Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

『LOFT/ロフト』、呆気と笑いのホラー

2006年09月17日 | 映画など
『LOFT/ロフト』を見る。
黒沢清、3年ぶりの劇場公開作らしい。
この監督はわりと多作なので、
これだけ期間が開いたのは珍しい。

なんともまあ、不思議な映画だった。
観客を煙に巻くのは、この監督がよくやることだが、
『回路』『降霊』の流れを組むホラーと見せかけて、
とんでもない映画を作ったと思う。
ひとことで言うと、これはB級ホラー&コメディである。


LOFT/ロフト(2005)

スランプに陥っている作家(中谷美紀)が、
編集者(西島秀俊)の勧めで、人里離れた洋館に引っ越す。
洋館の隣には、大学の研究所があり、
そこにいる大学教授(豊川悦司)と知り合う。
その教授は、近くの沼から引き揚げた
女性のミイラを研究していた。

映画で描かれる奇怪な現象は、
すべて登場人物の目を通して描かれる。
中谷美紀の視線、
そして豊川悦司の視線、
その先に見えるものの正体を探るために、
僕ら、観客はじっと目を凝らす。

しかしいつの間にか、はぐらかされてしまうのだ。
こちらが論理的に見ようとすればするほど、
登場人物の主観が入り混じった描写が連続し、
そのうち、ただスクリーンを見つめる以外、
なす術がなくなってしまう。

翻弄されるというか、呆気にとられるというか。
シネフィル的な見方をすると、
ヒッチコックの『めまい』のような、
妙な落とし穴にいつの間にか落ちていくような感じ。

豊川悦司のオーバーアクトと
中谷美紀の叫びっぷりにも
いわゆるJホラーの文脈から逸脱したところがあり、
それはやりすぎだろ、と突っ込む場面も多数。
ひょっとしたらこれはコメディかも。
そう思うと、ちょっと腑に落ちた。
コメント
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