被災地である福島県の企業が、ニューヨークで売り込みをしているニュースを見た。福島県の工場でつくられた繊維を、流行の最先端にあるブランドに売り込むことは、被災地で働く人たちにとって、大きな励みになっている。バイヤー側も、放射能汚染への不安が検査の実施などにより解消されると、ビジネスへの影響はないとし、被災地、とりわけ福島とのビジネスを望んでいる。ビジネスにより、復興への貢献ができることに喜びを感じているようだ。
一方、日本国内では、復興への思いがあるものの、復旧作業の大きな障害となっている瓦礫の処理がなかなか進まない。放射能汚染の不安から住民の理解が得られず、なかなか受け入れる自治体が見つからない。
今回受け入れをする瓦礫は、放射能汚染で心配される福島の原発周辺のものではない。しかも、予め念入りに放射能検査をして、心配無いものを受け入れることになっている。それでも、問題が起きたときの責任はどうしてくれるのかという住民の不安が上回り、がれきの処理が進まない。
通常、自治体は、自前で廃棄物を処理している。関東各地で、放射能汚染が問題になっている状況からすると、日常、焼却しているごみは、本来、放射能汚染が心配されて当然であるが、そのゴミは、検査もされずに、その自治体の清掃工場で受け入れられている。しかも、三多摩では、被災地でもない、焼却施設建設の目途のたたず、自前でゴミ処理ができなくなった自治体のゴミの受入れ作業を進めている。
検査をした被災地の瓦礫は受け入れることはできないが、検査をしていなくても、被災地のものでなければ受け入れようとしていることを、おかしな状況のように感じるのは、私だけであろうか。
私は、この瓦礫の処理が広域的に進まない理由に、国の原発への対応に国民が不信感を抱いていることが根底にあるように感じている。