町田市議会議員 山下てつや “獅子奮迅”

てつやではたらく“山下てつや”が日々の活動や出来事、お知らせしたいことを報告します。

自然災害に接して

2014年08月27日 | 活動日誌

支援者の皆さんとの懇談の際、局地的な豪雨による被害から身を守るには、どうすればよいかということが話題となりました。

町田市の場合は、境川、鶴見川が市内を流れていることから、それによる水害や、起伏の激しい丘陵地を抱えていることから土砂災害の危険も想定する必要があります。昔から、住民にとって良好な生活環境を提供してきた山や川は、住民との関わりや環境変化から、現在では、違った側面を見せています。

2008年8月末に、ここ町田市でも図師方面で、114ml/時間を超える局地的集中豪雨が降りました。真夜中、傾斜地が崩れ、崩れた玉石や土砂が民家を直撃した。まさしく、想定外の大雨で、玉石擁壁の上には栗畑があり、そこの土砂が傾斜地の脇を削るようにして崩れ落ちたのです。

崩れた玉石と土砂が、民家のガスボイラーを直撃。その瞬間は、小さな爆発を起こしたようだったいいます。家の壁も、崩れた土砂と玉石に押され傷みが見てわかるものでした。

幸いにして、土砂崩れによる被害は、人命や財産を奪うまでにはならなかったが、その後始末が、住民の皆さんを苦しめることになり、そこからが、私自身の出番となりました。崩れた場所は、国有地だったのですが、国自体が実際の現場の作業に関わるまで、かなりの時間を必要としなければなりませんでした。私自身、国と直接交渉し、弁護士と連携しながら管理者責任を問い正したり、我が党の国会議員と相談したりと、かなりの時間をこの問題にさく事になりました。その間、現場の状況改善には、町田市建設部には、献身的な対応をしていただきました。

議員一期目ということもあり、経験が浅いことから、要領を得ない状況や、時には、住民の皆さんを落胆させてしまったような時期もありましたが、一年以上の歳月を経て、国側が管理者責任を認め、崩れた玉石などの処理をした後、再発防止の擁壁が組まれました。住民の方の安心した表情を見届けたときのうれしさや達成感は、今でも、忘れることはなく、貴重な経験をさせていただいたと思っています。また、住民の皆さんに信頼していただいたことは、かけがえのない財産でもあります。

自然災害により想定を超えた事態がおきた時に、どうするのか。私たちの仕事は、常に、こうした意識を持って仕事に取り組む必要があることを、この災害を通して教えていただいたと思っています。


視察報告 福岡市 久保田産婦人科麻酔科医院

2014年08月20日 | 活動日誌

久保田産婦人科麻酔科医院は、福岡県福岡市内にある久保田史郎医師(医学博士)が院長を務める医療法人である。

久保田医師は、元は大学病院の麻酔科の専門医であったことから、医院名にも、麻酔科を掲げている。父親が産婦人科医であり、医師になる当初から産婦人科医を目指していたが、産婦のお産の負担を減らすことを目的として、麻酔科に進んでいる。

麻酔科では、予防医学の視点から、患者の体温、顔の表情や筋肉の緊張など、体の変化を細かくチェックしていいたことから、大学病院で、麻酔科から産婦人科に異動した際に、お産の常識について、違った視点を持つようになる。

例えば、大学病院時代に、麻酔科から産婦人科に移り、生まれた赤ちゃんを見ると紫色をしていたが、麻酔科の視点では、寒がっているように見えたために、自分が担当した新生児を適温とされる温度(32~34℃)の保育器に入れたところ、ピンク色となり、嘔もなく糖水やミルクを飲めるようになったとの事例などがある。

久保田医師は、麻酔科医としての経験から、これ以外にも、お産の常識に対して疑問を持つようになる。例えば、新生児の黄疸や体重減少がある。10%以上も体重減少が起きるのは、生理的現象と考えられていたが、データ分析・研究により、新生児が低栄養状態であると判断。生後数日感の栄養不足が黄疸を強くする原因であるとし、早い段階で栄養を与えることにより、重症黄疸を防ぐことを確認している。

日本では、重症黄疸の治療が行われるケースは、10人に1人くらいとされているが、同院では、2013年のデータでは、1万783人中、発症は22人(0.2%)で、発達障害の危険因子であるビリルビン値20mg/dl以上は1人も出ていない状況だという。

久保田産婦人科の出産の特徴は、主に3つあげられる。栄養管理、水中散歩、産科麻酔である。

栄養管理では、食生活を指導する。妊娠中の体重増加が著しいと妊娠高血圧症や妊娠糖尿病の原因となる。また、赤ちゃんの育ちすぎ、微弱陣痛、産道の脂肪過多、予定日超過など起こす。

