ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

ナイトシアターは俺様ご用!

2020-06-15 13:19:25 | 映画

 パソコン、買い替えたからさ、すっかり変わったよ、夜の暮らし。いやいや、そんな妖しい不届きな話しじゃないぜ。心置きなく映画三昧!が定番になったってことさ。

 アマゾンプライムで映画見る、ったって、居間のテレビ受像機で見るとなると、当然、神さんの好みにも気配りせにゃならん。アクションものとか戦争ものなんかは絶対ダメ!スイッチ切ったりはないにしても、蔑みの冷たい視線、あるいは徹底的な無視に耐えつつ、背を丸めて見るしかないわけだ。横に生真面目に本読んでる人置いて、一人カーアクションに熱中するなんて無理がある。こそこそ見るくらいだったら、一緒に見られるものにするか、ケン・ローチとか、是枝とか、なんてなっちまうわけさ。食事なら嫌いでも我慢して食べるしかないし、腹減ってなくたって、無理して食べる。だが、食後の時間の過ごし方となると、お互い好き勝手したい年頃なのさ、ジジイとババぁともなりゃね。

 ナイトシアター、気楽に好みの映画が見られるようになったのは、ほんと、幸せだぜぇ。

 昨夜なんて、おひとりシアターになってファンになった「ワイルドスピード」シリーズ「アイスブレーク」を声援上げながら楽しんじまったものね。あんな、ビルの駐車場から次々車が落ちてきて大臣の乗用車を取り囲む、とか、赤ん坊をポータブルチェアーに乗せて横向かせながら悪者と戦うなんて馬鹿げたアクションシーン、もう、腹の底から感心しちまった。もちろん、ラストの売り物、氷原での様々な車使ったド派手なカーアクションも大いに堪能した。これなんて、神さんと見るなんて絶対あり得ない!

 他にも、お気に入りのシリーズがある。これはもっと、同伴じゃ無理ってジャンルだ。うふふ、あっち系だろ、って?まぁな、そうとも言える。ただし、そのものずばりって代物じゃないぜ。

 『フルーツ宅配便』。テレビ東京が制作したシリーズものドラマだ。このシーズン1がプライムで見られる。なに、果物業者のお話しかい、って早とちりさせるのが狙い。配達はつまりデリバリー、配られる品物はみかんとかイチゴとかフルーツ名を源氏名にしたデリヘル嬢たちなんだ。なっ、こりゃ一人で見るしかないだろ。

 なんだ厭らしい!そんなもん涎垂らして見てんのかい、なんてこれまた、早とちりの決めつけってもんだぜ。もちろん題材はデリバリーヘルスの世界そのものだ。微妙な客とのやり取りなんかもある。が、そこはやっぱりテレビ局制作、露出はほぼ皆無!あんまり自制し過ぎてて、もちょっとサービスしたっていいんじゃねえか?なんてスケベ根性も頭もたげないわけじゃないが、このドラマの見どころは、そんな男どもの欲求に応える女たち一人一人が抱えている人間模様の妙にあるんだ。

 高校進学の娘のためにまとまった金が欲しくて、ついルールを破って自売りの本番をしてしまう女とか。自分のブスさ加減に自暴自棄になってサービスする女とか。「カラマーゾフの兄弟」ばっかり読んでる自信喪失の女とか。中には真面目一方で定年退職を迎え、デリヘル嬢に惚れ切ってストーカーになっちまうジイサン、なんて男の話しもある。

 そんな彼女たちを戸惑いつつも誠実に世話し続ける新米社長、濱田岳。その尻を叩きつつ気ままにオーナー稼業を楽しんでいる松尾スズキ。さらに、とっぽい従業員マサカネに荒川良々。いいなぁ、この三人!持ち味がこの世界にびたっとはまってる。

 男と女の美しいとはとても言い難い世界を描いて、毎話、ほろりと、あるいはずきっと!あるいは暖かい気持ちにさせるなかなかの秀作なんだ。実際の風俗の世界はこんな甘っちょろいもんじゃないだろな、とは思うし、ここにあっけらかんと描かれている女性たちの生きざまを真に受けるわけにゃいかんぞ、とは思いつつも、それなりに未知の世界を楽しませてくれている。

 何より良いのは、男の剥きだしの欲望からじゃなく、つまりナイナイの岡村みたいにゲス男の薄汚い視線でなく、あくまで女たちの暮らしや仕事!や家庭や愛憎に寄り添おうとしているところだ。大きな視点に立てば、もちろん、女たちは被害者だ。性を売り物にせずに暮らせる社会が好ましい。だがね、そんな理想郷のお題目唱えてても、現実の人間は見えてこない。このフーゾクという身過ぎ世過ぎの場をしたたかに、あるいはじっと耐え、あるいは楽しみ、あるいは惰性で、過ごしている彼女たち、そんなちょっと変わった日常を共感しつつ覗いてみる、そこがこのドラマの優れたところだな。

 ツイッターなんかにも、堂々と風俗嬢を名乗って声を届けてくれる女性たちが多々出てきている。そんなところから、なんか、新しいものも出てきそうでフォローしたりしてるんだけどな。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする