ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

低音の勧め!高校演劇東北大会報告第3弾

2007-12-24 20:29:02 | 演劇

 高校演劇東北大会の感想、第3弾だ。

 今回いろんな学校の発表見て、聞いて、つらかったのは、役者の、声が高いってことと、早口ってことと、しょっちゅう声が裏返ることだった。この女子高生のキーキー、きゃっきゃが苦手なんだよね。

 女性ボーカルだってそう、若手のアイドル歌手なんて、もうあの声の高さだけで、勘弁して!って思うもの。民放局のテレビキャスターも同じ、あのハイテンションのキンキン声、なんとかならんか?年取った証拠だよ、って笑われるだけのことかもしれないけど。

 でも、審査員の内山勉さんも、高い声は意味を伝えにくい、もっと言葉を伝える努力を、って言ってたし、藤田傳さんも、舞台のしゃべりと普段のおしっゃべとは違うんだ、ってきつーく、釘を刺してくれていたから、あの発声、やっぱりうまくないんだよ。

 実は、置農の演劇部員も菜の花座も、女たちは、放っておくと、どんどんトーンが高くなるんだ。そして、感情が高まると声が裏返る。先週の菜の花座公演『遭難、』(作:本谷有希子・演出:河原俊雄)の主役を演じたさおりなんて、もう、普段から裏声で話してるようなものだものね。何度、低い声でやれ!って言ったことか。だから、置農演劇部では、発声練習に低音の発声も取り入れている。女性の場合、低い声はあまり使わないから、日頃から鍛えてないと、舞台で通用する声は絶対に出ない。方法は、低い声であ~を言い続けるだけのことだけど。

 この訓練は、低音を自分のものにする、と言う以上に意味があると思うな。それは、自分のセリフ術を確実に広げることができるってことだ。つまり、引き出しが増えるってこと。低い声って、日頃の自分と違う自分を発見できるからね。それと、腹式呼吸を嫌でも意識できるってことも大きな長所だ。この辺は、もし、まだやっていない部があれば、ぜひ試してみてほしい。

 次に早口。早口すべてが悪いわけじゃない。そのいい例が、青森中央だ。あそこの部員達は時にかなり早くしゃべるけど、とてもくっきりと聞こえていた。まあ、滑舌ってことなんだけど、舞台の言葉は、藤田さんの言うとおり、日常のしゃべりとは違うってことなんだ。だって、普段の会話だったら、聞いてる相手に伝わればそれでいいわけだけど、うむ?今どきの若い奴らの会話って伝わらなくてもいい、みたいな所大いにあるけど。芝居では、相手に伝わり、なおかつ、観客に伝わらなくちゃならないから。

 そんなことわかってる、女子高生の日常会話の雰囲気を出したかったんだ、ってことかもしれない。もしそうだとしても、今回は、完全に失敗だったと思う。なんせ、このホール、やたらと残響が長い典型的な音楽ホールだったからね。ゆっくりとかっちりとしゃべった学校のセリフはきれいに客席に届いていた。12月初めに舞台は見学してるわけだから、そのくらいはきちんと調整してこなくちゃいけない。これは、場数踏んでる顧問の責任だと思うよ。

 ついでに、ミュージカルの置農としては最高のホールだった。これまで3つのホールで上演したけど、どこも、響きがデッドで、スピーカーからの伴奏と生歌がまるで解け合わないで苦労してたから、ここはほんと、最高の舞台だった。特に、一階の最上段なんか、もう、実にまろやかに解け合って、うっとりしてしまったね。

 ということで、発声について書いていたら、予定の字数を超えてしまった。も一つ書きたいことがあるけど、それは次回にしよう。なーんて、もったいつけたりしてね。

 

 

 

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いじめの舞台は成立するか?高校演劇東北大会報告第2弾

2007-12-24 12:32:03 | 演劇

 高校演劇東北大会に参加しての感想、第2弾だ。

 東北大会だからねえ、地区勝ち上がり、県を突破して集まってきた選りすぐりだからねえ、きっとすごい舞台の連続なんじゃないの?ってもう、おっかなびっくり参加したんだよ。全国最優秀を数年おきに出してる東北ブロックだもの、レベルは絶対高いよ、って正直思っていた。

 ところがね、二日間、12本の上演のうち、置農発表前の3本を除いた9本の舞台を見ての感想は、ええーっ、ちょっと拍子抜け!ってところだ。山形のレベルが高いんだね。今回も代表2校、置農と山形東どちらも優秀賞に入ったものね。多分、今回県大会で悔し涙を流した庄内農業や楯岡、山西なんかも、出場していれば、きっと上位入賞できたろうな。

 さて、内容についてだ。

 暗いよねー、暗い!いじめ問題、ぞろぞろだもの。それも、最後まで解決しない、ほのかな明かりさえも見えてこないって舞台が多かった。高校生のキンキン声の早口でこのつらいシーンを次々見せられるてのは、おじさんには正直、辛い!もちっと明るいテーマってないものなの?せめて、ラストシーンくらい希望をかいま見せてよ。