水中散歩は、冷え性、便秘、胎盤早期剥離、妊娠高血圧症などの予防や治療に効果発揮するとのこと。血液の循環を悪くする冷え性は、様々な病気の原因になるとして、特に妊婦の冷え性は、胎盤剥離、高血圧症、低出生体重児(未熟児)、便秘・頭痛・肩こり・浮腫など原因になるとして、生活習慣も含め改善する必要があると指導している。長時間のデスクワークは血流を悪くし、冷え性の原因になるために、就労環境についても、具体的に改善すべきとしている。

産科麻酔は、無痛分娩あるいは、和痛分娩とも呼んでいる。これは、分娩時の痛みを7割和らげる「陰部神経ブロック法」という局部麻酔を行うことである。分娩時に麻酔をすることについて、日本では理解があまりされていないが、欧米では麻酔を施す無痛分娩は、お産の9割以上にのぼるとのこと。同院では、和痛と呼んでいる手法を採用しているのは、お産の最大の痛みは取り除きながらも、産んでいる感覚は残り、誕生の瞬間を冷静に受け止めることができるとしている。また、痛みにより、産婦が過呼吸になると胎児仮死の原因となる低酸素血症を招くことがあり、予防の役割もはたしているとのこと。

同院の新生児管理の特徴は保育管理にある。1983年の開業以来、約12000人の全ての赤ちゃんに対して、出生直後の低体温症と低血糖症を防ぐために、保育管理を行っています。その結果、発達障害の危険因子である低酸素血症、低血糖症、重症黄疸、頭蓋内出欠を完全に予防した実績を得ています。

久保田医師は、日本では、厚労省の勧めにより生後30分以内のカンガルーケアと完全母乳が当たり前になっているが、このカンガルーケアと完全母乳が、日本における発達障害児が急速に増えている原因であると考えており、同院のでは、その問題点ともいえる体温管理と栄養摂取に着目している。

胎児は、分娩を境に急激な環境温度の低下に見舞われる。母体にとって快適な温度である分娩室との温度差は13℃くらいになるとも言われ、新生児は出生直後から寒冷刺激が与えられる。その状態で、分娩室が新生児にとって著しく寒い状態が続くことにより、新生児は低体温症に陥り、体温調節機能は、その回復のために著しくエネルギーである糖分を消費するために、低血糖症となり、自律神経機能に不具合が生じ、脳に障害を遺す可能性が生じてくると考えており、その大きな原因となっているのが、生後30分以内のカンガルーケアにあるとしています。また、産後24時間以内は、母乳は滲む程度しか出ず、新生児に必要な最小限のカロリー相当する母乳が出るのが、早くても生後3日以降からのであることから、新生児に完全母乳により対応すると生後3日間は、新生児は飢餓状態に陥り、脳に障害を遺す危険性が生じ、完全母乳はその大きな原因であると久保田医師は考えている。これらのことから、同院の新生児管理の特徴は、保育器による温度管理と糖水や人工乳などを与え低体温症と低血糖症を防ぐことにあります。そのため、同院では、医学的にみて、新生児の低血糖症・低栄養・脱水・重症黄疸・脳出血が発達障害の危険因子であることは常識であるとして、寒い分娩室に生まれ、生後3日間の低栄養を補い、体重減少を防ぐには、生後早期に糖水・人工乳を与える超早期栄養法が必要と判断しています。

今回の視察では、同院の母親教室を受講し、生活習慣が胎児発育に及ぼす影響について説明を受けました。冷え症や食生活による肥満が胎児に与える影響をわかりやすく説明し、その改善策のために水中散歩を、妊婦に勧めています。これは、母体の健康状態をよくするだけではなく、介護予防にもつながる健康法であることから、今後、健康増進策としても水中歩行を取り入れていくことを久保田医師は勧めています。血流をよくすることが、あらゆる器官の機能を正常に保ち、多くの病気の危険因子を取り除くことができるようになると考えられるためです。新生児が低体温、低血糖になることにより、多くの障害を遺す危険性を踏まえ、予防医学の視点からそれを回避していくことが望まれる点は、成人にとっても、健康維持をしていくための生活習慣の改善を、どのような視点で行っていくべきかということに通じてくると考えられます。これらの点を踏まえ、今後、市の健康施策に対しても提案していくことを試みたいと思います。

発達障害児の増加は明白なことであり、市は、国の対応を待たずに、この同院の考え方や取り組みについて、早期に調査研究を行い、実践として取り入れていくべきであると、多くの市民が望むところであると考えられ、これを少しでも前進させる提案を行いたいと思います。


