山下てつやです。今日は、朝から建設常任委員会の視察ということで、三浦市に行ってまいりました。視察先は、三浦バイオマスセンターです。 三浦市の人口は、約4万7千人、面積は約32k㎡。町田市の人口は、約42万7千人で、面積が約71k㎡です。町田市の4分の1ぐらいの人口密度です。
とにかく、横須賀市もそうですが、海に面していて、畑が広がっている景色が印象的で、とても、広々とした解放感を味わうことができるので、このあたりに来ると、とても、気分がよくなってしまうことを感じます。
三浦市は、農業と漁業の町。言うまでもなく、大根は、有名です。漁業では、日本で有数のマグロの水揚げ量ですが、ピーク時の昭和43年に比べると、現在は、2分の1以下まで、落ち込んでしまっているようです。そのため、地域活性化のために観光に力を入れようする動きが生まれ、、13店舗のマグロ料理のお店の調理人さんが、毎月16日(とろ)に集まって研究をするマグロくらぶを結成して、グルメで町おこしに取り組んだ結果、10万から15万人だった観光客が30万人から50万人まで増えたそうです。すごいことですね。確かに、昼間行ったマグロ料理のお店には、沢山の芸能人も来ていて、観光客でにぎわっているようです。
平成15年、国が内閣府に「地域再生推進本部」を設立。これに合わせ、三浦市や三浦商工会議所そして三崎水産物協同組合は「三浦地域再生研究会」を発足。そして、国では、バイオマス日本総合戦略を閣議決定、また、地域再生法の施行がありました。そこで、三浦市は研究会の議論を踏まえて「三浦市バイオマスタウン構想」と「三浦地域再生計画」を策定し国に提出。農林省からは、「バイオマスの環交付金」の活用が認めされ、内閣府からは計画の認定を受けるまでになりました。この研究会は、もの凄く、市の活性化に役立ってきたことがわかります。
三浦市では、し尿処理と浄化槽汚泥の処理をしてきた衛星センターの老朽化に直面していました。しかしながら、財政力の弱さから、建て替えが進まないという問題があったのですが、この交付金が民間会社においても活用ができるものであったことをうまく生かして、市に代わる新会社を設立して、衛生センターの代替プラスαの施設をつくろうということとなり、平成18年に第三セクターとして三浦地域資源ユーズ株式会社が設立されました。
三浦地域資源ユーズ(株)は、民間比率の高い会社で、28団体が出資しており、市の資本比率は19.9%で、前述の市の構想と計画を実現化していく会社です。
ユーズは、三浦バイオマスセンターの施設整備と運営事業をプロポーサル方式で行うこととなり、実施要領や必要事項を定めて、建設費と施設の15年間の運転管理を行う事業者を公募をして、建設から施設の運営事業者の選定まで行っています。契約内容まで策定していることを考えると、通常、自治体が行う役割まで行っている点は、こうした施設運営に限らず、今後、町田市としても参考事例としていきたいケースです。
これが、三浦バイオマスセンターの建設と運営に至る経緯です。
三浦バイオマスセンターでは、「し尿」「浄化槽汚泥」、「農作物残差」「水産残差」を一般廃棄物として処理されています。そして、「下水道汚泥」を産業廃棄物として受け入れられています。処理行程としては、メタン発酵と水処理が行われ、バイオガスを抽出して、電気や温水などつくり、副生成物としは、堆肥をつくっています。
農業、漁業が主体の町であることから、バイオマスによる再資源化を行っている点は、まちづくりと連動しており、注目すべきものがあります。以前は、農作物の残差をそのまま埋め立て処分場に捨てていたようですが、これを三浦バイオマスセンターが資源化に取り組んでいます。堆肥の搬出先が、少ないことが課題であるが、これは、三浦市の農家の収益が比較的高く、安価であっても、三浦バイオマスセンターの堆肥の普及が進まないことが主な理由です。
メタン化施設における大きな課題は、やはり、異物の混入です。農作物を破砕する段階において、一般の廃棄物が混ざっていることがあり、この対応に労力をかけることがあるようで、大きな課題となっています。また、処分する残差が予想された搬入量に達していないことから、メタンガスの発生量も、予想より少ない状況にあるようです。メタン発酵施設というより、し尿、浄化槽汚泥の処理施設としての役割が大きいと感じられる施設であると感じられました。
この施設は、エコとフードというまちづくりのコンセプトにあったものとしては、今後も、大きな役割を担うことが期待されます。また、現在は、財政的基盤の確保のために、制約された事業運営がされていることから、しばらくは、新たな事業展開は難しいようですが、順調に事業運営がされていくことにより、民間が事業主体となっている柔軟性を活かし、観光資源としての魅力を高めるような目的をもたせることも期待できると思います。
写真は、大根の葉です。三浦市らしいですね。