 審査員の藤田傳さんは、講評の中で、いじめと愛は表裏一体、いじめをなくせば愛が失われる、いじめを無くそうなんて芝居は成立しないんだと強調されていた。まあ、そこまで言い切っていいかどうかは疑問だけど、たしかに、最近の高校演劇にはいじめをテーマの芝居が多すぎるって感じる。まあ、高校生にとってそれだけいじめが切実だってことなんだろうけど、この風潮、いじめ→苦しい→表現→共感!って安易なもたれ合いになっていないだろうか。いじめを書けば、いじめを演じれば、わかってもらえる、感じてもらえる、共感してもらえる。これって、明らかに、見る側と演じる側のなれ合いだと思うんだ。

 せめて、手垢にまみれたいじめ問題を舞台に上げるなら、青森中央『河童』のような工夫がほしいもんだ。ある日突然河童に変身してしまった女子生徒が、友人や密かに思いを寄せる男子生徒の懸命な取りなしにもかかわらず、しだいに仲間から孤立して行く様を見事な緊張感で描ききった好舞台だった。でも、この作品、僕は、いじめ問題というよりは、差別問題の鋭く深い問題提起だと感じた。異質な存在(河童に変身した友人)が、体臭や身体表面の粘液などへの嫌悪感から、しだいに社会・仲間からはじき出されていく空恐ろしさを、ぞそくぞくとしながら見せてもらった。

 だから、劇の終盤で、いじめられっ子が、今度はあんたの番よ、って恐ろしげに断言した時には、うむっ!ちょっと違うぞ、って感じちまった。薄っぺらな、いじめ表現=共感のなあなあ構造に寄りかかっちゃったな、残念!ってね。

 これだけいじめの芝居が多いってことは、いじめが高校生の目下の緊急課題なんだってことなんだろう。たしかに、にわかに信じられないような陰湿で暴力的ないじめが報道をにぎわせている。でも、僕の20数年の教員経験からは、どうも、違った色合いで見えてくるんだよね。今回もある学校の芝居の中に、いじめられてる人がいじめと感じたらそれがいじめなんだってセリフがあったけど、このいじめの定義がどうも胡散臭くて仕方がないんだ、僕には。仲間同士の喧嘩で孤立したりして、これがシカトだ、いじめだ、学校やめる!って泣きわめく生徒たくさん見てきたからね。そんな子たち、1ヶ月もするとけろっと仲直りしたり、別のグループに入ったして元気にやってたりするのが大半なんだ。全部とは言わないけどね。

 むしろ、いじめばっかり見つめてる高校生(演劇部員)の視線に問題があるんじゃないのかな。視野が狭いってことなんだよ。視線の先が、家族、友人、知人から先に届かないってことなんだ。社会のあり方や人間の本質、さらには歴史、国家、見つめなくちゃならない課題は一杯ある。高校生の研ぎすまされた感性でさらけ出さなくちゃならない問題は山ほどある。

 そろそろ、身の丈主義とか、日常重視なんていう凝り固まり、から飛び出す時期なんじゃないだろうかね。

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すべり込みセーフの全国大会出場だぁ!

2007-12-24 01:26:30 | 演劇

 高校演劇東北大会(12月22,23日、宮城県名取市)、終わった!負けた!だけど、全国大会出場が決まった!なんのこっちゃ?

 いやぁ、僕も名取に行くまで知らなかったんだけと、今年に限り、なんと、東北から全国に2校出場できることになっていたんだ!去年でもない、来年でもない、2007年限定の特別サービスだ。そして、その2校目に置農の『どんがら山奇譚』がすべり込んだんだ。なんとういう、幸運、なんとういう強運!なんとういう悪運?例年通りなら、2位だろうが4位だろうが同じ、優秀賞でご苦労さんってことだっだんだ。それが今年に限り、2位まで全国だったなんて、とても、信じられない巡り合わせだね。今年で定年、置農演劇部顧問となって9年、最後の大会で東北大会に初出場、そして、偶然余分の全国切符をもらっちまうなんて、これほどの大当たりはないね。交通事故とか気をつけなくちゃ!

 詳しくは、また、報告するけれど、今回の大会、まずは妥当な審査結果だったと思う。自分で言うのもなんだけど、青森中央と置農が抜けていたと思った。まったく両極端の2校で、どちらも高いレベルの舞台だった。緊張感を取るなら青森中央、癒し系なら置農、ってところだったかな。舞台の作りも、ほんと、正反対。青森中央が出演者分の椅子だけの道具で装置一切無しの作りだったのに対して、置農は凝りに凝った装置と衣装、手間暇掛けまくった仕掛けだった。

 で、結局青森中央が最優秀になったわけだけど、その結果に僕としてはまったく異論がない。素晴らしい脚本だったし、見事な演出だったし、鍛え上げられた役者たちだった。さすがは畑澤聖悟さんだ。畑澤さんは今年から弘前の方に転勤になったそうだけど、次々に破裂する爆笑と時代に突き刺さる緊迫感、この舞台は、まぎれもなく彼の作品だった。

 置農の舞台も素晴らしい出来だった。歌がはるかに上達していたし、前日に仕込んだギャグも成功した。テンポも良くて、観客をほんわかしんみりの世界に誘ったことと思う。

 その他の結果は、優秀賞に、宮城広瀬高校と山形東高。これまた、実に妥当な選考だった。こんな風にだれもが?納得いくような審査をしてくれると、大会も楽しく気持ちいいんだけどね。

 ということで、来年8月群馬県桐生市でおこなわれる全国高文祭演劇部門、全国高等学校演劇発表会に置賜農業高校演劇部出場します!!

 

コメント (6)
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