たけちゃん活動・生活日誌

県議としての活動に追われてきましたが、引退後の生活の様子や、感じていることを発信しています・・・。

読書の秋(3) 【公共交通関連の本】

2015年11月16日 | 読 書

★「地域再生の戦略」宇都宮淨人著(ちくま新書)は、副題は「交通まちづくりというアプローチ」。
 地方の衰退する公共交通再生のため、「交通まちづくり」という視点で、国、行政、事業者、住民が行うべき課題を提案している。
 また、全国の先進例やドイツ、フランスなどの先進事例を紹介しており、興味深かったが、これと言った名案としては胸に落ちなかった。
 国の「交通政策基本法」の制定と「基本計画」の策定を受けて、具体的取り組みは、これからであり手探りの状態にあるが、この本から読み取れることは原則的な考え方が中心であり、今後、人口減少社会を迎えて公共交通支援への税の在り方も含め、国の財政支援が注目される。

★「北陸新幹線レボリューション」藤澤和弘著(交通新聞社新書)は、一般財団法人北陸産業活性化センター(金沢市)の依頼により、まとめられた本である。
 従って、全国の新幹線整備への歴史とともに、北陸新幹線金沢延伸に伴い富山・石川・福井など北陸3県を中心に、経済や観光の振興策や整備された駅周辺の活性化策等を、既に取り組みを行って来た鹿児島駅、八戸駅、盛岡駅、新青森駅、佐久平駅などを例に紹介し、北陸新幹線新駅のそれぞれの駅毎に取り組むべき方向を分析しています。
 この中で私が気になったのは、「長野県の観光への取り組み」の項での本県の取り組みに関する厳しい評価です。
 それは、少し長くなりますが引用すると、長野県が2008年に策定した「『観光立県長野』再興計画」について、「具体的に観光地を巡る二次交通を整備するなどはなく、観光メニューや時刻表の提供に留まっている。施策は総花的で4つの具体的数値目標のほかはスローガンが並んだものであり、具体性と実行性に欠く内容である。実際、計画期間が終了した2013年、県がまとめた取り組み実績は厳しいものとなった。」(中略)
 「長野県は再び『観光振興基本計画2013~2017』を策定した。テーマは、『信州暮らしが”憧れ”と”感動”を生む観光立県』であるが、内容は2008年の『再興計画』のリニーアルに近い。」(中略)
 「長野県は観光を主要産業と位置づけている。しかし、観光客が長野県に求めるものは、これら計画にあるような『宣伝』『情報発信』『ハード整備』『信州暮らしへの憧れ』であろうか。観光が持つ非日常性の磨き上げや感動、ストーリー性、効果的な周遊手段や二次交通の提供、街なか観光の充実、他県観光との連携、IT装備の充実など、汗をかきながら頭を使った具体的な観光開発の手順ではないだろうか。
 観光にとつて行政の力が頼りになることは否めないが、魅力ある観光圏を作り上げていくことは、さまざまなセクターの知恵と力の結果が必要になる。 広域的な広報宣伝だけならまだしも、行政に数値目標まで課す意味はあるのだろうか。観光においては、官と民、あるいは地域同士が情報交換や観光開発などで有機的に連携すべきであり、供給サイドではなく需要サイドからマーケットの開拓を始めることから出発しなければならない。
 今般の北陸新幹線の延伸に際しても、長野県は、県内で降車させる仕組みとして停車駅のハブ化や観光商品の開発などを施策として挙げているが、PR主体で具体性に乏しい印象である。」としていることです。
 確かに、本県は広く観光振興計画を策定する場合には、「南北格差」を主張する声に配慮するため「総花的」な計画になっており、その地域・地域別に見れば具体性に乏しい内容になっていることは私も感していました。
 しかし、この著書の目的が北陸新幹線延伸に伴う北陸地方発展のため、本県がダメな例として取り上げられている以上、今後、新幹線の恩恵を受けている東北信の市町村が本気で新幹線延伸効果を活かす経済や観光対策を行わなければ、既に本気で取り組んでいる北陸地方の県や都市に負けてしまうと思い、そのための決意を新たにしました。
 その取り組みの第一弾としては、この本の著者で、本県の観光振興政策を批判的に論評した、藤澤和弘氏を講師に招き、本県の「新幹線延伸効果を活かした観光振興への提言」等のテーマで、まずは、講演会を開催すべきであると思いました。

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1 コメント

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Unknown (藤澤和弘)
2020-03-06 10:56:24
著書お取り上げ感謝いたします。

確かに長野県の観光行政についての苦言を書かせていただきました。指摘の部分は長野県だけではなくすべての道府県に当てはまる部分はあると思いますが、北陸新幹線沿線ということで長野を取り上げました。

富山においても行政が行う観光施策はほとんど同じです。スローガンと均等な予算配分です。行政に戦略を求めてもだめなのかもしれませんが、ご指摘の通り長野県は圏域が広く複雑な事情がおありのことと思います。3年後北陸新幹線は敦賀に延伸しますが、いまのところ福井県も同じ状況ですね。

ただ北陸はものづくりやコメ作りといった主要産業がある中での観光産業ですので副業的ではありますが。

来年に向けて著書の第二弾を書く予定です。金沢開業に向けての長野商工会議所の取組は良好事例になると思います。
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