーマを簡単に言ってしまうと「愛」と「暴力」であると思ったんですが、本書の(上)だけ読んで思うのは、なんというか、もっと複雑なものが入り組んでいて、なかなか一筋縄ではいかないような読後感でありました。


田村カフカ(主人公)、カラスと呼ばれる少年(カフカの心の中に住む友人)、ナカタさん、星野青年、大島さん、佐伯さん、田村浩一(カフカの父)といったところが主な登場人物なんですが、聞いたところによると、本作品はギリシャ神話を下敷きにしているようなことらしく、それでちょっと調べてみたんですが、主人公のカフカがオイディプスとして、母が甲村図書館館長の佐伯さんということなんでしょう。だとするなら下巻でカフカと佐伯さんが交わる場面があるということなんでしょう。


あと、父、田村浩一(ジョニーウォーカー)を殺したのは作中の文章を読むかぎり、ナカタさんということになっていますが、田村カフカが意識を失って気がついたら服に血がべったりとついていた、というのは多分ナカタさんがジョニーウォーカーを殺した時刻と符号するということなんでしょう。なので現実に田村浩一を殺したのはナカタさんであるけれども、なんだろう、メタファーとしてカフカが父親を殺したという意味に著者は受け取らせたいということなんだと思います。自分は浅学にしてそれ以上のことは推察できません。


「ねじまき鳥クロニクル」も、それ以前の作品に比べて、より深いテーマを掲げていると感じたんですが、本作品は、それらをさらに深く掘り下げたものを感じます。小説として、文学として、より本質に近づいた感じがします。


下巻が非常に楽しみです。