視察報告 長崎原爆資料館

2014年08月09日 | 活動日誌

長崎原爆資料館は、長崎への原爆投下に関する資料を扱った長崎市立の資料館です。現在の建物は、1996年、被爆50周年記念事業の一つとして、被爆の実相と平和への願いを広く発信するために、それまで被爆資料を展示していた長崎国際文化会館を建て替えて開館したものです。

この施設は、長崎平和記念公園の一つの地区内にあり、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館、長崎市平和会館、モニュメントなどが同じ地区に存在します。

平和記念公園全体は、祈り、願い、学びのゾーンに地区を分類していますが、原爆資料館は学びのゾーンと位置づけられています。

市では、平和・原爆を市の象徴として事業を行っています。平和関連事業、被爆者支援、平和公園、平和関連施設などがそれにあたりますが、長崎原爆資料館は、平和関連施設の中でも中心的な役割をはたしています。

市の組織では、この原爆資料館は、市民局原爆被爆対策部が所管し、総務企画、平和発信を担当する平和推進課と、平和学習、被爆資料を担当する被爆継承課があり、その他、平和会館と永井隆記念館を同館が所管しています。8月9日に発表される長崎平和宣言や核実験などへの抗議活動は、平和推進課が担当しており、同館は市の組織としても、長崎市における平和への取り組みを行う中心的な役割を担っています。

館内は、地下1階2階の構造となっており、地下1階がビデオスペース、地下2階が展示スペースとなっており、原爆投下、原爆により被害、救援・救護活動、核兵器の開発・実験による影響、資料館についてなどストーリー性をもってつくられています。なかでも、原爆による被害状況については、爆心地を中心とした町全体への被害の大きさとともに人体への熱線、爆風、放射線による被害、後遺症など、その恐ろしさや悲惨さを強く認識できる展示内容となっています。

平和案内人というボランティアガイドが、来館者に対して展示解説を行っていますが、平和案内人は、被爆者自身が高齢化する中、被爆の実相と平和の尊さを継承する活動をしています。

被爆の実相と平和の尊さを継承するために、青少年に対する事業を重点的に行っていますが、なかでも、青少年ピースボランティアメンバーは、被爆や平和について学び県内外との交流や記念式典でのボランティアを行い、青少年への継承事業における中核的な役割に担っています。

被爆者が年々減り続け、活動を停止する被爆者団体が増える中、今後、どう継承を実践し、次世代に平和の尊さを伝えていくのかという点では、被爆地の課題という側面よりも、国民的な課題であると捉えていく必要があります。町田市に限らず、多くの自治体がこの原爆資料館との連携を行い、その課題解決への取り組みをしていくべきではないでしょうか。

 

 


視察報告佐世保市学校給食センター

2014年08月09日 | 活動日誌

佐世保市学校給食センターは、平成24年に建築工事の入札を行いその年5月から建築工事を行い平成25年5月に竣工しました。中学校給食を提供する施設で、対象校は15校、約6000人分の給食をつくっています。運営は、民間委託の形式をとっており、調理、配送とそれぞれわけて行っています。

佐世保市は、平成の大合併により、平成17年、平成18年、平成22年と旧6町を合併しています。そのため、中学校給食の実施では完全給食の町と実施していない町があり、平成20年で完全給食実施が9校で、他17校は牛乳だけの提供をしている状況でした。 

住民要望で中学校給食の実施が強く求められるなか、食育基本法の施行、そして、平成20年の学校給食法の改正を機に、市では、条例上の諮問機関を設置して中学校給食の実現とそのあり方について協議を開始し、食育としての中学校給食の完全実施の実現に向け検討。

その結果、実施手法やアレルギー問題などさまざまな課題への対応に関する答申がなされ、食育実践のために、中学校給食の完全実施をすることになります。

中学校給食の完全実施にあたり、施設整備については学校給食センターの整備をすることを決定。

自校方式は建設余力がない学校があること、また、すべての学校を親子方式で実施するには余力がない学校もあること、また、既存施設の老朽化など施設面での課題があることなどが、新たな学校給食センターを整備し、そこに統一していくことを決めた主な理由です。尚、町田市同様に弁当方式の採用を検討したが、適温での提供が困難なことや委託する民間調理施設の管理についてチェック体制が不十分となる可能性があり、食育推進の立場から弁当方式は採用しなかったとのこと。

