泡 盛 日 記

演劇人(役者・演出家)丹下一の日記です。

今日は頭がじんじんしている

2013-05-10 22:34:39 | 丹下一の泡盛日記
今日は終日、歌の「発表会」のスタッフ。
「発表会」ということは出演者は基本的に素人さんなのだが、この「素人さん」たちは実にくせ者ぞろい。
多分、テレビなどでプロのリハーサル風景を「ごく一部だけ」みている。
そして、それを真似ようとする。
モデルになっているプロは超スター級だったりするので、きっとギターのプラグも誰かが差し替えてくれるんだろう。

某発表会のリハーサルでコメント担当の人に「マイクはこちらです」。
「はい」と応えたまま何もしないので「お声を下さい」。
「え、リハでもしゃべるんですかあ?」とオペラのプリマドンナのようなことをおっしゃる。
一応レベルなんかも合わせないといけないので「お願いします」。
スタンドのマイクがはずれずに「えっ、これとれない!」と大騒ぎに。
別にとめていたわけではない。普通に差し込んであっただけだ、もちろん。
そして触りまくるうちにスイッチを入れてしまい、そのノイズが一瞬。
もちろん調整卓についているのは、本当のプロなのでその瞬間に対応。
コントかと思ったぞ。

照明が変化するきっかけの確認で、そのポイントの少し前から流してゆっくりと変化する間を演出担当の「先生」とリハーサル。
「きっかけ」のところをお願いします、と。
例えば、「きっかけ」の「き」を聞いたら照明の変化が始まる。というところで、いきなり「きっかけ」と話し出す。
または、ちょっと前から始めてくれるのはいいのだけど、その「きっかけ」のところで勝手に止めて「ここできっかけです」と。
流れを確認したいこちらにしてみれば、話にならない。
「止めないで下さい」と説明して再開。
これが何度(何人)も続く。
「先生」も「あのね!」と言ってくれるのだけど。
誰のまねをしているんだろうと不思議になる。
舞台(発表会)は初めてではないはずなのだけど、忘れてしまうんだろうか。
それともテレビで見て「こうやるんだわ!」と勝手に頭に刻み込んでしまうのか。

今日は3部構成3時間、えんえんと歌を聞いていたが、ちょっときつかった。
年配者のリハビリみたいなもんなんだろうけど、ドレスが豪華でバックのプロのバンドもそこそこの音を出している。
なのに。。。(-_-;;;
リハーサルで3時間、そして本番でアクシデントが続く中、3時間聞いた。
さすがに頭がじんじんしている。
亡くなった先輩の女優が「素人ほど手におえないものはない」と言っていた。
一番の理由は「自分が素人だと思っていないから」だと。
今それがとてもよくわかる。

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「桜の森の満開の下」再び

2013-05-10 05:47:55 | 丹下一の泡盛日記
坂口安吾の「桜の森の満開の下」は、千賀ゆう子さんの語りの舞台として岸田理生さんの書き下ろしで、1983年に東京・中野での初演し、以来様々な形で2000年まで、23歳から39歳までの季節を並走させていただいた作品だ。
最初は迦樓羅舎のプロデュースで上演し、その後笠井賢一さんと橘政愛さんが加わって芝居仕立てになり、千賀ゆう子企画の舞台として2000年のストライプハウス美術館でこのバージョンを閉じるまで、あちらこちらで。
その上演が終わり自分は東京を離れた。
初演時はチラシなどの印刷代だけでも経費がかかり、迦樓羅舎の旗揚げ用に工事現場で半年働いて貯めた金が吹っ飛んでしまったのも懐かしい思い出だ。

千賀さんは安吾作品を上演し続けているそうだが、自分はすっぱりと離れて本を開くことさえしなかった。
それが、ああ不思議だなあ。
女優の松川真澄さんから「桜の森」を朗読でやりたいんですけど、ご一緒にいかが? とお誘いが。
ものすごく久しぶりに読み直した。
やっぱり面白い。
(そして理生さんの台本がいかに素晴らしいかも再確認できた♪)

さすがに時間をかけ熟慮して、決心。
お引き受けした。
大崎から鶴見まで歩いたときに考えて、「演出」もお引き受けすることにした。
自分としては大きな決断。
ご子息の綱男さんにも10数年ぶりにご連絡。お許しを得た。
小さな会場でのささやかな朗読会ですが、稽古を始めて一声出してみたらみたら、もうすっかり血が燃えている。
昔の舞台をご存知の方、今度は黒衣ではなく、顔出してます♪
音楽はシェイクスピア朗読会でずっと一緒だった佐藤圭一さんがアフガンの民俗楽器、ルバーブで。
これがとても「アジアのおと」で安吾の世界にとても合う♪
30年ぶりに坂口安吾の原作に向い合っています。
さすがに「こんな日が来るとは」と思わずにはいられない。
そしてやるからには、それこそ全身全霊で立ち向かわなければならない。
皆様ぜひぜひお立ち会い下さいませ!

まつかわますみ事務所公演
劇的朗読「桜の森の満開の下」
2013年6月15日(土)15:00開演
会場:東京オペラシティ近江楽堂
作:坂口安吾 演出:丹下 一
出演:松川真澄 丹下一 佐藤圭一(楽師:ルバーブ)



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