昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

昭和のマロの考察(114)文明(4)

2011-01-05 05:53:07 | 昭和のマロの考察
 あっという間に名古屋。ビル群が淡い曇り空にはめ込まれたように林立する。
 窓外の景色がどんどん変わる。
 広いコートに白いシャツの子どもたちが、パンツは赤と緑に分かれてロゴの玩具のように散らばっている。大井川を渡る。水田が鏡のように、あるいは五分刈の坊主頭のように、そしてもう緑の絨毯のようになっているものもある。それらが次々といろんな切り餅のように配置されていく。
    

 遠く青緑系の濃淡に重なり合う連山を背景に工場の建屋が現れると見る間もなく新興住宅群。送電線が何本も立ち、道路沿いにそれらを補完するように電信柱が人々の生活を囲い込むように立ち並ぶ。大きな工場。やがてマンション群が現れ、スチールの防音壁がそれらを遮るように長く続く。
  

 そして古都、京都駅に着いた。乗り換えのため<のぞみ>を降りる。駅自体は東京でも、新宿でも、どこともあまり変わりない。
 乗り換える近鉄への表示が見当たらない。聞いてみると逆方向だった。
 告別式開始時間にあまり余裕がない。ともかく乗換駅の大和西大寺まで特急券を買い求める。15分後の発車で目的の富雄まで30分かかるという。時間的にギリギリだ。5分後に発車する急行なら何分かかるか駅員に聞いてみると「40分かかります」とぶっきらぼう。あまり変わらないのでともかく特急で行くことにする。

 





特急券500円払っただけあって立派なサロンのようなシートだ。
 ところが、入ってきた乗客が座席番号を照合している。座席指定なのだ。あわてて外に出て切符を確認すると5号車と書いてある。1号車と異なり普通のシートだ。
 気がつけば「デラックス車やサロン車はさらに料金を必要とします」とアナウンスしている。 

 ─続く─