市では、中学校給食の実施にあたり、学校給食センターのあり方を以下のように取りまとめています。

自校方式と同様の適温での食事の提供ができること。

食物アレルギーを持つ子どもでの代替食の提供が可能であること。

利便性の高い設備を導入することで献立の多様化に対応できること。

集約された施設であることから衛星管理の徹底や運営コストの削減が見込まること。

答申では、小学校給食の施設整備についても、今後の老朽化を勘案し、学校給食センターへの集約することとし、その際には、市内に複数のセンターを整備し、区域を設定の上、概ね30分以内の配送を目安として、それが困難な場合には、親子方式の採用もあわせ、今後の施設整備の在り方を検討すべきとしています。

学校給食の実施における大きな課題としてアレルギー対応と施設の維持管理が挙げられますが、このセンターではアレルギー対応を見越した設計を行っているため、十分な対応が可能です。一方、施設の維持管理については、施設の老朽化が著しくなる中、費用増大が見込まれます。その対応策として、センター化を進めていくことが見込まれます。今後、町田市においても、中学校給食、小学校給食の提供をどのように継続し、進めていくのか、佐世保市の取り組みも一つの参考事例にしていきたいと思います。


佐賀市バイオマス産業都市を行政視察

2014年08月06日 | 活動日誌

佐賀市は、平成17年、平成19年と合併を繰り返し、人口237千人となり、現在に至っています。

合併後、市内には4つの清掃工場が存在することになったため、新佐賀市では、平成15年に建設され、旧佐賀市内の市内で唯一発電能力のある清掃工場のみを稼働させる方針を打ち出しました。これは、発電や資源化など廃棄物の有効活用をはかることを主な目的としています。

一方、それぞれの施設は合併前の行政区域内のごみに限り受け入れることが、施設周辺の住民側との約束となっていたために、合併後の佐賀市全体のごみを一ヶ所の清掃工場に搬入することは、住民側の理解を得る必要がありました。

地元への公共施設整備や道路などの環境整備に加え、焼却熱を活用したハウス栽培への熱の供給などによる地元への還元など、従来からの地元対策を行うとともに、市では、迷惑施設的なイメージを払拭し、付加価値の高い施設へのイメージ転換をはかることで、周辺住民にとって受け入れやすい施設としていく必要があると考えました。そこで、国のバイオマス推進構想を実現する自治体として清掃工場や下水処理施設の有効活用をはかることで、バイオマス産業都市を目指す取り組みを本格的に開始することになりました。この推進のために、国が省庁をまたぐ取り組みとしいることから、縦割り行政の弊害をなくすために、バイオマス産業推進のための組織整備を行っています。

具体策の一つとして、CO2分離回収装置を清掃工場施設に設置し、焼却施設から発生する排ガスからCO2を取り出し有効活用をはかることを決定。

 

回収したCO2を周辺農家のハウスへの供給により付加価値の高い農作物つくりの実現に貢献。さらに、CO2の活用を模索する中、大量にCO2の確保ができることが注目され、CO2を必要とするバイオ産業との連携を実現。燃料生産の原料としての活用や、日本でも初となる藻を培養する米国企業との事業化が決定している。

藻培養については、研究ベースでは自治体と学術機関との連携が実現していますが、事業化では、おそらく国内初となると考えられ、その成功の大きな要因は、窒素やリンなどの活用とあわせ、CO2の活用を実現したことによるものが大きい。

この米国企業との連携では、ヘマトコッカスという藻の培養に活用します。藻の培養には、大量に安定したCO2を必要とすることから、清掃工場の排ガスから分離回収したCO2を培養施設に供給することになります。

清掃工場のあり方を検討する中で、廃棄物を有効活用を進め、地元対策とあわせ市としての産業政策にまで展開し、企業誘致を実現した点は、注目すべきことであり、町田市においても、住民側の理解を得ることを前提に、産業振興に結びつけていく方策を検討すべきと感じています。

その他、同市では下水道汚泥の堆肥化に取り組んでいる。堆肥化については、つくられた堆肥の利用がなかなか進まないという課題と堆肥化する過程での堆肥化施設の臭気対策という課題がありますが、これらの解決についても、より積極的な取り組みが見られます。

堆肥の利用促進のために、農業関係者をはじめ諸団体との勉強会を立ち上げ、その有効性について理解を得ることを進めています。また、臭気対策では、食品メーカーから発生する廃棄物を活用し、臭気を半減させることを実現しています。

町田市についても、これらの取り組みは、具体的に取り入れることが可能な点もあると考えられます。そのためには、現在進めている施設整備計画と合わせ、産業振興に結び付けていく考え方を取りまとめていく必要があり、今後、市側への提案を行っていきたいと思います。

 

今日は、佐世保市で朝を迎えました。朝から時には激しい雨が降り続いています。午前中、佐世保市の給食センターを視察し、午後は、福岡の産婦人科を視察に行く予定です。