山下てつやです。昨日、今日と行政視察を行いました。
昨日は、日野市の土砂崩れの現場でのフォレストベンチ工法の現地視察です。この工法は、土砂崩れを防ぐのに効果的な工法であり、また、景観性にすぐれ、施工費用も安いということです。
この工法を開発した栗原光二氏は、もともと、道路公団に勤めていたので、コンクリートの工法については、よく、知っていると言ってもよいと思います。しかしながら、フォレストベンチ工法はコンクリートを使う工法ではなく、コンクリートでは、遮断されてしまう水や空気が自由に行き来できる環境をつくり、土砂だけを止める仕組みです。
この工法は、今まで、一度も崩れたことのなく、なんといっても、東日本大震災では、軒並み崖や擁壁が崩れる中、津波と地震に堪えぬいた工法ということで、従来の工法に比べ高く評価できると思います。
今日は、クリーンスパ市川を視察しました。清掃工場の建替えを機に、建設されました。プール、温泉、スポーツジム、レストランなどがあります。ここは、天然温泉が出ています。PFI方式による入札の際、天然温泉を掘ることを要求水準書に入れ込み、実際に天然温泉が出ており、市内外の方々に大変好評で、多くの皆さんに利用されているようです。
クリーンスパ市川は、H19年に開業。H6年に稼働した焼却施設からの余熱を利用した施設です。周辺住民への還元施設です。ごみ処理施設というのは、日々の市民生活を支える上で、市の仕事として非常に重要な位置づけにあります。その安定稼働は、最重要課題です。したがって周辺住民の理解が何より必要です。その住民理解を得る上で、こうした余熱利用施設は、住民サービスともいえるような施設だと思います。都市部で、施設が老朽化する中で、なかなか更新ができないという事態が発生していますが、周辺住民の理解が得られないというのが、大きなその理由だと思います。担当部にとってみると、現在の施設を更新する先には、将来の施設更新を考える必要もある仕事となります。そのためには、周辺理解というものを深める必要は、常に存在すると思います。
クリーンスパ市川は、当初予定より2年間、その開業が遅れました。その大きな理由は、建設された場所の土壌改良にあります。旧埋立処分場に建設したわけですが、埋設物の撤去をすることとなり、その期間に時間を要しました。旧埋立処分場は、法規制前の処分場であり、管理が定められた処分場ではありません。一方、土壌汚染の観点からは、一定基準が満たされる必要があります。それとともに、建設に伴う、法規制をクリアすれば、建物を建てることはできるわけですが、建設工事を始めたところ、ダイオキシンの汚染が基準以上に進んでいると疑われたことから、当初の予定を変え、埋設物をすべて撤去して土壌改良を行うことになりました。約2万立方メートルの容量、約3万5千トンの埋設物を撤去したといわれています。そして、その費用に約10億かかりました。
この数字は、町田市の場合に当てはめるとどのような費用に換算できるのか、参考になるものだと思います。全国には、こうした法規制前の旧埋立処分場が、多く存在しています。そして、この土壌改良というのは、多額の費用が必要となるために、実際には、手つかずの状態にあるのではないでしょうか。いずれにしても、真正面から向き合うと関係自治体にとっては、頭の痛い問題だと思います。そして、このような問題があるということを、多くの住民に理解される必要があると思います。ごみを適切に処理しなければ、将来に、負の遺産を残すという現実が、よくわかる実情だと思います。私が、ごみを有効な資源、バイオマスなどの事業に生かしていくことを推進しているのも、このような現実があることも、大きな理由です。