ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

演技のターニングポイント

2007-12-12 23:43:02 | 演劇

 本谷有希子『遭難、』苦闘中。

 悪戦苦闘の一番は、役者たちが若過ぎるってこと。この本の登場人物は、20代の半ばから30代後半ってところかな。なのに、菜の花座の役者はすべて20代、それも前半が主力だ。女性20代の10歳の隔たりってかなり大きいからね、どうしても無理がある。

 次に、知性の問題がある。登場人物5人のうち4人は教員だ。謂わば理知的職種の人たちだ。まあ、実際の教員の知性なんてものは、最近はとみに下落の一途をたどってはいるけれど、それでも、製造現場やコンビニで働く人たちとは、醸し出す雰囲気が違う。言い悪いの問題じゃないよ。もちろん、どちらが上ってことでもさらさらない。ともかく違うってこと。

 で、うちの団員は、主体は後者の種族なわけだから、当然、立ち居振る舞い、語彙口調が微妙に違うんだ。これが、ベテランの役者ならその壁を演技力で軽く越えて行くんだろうけど、うちの役者さんたちは、うーん!まだまだだからね、厳しいんだよ。だいたいそのびみょーな相違自体わかってないから。

 人間自分の声を聞いてびっくりすることでわかる通り、自分の身体や言葉を客観的に認識するってとっても大変なことなんだ。菜の花座の若手の場合、自分がどう見えているがわからないんだから、どうすれば教師に見えるかなんて、想像をはるかに超えた領域なんだ。これを演出が一つ一つ指摘し、ダメを出し、直していくわけだから、これはもう、大変な時間と労力のいる仕事なんだよ、本当に。

 どうしてわかんねえんだよ!どうすればいいのよ!やってみろよ、自分で!わかるように教えてよ!

 心の中じゃお互い毒づきながらの稽古が進む。動作については、歩き方、肩の丸め方、あごの突き出し方まで、徹底して直すからね。セリフ回しなんて、何度繰り返すことか。いつになったできるんだよ!いらいらのつのること、数ヶ月。ある瞬間から、ふっと、できるようになってるんだよね、不思議なことに。ほんと、徐々に直って行くんじゃないんだ。いつの間にか、変わってるんだ。稽古の力だ!練習の賜物だ!

 そして、今、菜の花座公演:本谷有希子『遭難、』も、この不思議なターニングポイントにようやくたどり着いたところだ。今週の日曜からは毎日稽古。その一日一日、一時間一時間で確実に、驚くほど変化していく。ぐんぐんと上手くなっていく。ずばーっと、劇の本筋に迫っていっている。ああ、このまま後、2週間稽古できたなら!でも、でも、非情!残された時間はわずかに三日!!せめて、その三日間を目一杯使い切って、ぎりぎり変わるところまで突き進むだけだ。

 14日、金曜日は、時間制限なしで稽古する!役者たちの決意が漲る。きっと、この舞台も生き生きとした舞台に仕上がるに違いない。

 

コメント
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