町田市議会議員 山下てつや “獅子奮迅”

てつやではたらく“山下てつや”が日々の活動や出来事、お知らせしたいことを報告します。

姫路市の下水道事業を視察

2015年11月05日 | 活動日誌

平成15年山下てつやです。昨日、今日と行政視察に出かけました。昨日行った姫路市では、地方公営企業法を一部適用した下水道事業会計について、説明を受けました。

姫路市は、兵庫県の南西部に位置し、瀬戸内海に面した南部には工業地が集積し、商工業の都市として発展してきました。平成8年に中核市に移行、平成18年3月には4町との合併により、人口53万人余りに達し、播磨地域の中核都市です。市域面積は、534k㎡で、町田市の約7.5倍となります。

平成5年に、姫路城が世界文化遺産に登録され、本年3月には、50年ぶりとなる姫路城の保存修理を終え、本年の来場者数は200万人を超える状況となっており、観光都市としての展開に期待が膨らんでいます。

姫路市の下水道は3つの種類があります。下水処理場で処理をする公共下水道、地区ごとに整備されたコミュニティプラント、農漁村主に調整区域における発展を目的とした集落排水処理施設などの整備事業があり、平成26年度から、この3種類の下水道事業を公営企業会計に統合し維持管理を行っています。人口普及率は、97%となっています。H15年に包括外部監査において「地方公営企業法の適用を視野に入れ下水道事業の経営効率の向上を目指すこと」との指摘を受け、同一規模の他都市の動向、国の法適用に推奨などから、平成19年度から移行に向けての調査を開始。中核市の中では、H16年の段階で、33市中およそ半数が移行、H19年では34市中16市、本年4月には45市37市(82%)に達しています。

H18年度決算では、下水道事業は総事業費約300億円のうち約140億円が一般会計からの繰入金となっており、本来地方財政法上も独立採算が求められており、経営健全化や収支の状況を明らかにするためにも、企業会計に移行するのが望ましいとの判断しています。

この総事業費には、河川部局における雨水対策事業が含めれてます。これは、下水道事業と河川事業における組織面、経費面における調整がつかなかったことが理由としてあげられており、下水道事業において財務規定のみ適用し、引き続き下水道局に河川部局を置き、市長のもとで雨水対策事業を実施することとした。このことが、一部適用にとどまった理由の一つとの説明を受けました。

導入までの年次経過を整理すると以下のようになります。H15年外部包括監査の指摘、H18年基礎調査の実施、H21年法適用及び財務規定適用方針市長決裁、H22年設置条例案議会上程、H23年地方公営企業法の適用となっている。この間の段取り、取り組みは以下のようになる。組織体制は、新たな組織は設けず、下水道の経営管理部門に専属職員を3名配置し対応しています。主な事務は以下の通りです。資産調査、新たな会計システムの構築、庁内調整、金融機関との契約、関係例規整備、予算、打切り決算準備、研修の実施などで、このうち、資産調査、新たな会計システム構築については、業務委託により実施しています。

(資産調査)

資産調査の目的は大きく分けて二つ。会計と施設管理であるが、市としては、会計上必要とされる範囲での最低限の範囲としています。会計では、資産額、減価償却費算定、取得・除却資産把握のための固定資産台帳整備、施設管理目的では施設維持管理・改築更新に求められる資産管理を行う設備台帳の整備が目的となっています。調査については、業務委託で行ったが、大規模な資産調査を行った実績のある会社が少ないことから委託の選定が大きな課題となった。昭和13年事業、移行時の管渠延長約2650km、公共下水道の終末処理場6か所、ポンプ場30箇所等多数の資産があり、膨大な資産の整理、工事台帳や設計書等の資料がない、管路図と一致していない場合などの調査、方針の決定等にかなり苦労を費やしたとの説明があった。

(企業会計システムの導入)

すでに水道事業では企業会計を導入していることから、そのシステムの利用を検討。下水道事業用には新たなカスタマイズが必要となることから、独自に導入することとした。システム調達については、公募のプロポーサルで行い、性能でも判断を行った。必要となるカスタマイズとしては、主に、市財務契約管理システム・債権債務者情報との連携処理、各種帳票様式の見直しなどを行った。

(庁内調整)

原則として所管課と個別調整を行った。会計事務は、出納に関する事務を会計管理者に委任。契約事務、給与事務は引き続き市で実施。繰入金については企業会計移行後の基準などを財政課と調整し、庁舎管理経費など、共益負担金について、管財課と調整。

(金融機関との契約)

適用により出納取扱いについて、一般会計とは別に金融機関との契約が必要であり、金融機関と契約は市の指定金融機関32行と行った。担保金を徴収するにあたり、水道事業が徴収していた担保金を分割徴収した。平成22年に説明会実施、平成23年2~3月に契約書を締結した。

(関係例規整備)

平成22年12月議会にて姫路市下水道事業の設置に関する条例を議決、財務規定の適用、事業の規模、重要な資産の取得及び処分、議会の議決を要する負担付寄付、損害賠償の額の決定、会計事務氏の処理などについて定めました。また、他都市を参考にして、会計規則・契約規則の制定及び関係例規の整備を行

(予算)

法令、他都市の予算科目を参考に、企業会計移行後の予算科目を設定し、移行前の予算科目から置き換えを行った。一般会計繰入金の科目、基準外繰出ルールの財政担当部署との協議を行う。財務諸表の作成では、企業会計前での未収金・未払い金見込み額、資産調査結果から調整。

(打切り決算)

適用年前年度は3月31日をもって終了し決算。出納整理期間がないために、その期間の収入・支出の取り扱いを調整する必要があり、歳入不足が生じないように調整する必要がある。補助金の収入時期、起債の借入時期の調整、工事の支払い、繰り越しの調整、一般会計からの年度内繰入、収納事務の移行調整等を行った。

(研修)

移行事務についての研修、公営企業に関する研修、企業会計システム操作研修などを行った。 

利点としては、経営状況を把握しストック分析による総合的な事業評価が可能になったこと、同一規模の都市との比較が可能となったこと、職員の経営意識、コスト意識が向上したことがあげられるが、中核市の移行状況、地方公営企業会計の基準の見直し、国からの公営企業会計適用の推進にこの要請に応じ、行う必要があった。今後は、この財務諸表をいかして、適正な下水道使用料の見直し、老朽化対策や更新計画への活用、経営分析を踏まえ、今後の経営にどのように活かしていくことができるかなどが課題との説明があった。