たかはしけいのにっき

理系研究者の日記。

かぷかぷ

2019-06-18 18:51:08 | Weblog
 自分にとって都合のいいストーリーを構築していく目的は、誰かを納得させるためであるはずだ。
 しかし、自分にとって都合のいい情報のみを入手し続け、自分にとって都合のいい言葉だけを拾い読み続けて、その行為に最適化させることを繰り返していると、いつの間にか"今の"自分にとって都合がいいだけになっていたりする。

 そう、自分にとって都合がいいはずのストーリーが、じわじわと自分自身の首を絞めていくのだ。

 人生にとって最も重要な能力は、間違えたY字路までUターンできる能力なのだが、多くの人は、先が行き止まりでもアリジゴクでも崖でも、それを認知しているにも拘らず、突き進んでしまう。自分がやってきたことを無意味化することに躊躇いがない人間なんていないからね。
 そのような状態では、あらゆる忠告と助言は、「(今の私にとっては)現実的でない」と、現実と妄想をひっくり返した言葉で断絶されてしまう。適切であればあるほど、純粋であればあるほど、深く深く傷つける。

 Uターンしないことの正当化の一環として、「生きていくためには仕方ない」の言い換えで「大人になればわかるよ」と繰り返してくれた貴女に、俺が期待していたことは、俺の言葉を閑却し続ける力。だって、そういう立場のはずじゃない?
 猫パンチのつもりが、いつの間にか心の中央部にまで侵食してしまっていた。お互いにね。イイワケは今も昔もカワラナイ。『勝手に検索して、勝手に読んで、勝手に解釈して、勝手に傷ついていたのは、そっちでしょ。本当の心情だとは限らない、とあれだけ書いていたのに』ってね。あの頃と違うのは、最後に素直な一言が加えられること。『ごめんなさい』って。

 この世界は特に弱肉強食の色合いが強い。だって、曖昧さが許されないのだから。
 だからこそ、違う世界で知り合いたかった。せめて、違うタイミングで。

 今は、行き過ぎてしまった論理展開と、都合のいいストーリーを巻き戻すことにとても忙しい。そんなストーリー性の強い過去に圧倒されて、かぷかぷ笑ってみると、同じようにかぷかぷ笑う懐かしい声が確かに聴こえた気がした。
コメント
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