2月定例県議会で行った一般質問の内容について、お伝えしています。
今回は、子どもの貧困対策についてです。
■ こどもの貧困対策について
【竹内質問要旨】
県では、県内におけるひとり親家庭の実態を把握し、ひとり親家庭の行政ニーズに対応するため実態調査を行った。
この調査に併せて、ひとり親家庭の子どもや児童養護施設、里親の下で暮らす小学校4年生から高校3年生を対象に「子どもの声アンケート」を実施し、約4700人から回答を得た。
アンケートの内容は、将来なりたい職業、将来行きたい学校、希望をかなえるのに必要なもの等ですが、私は「子どもの声自由記入」を読み、心が痛み胸が締め付けられた。
そこには、貧困故に将来への夢に不安に思っていることや、諦めることを受け入れざるを得ない現実、勉強への不安や悩み、いじめや学校での人間関係の悩み、先生への不信感、生活のため頑張っている母への思いやりなどが実直に書かれておりました。
子供達は、生まれ生活する場所を選択することはできません。
なのに、なぜ、こんなに苦しい思いをしなければならないのでしようか?
貧困家庭に育つことになった子供達は、貧困故に、日常の生活が不自由にさらされ、将来の夢への希望を失って行く、そして自分の生活を負い目に感じてしまったのか、学校では友達関係も崩れて行くというイメージを想像してしまい、読むにしたがっていたたまれない気持ちになりました。
知事と教育長は、この「子どもの声アンケート」を読んで、どう感じたか。
【知事答弁要旨】
私としては、自分の未来に対する不安や、経済的な理由で夢を断念せざるを得ない辛さ、自分の親に対する気遣い、本当に切実な思い、胸が痛むような声が多数寄せられたていると考えています。
子ども達の声を受けとめて、心が動かない人はいないだろうと私は思います。
経済的な問題で最初から夢を諦めざるを得ない子どもたちがいるという状況は、決して放置しておくわけにはいかないと思っており、社会全体にとっても大きな課題であると思っています。
こうしたことから、県として、あらゆる手段を講じて子どもの貧困対策に取り組んでまいります。
【教育長答弁要旨】
子ども達が将来の夢を抱きながらも、貧困の中で現実とのギャップなど様々な問題に悩み、心配や不安を抱えているという大変切実な心情が寄せられるとともに、議員ご指摘のとおり、一部の子ども達からは、いじめや教師の対応への不満など学校に対する問題も寄せられており、私としてもこうした子ども達の切実な声を重く受けとめている。
教育委員会としては、長野県いじめ防止対策推進条例に基づき、本年度4月より、「学校生活相談センター」を設置したところであり、いじめや教師への不満に関わるような相談を受けた場合は、市町村教育委員会や学校と詳細を確認しながら対応しているところ。
知事部局の方で設けた「子ども支援センター」に寄せられた相談についても、具体的な問題については、学校等と連携をとりながらその改善に取り組んでいるところ。
また、学校においては、教員が何よりも第1に子どもの心に寄り添い、丁寧な対応をすることが大切なことから、研修の充実など教員の資質向上を図るとともに、スクールカウンセラーの充実など、組織的な相談体制の整備を推進しているところ。
【竹内質問要旨】
県では、この実態調査を踏まえ、新年度予算案に「長野県子どもの貧困対策推進計画(案)」を前倒しする形で、貧困家庭やその子供達を支援する予算を計上していますが、私は、県が子供達に将来の夢や要望を聴く実態調査を行った以上、財政の許す限り、とことんまで貧困の連鎖を防ぐためにも、子供達の夢をかなえる対策を講じべきであると思います。
その意味で新年度予算案に、給付型奨学金等の充実、資格取得のための返還免除型貸付金の拡充、子どもの居場所づくりの促進、ひとり親の就業支援などの事業を新設したり拡充していることを高く評価するものです。
ただ、「県子どもの貧困対策推進計画(案)」で「基本目標からみた『あるべき姿』」で、「すべての子どもが学びたいことを学ぶことができる」とする姿に、今回の予算案で、特に大学進学について、どこまで向上させることが出来るのか、心配になります。
そこで、教育委員会が今年度から行っている「県内大学進学のための入学金等給付事業」の成績等の基準値を一定程度引き下げるとともに、支給人数30人程度の枠を、さらに拡大すべきではないか。
