今日「9.11」は、「米同時多発テロ」から20周年の節目の日。同テロで犠牲になられた方々のご冥福を心よりお祈りいたします。
さて、ご存じのように先月末、アフガニスタンに駐留していたアメリカ軍の同国からの撤退が完了しました。これにより、上記テロに対する報復(?)を名目に開始され、2001年から20年もの長きにわたって続けられた「米史上、最も長い戦争」といわれる軍事作戦に終止符が打たれたこととなります・・・などとメディアでは報じられています。ではこれどう評価するべきか、となると・・・アメリカの報復相手?で、上記テロに関与した?反体制勢力タリバンが米軍撤収後あっという間にアフガニスタンの政権を事実上奪取したことから判断すると何とも・・・といったあたりでしょう。
ところで、このタイミングで米ジョー・バイデン政権が米軍のアフガン撤収を断行したことの、おそらくいちばん大きな理由は、やはりこれに伴う戦費の巨大さにアメリカ(≒財政)が耐え切れなくなっている、ということでしょう。実際、アメリカはこの戦争に、20年間で2.26兆ドル(現行レート換算で246兆円)もの巨額の財政資金を投じてきました。その結果もたらされたのは、アフガン軍・警察6.9万人、民間人4.7万人、反政府勢力兵士5.1万人、そして米軍2500人、米民間人4000人、等の多くの犠牲者と、上記のように相変わらず・・・どころかさらにアブない感じになってしまったアフガン情勢、ということで、常識的に考えれば、これどう見ても出費額に見合うようなポジティブなものではないはずです。そのあたり米メディア(フォーブス等)は、そんなアフガニスタンの4000万人に対してアメリカは1人当り5万ドルを支払ったことになる、と嘆いてみせていますが・・・
しかし、この軍事作戦、すなわち長期間かつ安定的に財政支出されたトータル2兆ドル以上の巨大なマネーで大いに潤った人々がいたのもまた事実です。その最大の受益者は、やはりアメリカ自身・・・の軍事セクター(兵器・武器メーカー等の経営者・株主・従業員)でしょう。そして米軍属(米軍兵士およびその家族等)もまた同様です。その意味で、この2兆ドルの大半は戦費・・・というよりは米景気対策費とみるべき、つまり、これらを米関係者に流して、その消費や投資で米景気を刺激して・・・といった意図を持つものと考えるべきでしょう。
他方でこれ、アフガニスタンにはまったく支払われてはいない―――同国民のためになることにはほとんど使われていない―――といっていいはず。いや、それどころか彼ら彼女らが上記2兆ドルの見返りで得たのは、国土のさらなる荒廃といっそうの混沌であることは、この瞬間の同国情勢をみれば明らかです・・・(?)