(前回からの続き)
昨年10月、国際再生可能エネルギー機関は、定置型蓄電池のコストが2030年までに最大66%も低下するとの見通しを公表しました。日本を含めた主要国の電力システムにおける再エネの比率が2倍になれば、蓄電池の容量トータルは最大3倍まで成長するとのこと。同機関のトップは、電池技術が向上し、価格が下がると、産業向けと小規模向けの双方のニーズが急成長し、再エネの導入も加速するとの見解を示しています。
ご存知のとおり、日本は「電池大国」といえます。現在、携帯電話やPCなどで広く使われているリチウムイオン電池の開発をリードしてきたのは日本(の旭化成工業等)ですし、NAS(ナトリウム硫黄)電池や各種燃料電池などの製造や展開でも世界各国に先行しています。これらの異業種への応用、たとえばハイブリッド車やEV(電気自動車)などとの組み合わせを実現、成功させ、いち早く世界市場に供給してきたのも日本のメーカーです。まあ・・・いつものように(?)中韓の同業メーカーが追い上げてきてはいるようですが、日本製バッテリーの高い技術と信頼性はまだまだ他国産の追従を許さないでしょう。それに、内外の企業が競争することで上記のようにその性能が良くなり、いっぽうでコストが下がるのは国民にとって望ましいことでもあるわけで・・・
今回ご紹介の取り組み―――東京電力HDとNTTによる、再エネの電力と蓄電池とをリンクさせて出力変動の調整力300万kW分(約1000億円とのこと)を提供するもの―――は、同電池へのニーズをさらに高め、それが本邦各社の開発&生産意欲をいっそう喚起すると予想されます。その結果、わが国の電池事業は、これをEV等に搭載する自動車会社とか「スマートハウス」を手掛ける住宅メーカーなどとともに、さらに発展していくことが期待できそうです。
本稿では、現在の日本の「アキレス腱」(どうしても外国に依存しなければならない国家としての弱点)は「エネルギー」と指摘しました。ですが、上記事業などによって、わが国のエネルギー自給率が高まり、これに関連する各企業が世界から大いに頼られるようになっていけば、きっと近い将来、その逆になる―――つまり、エネルギーが日本の「強み」になる・・・ことでしょう。
(「再生可能エネルギーと蓄電池が日本を強くする」おわり)
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