津市において、新エネルギーの利用促進について建設常任委員会の視察を行い、主に、新エネルギー利用設備設置費用の補助制度について説明を受けました。
津市は、豊かな自然環境に恵まれた三重県の中央部にある同県の県庁所在地。「津(つ)」というのは湊(みなと)を意味するとされ、古くから海に向かってひらけた地域として発展してきた。2006年に津市、久居市、河芸町、芸濃町、美里村、安濃町、香良洲町、一志町、白山町、美杉村が合併し、現在の人口は、約28万7千人、面積は約710平方キロメートルで、これは、町田市の10倍に匹敵する。
津市では、H19年策定の地域新エネルギービジョンやH20年策定の環境基本計画に基づいて、自然環境保護と地域特性を活用した、風力発電や太陽光発電の利用促進を掲げており、これにより市内における太陽光や風力発電を補助制度をすすめています。
補助対象は、各家庭へのシステム設備から、事業所、自治会集会所にも拡大をしてきました。特に、集会所施設への設置補助の対象拡大については、災害時の避難場所となることから、非常用電源の確保を期待した取り組みとして、H23年度から導入し、今年度、利用実績が見込まれている。
補助金額は、個人住宅5kW以上10kW未満が10万円/件 共同住宅及び事業所3kW未満が3万円/件、3kW以上6kW未満が6万円/件、6kW以上10kW未満10万円/件 自治会集会所3kW未満21万円/件、3kW以上6kW未満42万円/件、6kW以上10kW未満70万円となっている。
H24年度から、家庭用5kW未満の設置については、補助対象外としている。これは、過去の実績が8割以上が5kW未満の設置への補助であったが、すでに、この出力範囲では普及が進んできていることかから、補助対象としなくても自然な普及が進むと判断しており、今後は、家庭用においても5kW以上の出力の普及をさせることを目的としている。事業者、共同住宅、また、建売住宅にも補助対象を拡げてきていることの理由の一つとしては、経済活性化への期待が大きくあるようで、今後の進展について注目したいところである。 また、中部電力との協力も不可欠であることから、自然エネルギーへの転換が求められるなか、電力会社の今後の役割についても注目したい。
津市としては、新エネルギーの普及を進める上で、太陽光や風力などの設備支援だけではなく、創エネルギー、省エネルギー、畜エネルギーなどの複合設備の設置やスマートハウスへの支援、さらには、今後のエネルギー対策全般のあり方を検討する必要があるとしており、いずれにしても、電力行政の動向が、大きな要素になってる。
同市において、新エネルギーの利用普及促進という点では、大規模な風力発電設備を備えた青山高原ウィンドファームの取り組みがある。青山高原は、伊勢の国と伊賀の国を分ける布引山地に属し、標高600~800m、南北およそ15kmにも及ぶ大草原で、ここは、津市と伊賀市にまたがり、国定公園に指定されている。ここで、豊かな自然環境を利用した風力発電を行っており、今後の計画も含めると風車は91基にもなる予定。
事業者である株式会社青山高原ウィンドファームは、津市内に本社を置き、主に、風力発電による電力の供給と発電設備の維持管理を行っていおり、主要株主は中部電力グループの(株)シーテック、津市、伊賀市となっている。この会社は2000年に設立され、第三セクターの取り組みとして発展したきた。風力発電設備は、森林法や自然公園法上の許認可を必要としていることから、手続き上の課題をクリアしていく点で、市としても出資とともに環境アセスについても支援をしてきた。現在、多くの地域で自然環境を利用した発電設備の設置に関心がもたれているが環境保護の観点から手続き上、大きな困難が伴うとされていることから、これまでの取り組みが参考になることが期待されている。
今後の課題として、事業が軌道に乗り発展してきたことと合わせ、今後の維持管理費用が増大することを見据え、民間事業者への株式譲渡が検討されている。