黒井千次「高く手を振る日」読了
大江健三郎「治療塔惑星」をどうしたもんかと思いつつ、書店でこんな本を見つけ、手にとってみました。
70代の老いらくの恋。若い世代の情熱的な恋とは違い、慎ましく、おずおずと、また時にはふてぶてしいところがなかなか味わいがあります。
主人公の嶺村浩平は70代後半の一人暮らし。妻は10年以上前に亡くなっている。そろそろ身辺の整理をしないと、という思いにとらわれ、ある日、2階の押入に入れてあったトランクを開けてみる。中から思いもかけない写真が出てきて彼は驚く。自分と妻との大学の同期生で、同じゼミ仲間の瀬戸重子の写真。ここから物語が動き出します。
浩平の一人娘の夫の関係から重子とのつながりが生まれ、二人は会うことになるんですが、まぁちょっと陳腐といえば陳腐ですね。いかにも作りましたというストーリーです。
それと、いくら携帯電話を持たない70代の老人とはいえ、メールがなにかということすら知らない、という設定はいくらなんでもあり得ないでしょう。老人が、若者が普段当たり前に使っているツールを全く知らないということで、世代間のギャップを際立たせようとする意図はわかるんですが、いかにもこれは安易と言わざるを得ません。
内容は、面白いといえばそうなんですが、黒井千次という作家は、以前「日の砦」という作品を読んで、感銘を受けた覚えがあるんですが、こういう、いかにもっていう体裁のものを見せられると、少しがっかりします。
まぁ、息抜きにはなりました。次、やっぱり大江、いきます。
大江健三郎「治療塔惑星」をどうしたもんかと思いつつ、書店でこんな本を見つけ、手にとってみました。
70代の老いらくの恋。若い世代の情熱的な恋とは違い、慎ましく、おずおずと、また時にはふてぶてしいところがなかなか味わいがあります。
主人公の嶺村浩平は70代後半の一人暮らし。妻は10年以上前に亡くなっている。そろそろ身辺の整理をしないと、という思いにとらわれ、ある日、2階の押入に入れてあったトランクを開けてみる。中から思いもかけない写真が出てきて彼は驚く。自分と妻との大学の同期生で、同じゼミ仲間の瀬戸重子の写真。ここから物語が動き出します。
浩平の一人娘の夫の関係から重子とのつながりが生まれ、二人は会うことになるんですが、まぁちょっと陳腐といえば陳腐ですね。いかにも作りましたというストーリーです。
それと、いくら携帯電話を持たない70代の老人とはいえ、メールがなにかということすら知らない、という設定はいくらなんでもあり得ないでしょう。老人が、若者が普段当たり前に使っているツールを全く知らないということで、世代間のギャップを際立たせようとする意図はわかるんですが、いかにもこれは安易と言わざるを得ません。
内容は、面白いといえばそうなんですが、黒井千次という作家は、以前「日の砦」という作品を読んで、感銘を受けた覚えがあるんですが、こういう、いかにもっていう体裁のものを見せられると、少しがっかりします。
まぁ、息抜きにはなりました。次、やっぱり大江、いきます。