トシの読書日記

読書備忘録

比類なき読書ガイド本

2010-11-05 16:15:04 | あ行の作家
岡野宏文/豊崎由美「百年の誤読」読了



タイトルは、もちろんG・マルケスの「百年の孤独」をもじったものと思われます。


フリーライターの岡野宏文とトヨザキ社長こと書評家の豊崎由美が、対談形式で過去100年のベストセラーを時代毎に100冊取り上げ、その1冊1冊を前に二人で論じ合うという形式になっています。まぁ論じ合うというより漫才コンビみたいな語り口で、大いに笑わせてくれます。


ひとつ気になったのは、1冊の本を取り上げ、二人で話すのはいいんですが、その本がアリかナシかという部分で、いつもほとんど意見が同じという点ですね。片っ方がけなすと、もう一人も「そうそう」と尻馬に乗る。片っ方が「これは素晴らしい本です!」と誉めると、もう一人も「感動の大巨編ですね!」みたいに賞賛するという有様で、二人で意見が分かれて対立するということがない。(一つか二つくらいはありましたが)この付和雷同ぶりはいかがなものかと思いました。


まぁ、そんなことに目くじらを立てるよりも、本書の見るべきものは、100年前から現在に至るまでのベストセラーを紹介してもらっている訳ですから、それをガイドに自分の読みたい本をチェックするということですね。


で、読みたい本、読まねば!という本を、覚えのために以下に列挙します。




尾崎紅葉「金色夜叉」
小杉天外「魔風恋風」
佐藤春夫「田園の憂鬱」
黒岩涙香「ゴシック名訳集成」の『怪の物』
ブレヒト「セツアンの善人」
鈴木隆「けんかえれじい」
堀辰雄「風立ちぬ」
永井荷風「墨東綺譚」
中島敦「山月記」
谷崎潤一郎「細雪」
深沢七郎「楢山節考」
フラナリー・オコナー「全短編(上・下)」
遠藤周作「ぐうたら人間学」



以上なんですが、リストアップして思ったのは、最後の「ぐうたら人間学」の1973年以降、読みたい本が1冊もないんですね。ってことは、ここ30年のベストセラーには、ろくな本がないってことになります。まぁ、売れた本が「なんとく、クリスタル」だったり「失楽園」だったり「世界がもし100人の村だったら」ですからねぇ。こんな本、タダでもらっても読みません(笑)





先日、「ブ」へ行って以下の本を購入


ちくま日本文学「坂口安吾」
坪内祐三「ストリートワイズ」




また、ネット(アマゾン)で以下の本を購入


宇野浩二「思い川/枯木のある風景/蔵の中」
ジャネット・ウィンターソン著 岸本佐知子訳「さくらんぼの性は」
レイモンド・カーヴァー著 村上春樹訳「愛について語るときに我々の語ること」

10月のまとめ

2010-11-05 16:08:25 | Weblog
10月に読んだ本は以下の通り。



志賀直哉「暗夜行路」
内田百「間抜けの実在に関する文献」
小池昌代「わたしたちはまだ、その場所を知らない」
山際淳司「スローカーブをもう一球」
内田百「冥途/旅順入城式」
夏目漱石「吾輩は猫である」



たった6冊でしたか。まぁあれこれありましたからねぇ…


10月は、志賀直哉、内田百、夏目漱石と、明治の終わりから大正、昭和の始めにかけての文豪の本が中心でした。やっぱり味わい深い本ばかりでした。小池昌代はちょっと残念でしたねぇ。