また、今回新設する「県内大学修学のための奨学金給付事業」についても、1学年30人程度としている定員を増やすべきではないかと思いますが、
知事に伺います。
【知事答弁要旨】
子どもの貧困対策に関連しても「県内大学進学のための入学金等給付事業」の成績等の基準の引き下げ、支給人数の拡大、そして「県内大学修学のための奨学金給付事業」の定員増という質問です。
こうした奨学金は、意欲や能力があるにもかかわらず、経済的な理由で大学への進学が困難な子どもたちを対象としている。貸与でなく返済不要の給付という形にさせていただいており、支援に当たっては、やはり一定の基準は必要と考えている。
短大・大学を目指す経済的に困難な生徒に対する県の支援については、これまで進学時のみであったが、来年度の予算案の中には、入学後についても修学継続のための奨学金を支給することにしております。「一体型の給付型奨学金」として、経済的な理由でこれまで進学を断念していたご家族の子どもたちの県内大学等への進学の道を開くことにつながると期待している。
こうした奨学金の対象者あるいは内容の充実ということてについては、事業を実施する中で、教育委員会ともよく連携しながら、効果等を検証する中で考えて行く。
【竹内質問要旨】
この調査結果を踏まえ策定した「長野県子どもの貧困対策推進計画(案)の中には、子ども達から寄せられた、いじめや教師への不信や不満への声に対する対策が見えて来ません。
アンケートを県が行った以上、そこに寄せられた声を真摯に受け止め、具体的に改善策を講じたのか、また、今後、どのような対策を行うのか併せて伺います。
さらに、教育委員会で行っている「スクールソーシャルワーカー活用事業」は、長期欠席、暴力、中退、いじめのうち、その主たる要因や背景に家庭的な問題があり、学校だけでなく解決困難なケースに対応する。学校をプラットホーム化とした子どもの貧困対策を可能とするとして、スクールソーシャルワーカーの配置を今年度8人から、来年度18人にする予算案を計上しています。
その事業の内容は、端的に言えば、家庭内で貧困等の様々な問題があれば、学校内で長期欠席や暴力、いじめなどの問題行動として表出するので、教員が子どもの困りごとを発見し、スクールソーシャルワーカーに相談し支援を行うというものです。
しかし、先に紹介した「子どもの声」アンケートに寄せられた、教師への不満な声からは、教師自身が無頓着な場合があり、教師からスクールソーシャルワーカーに繋げることが、出来ていないと心配します。
この事業の目的としている「長期欠席、暴力、中退、いじめのうち、その主たる要因や背景に家庭的な問題があり、学校だけでなく解決困難なケースに対応する。」としていることは、その原因が学校でなく、家庭にあると教育現場の教師の責任を家庭に転嫁しているように思えてなりません。
この点について、スクールソーシャルワーカー増員の理由と、「子どもの声」アンケートに寄せられた意見から、教師自信が子ども達に信頼され、その声を受け止まられる取組について、具体的な取組を行っているのか、教育長に伺います。
【教育長答弁要旨】
スクールソーシャルワーカーは、学校と医療や福祉が協力して困難を抱える子ども達を支援するためのコーディネーター役です。今回の増員は、いじめや不登校の背景に、医療や福祉的な支援を必要とするケースが増加しており、これまでのスクールソーシャルワーカーの取組が効果的であったことから、増員を計画した。
指摘のとおり、悩みを受け止めるには、まず教師と子どもの信頼関係が築かれることが重要です。そのため、日々の教育活動のほか、各学校における生活アンケートや面談などを実施することによって、子ども達に丁寧に寄り添い、担任だけでなく、「校内いじめ防止委員会」等、組織的な対応を図っているところ。
また、各学校において、生徒・保護者による匿名性を担保した学校評価を実施するなど、学校に対する率直な意見をお聞きし、学校運営や授業改善につなげるよう努めている。
今後も、教員が子どもの悩みに適切に対応できるよう、スクールカウンセラーによる教員に対するカウンセリングマインドを高める研修や、拡充するスクールソーシャルワーカーを講師とし、子どもの支援の視野を広げる研修を行うなど、教員の資質向上に取り組んでまいりたい。
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