ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

公演終わって考えた!王道編

2016-08-06 11:42:16 | シニア演劇

 まだ続くのかよ?当たり前だぁ、番外ありゃ王道あって当然だろうが。シニア演劇、スタッフ、スター、打ち上げと書いてきた、作品について振り返らにゃ片手落ち、豆腐なしの麻婆ラーメンみたいなもんだろ。

 実はこの『クロスロード』大きなジレンマを抱えていた。人生の分岐点に戻ってやり直しながらも、それほど大きな転換はなく、結局どっちを選んだところで大して変わりゃしなかった、って構造だからだ。自分の過去に遡るタイムトラベルものって奴は矛盾を孕んでいて、もし別の人生を選んだら、それまで人生はどうなってしまうんだよ?って問題だ。当人はまだいい、勝手に別の次元で生き延びていきゃいいんだから。でも、関りをもった人間たちはどうなる?恋人や奥さんなら、別の相手とよろしくやるかもしれない、が、もし、子どもが生まれていたら、これはえらいことだぞ。 抹殺されちまうわけだから。なので、タイムトラベルものでは、未来を大きく捻じ曲げる手出しはきつーいご法度ってことになっている。

 まあ、そんなご禁制はR15とかと同じで、破ったところでどうってことないのだが、はて、まったく別の人生歩めたとして、主人公の後をだらだらと追いかけて新しい世界を描ていたところで、別になんも面白くはない。人生の岐路、生き直しものは、実際にたどった人生との緊張関係があるから興味をそそるわけで、やり直したら、はい、上手く行きました。ダンサー茉莉は大スターになりました。ああそうですか?それは何もクロスロードから始める物語じゃないでしょ、ってことなのだ。ただ、もう一つのストーリーが展開するってだけのことなのだ。自分が現実に歩いてきた道筋とひき比べて、喜んでたり、羨んでみたり、後悔してみたり、悩んだり、戸惑ったり、行きつ戻りつするから面白い、これがタイムトラベルものの奥義なのだ。

 で、どうなるかっていうと、クロスロードで直面する問題が大したことじゃないってことにならざるを得ない。結局は戻ってきたり、変わっても落差は小さかったりせざる得ないからだ。要するに、そんなことが、人生の岐路なの?って物語に対する根源的な疑問が生まれてくる。それは書いてる段階からわかっていた。バンマスの馘首に殉ずるかどうかとか、ダンサーの妹分に差別語をぶつけることとか、そんなの大した問題じゃないだろ、って見透かされる恐れは大いにあった。そこをどうしのいで誤魔化すか、書き手の腕の見せ所かな、とも思っていた。テネシーワルツの別れとか、信頼していた姉貴の裏切りなんかは上手く書けた。差別語を当時流行のお邪魔ムシとかに言い換えたのはいかにも苦しい。そこを指摘する声もあったけど、まずは大方、騙し遂せたかな?

 時空案内役の時渡、時回はなかなかいいアイディアだと気に入っている。人生の分岐点で、心ならずも死を選んでしまった人の心残りが、タイムエトランジェとしてあてどなく時空をさまよっている、機会があれば、生き直したいが、その瞬間は自分で選び取ることがてきない、うーん、悪くないなぁ、が、説明不足のきらいはあったようだ。そうか、この設定を使えべ、別の物語が作れそうじゃないか。

 プロローグとエピローグの婆さんたちの不平憤懣やりたい放題は、思った以上に反響があった。まっ、だとは思ってたんだが、あれほどまでに受けるとはね、ジジババものの王道ってことだろうな。これも、一つ別の芝居にして欲しい、って要望が見た人から出てきていた。そうね、これも、ホームドラマタッチで描けばいける。

 最後に音楽だ。やっぱり生はいい、ライブは強い。サマータイムのサックスソロ、ラストのギター伴奏でのテネシーワルツデュエット、実に効果的だった。

 一部のラストに流した「Goodby」も生だったら最高だったんだけど、あれはやっぱりクラリネットの曲だからな。失敗はラストの「What a wonderful world」だった。これは僕の完全な読み違い。メンバーの歌唱力を過大評価し過ぎた。もっと、味い深く歌えると思っていたが、英語の歌詞を覚えるので精いっぱい、ジャズ・ポップスのリズム感をつかむのが難しかったようだ。歌や踊りをたっぷりと取り込んだ音楽劇、これからも挑戦していきたいけど、そうなると、歌のレッスン、ぜったい欠かせないな。

 生演奏といい、エトランジェクーリエといい、結構新しいことに挑戦したんだ。見た人には斬新とは映らなかったようだけど、違和感なく楽しんでもらえたってことで満足することにしよう。

 

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