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【仏以上の国も以下の国も、相手に対して不満が募るEU圏】イタリアにはユーロ圏従属以外の道なし③

2018-06-11 00:00:49 | ヨーロッパ

前回からの続き)

 前回までに綴ったように、このほど発足したイタリアのコンテ新政権が掲げる急進的改革2つ―――最低所得保障と不法移民排斥―――は同国がユーロ圏にとどまる限り、実行は極めて難しいはずです。では、出ていけば・・・って、たしかにそうすればユーロ圏の縛りから自由になって財政バラマキ政策とか移民排除みたいなことができるかもしれません、が、いっぽうでその際は共通通貨ユーロの使用はけっして認められず、やむなくスタートさせた独自通貨(新リラ?)はユーロに対して暴落して同国経済と国民生活は破壊されてしまいます。となるとユーロ圏離脱はイタリアには絶対にできず、結局は圏内ルールに従わざるを得ません。よって上記急進的改革は・・・やはり実現不可能、が結論になるわけです・・・(?)

 これ、何もイタリアに限った話ではありません。先般来ご紹介、ユーロ圏各国の支払い能力の序列を示す不等式「独>蘭>仏>西>伊>・・・>ギリシャ」においてフランス「未満」(いや、「以下」?)の国々―――イタリアはもちろん、スペイン、ポルトガルキプロスギリシャなど―――は皆さん同じことです。要するに、バラマキ政策(公務員給与引き上げとか年金増額など)も移民流入抑制策の執行も独自にはできないなか、限られた歳出とさえない景気のもと、それにふさわしい、つましい生活水準に耐えていく以外にない、ということです。

 他方、上記でフランス「以上」の国々―――ドイツ、オランダ、オーストリア、フィンランドなど―――も不満感を募らせているはずです。つまりユーロ圏では、各メンバーの国力の平均を取ったような政策(たとえばECBのQEなど)が採用されがちになるので、それが「フランス以上」の国の実態には合わなくなる、具体的には金利が下がり過ぎて景況がバブルやインフレ気味になったりするわけです。かといって・・・その原因を生んでいる同「未満」の国をユーロ圏から追い出すことも実質的にはできません。仲間内のコンセンサス作りは難航を極めるでしょうし、万一放逐できても、あるいは勝手に出ていかれても(って、これはまず考えられないが?)、今度は自国の金融機関が経営危機に陥ってしまいます。それらがしこたま抱えた当該国のユーロ建て国債等が紙クズ(?)になってしまうためです・・・

 以上のことからユーロ圏は、これに加盟する誰にとっても、自分のいまの状態に適した政策がけっして選択されることのない枠組みになっています。よっていつも、すべての加盟国がフラストレーションを抱えることになるわけです。そうなっている最大の原因はおそらく・・・「財政の不統合、通貨・金融統合にもかかわらず」・・・でしょう。では財政も統合すれば、ってこれこそ「一つの欧州」実現に向けた最大の一歩になるはず・・・ですがこれにはフランス「以上」の国々が絶対に賛成しません。それは彼らが同「未満」の国々の借金の埋め合わせをさせられてしまうためです・・・

 ・・・こうしてユーロ圏は、統合を深化させることも分離に向かうこともなく、いまの中途半端な同居状態を続け、イタリアのような「フランス以下の国々」で繰り返される経済危機に合わせてECBが通貨ユーロをダラダラと刷り続けて・・・結局はインフレに沈んでいくわけです・・・(?)

(続く)

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